@ben_soruto
「黄金火!」
黄金色の炎が木のマトに当たり燃え盛る筈なのだが。
炎自体が小さすぎて言ってしまえばしょぼい威力だった。
「やり直し」
黒い九尾が呆れたように薄い金色の髪をもつ人型の天狐に言った。
天狐は
「えー!」
と不満がる。
「当たり前だろ。魔王たるもの、この戦闘力じゃ皆の役にもたたん。守りたいモノが出てきた時何も出来ないんじゃ遅いぞ」
黒九尾の言葉に天狐は何も言えなかった。
うー、と唸った後訓練を再開させる。
何をしているからもう察するように先代金の魔王が次世代の金の魔王『黄金』に技を教えているところだ。
いや、もう『黄金』の名前は自分では名乗っておらず『金』と名乗っているのだが先代は
「充分な力を持ってない者に『金』の名は名乗られたくない」
と言われこうして特訓中である。
謎の宝石で魔族になってしまった金。
魔族になったからにはそれなりの力がだせるようになったと先代は読み、まず基本の技を教えてはいるものの金は戦闘より遊びたがるものだから覚えたら光物をやると約束して物で釣った。
「こんな綺麗な炎が金にも出せるんだね」
ふと金はそう言い先代に見せながらうっとりと黄金色をした炎を眺めてた。
キラキラと光るモノが大好きな金は最初に金の世界に来た時夕暮れの太陽をまじまじと見て興奮していた事を思い出す。
それだけこの世界に一目惚れをしたのだ。
今ではその綺麗な世界によく似た炎を自分で出せることに感動をしている。
「綺麗なだけじゃ駄目だ」
厳しく先代は言った。
だけど金はそれを不満がること無く
「そうだよね」
と、深く深呼吸した後出した炎を思いっきりマトにぶち当てる。
マトは炭になり地面に散らばる。
先代はいきなりの事に唖然した。
「いきなりどうして」
当たり前の疑問を金に問いかける。
金はにっと笑い先代に言った。
「だってさ、こんな綺麗な世界を守れなかったら悔しいし絶対許せないなって思ったんだもん。聖界に住んでたからそんな酷い事をする人なんて見たの少ないし確信はないけど勇者様ってそういう人もいるんでしょ?だから絶対守るって想いをこめたら成功しちゃった!」
先代は(私の見込みに間違いはなかった)とホッとした。
先代もこの世界が好きなのだ。
それを本当に守りたいと強く願い力に変えられる金を見て(流石は我が娘)と少し親バカになる。
「少しは『金』の名を名乗っても恥ずかしくない魔王になってきたのではないか?黄金」
「もう黄金は金だよ。金の魔王の座は任せてよ。これ以外の技もすぐ覚えるからさ。お父さん」
「期待してるよ。我が娘よ」