@mugenwars
かつんかつんと普段鳴らさない踵の音を鳴らして、
踊るように牢獄を歩く黒い羽の男の姿は、口から笑みを消せずにいる。
そうしてしばらく歩いて、沸き立つ水のようにくつくつと笑い始めた。
「く、ふふ…ははは、アハハハハハハ!!」
そうして我慢できずに湧き、零れた笑い声を響かせて、
楽しそうに踵を支点にしてくるりと回る。
「釣れた!釣れた!!ツれた!!」
手を広げ、長い黒髪を翻し、笑うその姿をみた囚人たちは気でも狂っているのかと不可思議そうに目を向ける。
「キいたかい兄弟!仕事だ!カレが行くよ、カレらが!楽しみだ、楽しみじゃないか、なあ?!」
そうしてくるりとまわって、
囚人たちの目に気付いた男は、にい、と三日月のように口を目をゆがませて、笑う。
「ダメだ。キミたちではダメ。キミたちは生きていない。このセカイに生きていない。生きていなければだめなんだ、生きている者じゃなきゃ…」
そこまで言ってから、ふと笑みが消えて回るのを止める。
「さあ、忙しくなる。カレにも伝えないと」
そう言って、その姿を闇に溶かす。
かつん、かつん、と踵の音だけが、不気味に響いていた。
「見た」
「聞いた」
魔界のどこかの賑やかな町で、二人の子供が棒付きの飴を加えて呟いた。
「キモい」
「伝令キモい」
そういって首を横に振る子供たちの言葉を理解する者はここにはいない。
「でもお仕事」
「お仕事だね」
二人はうなずく。
かり、と飴を歯で砕く音がする。
「「あの人はどれぐらい持ってくれるかな」」
くすり、と笑って、
二人は雑踏に紛れていった。