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夏を掴み出された。

全体公開
2023-06-06 13:14:32

【黒蝶のサイケデリカ ネタバレあり全体感想】

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黒蝶トロコンしました~~~!
あまりに面白くて1.5日で駆け抜けてしまったwww
元々短いゲームとはいえ最速かもしれない。


クローズドサークルが大っっっ好きだし、
何らかの大きな目的で集められていそうな男女、全員記憶もなく、どことなく薄暗くて幻想的な舞台……結賀せんせの絵も相まり世界観がぐっと奥深くて、開幕から引き込まれた。

※まだ殺人事件は起こっていません。



始めたばかりのときは、オーソドックスな乙女ゲームだと思っていたのね。(⇑!?!?)
共通ちょこっと進めた時点で、鉤翅と緋影が本命候補で。でも緋影はどう見ても最終回男だったので、鉤翅から特攻したんですよ。
あらかじめ黒蝶狩りでポイント貯めといて、できるSSは即全解放しつつ、特定のキャラの個人SSはそのキャラの個別を回収するときに読む、というスタンスで進めてました。てか乙女ゲームでエイム求められんのウケるwww

前世力持ってるとしたら紋白か緋影だと思っていたから、
割と早い段階で鉤翅に『幼少期に結婚の約束』オープンされて度肝抜かれた。
えぇ!?!? おまえが前世男なの!?!?!?

あなた、ナツキっていうのね・・・・・・。

このへんから鉤翅は敗色濃厚だった~~~~~佇まいと初対面からしばらくの接し方は完璧ドストライク好みだったんだけどなぁ~~~~わたし幼少期エピソードで殴ってくる前世男勝てないんだよ~~~~幼少期からずっと重たい愛向けられるのダメなんだよまじで~~~~~~~~
共通中盤、過保護かつヒロイン以外見えていない執着心に敗北を確信した。
頼む、前だけを見ていてくれ。わたしの方を見ないで・・・・・・。


緋影の正体明かすところまっっっじで度肝抜かれたよね。


カイトイシカワの演技天才すぎてボイス全部聞いちゃった・・・・・・もうここで一気に引き込まれて黒蝶止まれんくなってた。
だってこんなん!!!真相ルートでやるやつじゃんか!!!えぇ!!!

でさらに鉤翅がすでに死んでいるまでオープンされおっきな声で「うぇええええええ!!!!!!!??????」って叫んだ、まじで。
鈍器でぶん殴られたみたいに脳ぐわんぐわんしてました。

ひぃいいいいいいイイイイイ面白れぇええええええええええええ止まれねぇえええええええええええええ!!!!!

もうさ、この緋影と鉤翅の真相明かされたところがあまりにもクライマックス。
これを共通+個別の乙女ゲームの形に落とさないで、1本の大きなストーリーとして作ったのがすごすぎる。乙女ゲの常識に挑戦しすぎ。というかもう乙女ゲではない。
これ全部最大級の賛辞ですからね!!!

最後湖に花束を手向けてなっちゃんとさよならするの、胸がきゅっと痛くなった。
でもこのエンディング大好き。わたしは、あるべきものをあるべきところに還すエンディングがめちゃくちゃ好きなので、、、
すっごく素敵な物語だった、、、、、、


ここでね。いったん我に返るわけですよ。
今のエンディング何!?!? どういう位置づけ!?!? 鉤翅の個別は!?!?

表記が「BESTエンド」なんだけどさ、ここしかオープンされてないから、これが誰かの個別エンドなのか共通ベストエンドなのかまっっったくわからんわけ。
フロチャの謎を解き明かすため2周目へ・・・・・・!

鉤翅前座男とか言ってたけどさ~~~~初恋&結婚の約束とかいうチート前世力持ってたし、どう見ても山都or鴉翅からいくべきだったよな~~~~と振り返り。
そのまま鉤翅個別探してもよかったんだけど、探し方もよくわかんねぇし、、、いったん初手推奨っぽい山都いっとくか、、、と山都回収へ。

フロチャに青分岐で「山都」出てきてまたビビったよね。


あ、個別、ちゃんとあるんだ!!!
じゃあさっきのはやっぱ共通BESTエンドか!!!



んで山都個別入るじゃん??? そしたらさ、4ブロックくらいでどう考えてもメリバとしか思えんエンディングに到着するわけよ。

ずっと黒蝶のゲーム設計に振り回されている・・・・・・。

OK。とりあえず鴉翅にも同じ個別とメリバがあるよな?と鴉翅回収。
このへんでようやく設計が見えてくる。これ、フロチャの個別はBAD分岐じゃね・・・? 1番最初に通ったのがメインルートで、個別のベスエンはメインルート最後現代に戻ってから分岐なんじゃね・・・?

いや~~~黒蝶ってストーリー自体もしっかり練られていて面白いんだけどさ、
最大の魅力はこのゲーム設計だと思う。

この作品のメインストーリーは、アイと男たちとの恋愛じゃなく、あのなっちゃんが亡くなり、カズヤが目覚めなくなった夏と……それぞれが抱えた後悔とどう向き合い、どう受け止めて生きていくかであって。
幼なじみであり『仲間』だった5人が、あの夏を境にバラバラになってしまった5人が……もう一度その輪を繋ぎ、あの夏を清算して未来へ歩いていくという文脈が主軸だと思ってる。

恋愛描写はサブ要素で、その大きなメインストーリーが1本横たわっている合間に、ほんのり香る感じ。
あの空間で過ごす中で、ちょっとしたときめきイベントがあったり、相手のパーソナルな部分に触れたり……そうして現代へ戻った最後に、少しの恋愛の予感が描かれる。
物語の中心はあくまで『仲間5人であの夏に区切りをつけること』なんだよね。

だから、みんなに黙って山都のもとに通ったり、鴉翅の甘言に乗ったり――仲間全員じゃなく、誰かひとりに入れ込むと個別に分岐する。
でもそれは、『仲間5人であの夏に区切りをつけること』からは遠ざかるから、行きつく先は二人さえよければいい結末――メリーバッドになる。

う~~~~んゲーム設計がまじで説得力の塊だなぁ!!! すっごいよくできてるよ!!!

そしてこれを初めから開示せず、先の見えないフロチャで少しずつ手繰り寄せるように理解させていく仕組みもめちゃくちゃ巧いなぁと思いました。
どういう設計なんだ! どこに正史を置いているんだ! ってフロチャを探りながら進めていくの、
振り回されて何度も度肝抜かれたし、感情ジェットコースターしたし、ゲームしてるっ!!!って実感できてめちゃくちゃ楽しかった。
黒蝶の、オープンするまで設計が見えないフロチャめちゃくちゃ好き。

設計つかめた後 共通BEST→共通BAD→山都→鴉翅→鉤翅→現実世界ENDまで進めて、
うわ~~~~なるほどね~~~~なるほどね~~~~していくのめちゃくちゃ気持ちよかったね。
特に、現実世界END直後はセーブロードじゃなく「はじめから」にしたんだけど、それでもう一度見たあの冒頭のシーン・・・・・・あのバス内でのやり取り、湖に沈んでいくモノローグ、全部「何言ってるかわかるぅううううううううう今ならこのシーンの意味がすべてわかるぅううううううううう!!!」してもうめっっっちゃ楽しかった。こういう気持ちよさは何度でも味わいたい。

でここまできてさ、、、エンドリストフロチャがだいぶ埋まってきて、、、気付くわけですよ、、、えっこれもしかして鉤翅は現代ENDないんじゃね・・・?と、、、、、、

そっか・・・・・・このお話は『仲間5人であの夏に区切りをつけること』が主軸だから・・・・・・あの後悔を受け止め未来へ向かって歩き出すのが正史だから・・・・・・もう亡くなってしまったなっちゃんは戻ってこないんだ・・・なっちゃんの死を受け止めて歩いていく話だから・・・なっちゃん現代ENDあるわけないじゃんね・・・ってことは最初に見たあの共通BESTがある意味なっちゃんとのBESTってこと・・・・・・!?!?


天才すぎた。ちゃんとなっちゃんの死を受け止め、前を向いて歩いていかなきゃいけないって文脈だから、理論上なっちゃんとの現代ENDが存在しない、、、そのシビアな設計にめちゃくちゃ興奮した。
なっちゃんとアイの恋物語は、あの共通BESTが最高到達点であって、それ以上は存在し得ないんだよ。そんっっっな、、、そんな遣る瀬無くて悲しくて美しい結末がありますか?泣

下手になっちゃん生き還り現代ENDを作らなかった制作陣の感性に、あらん限りの拍手を贈りたい。
そうやってシビアに紡ぐからこそ、すべての決意が、この先の人生がきらきらと輝き尊くなるんだよ。そこをご都合主義でうまくいかせたら、その他すべての物語も陳腐になってしまうからね。

そしてこれはわたしのプレイング自画自賛なんですが笑、
何の事前情報も入れず己の感性一本で進めたのに、初手、鉤翅の分岐とショートエピソードすべて拾いながら共通BEST入ったの大正解ファインプレーじゃん。
初手の理想形をいったと思う。物語の衝撃度からしても共通BESTエンドから見た文脈からしても、それが1番綺麗な形だもん、、、
最初共通BEST入ったときは鉤翅前世男じゃんか初手じゃねぇ~~~~山都からいくべきだった~~~~とか言ってたけどもう一周まわって大正解だったと気付いたこの時間差、この遅効性、めちゃくちゃ興奮!
偶然にも最高のゲーム体験ができてまた震えた。

ここで書いても意味ないんだけど、黒蝶、絶対攻略見ず一切の事前情報入れずプレイするべきだよね。
知っているのと知らないのとで、実際直面したときの情緒の振り幅が全然違うと思うよ。


ここらでいったんエンディング感想入れます。
エンド迎えた順です。


🦋 共通BEST

この物語の正史。
わたしは大局を俯瞰的に見て、あるべきものをあるべきところに還すって文脈がめちゃくちゃ好きなので、
なっちゃんは死人として旅立ち、アイ・タクヤ・アキ・カズヤは現代に帰って花を手向ける、そうやってあの夏に区切りをつけ、痛む心を抱えてなお未来に向かって歩いていく――この結末がめちゃくちゃ大好きです。
なっちゃんとの恋物語の最高到達点がここっていうのも最高に好き。なっちゃん、途中でわたしの男じゃなくなってしまったけど、もしわたしの好き男のままこのエンディング入ってたら人生男になっていたかもしれません。

🦋 共通BAD

わたしは緋影がカズヤだと明かされたときめちゃくちゃ違和感があって、、、だってここまでの緋影を見てどう考えても弟属性ではないと思ったし、、、どちらかというと妹がいる兄属性じゃんと思っていて、、、だから緋影カズヤちゃうやろ絶対まだ何かあるぞって、疑念でいっぱいだったのね。
そんな緋影と書斎とかいう怪しさ満点シチュエーションで本を触る勇気はなかったですよ。結果BAD回避できて冴えてた。
結局この本は何だったんだろ。緋影が狂ったように黒魔術を研究していたときに取り寄せた、ホンモノの一冊だったのかな。

🦋 山都END

初手辿り着いた個別エンドがここで、どう見てもメリバだったのでびっくりしたけど、
後から振り返ってみるとこのエンド結構好きです。時間が止まった二人の物語が好きなので、、、
傷を舐め合い落ちていく二人の結末としては、優しい色をしていたと思う。

🦋 鴉翅END

スチルがエロくて倒錯的でよかった。

🦋 鉤翅END

いや~~~~幸せ新婚生活の窓辺、二人の構図は同じままふっとあの陰惨な屋敷の場面に切り替わる演出めちゃくちゃゾッとしたし、めちゃくちゃ好き。

🦋 現実世界END

最初これが真相エンドかと思ってとっておいたんだけど、むしろ前日譚か!?と気付き即やりました。
アキがタクヤとアイに、前に進もうとしていない、支え合っているんじゃなく傷を舐め合っているだけ、と掴みかかったところでアキの評価がガン上がりしました。その通りすぎたので。

🦋 タクヤEND

わたしさぁ、、、大切な人を失って時間が止まってしまった人と、その手を取り未来へ連れて行ってくれる人の『また歩き出す物語』、めちゃくちゃ好きだったはずなんだよね。

なんだろう、、、タクヤEND、好きな文脈だと思うんだけど、イマイチ盛り上がりきれなかった。
まずタクヤがわたしの好き男ではないっていうのもあるし、ヒロイン・アイがめちゃくちゃ苦手で合わなかったというのもある、、、
それから、この直前に同じ文脈、それもわたしの人生の最高物語となったルートを浴びてしまって、、、(※ミラアリエース√)似た文脈ゆえにそれと比べてしまって盛り上がれなかったのかもしれない。罪深い。

あと、個人的には、病室でタクヤがカズヤに本心を吐露したくだり、正直どうなんだろうと思った。
10年眠らされただけでも大きなショックなのに、そこに兄の悪意が絡んでいたと知らされるなんて、カズヤにとって二重の苦しみでしかなくない?
それこそタクヤが許されたいだけ、自己満足なんじゃないか?

もし、兄の悪意にカズヤが気付いていたなら、もしくはあの事故を自分のせいだと責めているのなら、
タクヤが正面から謝り、おまえは悪くないんだと伝えてあげるべきと思うけど(でも謝ったところでカズヤの大きすぎる10年は戻ってこないが)、
カズヤが気付いていない+誰も悪くない不幸な事故だったと受け止められているなら、あえて言うべきじゃなくない?
墓場まで持っていくことこそが『罪滅ぼし』なんじゃないのか?と思った。

カズヤ/紋白ENDまで見ると、ここでカズヤが『お互い様』と言った背景はわからんでもないけれど、それとここでタクヤがこれを明かすべきかとは別の問題だからね。
カズヤがどう思っているかわからないうちに明かしているんだから、やっぱり自己中心的だし自己満足だと思う。これを見てイイハナシダナーとか全方位まるく収まったハッピーエンドだな〜とは思えない。

🦋 アキEND

足並み揃えてみんな同じように結ばれるんじゃなく、アキとの物語はこれから、まだ始まったばかり――って文脈で閉じたのがとても……そのキャラクターにしっかり寄り添って作られていて、好きだった。

🦋 紋白/カズヤEND


すみません。鉤翅でドン引きした記憶しかないです。


「君と僕の状況が逆だったらよかった」
「僕なら彼女をうまく支えることが出来る」

「だから……その場所を譲ってほしい」
「これが僕の本音だよ」

「僕は彼を救えなかった……



いや~~~~ほんと怖すぎて怖すぎて怖すぎて怖すぎて震え上がった。
わたしのモラ男センサーが!!! ギィンギィンギィンギィンって警報をかき鳴らしてて!!!
「僕なら彼女をうまく支えることが出来る」とか世界で一番言われたくない!!! こういう「君のことを一番理解してあげられているのは僕」みたいな言いぶりまじで無理だヨォオオオン!!!
わたしの心を一番わかっているのはわたしなんだよ!!!

「僕は彼を救えなかった……」もね、、、ええええ引き金引いたのおまえじゃん何他人事ヅラしてんの・・・・・・ってドン引きでしたね、、、、、、

ここ鉤翅が紋白に本音を吐露することで、鉤翅にも汚い部分があるんだよとか綺麗なだけじゃない恋心があるんだよとわかるときめきポイントなんだろうが、、、わたしは端的にモラセンサーが警報を発令して怯えてた。怖すぎた。重い。怖い。
でもアイはなっちゃんが初恋だし10年忘れられずにいる重たい女だからかなりお似合いなのかもしれない。


鉤翅の記憶しかなくて、最後紋白/カズヤ分岐の二択まじでどっちが正解かわかりませんでした。
そしてそういうとき大抵初手自分の感性に従ってBAD引く。

でもカズヤENDより紋白ENDの方がめっちゃめっちゃ好きだった。だからわたしの感性に間違いはなかった。
今まではカズヤくんが10年待ってくれたんだから、今度はわたしが10年待つよ……って閉じ方、よくないですか? めっちゃ好きです。

あのあざとい距離の詰め方が可愛くて好きなので、現実に帰って付き合うならカズヤです。でもタクヤとアキと揉めたくないので誰とも付き合いません。

🦋 大団円END

わたしはこのエンド、正史はおろか、現実に存在してもいないエンドだと思っている。
「もしあのときああいう選択をとっていたら、こういう未来があったかもしれないのにね・・・」とほのかにぼんやり灯る夢。夢だけを見せてくれたエンド。
こういう誰もが欲しかった理想の世界を垣間見せるからこそ、その対比で、シビアな現実を受け止めて生きていく姿が輝くんだと思う。こういう正史の輝きを増すために置かれた幻の大団円は好きです。

🦋 緋影END

いや~~~~・・・・・・結論からいうと黒蝶は緋影落ちでした。

紅百合と過ごす中でふっとこころほどける瞬間があっても、その奥の奥深くの本当に大切なところは触れさせていなくて、、、こういう自分の最奥のこころと感性を誰にも触れさせず、固く守ったまま壊れてしまった繊細な男、ほんとうに好き。

結局最後の最後まで、彼の生き方や彼の出す結論に、わたしや紅百合が影響を及ぼすことなんてできなくて、
緋影が自分で考え、自分で答えを出し行く先を決め、自分で幕を下ろしたこの結末、ほんとうに好き。ほんとうに好きな男。
緋影ルートは、現世うつしよ常世とこしよが繋がるこの季節に、一瞬持たせてくれた恋、一瞬見せてくれた夢だと思う。結ばれないから恋『愛』ではない。ただのわたしの恋。

恋をして、一緒にはいられないかもしれないと心のどこかでわかっていても、それでも幸せな結末を望み、最後の最後もうやりきったんだって思えるところまで足掻きたいと思っていた、その目の前で、
その恋をした相手が、自ら引き金を引き、もう二度と忘れられない光景だけを脳裏に焼き付け、ひとつ残らず希望を摘み取っていくのって、なんて救いのない酷い結末なんでしょうね。
あんなことされたら、一生忘れられないじゃん。どうにか気持ちの折り合いをつけて綺麗にさよならできたら、思い出として抱え前に向かって歩き出せたかもしれないのに。ああいう閉じ方をされたら、一生引きずるじゃん。一生引きずるじゃん・・・・・・。
この感覚、トラ現代ENDで抱かされたあの感じと似てるな。

彼の生きてきた人生、狭間に来てから過ごした時間、あの幕を閉じるまでの彼の一生に、幸せだった瞬間はあったのかなぁ。
でも、旅立っていくちょうちょの中に白い子がいたのなら、あの瞬間には、彼はほんの少しでも救われていたのだと、そう信じたい。

だから最後、あの湖ですれ違った兄妹は、緋影とウサギちゃんの生まれ変わりでも何でもなくて。
緋影ともう一度どこかで何らかの形で出会える可能性なんて万にひとつも残っていなくて、最後のあれは、ひらひらと飛んでいくちょうちょにアイが二人の姿を重ねた幻だと思っています。


……🦋


黒蝶をプレイしての唯一の後悔は、このタイミングでやるべきじゃなかったということですね。
8月にやりたかった。8月のあの、歪むほど強い日差しの中ぼんやりとどこかに思考が飛んでいくような、永遠に続くようで一瞬にも思える時間の感覚の中でこのゲームをやりたかった。
心残りはそれだけです。

わたしはこう……なんていうか、心の奥底にあるけど普段は意識できないでいる感覚をぎゅっと掴んで引きずり出してくれるゲーム、季節ごとに心の中に違った感覚がふっと表れる、それを思い出させてくれるゲームが好きで……画面の向こうとこちら側の狭間に立って、空気を感じられるゲームが好きで好きでたまらないんです。

黒蝶をやっている間ずっと、子どもの頃の夏休みを思い出していた。夏のお昼間の、ぼんやりと光っていながら少し陰が差しているあの雰囲気がずっと漂っていたと思う。
このゲームをやるまで思い出してもいなかった感覚で……引きずり出されて初めて「この感覚絶対どこかで抱いたことがある」って思うんだけど、どう説明したらいいかわからなくて……でも抱いたことがある感覚なのは確かで。そういう得も言われぬ情緒に引きずり込み不思議な空気で包んでくれるゲームがめちゃくちゃ好き。

そういう感覚になったらもうそれだけで、そのゲームが特別で大好きになってしまって。多少のことはどうでもよくなってしまう。

そう、実は黒蝶、ヒロインがまっっじで合わなかったんですよね。苦手だった。

そもそもわたし、乙女ゲームでは、ボーイミーツガールから恋が育っていく過程を見たいんですよ。
だからゲームを始める前からもう関係があって、もう好きになられていて、恋愛関係に至るまでにほぼ変化がないルートが苦手で。
黒蝶、主軸が個別の恋愛物語じゃないから当然なんだけど、緋影以外全員これじゃん? 全員幼い頃からアイに片想いしてる。

で、その仲良し幼なじみ5人組で、女の子が一人しかいないのも落ち着かなくて。男ばかりの中に女一人、さらに全方位から片想いされている状況……めっっっちゃくちゃ苦手なんですよ。
だからヒロインの性格以前に、設定がもうわたしに向いていなかった。

いくら小学生とはいえ、友人グループで女の子が一人しかいないのめちゃくちゃ違和感ないですか!?
そりゃ小学生って割と男女ごちゃ混ぜで遊ぶ年齢ではあるけど、だとしても男4女1はめちゃくちゃ浮くと思うよ、、、アイって女の子の友だちいなかったんだなと確定させてしまうほどの違和感。
こんなあからさまに女に嫌われていそうかつ男全方位から愛されている設定にしてほしくなかった。乙女ゲームではヒロインを好きになって進めたいのに、好きになりづらい、、、
ふだん、乙女ゲに女のサブキャラ欲しいってほぼ思わないけど、ここまでしっかりヒロインの設定を固め、ほぼ自己投影難しい設計にするのなら、幼なじみグループに一人女の子キャラ入れてくれた方が、ぐっと説得力が出たと思う。それならわたしも、子どもの頃からの仲良しグループを、もっと大事に思えたと思う。
子どもの頃から『男4女1、かつ男が全員女に片想いしているグループ』なのがわたしには拒絶反応が強くて、、、感情移入が難しくて、あまり5人の絆を大事に思えなかった。

こんな感じで、そもそもヒロインの設定自体合わなかったのに、さらに性格も合わなくてね・・・・・・笑
共通の中盤から終盤、アイの記憶を戻したくない3人がアイに隠れてこそこそ打ち合わせするんだけど、それを『虫の翅音みたいに不快』って表現するその感性にドン引きした。神経を疑いました。
いくら隠し事されているのが嫌でも、大切に思っている仲間?に対してその表現はあり得ないと思います。本当に大切に思っているんですか?

疎外感を覚える気持ちもわからんでもないけど、結局男たちは、これまでのアイを思い返して、この子には思い出させちゃダメだ、守ってあげなきゃと思ってこうなったわけで、、、
それってつまり、それまでの自分の振る舞いが、男たちに「記憶が戻ってもアイならきっと大丈夫」とは思わせられなかったってことでしょ。「記憶を戻させちゃダメだ」「守ってあげなきゃ」と思わせる振る舞いしかしてこなかったのは自分な訳で、自業自得というか、そう思わせてきた弱い自分が悪いのでは?としか思えなくて。

しかもさ~~~、話が核心に迫ったところで必ず紅百合が遮るからさ、、、おまえが遮るからおまえの知りたいことが知れないんだよって、紅百合にイライラが止まらんかったね、、、なんでこんな女が全方位から愛されるんだ?って思っちゃった😃

恋愛過程の設定も、全方位愛され設定も苦手なのに、
さらにそれに胡坐をかき、隠し事しないで!って状況引っ搔き回す性格も苦手で、割と苦しかった、、、笑

でも、このゲームは元々ヒロインに自己投影して恋愛過程を楽しむゲームじゃなく、
ヒロインと仲間たちが『あの夏』を乗り越えるストーリーを主軸にしたゲームなので、、、最初から、自己投影前提で作られてないんだよね。
それを早々に悟り、緋影以外に関しては客観視プレイに切り替えたので、ヒロインと合わなくても大した問題にならなかった。

ここまでイライラして紅百合(アイ)のことぜんっぜん好きになれんでも、
黒蝶のサイケデリカというゲームは最高のストーリー、最高の設計、最高の閉じ方で大好きだし、
緋影という男も大好きなんですよ!!!!!!



わたしはわたしの感性が大事だから。
わたしの中の、わたしさえも思い出せないでいた夏の感覚を引きずり出し、緋影という一生残る傷跡の男に出会わせてくれた黒蝶のこと、大好き。


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