@hangetsu2013
「疾風のジェットシュート!」(『ベイブレードバースト』#43)
全国大会個人戦のバルト対クオンは、平面上のぶつかり合いしか描いてこなかった本シリーズで初めて空中戦が顔を見せた超超名勝負。吹っ飛ばされてもなお上空から襲いかかろうとするクオンのケツアルカトル、外壁との衝突からその名の通り馬のごとく飛び上がりバーストを決めに行くバルトのヴァルキリー。両者の決死の勇姿を見ただけでも興奮して涙が出てきたのに、集中状態が解かれていくように周りの音が聞こえ始めたバルトに勝利を讃えるような笑みで手を差し出すクオンに、また涙。因縁、試合内容ともに今年のベイバではダントツでしょう。
「みんなと一緒に!」(『南鎌倉高校女子自転車部』#8)
ナイタークリテリウム篇が開始される6話からの蓄積があってのジーンとくる感動なのですが、この一話だけをとっても「想いの花びら」による大変優れた演出は一見の価値ありと考えます。一人をゴールへ一番に着かせるために次々と離脱していく仲間たちの想いが、散ってなお舞い続け、ひろみの背中を押す。そのための周回コースだったのかと、妙に印象的な「自転車に花は舞う」というOPタイトルはこの話に照準を合わせていたのかと、ゆるい見た目とは裏腹なとんでもないタクティクスに降参するしかありませんでした。
「小麦粉から作る超ひも理論」(『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』#10)
深夜版プリパラとでも言いましょうか、とにかくそのおバカさがお気に入りの回です。「小麦粉から作る超ひも理論」ってどんな話だよと思っていたら、「麺なら粉から、流すなら竹から、麺つゆならまず新鮮な水から始めるべきだ」と本気で流しうどんを作るサブタイトル通りの展開になって、笑いと謎の感動を誘います。そこから細かいネタを重ねながらうどんを流す段階まで持っていく一連の工程は、さながら笑いのピークまで上昇していくジェットコースターのごとくです。うどんが流れていく様でひとしきり爆笑した後に、「脚本 福田裕子」でオチる。パーフェクトです。
「桃乃今日子 第3章 カクセイ」(『セイレン』#11)
このエピソードをこんな一点突破型の視点で評価しているオタクは他にいないのではないかという自負があります。幼馴染の今日子に「隣のお姉さん」と思われていることに思い悩む正一が、プレゼントされた毛糸のパンツを見て男物だと気づき、このことから「男物のパンツをくれた今日子は自分を男だと認識している」というロジックを得て一大決心をします。この単純すぎて逆に盲点となっている切れ味の鋭さ(意外性)、最終話に向けた鮮やかな起爆剤としての機能(物語性)、そして『セイレン』らしいアホらしさ(作品性)を兼ね備えた「毛糸のパンツのロジック」は、無類、と言うほかないでしょう。
「ほんのわずかなやる気」(『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』#2)
ロクでなしの主人公という設定から展開される始めの盛り上がり部分として、これ以上に完璧なものは全く想像できません。魔力円環陣に見惚れるルミアにかつての魔術に憧れた自分を重ねるグレン、「興味ないやつは寝てな」の名言に至る初めての授業、講師として生徒と接する日々を想っての「悪くない、か…」という独白、「愚者の世界」(これがグレンの固有魔術であることがエモい)からの一転攻勢と、素晴らしさの密度が穏やかではありません。個人的に後半はやや失速してしまったかなという『ロクアカ』ですが、それだけ序盤の過去の匂わせ方がバツグンだったということでもあると思っています。
「将棋盤、そして地下遺跡。」(『異世界はスマートフォンとともに。』#3)
ご存知、「まるで将棋だな」という名言(?)を生み出した伝説の回(!)で、自分が『イセスマ』にハマる過程の中でも特に思い出深い話です。この一言に表れたカルタプロット(序盤に出てくる物や出来事が後半の戦闘のヒントとなる構成)のキレや、アポーツでコアを奪うズル面白い解決法もさることながら、王族も含めた異世界の人々が将棋に躍起になっている日常の様子にはすごくストレスフリーになってほっこりするし、魔物との戦闘でなかなかにいい動きをするアニメーションも非常にフェイバリットな部分です。エルゼのスプリットステップとかめっちゃ格好よくないですか?
「リヴァイアサン推し」(『ノラと皇女と野良猫ハート』#5)
『ノラとと』の脚本の人は非常に自分好みのお笑い理論を持っていると感じるのですが、リズム良く三段オチを繰り返しながらリヴァイアサンの天丼をズラシを混ぜつつ重ねていくところに、それが顕著かつ端的に実践されていると思います。賞品の件で「死と隣り合わせ~」という言い回しを引っ張り出してくるセンスも恐ろしい。そしてこのサブタイトル。たとえ本編の目玉を表しているとしても、「リヴァイアサン」では不足している。「リヴァイアサン推し」でないとダメなんです。「推し」という二文字の絶妙さ、なんですよね。(わかりますか?)
「case22 Comfort Comrade」(『プリンセス・プリンシパル』#10)
個人的に『プリンセス・プリンシパル』で最もミステリ的な巧さがあったと思えるエピソードです。そして成人JKもといドロシーが好きなので。万年2位で「委員長」というあだ名の、初登場ながら立ち位置が一発で把握できる大橋彩香のキャラクターですが、そのテンプレ的なキャラづけをミスディレクションとして機能させることで委員長の憧れていた人物をすり替える手法は、連城三紀彦などのミステリ作家が好きな人の目にも耐える見事な出来だと思います。二度、三度と見ることで精緻な作りに感心し、新たな発見ができるのも強みです。
「ここたまハロウィンミステリー」(『かみさまみならい ヒミツのここたま』#105)
今年の本格ミステリアニメの大収穫と言える回です。乱暴狼藉を働くたま仙人が死体(死んでない)となって発見され、「誰がやったのか?」を軸に超エリートここたま名探偵のミシルが次々と迷推理を繰り出す。とここまでなら有象無象で終わっていたかもしれないですが、ミシルの指すここたまが犯人ではあり得ないことを証明する「否定の論理」を、多くの子供が視聴する夕方帯でしっかりと描く様が非常に好印象でした。ダイイングメッセージで大喜利を始めるようないつものノリもキレキレで、ますます本作への信頼が厚くなりました。
「BRATATAT MOM」(『血界戦線 & BEYOND』#10)
仕事上の立場など関係なく親はみんな親であるというまとめ方も良かったですが、「今はもう、外の世界で私の知らない子たちとコミュニケーションしてる。凄いなぁ」や「君に嫌われるのは何より辛いけど、でも君のためなら我慢できるもん」なんていうK・Kの言葉が、キャラの台詞とかではなく子を愛する一人の親が本当の実感を持って言ったこととしてごく自然に存在していて、それがすごく胸を打ったんですよね。これを内藤先生は、家族愛云々以前にただK・Kをテンパらせたくて描いたというのだからまた凄いですよね。