ニコ動【http://www.nicovideo.jp/watch/sm29294195】にうpした松の動画のネタバレ小説。短い。
先に動画を見てから読んで下さい。世界観などのネタバレがあります。
@14_Fmatsu_
……どこかの世界。
悪魔や天使、死神等が存在しており、人間界の犯罪や災害の原因は悪魔の仕業だと言われている世界。
ひょんなことから、悪魔・神父・女神・死神・天使・生ける屍が集まり、パーティを組んで諸悪の根源に立ち向かっていた。
「あー…今日も戦った戦ったー!こんな日はパーッとビールで祝杯あげたくない?」
真っ赤な翼を上下に動かし、空中をふわふわ浮いている赤い悪魔・オソマツがパーティメンバーに語りかける。
「はぁ?悪魔は今日も戦ってないよね?」
悪魔の横を歩いていた緑の女神・チョロマツが睨みつけるようにオソマツに食いかかった。
「だってぇー、同族殺しは悪魔の禁忌なんだよー?チョロマツは女神の癖に、俺に禁忌を犯せって言うの?それひどくなーい?」
「フッ…女神様(モンデーア)、悪魔(デビル)は戦えない代わりに敵の情報をくれたりするじゃないか」
二人が今にも喧嘩を始めてしまいそうな雰囲気を察して、青い神父・カラマツがキメ顔で仲裁に入った。
「ねぇ、なんでカラマツはフランス語と英語を混ぜて使ってるの?」
「俺が知るかよ…」
険悪な雰囲気だった赤と緑は、仲裁に入ってきた人物のイタイ言動に思わずお互いの顔を見合わせた。
「ねぇねぇ!もんでーあって何ー?」
純白という言葉が似合う白い羽を携えた、黄色い天使・ジュウシマツが隣の人物に問いかける。
「フランス語で【私の女神】って意味…」
問いかけられたのは、紫の死神・イチマツ。
意味を教えてやると、天使は「さすが死神さん!すげー!」と、とても喜んでぴょんぴょん飛び跳ねた。
「ほんっと、神父様ってイッタイよねぇ…ボク死んでるけど本当イッタイ」
桃色の生ける屍・トドマツが溜息混じりにそう呟いた。
「オレはまた周りの人々を傷つけてしまっているのか…なんというギルドガイ…!!」
「はいはい、道端の木を殴らない殴らない。しかし、今日は途中でちょっとヤバかったね…」
律儀に神父に突っ込みを入れながら、女神は今日の戦闘を思い出しまた歩を進め出す。
他のメンバーも各々「そうだったねー」等と返事しながら、帰路を歩く。
(正確には、飛んでいる者が二人程いるが)
今日の打ち上げの宴会では何を食べようか。何を飲もうか。
戦闘後の帰り道の話題は、その後の打ち上げのことが多い。
今日はチーズフォンデュが食べたいだの、手羽先がいいだの、いや唐揚げだ!だの。
とても悪魔退治をした集団の会話だとは思えないような話題ばかり。
悪魔退治の報酬は、大体その日の夜の宴会でほぼ消えてしまう。
女神がもっと計画的に使えよ!と言うものの、その女神本人も人一倍ワインを飲んだりしているので、宴会がなくなることはない。
メインのおつまみを何にするかという議題で盛り上がる中、彼らの前に大きな鉄塔が近付いてきていることに悪魔が気がつく。
「お?あの鉄塔…なんかいい感じじゃね?」
「いい感じってどゆことなんすか、悪魔さん!」
「いいか、ジュウシマツ。良くアー写とかMVとかでこんな感じの鉄塔、背景にしてるだろ?」
「あいあい!」
「アー写って…何言ってるの?この悪魔は…」
理解出来ないという表情をしながら、他のメンバーに同意を求めるように振り返る女神。
だが、その眼前には思いもしない表情をしているメンバーたちが…。
「なるほど!確かにそんな雰囲気している鉄塔だな!」
神父の目が明らかにキラキラしている。悪魔の意見を気に入ったようだ。
だが、神父が賛同するのは女神にも予想済みである。
問題はあとの二人だ。
「あー、なんか分かるかもー」
「ぽいわー、ぽい…」
生ける屍も死神もてっきり自分に賛同してくれると思ったのだが、何故か今回は悪魔側のようだった。
「ええー!?お前らも悪魔に賛同しちゃうわけー!?」
「だってー、それっぽいしぃ?」
「なんとなく、ね…ヒヒッ…」
「ちょっと鉄塔の近くまで行ってみようぜ!」
そう言って、赤い悪魔が鉄塔に向かってフワフワ移動し始めた。
「ちょっと!寄り道しないでよ!」
女神が叫ぶが、悪魔はそんなこと気にせずにどんどん行ってしまう。
女神以外の四人も悪魔に続けと言わんばかりに、悪魔の後を追う。
「もう!またこれだよ!」
全く自分の言うことを聞いてくれない五人の後ろ姿を見て盛大な溜息をつくと、女神も仕方なく五人の後を追いかけた。
「ちょっと、寄り道してる場合じゃないでしょ?早く依頼人に報告しに行かなきゃ!」
やっと五人に追いついた女神は、周りに響き渡る程大きな声で叫んだ。
「おーい、みんなー!この鉄塔で俺らのアー写撮ろうぜー!」
女神の叫び声などお構いなしといった風で、悪魔は鉄塔の前でみんなに向かって言う。
「はぁー?僕らアーティストじゃないだろー!?」
「いや、そうでもないぞ。人は誰でも素敵な音楽(ミュージック)を奏でる表現者(アーティスト)さ!」
「黙ってろよ、クソマツ…」
「ボク、右からの顔に自信あるからそっちから撮ってよー?」
「じゃあね、あの真ん中ら辺で撮るのはどうかなー?」
「お、さすがマジ天使ジュウシマツ!いい感じじゃん!あそこら辺まで各自移動開始ー!」
赤い悪魔の開始の言葉を聞いて、鉄塔を登り始める面々。
悪魔は勿論、そのまま自分の翼で飛んで登っていく。
死神は軽い身のこなしで、鉄塔の柱と柱の間に斜めに入ってる鉄骨――斜材を足場にして飛び跳ねるようにして駆け登る。
自力で登れないと判断した生ける屍は、天使に頼んで両腕に抱えられゆっくりと上まで運んでもらった。
その様子を見ていた神父も天使に同じように運んでもらおうとするが、何故か片手で持ち上げられ、やり投げのようにぶん投げられる。
神父の叫び声と何かに派手に激突する音がこだまする中、天使は女神の方に向き直る。
「女神様は行かないの?」
小首をかしげ、女神に問いかける天使。
「…あーもう!ジュウシマツ!」
天使の名を呼びながら女神は懐から出した、透明の液体――泉の水で満たされた瓶を投げる。
「あいあい!」
手元がすっぽりと袖で隠れているが天使は器用に瓶をキャッチし、そのままみんながいる鉄塔の高さまで飛んでいく。
みんなのところまで到着すると、瓶のコルク栓を開け瓶を逆さまにする。勿論中に入っていた水は瓶からこぼれ出す。
普通なら水はそのまま地面まで落ちてしまう筈なのだが、その水は落ちることなく空中を漂ったままだ。
液体はゆっくり渦巻きその渦の中から緑色の光が溢れ出したかと思うと、その光が人型になり、女神の形になった。
「みんなー!女神様も来たよー!!」
「なんだよー、チョロちゃんも来ちゃったのかよぉ?」
あからさまにニヤニヤした顔を女神に向ける悪魔。
「チョロちゃん言うな!」
「これでみんな揃ったねぇ」
なんだかんだで六人揃ったことが嬉しいのか、少し顔をほころばせた生ける屍がみんなを見渡す。
「やはり六人揃ってパーフェクトなアー写を撮らねばな…」
顔面が真っ赤になっている神父が少しよろめきながら、鉄塔の柱を掴んで立ち上がった。
「…で?どうするの?」
死神が悪魔に向かって問いかけた。
「まずはアー写でしょ?それからMV撮影ね!」
「MV撮影ってなんだよ!!」
「ほら、みんな!いい感じのポーズ取って!はい!!」
「ちょっと!!ねぇこれ、誰が撮影するんだよ!?」
(動画に続く――)