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無自覚なのが、一番困る。

全体公開 本編ドラヒナ(両片思い期) 10 3286文字
2023-05-02 03:51:29

アニメのノースディン編を見て、再燃しちゃったのでロナルドくん視点のドラヒナのお話です。
女装準備中の皆がわちゃわちゃします。
縁日ではしゃいでるおじさんにクッキーがねえ!?とか、色々つっこんだけど、チャームに落ちたヒナイチくんのフラッシュバックと、ふっと笑うのはいい改変だったと思う。
あと、「イキイキしてるな、お前ら」も聞きたかった。
ギルドで待ってるノースディンのモノローグを追加しました。
2023/04/01に上げました。

Posted by @kw42431393

 「あの野郎に目にもの見せてやる!!」    
 ドラルクの師匠だっていうノースディンによるギルドの占拠。そして、町中の女性への魅了。
 その女性達には、俺達の仲間のマリアやター・チャン。そして、ヒナイチが入ってる。俺だって放っておく訳にはいかねえと思ってるし、怒ってる。それは、ショットやサテツも同じはずだ。

 「諸君、悪いが力を貸してくれ。」
 「このドラルク、奴をギャフンと言わせる為なら何でもする!」

 おう、こいつは本気だ。
 いつもふざけてばかりで、つまらねえ事ですぐ死んで、大事な所で裏切ってそんな馬鹿が、本気でキレた所を初めてみた。
 厳密には、お袋さんに誘拐された時も本気でキレていたが、あれとも明らかに違った。だから、
 「よし!やろうぜ、ドラ公!」
 からの行動がこれかよ? 



 「ちょっと、ロナル子さん。最後まできっちりしてくれないと困りましてよ。」
 「いや、なんでそこでお嬢様言葉なんだ?」
 場所は変わって、俺の事務所。ウサギ小屋とか散々な言われようだが、人間も吸血鬼もここを溜まり場になりつつあるのは何でだろうな。
 「何を言っておりますの。あの女ったらしのクソ歯ブラシ髭をとっちめるのですわ。どうせやるならトコトンやりましてよ。」
 その上で、「お野蛮なロナル子さんにはお分かりにならないですわね。」とかぬかしやがる。なので、一発砂っといた。
 「見てご覧なさいな。おノーブルで淑やかなこの深窓の令嬢ぶり。」
 そう言いながら、ドレスでくるりと回ってみせる。いや、おっさんの全方位なんて見たくないわ。
 「何をおっしゃいますの、シンデレラ苛めてる継母ですわ。」
 煽られたからには、こっちもやり返す。いや、やり返さなくていいだろ。
 そもそも、気持ち悪いわ。何、ファンデーションからマスカラまできっちりやってんだ。こいつ。
 「それにしてもこないだからやけにお嬢様言葉上手くね?シーニャんちから帰ってからさあ。」
 「ウフフ、色々あったのよねぇ?ドラちゃん?」
 後ろから入ってきたシーニャを見てドラルクが、煽ってくるのをやめた。
 いや、本当に何してたんだ?すごいひきつった顔してんな。
 「なあ、ロナルド。これ、どう思う?俺的に凄いこだわりたい所なんだが。」
 さらにショットが話しかけてきた。ちなみに、臍出し女子高生ルックだ。
 「何が?」
 「この脛毛なんだがな、適度に剃るべきかな?」
 ちらっと、スカートを捲って見せてくる。 
 そりゃ、女装だから剃るのは分かるが適度って?
 「脛毛そのままも悪くはないが。バッチリムダ毛処理したつもりが、見落としてた感あった方もいいかな?ノースディンもそそるんじゃないかと
 「バカヤロー、なに誘惑する予定なんだよ?」
 そりゃ、お前の性癖だろ。
 「その辺り、詳しくお聞かせ願えませんか?ムダ毛の世界は私もまだまだ分かりかねる世界で。」
 「おう、いいぜ。まず入門になりそうなお勧めの雑誌は
 へんな!お前も乗らなくていいから。メキメキすんな!俺んち壊れるわ!元に戻って、ワンピース着てろ!
 「ムン!マスカラ入れて見たのだがどうだろうか?あと、胸の花からいい匂いがする様にしてみた。これなら、奴も蝶の様に誘い出されて。」
 今度は、皆も知ってるゼンラニウムだ。マスカラと口紅はいいがこれ、女装っていうか?ほぼ、まんまなんだが。
 「ならんわ。乳首の花で誘えると思ってんのか?そもそも、皆バレバレだろ。」
 「そこは大丈夫だ。伊達にあの髭、受精卵から地縛霊までナンパはしていない。」
 お前、そんな奴に教育受けたの?
 「しかし、受精卵て一体どうやってるんだろうな?」
 「妊婦さんのお腹に、『君が生まれてくるのを待っているよ。美しい人。』とかぬかしてだな。横から見たら、タダの痛いおっさんだわ!男の子だったら恥ずかしいわ!バーカ、バーカ!」
 横にいたくねえな、俺なら他人の振りして帰る。
 しかし、気づいた事がある。こいつは、人を煽るのは得意中の得意だ。ノースディンが他の女性やターちゃんやマリアを口説いてる時でも、この調子で騒いでた。だけど

 『やめろ!ノース!』

 あいつの時だけ違ったんだよ。チャームにかかったあいつを見た時の、焦ったマジな顔。しかも、なんも言わねえのな。
 「なあ、ドラルク。お前さあ
 「何かしら?」
 だから、真面目な話しようとしてんだから戻ってこいや。
 「そろそろ参りましてよ。ヒこの街で誰かが血を吸われる前に。」
 すげえ怖い顔してたな。本当は、ヒナイチが吸われている姿を想像したんだろ?
 はあ、とため息をついた。
 「ジョン、お前も大変だな。」
 「ヌ?」
 ジョン、もといジョアンヌはリボンでおしまいだから、お手軽だ。その上、何もしなくても可愛いからな。
 「なんで、あそこまでハムスターって言い張るのかね。」
 「ヌヌヌ。」

 初めにヒナイチが氷笑卿の話題を出した時、どうしてそこで「知っている」と言わなかったのか。
 そのまま黙って帰しておいて、俺には「すぐ退治に行くぞ」と言ったのか。

 あいつを関わらせたくなかった、奴に触られたくなかったんじゃないか?
 氷笑卿に会わせたくなかったんだよな?

 ずっと一緒にいたジョンは分かり過ぎてるだけに、げんなりするよな。俺でも察しつくのに、本人が分かってないんだわ。

 「諸君、用意はいいかね?」
 「ニューン!」
 「「「「お、おう!」」」」

 本当に、ヒナイチも厄介な奴を選んだよな。



 「ち、ん?」
 ヒナイチと呼ばれた赤毛の少女が、キョロキョロと周りを見渡した。翡翠の瞳が、微かに生気を帯びていく。
 さすがに吸血鬼退治を生業にするだけあって、彼女達はすぐに魅了の影響が薄れる。特にこの赤毛の少女は
 「赤毛の姫君、何も気にする事はない。さあ、私に美しい顔をよく見せておくれ。」
 「い。」
 顎に手をかけて覗き込む。チャームをかけ直すと、瞳に戻りつつあった光が霞んでいった。

 「人の心なぞ容易いものだ僅かな隙に滑り込めば手に入る。」

 手に入らなかった者か。心頑なで高潔な人間そうそういるものではない。
 私が血族に迎えようとしたあの男の様な今も氷漬けの棺桶で眠っている彼の様な人間は。

 「ちんちん。」
 よくよく見れば、中々の上玉だ。健康そうで、見た目も美しい。我々が舌なめずりしたくなる、弟子好みの白いうなじをしている。
 あの弟子の必死な顔、それに幼い頃から見ているから分かる。あの子は、本気で怒ると言葉少なくなるのだ。
 それに彼女からは、お前の気配がする。他の同胞に取られたくなくて、黙って纏わせておいたらしいな。本気だという事か。
 「お嬢さんは、弟子の事をどう考えているのかね?」
 あの子は、誇り高き竜の嫡孫なのだ。半端な娘は、ドラルクに相応しくない。 
 「。」
 「答えないかまあ、今は私しか見えないだろうがね。」
 仮にここで「ドラルクが好きか?」と聞いた所で、「違う。」と答えるだろう。今なら、私を「愛している」と言うはずだ。
 弟子に絶交されてしまうから、つまみ食いはしないがお前がどんなに肩入れしようと、人間の心はこの程度だ。

「一緒にいて楽しいんだドラルクはいいやつだ。」
 再び、瞳に生気が戻っていく。口元がふっと綻んだ。そういえば、手に口づけをして、チャームに落ちるその瞬間、この娘は同じ笑みを浮かべていた。
 これ以上、ドラルクの話はよそう。他にも、天使達を迎えなければならないのだ。この娘にばかり構ってはいられない。
 
 「吸血鬼は天上の国には程遠い。それでも分かるよ

 キイィと微かな音が鳴る。
 「ありがとう。ノースディン。」

 再び、少女は私の手中に落ちていった。
 
 
 
 


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