@raixxx_3am
「眠るってゆっくり自殺するみたいでしょ」
ぼくの手を握りしめたまま、あの子は言う。汗ばんだ指先がぬるい。
「じゃあこれは心中なの?」
「いっしょに寝よう、だなんて言ったっけ?」
いつもどおりに、得意げにくすくす笑いながら、あの子は答える。
「ねえなにか話してよ、千夜一夜物語って知ってるでしょう?」
「あれってほんとうにお話語りだけで済んだって思う?」
いたずらめいた心地で尋ねれば、予想したとおりの得意げな笑顔が返される。
「なるほど、夢見心地にさせてくれると」
「なんでそうなるかな」
笑い合う吐息が、夜のしじまで膨らむ。
やがて訪れる朝を恐れて、先延ばししあうようにたがいを揺さぶりあう。 水飴を引き延ばすようだと僕はいい、ゼリーの底を這いずり回るようだとあの子は言う。
「夜ってくぐもってるけど明るいじゃない?」
窓の外を見上げながら、あの子はつぶやく。
「こうやって伏せたまま見上げるとちかちか光ってる色の洪水がたくさん見えて。フルーツポンチの底にいるのってたぶん、こんな感じだろうなって」
「そんなにいいものかな」
「一色しかない星よりもよっぽど」
すこし重くなったまぶたをしばたかせながら、乱反射する色とりどりの光を見上げる。滞留した時の底にいる僕たちを かきまぜ、掬い上げてくれる銀色のスプーンがこちらへと届くのはいつだろう。
脆すぎてねむれずにいるぼくたちにゆるされていて、夜と流体
みやねね子(@MiyaNeneko)