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Tさんのこと。(極私的思い出話)

全体公開 831文字
2013-04-01 00:26:11
Posted by @no_nashi

うちにはノベルス版の『樒/榁』が2冊ある。1冊は自分で買って読んだ開封済。もう1冊は、未開封。ちょうど店頭に並ぶ日に集まりがあって、その時にTさんにもらった。
「もう買っちゃった?」
「さっき買っちゃいましたよ」
「じゃあ指紋付きってことで」
「普通はそういうときサインじゃ」
「いいじゃん指紋で」
というわけでナカノヒトの指紋付き。

大学も学年も違うし、一番頻繁に顔を合わせてたのはTさんが大学を辞めて東京へ行くまでの短い間かな。
バイトすると言ってたはずなのに、うち(隣の大学)の部室(当時まだ名大SF研には部室がなかった)に行くと毎日のようにぷかーっと煙草ふかしてて
「よっ」
「Tさん、バイトは?」
「んーメンドくさいからサボった(ぷかーっ)」
……ここ禁煙なんですけど?」
「あ、そう?(ぷかーっ)」

その後東京へ行っちゃってからは、SFセミナーに行ったとき顔を合わせるくらいだったか。
と思ったけどTさんが一時住み込んでた職場に数名でお邪魔したことありましたそう言えば。これに寝てる、という折りたたみベッドも見せてもらいました。(厚かましい後輩

そのあといろいろあって、『ハサミ男』が出たとき、殊能将之という作家に出会えたことも嬉しかったけど、なにより元気なTさんに再会できたことが本当に嬉しかったのです。
(だからわたしは殊能将之の良いファンではなかったかもしれません)

何でもよく見ててよく気がついて、飲み会の席で話題が高度になってきてついていけない私が隅でぼけーとしていると、アホ向きの話題を振ってくれたりしました。無茶苦茶でエキセントリックだけど、優しいひとでした。

あんなに何でも解るのに、みんながTさんを大好きなことだけ、どうしても解ってくれなかった。

一報に接したときの気持ちは何ていっていいか判らなかったし、今でもまだ判らない。

殊能将之氏の訃報に際し謹んで哀悼の意を表します。
Tさん、ありがとうございました。


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