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【ムゲンWARS】憑の魔王かく語れり

全体公開 2057文字
2016-07-26 22:42:23

憑の魔王が「憑の魔王と仲のよい誰か」と話しているようですよ。

Posted by @shalnadia

<<憑の魔王の世界、もうじき昼になろうかという頃合。知識の大河にかかる橋に造られた、ガゼボめいた建築物>>
<<無垢の木でこしらえられたテーブルにはパンやお菓子が並べられ、三つある椅子の二つには女性らしき人影が二つ>>
<<そのうちひとつが、この世界の主、憑の魔王である。ルビー色の髪は美しく輝き、その肢体は飾り気のないワンピースで包まれている>>

……ふむ、質問会?我と汝(なれ)の仲じゃ、なんでも聞くがよいぞー。
名?そんな所から始めるのか?や、構わぬが。 ふふん、我は憑の魔王であるぞ。
……それは通り名だと?人間や勇者が持つような名は必要なかったし、必要ないからのう。
……つけるとしたら、か。ぱっとは思いつかぬなー。じゃが面白そうじゃ、考えておこう。

次、ふむ。この身体との関係のう。少し長いぞ。
我は生命体に取り憑き、魂を食らうことで生きる生物じゃ。
ぬ、魂とはなにか、と?……少なくとも、我からは記憶もチカラも含んだモノと認識しておる。
話を戻すぞ。あれはどれぐらい前だったかのう、我がここに迷い込んだただの人間を器としておったころじゃ。
知識の大河に、こやつが流れてきたのじゃ。随分傷だらけで、今にも死に掛けておった。
我には助ける理由もなかったのじゃが……いや、あった。その時のカラダはもう持たなかったのじゃ。
とりあえず引き上げると、こやつは弱々しく呟いた。「女神め、死ぬことすら許してくれないのか」と。
それは我が今まで見たどんなものよりも美しい表情だったし、美しい音色であった。
趣味が悪いと思うか?魔王じゃからの!魔王じゃからのう! ふふん。
まあ、こやつが勇者であるというのはその時はわかっていなかったのじゃがの。
無下に死なせては我の取り分が減ってしまう。そう思い、看病することにした。
怪我はみるみる治っていったのじゃが、一向に喋ったり食事をする気配はなかった。
汝の魂を少しいただくぞ、と呼びかけても、視線をちらりとも向けはしなかった。
それで已む無く我はこやつに取り憑き、食事をさせようとしたのじゃ。
驚いたよ。まさか生物が食事を取らされるのをあそこまで拒むとはの。
しかし、我は少し喜びも覚えたのだ。断固として死を迎えようという意思はあったのじゃからな。
なので、我は無理やりにでもこやつを生かすことにしてやった。魔王じゃからの!!
それも翌日には意味がなくなったがの。何故なら、嫌がることすら止めてしまったから。
そのタイミングで勇者の証がやってきたのは皮肉なのか、なんなのか……
そんなわけで、我とこやつの関係は今に至る、というわけじゃ。

次の質問をするがよいぞ。……この身体の特徴、か。
まず見てのとおり美人じゃろ?聞いてのとおり美しい声じゃ。発育もよくてしなやかじゃし、よく鍛えられておる。
勇者としての能力は我からはわからぬ。もう少し記憶が探れればわかるかも知れぬがのう
あとは汝も知ってのとおり、性欲がものすごい。自慰にふけって満足できず朝を迎えるなど珍しくもない。
……なに、恋?我がこやつに?…………ああ、そうじゃよ、一目惚れじゃよ、悪いか!?
!?ど、動揺した?こやつが?……は?性別?生物的な性別なんて我にはないから関係ないのう!
でも自称女性だったはず?なんじゃ今更、我々は既に散々肌を重ねておろうが!
ええい、次にせい、次に!

魂はどんな形をしているか?か。念のために、我からはこう見えている、と強調しておくからの。
魂のカタチはひとつではない。ある者は本棚、ある者は生垣の迷路で、ある者は一枚の絵であった。
こやつか?こやつの魂は地底湖じゃな。どこまであるかわからぬ闇に、深そうな水面。
我は時々泡のように浮かんでくるこやつの魂のカケラを喰らい生きておるわけじゃ。
量?ほんの少しでも足りてるんじゃよ。流石は勇者ということなんじゃろうな。

次、……ふむ、我のゲームへの参加スタイル?
ゲームってなんじゃ?ってほど知らぬわけではない、が、全貌が見えぬからのう。
確か勇者に勝つとなんやかんやして魔王の世界が豊かになるんじゃろう?逆も然りで。
我あんまり世界の拡張には拘っておらぬからのう。何故かヒトもよく来るし。
あ、念のためにいっておくが我、基本的に来た人間を殺したことないからの?
復帰可能なところで我慢していたし、しばらくこやつがいるから安泰じゃし。
そんなわけで無理に勇者と殺りあう気もないんじゃよね。あっちは基本殺す気マンマンで困るのじゃ。
だから、なんとか頑張って引き分けていくが我のスタイル、になるのかの。

……ふむ、もういいのか?そうか。我ばっかり話していたがよかったのかの。
あとはベッドで聞く?フフフ、汝も好き者よのう♪
<<そういうと、二人は腕を組み、川原の豆腐ハウスへと消えていった……>>

【おしまい】


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