2023/08/06 床下クッキーパーティー参加作品です。
反転ドラヒナの転化ネタのお話(君が目覚めるまで https://privatter.net/p/10152534)の続きです。
眠っているヒナイチくんが目を覚ます話です。捏造した二人の子供達が出ます。注意して下さい。
@kw42431393
*いきなり捏造から入ります。気をつけて下さい。
子供達の捏造設定はこんな感じです。
竜輝:二人の長男。15歳のダンピール。ドラから始まるしっくりくる名前が思い付かなかったので、日本名にしました。本当はもっと画数の多い中二臭い名前だったらしいが、反対されたという裏設定。両親が種族の認識の違いで喧嘩が絶えなかったので、ロナルドとジョンを目標に育った。仕草や喋り方は、中性的。顔は、本編ショタルクにアンテナがついて、そのまま15歳になった感じ。着痩せしているが、服の下は両親の遺伝でがっしりしており、戦闘力も高い。
ミラーカ:二人の長女。平和の兆しが見え始めた時期に生まれた為、父親に甘やかされた。父親の血が濃く、怪力と高い身体能力を持つ。見た目は白髪のセミロング。母親譲りのおちゅんの口元と、父親譲りの眠そうな目元が特徴。
なんとなく、竜の血族は配偶者に尽くす人が多いので、反転世界でも旦那が子供のオムツから入浴までさせてそうと思ってます。ドラウスさんと同じ事をして、ヒナイチくんが呆れてるといいな、とか。
あと、満月などの要因で周期的に人外達が凶悪化する、というのも捏造です。私が昔から、世界中にある『物忌み』や『庚申講』『節句』の様な行事に、人外達との境界を引いてる様に感じているものでして…この辺のくだりも捏造でお願いします。
あぁ、またこの時期が来てしまった。私は恨めし気に窓から満月を見上げた。我々夜の眷属を祝福してくれる月だが、周期的に我々を狂気に駆り立てる事もある。今でも本当は、外に飛び出して人一人ぐらい、ビルの一つぐらい壊したいと思うほどだ。
かつて、昼の子達が人工の灯を持たなかった時代は問題が少なかった。何より我々を恐れ、我々と出会う事を避け、自分の家にあるいは、神事や行事、祀りとして皆で籠って守り合い、我々が嫌うもの、我々が興味を引くものを使って、住み分けを図っていたのだ。時代が下って昼の子達の文明が発達し、それらが迷信と言われ、昼夜関係なく彼らが闊歩する様になった頃、立場は逆転した。
夜の者達も彼らの文明の恩恵を受けている以上…しかも、数で彼らが圧倒的に勝っている以上、我々の方が籠って人間達とのトラブルを避ける様になったのだ。
イライラして一人になりたがっている事を知っているので、長年連れ添ったジョンも部屋に入って来ない。こういう時は、一人でチェスでもするか、読書でもするに限る。コトリ、コトリとひたすら盤面に向き合う。不意に、影が差して思わず顔が綻んだ。
「何だ、また一人で指しているのか。年寄り臭い奴だな。」
「お相手願えませんかな?お嬢さん。」
…幻聴だ。棺桶で目覚める度に、期待する風景を思い浮かべた自身に苦笑する。つま先立ちで盤に手を乗せて、私の顔を覗き込んでいる少女の瞳は、金色だった。
「ねえ、とーさま!やっぱり、おとまりかいにいってもいい?」
私譲りの白髪を肩まで垂らし、狭間の子である事を示す金色の瞳…今年で8つになる私の娘だ。客観的に見ても、私とヒナイチくんのいい所どりした美少女だと思っている。
「駄目だ。明日ならともかく、今夜は家にいなさい。」
「だって、わたしはよるのものじゃないもん。」
ぷうっと頬を膨らませる娘に折れてやりたくなる。しかし、後の事を考えると親としてちゃんと言わなければ…
「何度も言っただろう。お前は、私の血が濃いのだ。クラスメイトとのお泊り会で、なにかあったらどうする。」
「や~だ!」
「この前だって、学校の机を叩き割ったじゃないか。友達に怪我をさせたくないだろう?」
「うぅ~。」
上目遣いに見上げる目には、拒否しかない。私もかつてお父様にこういう目をしたのだ…最近は反省している。
「聞き分けなさい。父様、怒るぞ。」
「い・や!!」
…反抗期だろうか。しかし、兄の竜輝に手を焼いた記憶がない。彼はもう少し人間と吸血鬼の関係が悪かった15年前に生まれたから、『両種族の共生の時代を築く為に』と私達みっぴきが駆け回っている姿を見て育ってきた。両親が種族の認識の壁で揉めていた事も、つぶさに見て知っている。だから、親の手を煩わすまいと気遣ってくれたのだろう。
「吸血鬼と人間の抗争が終わってからも、やはり小さな諍いは続いています。狭間の者として、そして、ロナルドおじ様のように、両種族間の仲介者となりたいのです。」
それが夢だと、今も語学習得に力を入れている。目標がお嬢のロナルドくんなので、少々線の細い喋り方をするが、肉体的には両親の血を引き継いだ将来有望な長男だ。
それだけに、平和になってから生まれた妹の方は…甘やかしたのである。
『妹の方は、躾がなってないな。私に預けろと言っただろう?ドラウスと一緒だ、お前も家族に甘過ぎる。』
以前ヒゲに言われた嫌味が脳裏に甦るが、こればかりは譲れない。とにかく、ヒナイチくんが目覚めるまで、子供達がグレる事だけは避けなければ…。
「分かった…今から、ロナルドおじ様に叱って貰う。」
とっておきの脅し文句だ。懐からスマホを出して電話をかける振りをすると、あっさり娘が折れた。
「はぁい…。」
彼女は、肩を落としてトボトボと部屋を出ていく。
『ミラーカ、ここにいたのですね。お父様を心配させてはいけないと言ったでしょう?』
『仕方ないヌよ。よしよし、泣かないでヌ。』
扉の向こうで、ジョンと息子の声がした。そのまま、彼らが居間に向かう気配がする。一人と一匹に任せておけば、問題あるまい。
「……。」
…実は、声が震えそうなのを我慢している。やっておいてなんだが、自分よりロナルドくんの方が怖いのはショックだ。
「はぁ…。」
もう、チェスの続きをする気にもならない。私は片付けると、部屋を出た。そのまま、庭園に向かう。庭いじりも私の趣味だ。満月の光を浴びて、色とりどりの花が私を迎えてくれた。
さて、どれにしようか。今宵も私の血を受け入れて転化を待っている…ガラス張りの箱に安置された眠り姫の周りに飾ってあげよう。
「今宵は、ひまわりにするか。」
棺の中で眠る君は、もう太陽の下を歩けないかもしれない。それでも、太陽を思い出させる花で飾ってやる事ぐらいは許されるはずだ。
花束を抱えて、私は彼女を安置している部屋へと向かう。扉を開けると、棺の前に先客がいた。
私の術でこの部屋はいつも凍える様に冷えている。真っ暗な部屋で、金色の瞳がキラリと光った。
「おや、ミラーカ。」
「…とーさま。」
吸血鬼の私と違い、ダンピールの彼女は風邪を引いてしまうだろう。私は上着を脱いで、彼女に羽織らせた。怒っていない事に安心したのだろう。娘は、上目遣いでおずおずと笑って見せた。その様子は意地っ張りだが、本当は寂しがりやで甘えん坊だった昔のヒナイチくんによく似ていた。
「兄様とジョンと遊んでいたのでは、なかったのかね?」
「うん、きゅうにかーさまにあいたくなったの。」
そうかね…それ以上の言葉が出ない。いつもなら一人で数時間はこの部屋で過ごしているのだが、娘が心配だ。ヒナイチくんを花で飾ってやると、私は彼女を連れて部屋を出た。
「ねえ、とーさま。」
「なんだね?」
温かくて、柔らかい幼子の手を引いてやりながら、居間へと向かう。そろそろクッキーも焼けただろう、この子達に出してやらないと。
「とーさまは、こうかいしてらっしゃるの?」
「…。」
心臓に杭を打たれた心地がする。私も若い頃から戦場を駆けまわっているので、それに近い事は多々あったのだが…この痛みは、今までで一番胸に重く響いた。
「かーさまをきゅうけつきにしたこと。」
ヒナイチくんが眠りについてから、夜目が効く私達はあまり灯りを点けない。暗闇の中で、金色の瞳が不穏に光る。やはり、私が心穏やかでない様に、娘もかなり満月の影響を受けていると思われた。
「かーさまはめざめても、もうおひさまをみられないかもしれない。だから、ひまわりをもってらしたの?」
幼子の言葉が、妙に無機質になる時…ここが吸血鬼の居城である事と相まって、怪奇映画さながらの雰囲気に満ちていた。
「……。」
昨年の私の誕生日の翌日だった。退官届を署に提出したヒナイチくんが、私に血を吸う様に頼んだのは。
『折角の誕生日に、私がいないとお前も寂しいだろう?それに、ルーマニアでは、今日は吸血鬼達にとって特別な日らしいな。』
だから、私の転化も成功しやすいかもしれない…そう言って笑った彼女を思い出す。私と契約して30年、彼女は家族と違う者になる覚悟を決めて生きていた。私が土壇場になって「彼女を昼の子として見送るべきか」と迷い出したのとは反対に、ヒナイチくんの意志は確固たるものになっていたのだ。
かつて、私は彼女が心置きなく夜の世界に来れる様に、吸血鬼と人間の抗争終結に尽力してきたのだ。そのはずだった…だが、その選択は…。
「ねえ。かーさまは、いつもどってらっしゃるの?どうして…。」
金色の瞳に恨みが宿る…やはりそう言いたいのだろう?
「わたしたちから、かーさまをうばったの?」
跪いて、娘を抱き締める。
『父様はあれで寂しがりだから、もし母様が目覚めなかったら助けてやってくれ。』
そう言い聞かされて育った息子は、その時が来るのを覚悟して成長してきた。だから、恨み言をおくびにも出さない。
そんな兄を見て、娘も恨みを胸に抑えてきてくれたに違いない。今宵の満月に当てられて、とうとう我慢できずに漏らしたのだろう。
「母様との出会いから、悪いのは全てこの私だ。父様を許しておくれ…。」
腕の中で娘が動揺した気配がした。他に言葉がない。私は何千年でも彼女を待てるが、何故僅かな間でも子供達から母親を奪う事になると、考えなかったのか。
この子達の事を考えるなら、彼女が首を差し出しても…私は契約書を破るべきではなかったか。
『いつの間にか反対になってしまったな。』
このタイミングで幻聴ではないか、と耳を疑う。腕の中の娘が、私の手を振りほどきそうな勢いで振り返った。コツコツと軽やかな足音が、闇に響く。
「昔は散々、私を泣き虫の甘ったれだとからかっていたくせに。」
視線の先で、髪に挿したひまわりが揺れた。そして、赤い瞳と白い牙がキラリと光って…
「かーさま!」
娘の華やいだ声を聞いても実感が湧かない。頬の涙を拭くのも忘れて呆然と、姿の変わった君を見上げる。
「待たせてすまなかったな、ミラーカ。ほら!父様とサンドイッチだぞ!」
そのまま、彼女も跪くと娘を挟んで、私の背中に腕を回した。
「アハハ!かーさま、くるしいよぉ。」
触れた彼女の腕は、かつての温かみを失って冷たかった。翡翠だった瞳は、吸血鬼の赤いものだ…それでも。
「ただいま。すぐ帰って来るつもりだったのに、思ったよりかかってしまったらしい。」
「おかえり…ヒナイチくん。」
私が、愛したクッキーモンスターである事に変わりはなかった。
「ミラーカ、母様は父様と話しがある。兄様とジョンを呼んできてくれないか。」
「うん!」
パタパタと音を立てて、暗闇に娘の姿が溶けていく。そのはずなのに、今の私にはその姿ははっきり見えている。目覚めた後、ガラスに自分が映らないのは確認していたが、やはり不思議なものを感じるらしい。
「ドラルク。」
振り返ると、ドラルクはやっと我に返って頬を拭いている。どこかボンヤリしている様だ。吸血鬼達は聴覚がいいのは知っていたが、我が身が夜の者となってみるとつくづく実感する。だから、彼らのやり取りもそのまま聞こえていたのだ。映画の様なタイミングだったので、実感が湧かないのかもしれない。
「おい!」
「あ、あぁ。すまないね。君が目覚めたら、話したい事は多々あったはずなのだが…。」
まぁ、そうかもしれないが。しかし、こいつを待っていられない。さっさと済ませてしまおう。
「…ヒナイチくん?」
私は問答無用で、ドラルクのネクタイを解き始めた…いざとなると、どうももたつくものだな。
「子供達がやって来るまでに、終わらせてしまおう。連れ添って30年経っているとはいえ、見られると恥ずかしいからな。」
「…あぁ、『あれ』か。もう少し再会の余韻に浸りたいものだが…そういうのは廊下ではなく、ムードの良い場所で。」
いつものからかう様な表情にムッとする。思わず、自分の頬が赤面するのが分かった。
「お、お前!ふざけ…!」
「あれは儀式の様なものだ。別にすぐ口にしなければならないという訳ではない。いつ君が目覚めてもいい様に、いつものクッキーも吸血鬼用も焼いてある。その後でゆっくりと…と思っていたのだが。」
何だと思ったのかね…と続けられると、言葉が出ない。完全に自分の不覚だ。
「う、うるさい!と、とにかく、もう済ませてしまうぞ!」
「ウフフ、お手柔らかに頼むよ。私自身吸った事は多々あれど、吸われるのは初めてでね。」
そうかもしれない、こいつはダンピールや人間から吸血鬼になった訳ではなく、由緒正しい吸血鬼の両親から生まれた、生粋の吸血鬼だ。今まで、私以外を血族に迎ようと思った事もないらしいからな。
そう言ってボタンも緩めて襟元を寛げると、ドラルクは纏めた長髪を右肩に流した…着痩せするタイプなのでピンとこないが、こうすると鍛え上げられた肉体が姿を見せる。かつての私が、嫌悪して怯えたはずの…
「やらないのかね?後でもいいのだよ?」
さっきまで泣いていたくせに…今やすっかり調子を取り戻して挑発的な笑みを浮かべている。
「や、やる。えっと、こ…ここでいいの…か?」
「…フフッ。くすぐったいよ。」
吸血鬼と言っても成りたてだ。彼の血を受け入れる約束を交わしてから、何度となくシュミレートしたはずなのだが。いざとなると、私は彼らを取り締まる側だった人間だ。嫌悪感が先立つらしい。
「…っ!」
何度か逡巡したが、思いっきり血管が浮き出た所に牙を立てる。微かにあいつが息を飲む気配がして、ビクッと体が硬直した。痛かっただろうか?
「…っく、う…ぁ。」
なんとか啜る様にして飲もうとするのだが…意外と難しいものだな。何より…
「…はぁ…ぐ…。」
上目遣いで確認すると、吸われているあいつは恍惚とした顔をしている。まるで、その…『あれ』をしている時の様な…
「ふぇんなこへをだふな(変な声を出すな)。」
はっきり言って集中出来ない。
「こ、これ!途中で…くッ…喋らないでくれ、給え。」
…自分からやっててなんだが、確かに朝になって二人で棺桶に入る時でもよかったかもしれない。
「はぁ…うっぐ…相変わらず、く…食いしん坊だ、ね。まだ、た…足りないかね?」
「え!?す、すまん。」
私は、慌てて牙を外した。思ったより吸っていたのだろう。私の歯形の痕からツーっと血が垂れる…まるで映画の様で目が離せなかった。しかも、今までされる側だった私がする側なのだ。
「どうだったかね?お味の方は?」
襟を正しながら、ドラルクは聞いてくる。期待する様な眼差しをされても困るのだが。
「いや、あまり美味しくはないな。」
「あんなに飲んでおいて、酷くないかね?」
憎まれ口の後に、思わずプッと噴き出した。これで、血を与えられた親吸血鬼との疑似親子関係から独立が出来た訳だ。これで心置きなく…
「ねえ、にいさま、ジョン!まだめをあけちゃだめなの!?」
後ろで無邪気な娘の声がして飛び上がる。困った顔で、じたばたしている娘を羽交い絞めにして目隠ししている、息子とジョンの姿があった。
「ああ!竜輝!?それに、ジョンも!?」
「アハハ…おかえりなさいませ。お母様。」
ごめんヌ。ヌン達も目を閉じてたから見てないヌよ。
気づいてたなら何故教えなかった、と非難の目をドラルクに向けるが、彼はふいっと視線を外した。
「お、お前!そういう所は昔っから!!」
「フフフ…もう少し夫婦の時間に浸りたかったのだがね。さて…」
ドラルクが目の前にスマホを掲げてきた。そこには…
『ヒナイチさん、おかえりなさいまし。』
「あ、ロナルド!」
いつの間にRINEをしていたのかは分からないが、目の前のスマホには上品に笑う私達夫婦を支えてくれた友人の姿が映っていた。
「あぁ、心配をかけたな。ただいま。」
『いえいえ。これで私達はまた揃いましたのね。今宵は満月だから遠慮しますけど、明日の晩はサンズさんと子供を連れて、一緒にそちらに参りますわ。』
『に、にゃあ。わ、私達も一緒に行っていい…ですか?』
ロナルドに隠れる様にして、彼の妻のサンズも映っていた。ロナルドから言わせると、「つい後ろに隠れてしまう、守ってあげたいネコちゃんの様な女性」との事だが、未だにロナルドやフクマさんの影に隠れてしまう性格は変わらないらしい。
「ああ、サンズ女史達も来てくれ給え。ヒナイチくんの帰還祝いをしようじゃないか。」
『そうですわね。明日は、楽しみにしておりますわよ。』
通話を終えると、そのままドラルクはキッチンへ向かう。
「先に食堂に行ってなさい。本格的な祝いは明日だが、夕食に君の好きなものを作ってあげよう。」
その後を、竜輝が嬉しそうに追いかけた。
「お父様、私も手伝います。」
「ああ、頼むよ。お前もすっかり上手になったものだ。」
「ウフフ、お父様の息子ですもの。」
肩に手を回して、キッチンへ向かう二人を見送る。本当に素直に育ってくれたものだ。
「ね、かーさま。とーさまがやいてくれたクッキーがあるの。さきにたべよ?」
ヌン、ヒナイチ様。行こうヌ。用意はドラルク様と竜輝様に任せておけばいいヌ。
さっきまでの不穏さはどこへやら…輝く様な娘の笑顔に私も応える。
19歳の頃に交わした契約、それを叶える為に駆け抜けてきた日々を思い返す。そっと、自身の牙に触れる。今夜から夜の者として新たな吸血鬼生を歩むのだ。
「ジョン、『様』はやめてくれ。やっぱり、未だに柄ではなくてな。」
じゃあ、ヒナイチくん…後悔してないヌね?
「それは、していない。自信を持って言えるぞ?」
ずっと私達を助けてくれたマジロは、これ以上ないぐらいの感謝の表情を浮かべていた。
いままで大変だったヌに、夜の世界に来てくれてありがとうヌ。そして、永遠によろしくヌ。ヌンのもう一人のご主人様。
もう片方の手でジョンの甲羅を撫でる。
どういう生き方になるかは分からないが、時間だけは永遠にあるのだ。これから、家族と友人と共に、ゆっくり考えていこうと思う。