三次創作SS。TSF要素有り注意。
ゆかり♂→ゆかり♀に性転換しています。
このSSは動画『性転換したゆかりときりたんのアメリカ横断』のファンSSです。
あくまでも動画本編とは別のパラレルワールドの世界、if物だと思ってください。
@shikura_mkt
「……あふぅ」
「ゆかり、欠伸するなら口隠しなよ」
「悪い悪い……」
「もう……まだ早いのにもう眠たいの?」
「いや、時差ボケとかあるだろ」
「あぁそっか、なるほどね」
「夜になってもあんまり眠くならないんだよなぁ……」
「まぁでもそのうち慣れるでしょ、日本に戻ってきたわけだし」
「そうだなー……きりたんは眠くないのか?」
「私は全然」
「マジか……昨日何時に寝た?」
「いや寝てないよ」
「……は?」
「ずっとゲームやってた」
「お前なぁ……」
「今までも徹夜とかしてたから慣れてるんだよ」
「……まぁ良いけどな、じゃあ行こうか」
「うん、運転よろしくね」
■■■
「結局、GT-Rも持って帰ってきたんだね」
「まぁな」
「一緒にアメリカ横断した車だもんね、愛着も沸くよね」
「確かにな……でもな」
「うん?」
「正直、燃費凄い悪いし、車検とか怖くなるよな……」
「あー……」
「まぁ良いや、それで何処に向かえば良いんだ?」
「色々買い物したいからね、ナビに目的地セットするよ」
「頼む」
「……ゆかり、ちゃんと左側を走るんだよ?」
「分かってるって」
「スピード出しすぎちゃダメだよ?信号もちゃんと守るんだよ?」
「分かった!分かったって!ちゃんと安全運転するから!」
「ホントに分かったのかなー」
「あぁもうほんとに気を付けるから!」
「分かれば良し」
「はぁ……あぁ、そういえば」
「うん?」
「初デートだな」
「はっ!?は、はつでっ、でででっ……!」
「きりたん、バグり過ぎだろ」
「うるさっ!あぁもうっ!もうっ……!」
「ははっ、照れてる」
「……ゆかり、ほんと思った事そのまま口に出す性格、何とかした方が良いよ」
「いやもう18歳になって今更性格を変えるとか無理だろ」
「私の心臓がもたないんだってば……」
「じゃあ程々にしておくかな」
「うん、お願い」
「……きりたん、ひょっとしてだけどさ」
「なに?」
「初デートだから昨日寝れなくてゲームしてたとか?」
「ち、ちがっ……!」
「あぁ、だから今日はいつもより服に気合入ってるのか」
「違うってば!」
「……ははっ」
「本当にそういうんじゃないってば!違うからね!?ちょっとゆかり、聞いてる!?」
「いや、嬉しいなーって思っただけだってば」
「程々にするって言ったよね!?言ったばかりだよね!?」
■■■
「……お待たせー」
「おう」
「……ねぇ、ゆかり」
「ん?」
「なんで自然に私の買った荷物持ってくれてるの?」
「え、だって今までもそうだっただろ」
「それは、そうかもだけど……」
「気にするなって」
「でも、それはゆかりが男だった時の話でしょ」
「まぁそうだけど」
「今は女になってるんだからさ」
「そんなこと言われてもなぁ……なんかきりたんと一緒に買い物行くといつもこんな感じだったから、慣れちゃってるんだよ」
「でも、」
「あーもう気にすんなって、俺がそうしたいってだけだから」
「……ありがと」
「おう」
「ゆかり、そういう所はほんとイケメンだよね」
「だろ?もっと褒めても良いんだよ」
「でも素直な所はほんっとに可愛いよね」
「か、かわっ……!?」
「あ、照れてる?ゆかりは本当にかわいいなー」
「うっせうっせ!あぁもう次の店行くぞ!」
「はぁい……ねぇ、なんでこっち向いてくれないの?」
「わー!もう!顔覗き込んでくんなっての!」
■■■
「服かー」
「うん、何着かゆかりにあげちゃったから、新しいの欲しくて」
「あぁ悪いな、その分お金出そうか?」
「いいよいいよ、気にしないで」
「……ありがとな」
「じゃあ、行こうか」
「行ってらっしゃい」
「……いや、ゆかり?なんで店の前で待ってようとしてるの」
「え、だってこの店って女物の服しか置いてないだろ」
「うん、そうだね」
「俺が入っても仕方ないだろ」
「いや、この店の目的って半分以上ゆかりの為だからね」
「……えっ?」
「ゆかり、服買わないとダメでしょ」
「は?なんで俺が……あっ」
「そういうこと」
「いやいやいや!でもきりたんに貰った服があるし!」
「あんな少ない服をずーっと回して着るつもり?」
「毎日洗濯すれば何とかなるだろ!」
「冬物は?夏物は?年中同じ服着るつもり?」
「うっ……」
「さて、ゆかりに問題です」
「はい……」
「私があげたお下がりの服だけで何とかなりますか?」
「……なりません」
「はい、正解」
「はぁ……なんか心に来るなぁ」
「私の優しさが心に沁みる?」
「そうじゃなくて……」
「あ、ひどーい、私これでも出来た彼女だと思うけどなー」
「いや感謝はしてるんだ、本当に、うん……」
「まぁ、ゆかりが考えてる事は大体分かるけどね」
「なんか凄い落ち込む……」
「私も選ぶの手伝ってあげるから、元気出しなよ」
「おう……」
「あー、あとね」
「うん?」
「落ち込んでるとこ悪いんだけど、服の後は下着も買いに行くよ」
「えっ!?」
「だって必要でしょ」
「いやいやいや!待って!ちょっと待って!」
「はいはい、もう諦めて」
「流石にそこに俺が入るのはきつい!本当にきついって!」
「きつくても買わないとしょうがないでしょ、ほら行くよ」
「わー!引っ張るな!待って!まだ心の準備が……!」
■■■
「うぅ……」
「もうそんなに落ち込まないでよ」
「何かもう心に修復出来ないダメージ負った感じがする……」
「そう言われると私のせいみたいで傷付くなー」
「いやきりたんには感謝してる、してるんだけどな……」
「けど?」
「お前、絶対楽しんでただろ」
「そんなこと……」
「いや悪い、きりたんが気を使ってくれたのに、俺は……」
「あるに決まってるじゃん」
「一瞬反省した俺が恥ずかしいわ、ちくしょう……」
「でもゆかりの為っていうのはホントだよ?」
「それは分かってるけど、なんか釈然としない」
「まぁまぁ、可愛い服いっぱい買えて良かったじゃん」
「あーもうほんっとに釈然としない!」
「でもゆかりだって途中から結構ノリノリで試着室入ってたじゃん」
「いやそれはきりたんが色々持って来るからだろ!?」
「どれ買えば良いか分からないから選んで欲しいって言ってたのは誰だっけなー」
「うっ……いや確かに言ったけど、流石に持って来る量がおかしかっただろ!?」
「まぁちょっと楽しくて、つい」
「本当にお前は……」
「でもゆかりだって本当にイヤだったら断ってくれても良かったんだよ?さすがに私だってそんな事で無理強いとかしないし」
「まぁ、それはそうなんだけどな……」
「本当はイヤじゃなかったとか?」
「いやかなり抵抗があった……」
「じゃあなんで?」
「うっ……」
「どしたの?」
「……なんでもない」
「ねーねー、なに?どうしたのさ、ゆかり」
「いや……きりたんが可愛いって褒めてくるし、きりたんも楽しそうだったから、なんかもう良いかなって……」
「……ふふっ」
「なんで笑うんだよ!?」
「別にー?ゆかりが可愛いなーって思っただけだよー」
「うわ、なんかすっごい腹立つ」
「まぁまぁ怒んないでよ、お昼ご飯は私が奢ってあげるからさ」
「そうやって誤魔化そうとしたって」
「あ、オムライスのお店で良い?」
「聞けよ!?」
「誤魔化してないよ?私、ゆかりの事はほんとに可愛いって思ってるもん」
「っ……」
「ドキっとした?」
「……した」
「やった、これでゆかりも私がいつも可愛いって言われてドキっとする気持ちが少しは、」
「いやでも俺よりきりたんの方が可愛いだろ!?」
「はっ!?いや、ちょっ!今そういう話じゃない……!」
「いや大事な事だから!俺よりきりたんの方が、」
「あぁもう分かった!ごめん私が悪かったから!オムライス大盛にデザート付けてもいいから許して!」
「う……分かった、許す」
「はぁ……ゆかりは、ほんとに、もー……」
「……いや、でもやっぱな、俺よりきりたんの方が」
「話聞いてた!?」
■■■
「ご馳走様でした、っと」
「美味しかったね」
「本当にな」
「どうする?もうお店出る?」
「いや、ちょっと大盛多かったからお腹が苦しくてな……もう少しゆっくりしていって良いか?」
「全然良いよ、じゃあ珈琲でも注文しよっか」
「あー、どっちかと言えば今は紅茶の気分かも」
「レモンティーとミルクティーがあるみたいだよ」
「ミルク……あ、やっぱレモンで」
「おっけー」
「……」
「店員さん、追加注文したいんですけど……ホットコーヒーが一つとレモンティーが一つで」
「あ、レモンティー、ホットでお願いします」
「だそうです……はい、お願いします」
「……アイスでも良かったかもなぁ」
「ゆかりって変な所で優柔不断だよね」
「いや、注文してから『やっぱあっちにしておけばよかった』ってなること、あるだろ?」
「まぁ確かにあるけど」
「そーゆーこと」
「別に良いんだけどね?……そういえばさ、ゆかり」
「うん?」
「家に帰ってから、家族の反応ってどうだったの?」
「あー……いや留学中に家族にはメールで連絡してたし、母さんとは一回国際電話で話してたから俺が息子だって事はちゃんと分かって貰えたよ」
「息子……」
「いや今は娘かもしれないけど……いや、息子だって、うん、ほんとに」
「分かった分かった、それで?」
「まず父さんは距離感分からなくてしどろもどろになってたなぁ」
「今まで男として接してた息子が急に女の子になって帰国したらそうなるよね」
「凄い困った顔で『お前……言葉使いは何とかならんか?ならんか……中身は緑だものな、でもなぁ……』って言われた時はなんか申し訳なくなったな……」
「あー、それは……ゆかり、言葉使いとか変えないの?」
「とりあえず変える気はないな、だって俺は俺だし」
「まぁその方がゆかりらしいかな」
「だろ?それで弟は『兄貴が美少女になって帰って来た!』って騒いでた」
「あははっ!なんか凄い簡単に想像出来るね」
「とりあえずムカついたから一発殴っておいたんだけど……全然痛くないって言われたのがちょっと悔しかったなぁ……」
「まぁ今のゆかりだったらねぇ」
「身体、本当に鍛え直さないといけないな……」
「程々にね?お母さんはどうだったの」
「母さんは何か凄い喜んでた」
「あー……ゆかりの家って男の子二人だったもんね」
「そう!『女の子も良いわねぇ』って凄い喜んでた!」
「ゆかりにとっては複雑な気持ちだよね」
「まぁ、ちょっとだけな?でもな、多分母さんも半分冗談みたいな感じで言ってたんだと思う」
「そーなの?」
「うん……家族みんながさ、俺の病気の心配してくれたよ」
「そりゃあ私だって心配だもん」
「俺からしたら本当に嬉しかったよ……アメリカにいた時にさ、きりたんにも相談したけど、俺が日本に帰国して、家に帰って、今の俺が家族に受け入てもらえなかったらどうしようって不安だったからさ」
「してたね、私は大丈夫だよってゆかりに言ってたよね」
「あぁ、きりたんの言った通り、大丈夫だったな」
「私は小さい頃からゆかりと仲良くしてたから、ゆかりの家族にも良くして貰ってたからね……ゆかりのお父さんとお母さんだったら絶対大丈夫って分かってたもん」
「昨日の事なんだけどな、母さんに今の俺が受け入れて貰えなかったらどうしようって悩んでた、って話したんだよ」
「叱られたでしょ?」
「やんわりとな……馬鹿ね、緑は緑でしょ、って頭撫でられたな」
「ゆかりのお母さんだね」
「あぁ……母さんに頭撫でられたのなんて何年振りだったかな、なんか泣きそうになったわ」
「私もゆかりの頭をなでなでしてあげよっか?」
「泣かねーぞ?」
「あれ、もっと拒まれるかと思った」
「別に撫でられるくらい良いかなって……まぁついでに父さんと弟にも同じこと話したんだけど、母さんと同じで、馬鹿だなお前は、ってやんわり言われただけだったな」
「ゆかりって、ほんとバカ」
「魔女化しそうな事言うなよ……っていうかアニメほとんど見ない癖に良く知ってるな、そんな台詞」
「有名だからね、この台詞」
「話戻すけどな……結構きりたんに勇気貰った所あるから、本当にありがとな」
「え、私?」
「俺がこんな身体になって、一番最初に相談したのがきりたんだっただろ」
「うん、そうだったけど」
「まずきりたんが受け入れてくれたからな……なんか、家族とか他にも色んな人に俺が否定されても、きりたんだけは俺の事を否定しないでくれるって思ったら、心強かったんだよ」
「ゆかり……」
「だから、本当にありがとな、きりたん」
「……私もね、ゆかりが一番最初に相談してくれたのが私だったってこと、結構嬉しかったんだよ」
「そうなのか?」
「上手く言葉に出来ないけど……私の事、信じてくれてたわけじゃん?」
「そりゃまぁ、そうだけど」
「だから嬉しかったってこと、お互い様で良いよ」
「きりたん……」
「さ、そろそろ出よっか」
「……おう、じゃあこの後はどうする?」
「まだ時間もあるし、ゲームセンターに行くか、映画でも見に行く?」
「じゃあ一回車に荷物置いてからだな、映画館に行ってみて良いのがあったらそっちで」
「微妙だなーって思ったらゲームセンターって感じだね」
「さすが、良く分かってるな」
「まぁ私とゆかりの仲だからねー」
■■■
「……塩」
「キャラメル」
「いやキャラメルとかないわ、ポップコーンは塩だろ」
「だって美味しいじゃん、キャラメルポップコーン」
「塩の方が美味しいだろ!」
「キャラメルポップコーンの方が美味しいもん!」
「塩!」
「キャラメル!」
「……もう別々の買えばいいんじゃね?」
「ちょっと大きめなポップコーン一つにドリンク二つのセットがあるからそれにしようって言ったのゆかりだよ!」
「いや確かに言ったけど、なんかこんな事で喧嘩するの下らない気がしてな……」
「キャラメルポップコーンは下らなくないよ!」
「そこは馬鹿にしてねぇよ!はぁ……分かったよ、キャラメルポップコーンで良いよ、もう」
「やったやった」
「……なぁきりたん」
「どしたの、ゆかり」
「塩とキャラメル、半分ずつっていうのがあるんだけど」
「……もし私の味方になれば、世界の半分をお前にやろう」
「ドリンクは何にする?」
「ペプシで」
「りょーかい……国土は二分化して良いよな?」
「私は寛大な魔王だからね、許可してあげるよ」
「そりゃどーも」
「もっと私に感謝して媚びへつらっても良いんだよ?」
「今から見る映画変更してホラーにしても俺は構わないんだが」
「ごめんなさい世界の半分をゆかりにあげます許して」
■■■
「遊んだなぁ」
「ね……今頃になってちょっと眠たくなってきちゃった」
「家に着いたら起こしてやろうか?」
「んーん、がんばって起きてる」
「そうか……あんまり無理はするなよ」
「うん、ありがと」
「……きりたんは、楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ」
「じゃあ良かった」
「ゆかりは?」
「俺?ちょっと疲れたけど、すっごい楽しかったよ」
「じゃあ初デートは成功だね」
「あ、もう照れないんだな」
「んー……ちょっと眠いから麻痺してるかも」
「素直なきりたんは何かレアだなぁ」
「次見れるのは30年後くらいかな」
「遠いな!?まぁ、それまで気長に待ってるか」
「あ、ちゃんと待っててくれるんだ」
「当たり前だろ?俺、きりたんと別れる気ぜんぜん無いし」
「……そういうとこだよ、ほんとにもー」
「あ、今のはちょっと照れたな?」
「照れない方がおかしいってば、もう……」
「……もう少しで家に着くぞ」
「うん、着いちゃうね……」
「……どうした?」
「なんでもないよ、ただ、ちょっとだけ……」
「ちょっとだけ?」
「なんか……今日が終わるのが勿体無いなーって思っただけ」
「……次は何処に行こうか」
「うん?」
「車もあるからちょっとくらい遠出しても良いし、別にどっちかの家でだらだらするのも俺は悪くないって思うな」
「え、えっと……」
「まぁつまりな、これから何回だってデート出来るから、ってこと」
「……うん!」
「俺もまた次のデート、楽しみにしてるからさ」
「ありがとね、ゆかり」
「どういたしまして」
「……わざとゆっくり走ってくれる所とか、ゆかりはやっぱり優しいよね」
「バレたか……まぁ、もう本当に着いちゃうから、それも出来ないんだけどな」
「残念だね」
「あぁ本当にな」
「……」
「……どした?」
「キスでもしてくれないかなーって思って」
「きっ!?き、ききき、きっ……!?」
「お猿さん?」
「いやいやいやいや!待て待て待ってくれ!」
「別にいーよ、ヘタレなゆかりにそこまで期待してないから……あ、荷物降ろすの手伝ってくれる?」
「お、おう……」
「よいしょ、っと……ありがと、ゆかり」
「……おう」
「あ、ゆかり、前髪のとこにゴミ?いや埃かな、何か付いてるよ」
「えっ、うそ、どこだ?」
「あーそこじゃないよ、ちょっと払ってあげるから、目を瞑ってよ」
「悪い、頼む……」
「えっと……」
「……そろそろ良いか、きりた、んっ!?」
「っ……」
「………」
「………お、おやすみっ!またね!」
「……………………柔らかかった………じゃ、なくて!!今、きりたんと、俺………!!」
■■■
以下、デート後の話。
大学生if。
時系列ばらばら繋がり無し。
「昨日さ、茜と遊んできたんだけどな」
「あー、前に言ってたね、楽しかった?」
「まぁそれは普通に楽しかったんだけど、俺さ……茜に今の身体の事話すの忘れててさ」
「あっ……」
「なんかもう最初に説明するので凄い疲れた……」
「茜君も大変だっただろうね」
「俺は!?途中で『いや逆ナンは嬉しいんやけど、ごめんなー』とか言われた時はもう帰ろうかと思ったけど必死に説明してた俺の方は!?」
「はいはい、ゆかりもお疲れ様ー」
「まぁ何とか説明して俺だって分かってくれたんだけど、軽く遊んだだけで後は殆ど話してるだけで終わったわ」
「茜君の事だから色々質問責めにされたでしょ」
「されたされた……ついでに、きりたんと付き合い始めた事も報告してきた」
「私はついでなんだね」
「いやそんなつもりは無いって、言葉の綾だから」
「それで、なんて言ってた?」
「……『は?まだ付き合ってへんかったん?マジか、遅いわ、おめでとーなー』だってさ」
「茜君らしいね」
「まぁそういう奴だからな……あと、ヘタレって凄い言われた」
「え、なんで?」
「どうやって告ったのか聞かれて、きりたんが告ってくれたって言ったら……」
「あぁそれは言われちゃうね」
「アホ、ヘタレ、朴念仁、ラノベ主人公……ってなんっかいも言われたわ」
「まぁゆかりはその辺り絶対に治らないんだろうなぁ」
「いやラノベ主人公は意味分かんないだろ!?」
「それは確かに」
「だろ?だから俺も訊いてみたんだけど、『あんな可愛い幼馴染と付き合うなんてラノベ主人公やろ!チ○コもげろ!』とか言うから、うるせぇ今はねーよ!って言い返しておいたわ」
「あはは、なんかいつも通りだね」
「まぁ変に付き合い方変わらなかったのは助かったけどな……あと、末永く爆発しろって言われたなぁ」
「なんだかんだ祝福してくれてるのは嬉しいよね」
「確かにな……ちゃんと幸せにしないと殴るってさ」
「それは、私のことを大切にしないとだねー」
「あぁ、本当にな……それでなんだけど、次の週末は、空いてる?」
「デートのお誘い?」
「まぁ、そんなところかな」
「そろそろ夏物の服とか、見に行く?」
「あー……そうだな、また頑張るかぁ……」
■■■
「ゆかり」
「……はい」
「私、怒ってるよ」
「……はい」
「なんで怒ってるか分かる?」
「……俺がきりたんより先にお風呂に入ったから?」
「違うよ!なんでそうなるの!?」
「だって本当に分からないんだって!なんで俺はお風呂上りに正座させられてるわけ!?」
「ゆかりがお風呂上りにほぼ全裸で出てくるからでしょ!」
「え、そこ!?」
「そこ以外の何処に私が怒る要素があったの!?」
「いやだってちゃんと身体も拭いたし髪もバスタオルで出来るだけ乾かしてから出たよ!?」
「そういうことじゃなくて!とりあえずなんでゆかりはそんな格好で普通に出て来れるわけ!?やっぱり露出癖とかあるの!?」
「ないから!露出癖とか流石に無いから!」
「じゃあなんでなの!?」
「だって風呂上りって暑いだろ!?」
「だからってほぼ全裸で出て来たりはしないよ!」
「で、でも今はちゃんと服着て寝るようにしてるし……」
「それとこれとは話が別だよ!どうせゆかりのことだから、家でもそうなんでしょ!?」
「うっ……」
「はぁ……もう、とりあえずゆかりはちゃんと服を着るようにして、ほんとに……」
「わ、分かった……」
「もう正座しなくてもいいよ」
「やっと足が楽にな……ひぎっ!?あ、足、痺れ……くぅ……!」
「……えいっ」
「いっ!?ちょっ、きりたん!?」
「えい、えいっ」
「まっ……!やめっ……!いいかげ、んっ……お前っ!ほんっとにいい加減にしろよ!?」
「あ、もう治っちゃった?」
「なんで残念そうなんだよ!?あー、なんか足が変な感じがする……」
「まぁまぁ怒らないでよ、髪乾かしてあげるからさ」
「そんなんでご機嫌取られてもな……」
「じゃあ自分で乾かす?」
「……いや、頼む」
「素直でよろしい」
「きりたんにやってもらう方が髪がさらさらになるんだよ」
「あ、ついにゆかりも見た目に気を使うようになった?」
「そういうんじゃなくて……今、髪が長いからさらさらになってくれた方が楽なんだよ」
「ふーん、まぁそういうことにしておいてあげるから、こっちに頭向けて」
「ん……」
「………」乾かし中
「はふぅ……」乾かされ中
「なんか、犬みたい」乾かし中
「ん、何か言ったか?」乾かされ中
「なんでもないよー」乾かし中
「そっか」乾かされ中
「うん……よし、終わったよ」
「んぅ~~~~……っと、ありがとな、さらさらになった」
「ゆかり、その頭をぶんぶん横に振るのほんとに犬みたいだよ」
■■■
「こないだ、初めて女性専用車両に乗ったわ」
「ゆかり、なんか色々と満喫してるよね」
「いやそういうつもりじゃなくて、電車が出るギリギリだったから焦ってたんだよ」
「あぁ間違えて乗っちゃったんだ」
「乗ってから軽く焦ったよな……途中で別の車両に移ったけど」
「え、なんで?そのまま乗ってたら良かったのに」
「だってなぁ……何か、凄くいけない事をしている気分になって居た堪れなくてさ……」
「あー……」
「まぁそれでさ、別の車両に移った後にな、痴漢を捕まえたんだよ」
「いや何してんの、偉いけど」
「だって見つけちゃったんだからさ、見て見ぬ振りとか俺は出来ないって」
「まぁその辺りはゆかりだもんね」
「俺だからなぁ……でもな」
「どうしたの?」
「捕まえようと思って手首掴んだんだけど、明らかに意図的に触ってたのに、偶然手が当たっただけだ!とか女々しい事言うもんだから頭に来て、同じ男として恥ずかしい!とか言っちゃったんだよ」
「あっ……」
「なんかもう、居た堪れなかったよな……」
「ゆかり、ほんとに何してんの」
■■■
「大丈夫?」
「あぁ……」
「ゆかり、結構重い方だもんね」
「軽いとか重いとかよく分かんねぇけど、これ毎月来るんだよな……」
「まぁ、一定周期で来るのが正常だよね」
「きっついなぁ、ほんと……」
「しばらく寝る?」
「いや、少し喋っていたいかな……」
「分かった」
「……時々、不安になるんだ」
「うん?」
「もしも、元の身体に戻れるようになった時の事を考えると、怖くなるんだ」
「男に戻りたくないの?」
「いや、戻りたいよ……少なくとも今はそう感じてる」
「じゃあ、なんで?」
「……今はまだ大学生だからさ、明日急に治療法が見つかって男に戻れたら、多分俺は凄い喜ぶと思う」
「うん」
「でもな……今の身体のまま何年も経って、そしたら就職とかもするだろ」
「そうだね、したくはないけど」
「まぁ俺も出来ればずっとモラトリアムに浸っていたいけどな……まぁ、就職したとするだろ?」
「うん」
「別に、今の俺はなりたい職業とか具体的に決まってるわけじゃないけどさ……でも、会社としては、女性の俺を雇うわけだろ」
「……ゆかりの言いたい事、ちょっと分かってきた」
「そう……例えば10年後にいきなり治療法が出来上がってさ、俺が男に戻れるようになったとしたら、俺は男に戻れるのかな、って……」
「もしもの話だって分かってるけど……そんなの10年後のゆかりにしか分からないよ」
「確かにそうしれない、けど……女になった俺を周りが受け入れてくれるかどうか、俺は凄い不安だったし、受け入れてくれない事を考えると、怖かった」
「……」
「もしも、女の身体から男の身体に戻ってさ……それを周りが受け入れてくれるかどうかって考えると、やっぱり俺は怖いよ」
「ゆかり……」
「それに、今の状況って俺にとっては不運でしかないんだよ」
「……うん」
「さっきのもしもの世界の話だけど、10年後の俺がさ、男に戻った後の人生と女のまま生きていく人生のどちらかを選ばないといけなくなった瞬間、俺が男に戻るのを諦めるかもしれないって考えると……怖い」
「……」
「不運だって諦めて、周りを気にして不安に負けて、リスクリターンばっかり考える大人になってたりして……そういうことを考えると、俺は怖いんだよ」
「ゆかり、私は……私は絶対に、ゆかりの傍にいるよ」
「きりたん……」
「言ったでしょ、私は男とか女とか関係無く、結月緑が好きなんだって」
「あぁ……」
「ゆかりが男に戻れたとして、その時大変な事があったら私は全力でゆかりのことを支えるよ」
「俺が、女のままで良いやって、諦めたら?」
「今と同じだよ、ゆかりに大変な事があったら、私は支えるよ……10年後だって、20年後だって、それは変わらないから」
「きりたん……ありがとな」
「うん、だからね、ゆかりは安心していいんだよ?もしもの話、世界中の人がゆかりの病気の事を受け入れてくれなくても、私だけは絶対にゆかりから離れないから」
「……あー、今の状況が不運でしかないって言ったけど、そんなことはなかったのかもな」
「ん、なにが?」
「いや、この身体になったのは不運なんだけどな……でも、この身体になったから、きりたんと付き合えた」
「……私は、ゆかりが男のままでもいつか付き合いたいって思ってたよ?」
「分かってるよ、でもきっかけはきっかけだからさ」
「うん、そうだね」
「だから、不運ばっかりだったけど、たった一つだけ……きりたんと恋人になれたのは、本当に幸運だって、俺は思ってるよ」
■■■