@mugenwars
魔王の城を去った。
初めはいつも通りゆっくり浮くように、
途中から早足で、
いつの間にか逃げるように、
そうして、どこかの荒野で悪魔はいつからか止めていた息を吐き出して、足を止めた。
歩き続けた足は震えていた。
震える手を押さえつけるように爪が食い込むほど握りこんだ。
「…は、ハハ…ハハハハ」
やや自嘲気味に笑う。
「ハハハ!!アハハハハハハハハハ!!!!」
狂ったように笑い出した悪魔を見る者はいない。
だからこそここまで歩いてきたのだろう。
黒い翼を広げて悪魔は天を仰ぐ。
暗く輝く太陽に手を伸ばし、
そして、
何かを掴むように拳を握る。
「覚えたぞ!!覚えているぞ!!お前がそういう天使だってことを!!!」
そう叫ぶ悪魔の瞳の十字の瞳孔が赤く鈍く輝いた。
握った拳を解く。
握りこんでいた手で腹部をえぐるように押さえつけて、体をくの字に折り曲げる。
苦しみに喘ぐ様に小さな呻き声を上げて、
しばらくしてようやく悪魔は顔を上げた。
「…は、…はあ…はあ…、ああ、ははは…そうか、ボクを、ダマしたな。ハハハ」
玉のような汗を流しながら、悪魔が笑った。
そうして、一つ息を吐いてから、悪魔は体を起こして、
再びゆっくり歩き出した。
「カレらを選んで良かった」
そう、少し嬉しそうに呟いてから、
「ムカツク」
煽りが効かなかった天使の顔を思い出して、
小石を一つ蹴った。