#Twitter300字ss・第16回
@Okwdznr
「すごい、画期的」
今年15になる甥が、僕のカメラを見て感激している。
「これならネットに流出しないし、フタを開けてフィルムを引っぱれば、完全に消せるんだね?」
2030年。息をするように端末はタップされ、何気ない瞬間は即時にクラウド保存される。家族や友人、見知らぬ人の、善意(と好奇と監視)のレンズに囲まれ、記憶は永遠に電子の海を彷徨う。銀塩カメラは逆説的に自由を獲得したらしい。
僕はちょっと得意になってこう言った。
「もし現像した思い出が憎たらしくなったら、火にくべてしまえばいいのさ」
けれども彼は首を傾げた。ああそうか。この町はとっくに花火も煙草も禁止で、家はオール電化。彼は炎に触れたことがないのだ。