@mugenwars
同じときに生まれて、
同じ時間を生きた、
彼らは兄弟だ。
一人どうしようもないのがいたが、
いや、みんなどうしようもないひねくれだが、
…いや、私もそうなのだろう。
どうしようもないひねくれの集まりだった。
【マモルモノ】
「邪神巡りスタンプラリー?」
珍しく提出されたレポートに目を通して、口を開けた。
「そう。スタンプラリー」
彼はにこにこと笑う。
「そう、ですか」
その顔を見て、なにも言えなくなった。
たくさん文句はあった。
彼はどうしようもないやつだ。
伝えるべき情報のレポートはまったくまとめてこないし、
いざまとめてきたと思えばこれだ。
だが、彼が、
兄弟が、笑って見せるのだ。
「……何て顔で、笑ってるんですか」
そういうと、彼はハハハ、と笑い直してから、笑みを作っていたまぶたを、ゆっくりと開く。
「ボクらじゃ、変えられない、変えられなかった」
遠く、苦く、もどかしい記憶を思い返す。
「あのヒトは、なんなら自分さえ簡単に犠牲にしてカノジョの幸せを信じてすべてを捨てるだろう。それじゃダメだ。そんなミライは認めない、そんなホントウは許さない」
金色の瞳は、どこかここではない場所を見ているように思えた。
「だから、ミつけなきゃいけないんだ、あのヒトを、あのヒトのココロに変化を起こせる、生きているヒトを」
なにかに急かされるように言う彼を見つめて、
数えることすらしなくなったため息を吐いた。
「却下です」
びり、とレポートを破り捨てる。
「エエエエ!?」
金色の目を丸くして驚く彼に、破いたレポートを押し付ける。
「スタンプラリーなど、幼稚すぎる。我々の品位に関わります」
最近曲がりっぱなしだった背筋を正し、胸を張る。
「もっと見た目のよいものに。そしてそれを行うためのプランとチャートを明確に。書き直しです、ヴァールハイト」
あまり呼ぶことのない彼の名を呼ぶと、金色の瞳は現実に引き戻されたかのように生きた輝きを灯す。
そうして、彼はまた笑った。
「お堅いなあ、ガルディアン」
「はあ」
彼が意気揚々と去ったあとに、背筋を曲げてため息をついた。
彼は、優しすぎる。誰も彼もと笑って生きていきたいのだ。
だからこそ、きっと、彼は誰よりも悪魔らしく振る舞うだろう。
「また、仕事が増えそうですね…」
どうしようもない兄弟たちのことで、ため息をつくのは生まれてからずっとだ。
だが不思議と、胃は痛くならなかった。