@102tony_TB
魔道祖師の小説を2周したので、アニメを見る前に語りたいことを吐き出しておこうかと。
完全ネタバレなので、未読の人はこっちのレビューでも読んでください↓
https://www.amazon.co.jp/review/R1OS78EIPE5HCX/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ie=UTF8
全体を通じた感想も↑で大体言ってるので、ここでは細かい部分を語ろうかと。
アニメもドラマもインタビューもラジオドラマも何も見ていない者の言うことなので、違ったら「違うよ」と教えてください有識者。
■忘機の気持ちの変化について
最初に完読したときに真っ先に疑問に思ったのが、忘機の心境は何をきっかけにどう変化していったのか?ということ。
すぐさま再読しても結局よくわからなかったんですが、座学のあと何度か顔を合わせているものの、玄武の時には無羨の懐から香り袋を持ち去っている&忘羨を披露しているのですでにはっきりと自覚があったということですよね。
巻狩の時点では完全に片想いをこじらせていますし。
また、番外編の香炉の話からしても当時から無羨との淫夢を見ていたようですし、口では拒絶しつつも内心では座学の時点から無羨のことが好きだったのだろうと結論づけました。
まあそれはそうなんだろうけど、あれだけ本心を押さえつけていてよく自覚できたなあと。
それに、まだ十代の少年なのに、二人っきりのときもまったく本心を出さないでいられるのがさすが忘機です。
今生では最初から一貫して忘機は素直で少々強引です。
前世では想いを秘めつつも藍氏公子としての立場をほとんど最後まで保っていたわけで、そのターニングポイントはどこだったかというと、決定的な出来事はやはり血の不夜天ですよね。
無羨が道を踏み外しても、自分の家族である藍氏背き手をかけてでも無羨を守ったわけで、その時点で無羨のことを「単なる好きな人」ではなくて「何よりも大切な存在」だと強く自覚したと思われます。
茫然自失の無羨には届いていませんでしたが、逃避行した時点で想いは伝えていたのでしょうね。
また、極悪人魏無羨を助ける大義は何もないはずなのに藍氏を手にかけてまで守った時点で、少なくとも藍氏には(友情か恋情なのかは置いといて)無羨を想う気持ちはバレてしまったわけで。
忘機はここから本心を隠すのをやめて開き直ったのだと思います。
前世では結局そのまま無羨を失うことになるわけですが…。
それを踏まえると、今生では「無羨は忘機の気持ちを知っているけれど応える気がなく、からかい続けている」と捉えてあのような態度になったのだと思います。
まああと、若い時は誰しも潔癖なところがありますが、物語の現在時点で35歳くらいですもんね。
忘機といえども大人になって生来のおおらかなところも出てきたのでしょうね。
■無羨の人格の変遷について
前世で鬼道を使うようになったあとの無羨は残虐でキレやすいところがあり、それまでの底抜けに快活な様とは人が変わったようですよね。
鬼道の影響かなとも思いましたが、現世では鬼道を使っていてもそのような描写はありません。
おそらくあればアイデンティティだった金丹を失ったことで絶望し、一種の鬱状態だったのかなと思います。
また、温氏残党を守ったことで残る家族とも離れて孤軍奮闘せざるをえず、傲慢さから孤立を深め、また自分の手で大切な人々を殺めて罪を重ねたことで、より一層不安定な精神状態に陥っていたのではないでしょうか。
一転して現世では肩の力が抜けて本来の明るい無羨に戻っていますが、それは一旦死んだことですべての罪を清算し、プレッシャーからも解放されて文字通り生まれ変わったのだと思います。
また、前世で傲慢さから失敗したのを心から反省して人間的に成長しましたよね。
でも一番の違いは現世では忘機がぴったりくっついて一緒にいてくれることでしょう。
言葉少なではありますが、言葉でも態度でも一貫して「君の味方だ」「君を拒絶したりしない」と繰り返し伝え続けてくれること、冷静な忘機がクールダウンさせてくれることが無羨には必要なのでしょう。
■その他細かい部分の感想など
・義城編
みんな思っただろうけど、よくぞあんなやるせない話を…と思いました。
思いついたとしても、こんなショッキングな話を書ききっちゃうのがすごいです。
でもそのおかげで敵の凶悪さが際立ったわけで。いやー、ほんとにすごい。
・温晁殺害シーン
怖い。怖すぎる…。
温晁の状態自体も残酷すぎてめちゃ怖いのに、ひたひたと不気味さを盛り上げる描写がそのへんのホラーも真っ青。すごい…。
・愛の表現について
何と言ってもあの告白シーンにはインパクトがありましたよね。無羨に受け入れられたことで初めて言葉にすることができた忘機の切ない想いが胸に来ました。
それに勝るくらい感動したのが4巻の一番最後に収録されている番外編です。
「愛」という言葉を使わずとも、互いへの溢れんばかりの愛情と幸福が伝わってきて胸が温かくも切ないようなたまらない気持ちになります。
あと番外編「朝暮」の「俺の声聞きたくないの?」と聞いたあとの『何も言わない藍忘機の、本心は口にしづらく、だが嘘をついたり心を偽ったりはしたくないという正直な反応を見ていると、魏無羨の体は言葉にならない会館でいっぱいに満たされ、藍忘機を一口で呑み込みたくてたまらなくなった。』という部分、一言一句に共感します。
かわいくて愛しいという気持ちがいっぱいになると心がぎゅうっとすると共に相手を食べたくなってしまうのはなぜなのか。
この部分に限らず、どこの国の人でも相手のどんな部分に魅力を感じるかとか、嬉しい悲しい楽しい愛しいといった心の中は皆一緒なんだなあと改めて感じました。
・無羨が笑うところ
特に番外編ではたびたび出てきますが、無羨が倒れそうになりながら笑い転げるシーンが大好きです。
あまりにもおかしそうで思い切り笑うので、読んでいるこちらも一緒にニコニコしてしまいます。
忘機もうっすらとしか顔には出しませんが、無羨のそういうところが大好きで面白いと思っているんでしょうね。最後は一緒に蘭室に亀を置くいたずらもしてるしね。
・黒幕
悪事を働いてきたのは金光瑤ですが、黒幕は聶懐桑だったということですよね?
懐桑は一問三不知っぷりも面白いので、もっと番外編とかで見たかったです。
■まとめ
とりあえず立て続けに2周読んだのですが、驚いたことに2周めのほうが更に面白かったです。
これまで大量の本を読んできていますが、先の展開を知っていても面白いというのはとてもとても珍しいことなのでびっくりしました。それほど筆力が高いということなのでしょうね。