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【伝令と番人】

全体公開 1 1016文字
2016-09-21 00:22:29
Posted by @mugenwars

たくさんの書類を抱えて歩く姿が一つ。
右側だけメガネをかけ、青い毛の生えた尾を持つスーツ姿の男だ。
男は器用に、書類を抱えたままドアを開ける。

「あ」

部屋の中には、蝙蝠のような羽が生えた長髪の人物が一人。
スーツの男は、今すぐ書類を投げ出して頭を抱えたい気分になった。


【伝令と番人】



「なにをしているのですか」

ため息交じりに"番人"はいう。
けらりと笑って悪びれもせずに"伝令"はいう。

「ちょっとシリョウもらっていこうかと」

「ダメに決まってるじゃないですか」

どさりと書類の山を山になっている書類の上において、さらに山を高くする。
ずぼらなわけではない。
ここが「未処理の書類置場」であるからである。

「イイジャン減るもんじゃないんだし」

「持ってかれたら減りますよ物理的に。整理が面倒なのでやめてくれませんか」

番人にそういわれながらも、
「処理済みの書類置場」の中身をひっくり返して漁る伝令。
こいつはここにくるといつもこうだ。
番人は痛む胃を堪えつつ、はあとため息をついた。

「あーったコレコレ」

パ、と取り出した1枚の書類。
それを番人がパ、と取り返す。

「ダメっていったじゃないですか」

取り上げた書類を確認して、
片メガネの奥で番人は眉を顰める。

「来訪履歴なんてみてどうするんです」

伝令は笑って見せる。

「ちょっとネ」

くすくすと笑う伝令の頭に、
スパンといい音を立てて書類の束が落とされた。

「痛い!すぐ殴るのヤメテよ!エセインテリ!」

「インテリしてるつもりもないですし」

ひっくり返された「処理済みの書類置場」を片づけながら、
番人は何回目かのため息をつく。

「ダイジョウブ、これから面白いことになる。その準備をするだけだよ」

くすりくすりと笑って、伝令は部屋の窓へと足をかける。

「ヴァル!あなたの仕事は

窓から立ち去ろうとする伝令を呼びかけて、
伝令が口に人差し指を当てて笑ったので、番人は怪訝そうな顔で伝令を見上げた

「仕事はしてるよ。ボクはキミの次に働き者であると自負してる。ジャアネ」

そのまま、ひらと手を振って伝令は窓から落ちていく。
遅れてばさりと羽ばたく音がして、
その音は遠く遠く離れて行った。

………

散らかされた部屋で、番人は一人、
痛む胃を抑えてうなだれていた。


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