@twirl_rabbit
逃げないって、決めたはずだった。
心の蓋を開けられても、平常心で、いようって。
けれど無理だった。無駄だった。
心が、軋む。
ぎりぎりと、締め上げられる。
襲い掛かる、後悔、罪悪感、自責の念。
ごめんなさい、ごめんなさい、弱くて、ごめんなさい。
私は、人の上に立つ資格はないんです。
その事実を受け入れるから、私の声を聞いてください。
* * *
ただ、ただ、重い。
ずっしりとした沈黙が、肩に、体に押しかかる。隣に座る女は、耳を塞いだまま黙りこくってしまった。先ほど自分が発した音から、自分を守るように、固く固く。
「人間関係」という七面倒な中に放り込まれて知ったのは、人間として生まれた存在であってもそれに翻弄されるということだった。悩んで、苦しんで、怯えて、弱弱しい。彼女だから、そうなのかもしれない。他に、こうして接したことのある人間は彼女だけであるから比較対象など存在しない。
自分が語り始めると、彼女から顔色が失せる。見る見るうちに表情が変化していくのを見て、なんだか嬉しかった。自分の言葉で彼女の感情が移り変わっていく、そこにまぎれもない喜びがあった。それがたとえ、負の感情への変化であってもだ。
こうして、彼女の心中をコロコロと変えられるのは自分だけでいい。どこか歪んだ彼女への気持ちは、そっと、胸の内にしまい込む。
「…すまなんだ、言い過ぎたか。」
そこから、誠意が一かけらもにじまない言葉をかける。それはしっかりと彼女の耳に届いていたようで、びくりと肩が震えた。
この状況がしばらく続くかと思いきや、自衛していた手が、ゆるゆると緩慢な動きで取り外される。下を向く彼女の顔は伺えない。どうなっているのだろうか、とても気になる。また、能面のように似合わない笑顔を浮かべているのだろうか、それとも泣きそうな顔をしているのだろうか。宵の暗さが、恨めしく思う。
「……いえ、大丈夫、です。」
声は、限りなく小さい。
だが、芯は通っていた。
こちらを向いた、その瞳に驚く。きり、と、見据えるように見上げてくる眼の、その光に一瞬だけ息を呑んだ。
彼の、言うことが胸に突き刺さる。鋭い棘となって、私へ治らない傷を残す。ごめんなさい、と、言えば許されるならばどんなにいいだろうか。
一つのボタンをかけ間違えて、そのまま進んできてしまった。一つずれ、二つずれ、気づいたときにはどうやって直せばいいのかと途方に暮れてしまう。自分がやったことは手に取るようにわかっているのに、事実に気づかないように見て見ないふりをして、突き進んだ。掛け違ったことに気づいたときに、他人のせいにしてしまった。人のせいにして、掛け違いをそのまま放置した。格好悪い私を、皆は冷めた目でずっと見ていた。それすらも人のせいにした。全部自分のせいなのに、私は悪くない、私は一生懸命やった、ボタンを留めることができたんだよ、そうやって声にも出さないのに主張だけは立派だった。けれど誰も、私を認めてくれないから、今度はふてくされて自分の殻に閉じこもった。気にかけてくれる人にもそっぽをむいて、心配してくれる人のことも無碍にして、私は自分可愛さに回りを見ることもしなかった。
そのことに対する責任を、自分で取らなければいけない。私の狡さ、醜さ、卑怯さを全部自覚した。ボタンの掛け違いを今度は直していかなければいけない。少しずつ、少しずつ、私がいなくなる前には全部は直せないかもしれないけれど。おそらく、私の言葉を聞いてくれない人がいる、私の声を無視する人がいる。挫けるかもしれない、泣くかもしれない、私は弱いから、逃げようとするかもしれない。そのときは、どうしよう。
謝罪の言葉が、くぐもって耳に届く。
耳をふさいでいた手を、取り外す。
まっすぐに、三日月を見上げた。彼の瞳の中の三日月を、じっと見つめた。彼は眼を瞬かせている。
「私、は、」
掠れた声が、出る。
「私は、弱い。弱くて、狡くて、醜い。
みんなの、気持ちを考えなかった。いっつも、自分のことばっかりだった。」
心の内を話すこと、それはとても苦しい。
彼が、受け入れてくれるかわからない、最後まで聞いてもらえるかも、わからない。けれど、独り言になったって構わない。
「私」という人間を整理するために、考えて、噛みしめて、半分自分に言い聞かせるように、口を動かす。
「和泉守に、認めてもらえないのが悔しかった。ちっぽけな、承認欲求。」
彼は、私のことをどう思っているのだろう。聞いたこともない、話をすることなど…、いや、話をする機会を作ることを避けていた。目の前で、「お前が嫌いだ」、なんてはっきり言われてしまえば、立ち直れる気がしない。彼の目に、私を映すことだけに我武者羅になって、結果空振った。
「彼に、認めてもらいたいと思えば思うほど、彼しか見えなかった。認めてもらいたい、という気持ちは皆同じなのに、私はそれに気付かなかった。」
誰かに認めてもらえない、それはとても悲しいものだ。誰かのために物事を成しているわけでもないけれど、褒めてほしい、自分を見て欲しい、それは直接的なやる気にもつながる。まして自分ではなく他人のために動いているのであれば、なおさらその気持ちは強くなるはずだ。
私はその気持ちに、一番聡くなくてはいけないはずだった。私自身が、その感情を有してそれに振り回されているのだ。
「気づかないで過ごしていたら、私は、皆に厭われるようになった。それは、仕方のないことだよね。だって、頑張って働いてくれているのに、認めてもらえないのって、辛いもの。
けど…私は、自分の事情にかまけて皆を見ようとしなかった。」
認めてもらえない歯痒さ、着実に削られていく生命。たった二つの事由が、私から周囲を見る余裕を奪っていた。
「…私は、皆に嫌われているのを、和泉守のせいにした。彼にも何が、事情があったのかもしれないって、今なら思うことができるけど…。
自分勝手な、責任転嫁。」
同田貫が、怒りを露わにして吐き捨てた台詞。それをきっかけに、私の心の蓋は開き始めた。自分を認めて欲しい浅ましさ、自分は悪く無いという厚かましさ、それらを自力で気づくには私は勇気がなさすぎた。
自分で自分の悪い部分を認める強さが、私には足りなかった。きっかけが無いと動けないなど、情けないにも程がある。
いや、一番のきっかけは、私の「審神者を辞める」という報告から、だったのかもしれない。
「薬研や、三日月が私に話しかけてくれるのは、本当に嬉しかった。…本当だよ、だって、二人がいなかったら、私は本当に、この本丸にひとりぼっち。」
広い広い、この屋敷、その北にある離れは、逃げ場としてはうってつけだった。ただ、そこは誰をも拒否する砦でもあった。そんな場所に、わざわざ足を運んで、話しかけてくれる彼らには感謝してもし足りない。
「だけど、私は…、私は、心の中ではずっと、怖かった。
薬研は心のなかでは、渋々私と接しているのではないか。
三日月は本当は、私を嘲っているだけじゃないか。
信じれなかった、私の中には猜疑心が巣食ってる。」
もしも、彼らを信じて、彼らに助けを求めていたら結果は変わったのだろうか。私は、和泉守と会話を交わして、刀剣たちの輪の中に、「和」の中に入って行くことができたのだろうか。
変えられない事実を想うなど、滑稽というに他ならない。
「そして…私は、自分を省みることはなかった。
どうして認めてもらえないのか、自分が悪いんじゃない、私以外は、信じることなんてできない。
私はいつだって、現実から逃げてた。」
怖い、怖い、怖い。
気づかないうちに、私の両腕は自分に巻き付いている。寒さに震える人のように、自分の腕をギュッと握りしめていた。
「でも、もう、逃げちゃダメだから。
ちゃんと、見なきゃダメだって、気づいたの。」
三日月は、じっと、私を見ている。
やはり、彼が何を考えているかわからない。私が勝手に話しているだけだった。私のことなどどうでもいい、と思っているかもしれない。
独り言でも構わない、そう思いはしたが、こうもリアクションがないと少し恥ずかしくもなる。身じろぎすら厭われて、ただ彼の瞳を見つめ返した。
深夜、周りに誰もいない離れの縁側で、男と女がふたりきり見つめ合う。見ようによっては艶めかしい気もするが、いまこの空気を感じたならば誰もが裸足で逃げ出しそうだ。
三日月の、唇が動く。
「……泣いたならば、付け入ろうかと思ったのだが。」
「…………はあ?」
「泣いて、慰めてあやせば、俺に落ちてくれるかと思ったのだ。」
何を言い出すんだこの男は。
先ほどまでの空気が嘘のように霧散した。そこに、動くことすら憚れるような雰囲気はなく、三日月の笑顔と意味不明な言葉により、一気にやわらかなものへと転じてしまった。
彼なりの、配慮なのだろうか。
「主は本当に、思い通りにいかない」
「その言葉、そっくりそのままあなたにお返しします。」
「なんだ、言葉遣いが戻ったな。」
「……あ、あー…すみません、忘れてください。」
「いや、良い。むしろ、そのほうが良い。」
特別扱いではないか、と、彼は朗らかに笑う。
なんだろうか、一気に全ての力が抜けて、長いため息を吐いてしまった。
* * *
「……それで、ご用事はすみましたか?」
もう良い時間だ、そろそろ寝なければ明日に響く。とはいいつつも月の位置がわからないから、おおよ日付をまたいだくらいの時間くらいだろう。ここに来てから、日の出とともに起きて日没より少し遅く寝るような習慣を身につけているから、夜更かしは身体の毒だ。
彼にとっては、だが。
私は書類作業で夜更かしは日常茶飯事だから痛くも痒くもない。ああ、けれど夜戦をすることもあるから、案外平気なのだろうか、とも思いつき。
戦場で他の皆が夜戦で頑張っている時に、一人寝ていそうだな、なんて、そんなこと考えつくなんて、そんな。
「用事、ああ、そうだった。」
「え、本当に用事があったんですか。」
「そうだ。」
聞きたいことがあるのだ、と。
彼は、笑った。
「今日の昼間にな、狐を捕まえた。」
「…小狐丸を?」
「いや?」
「じゃあ、鳴狐を?」
「違う、あれだ、あの小さい、主の足元をちょろちょろとしている、」
「……こんのすけ?」
「そう、それだ。」
自分を年寄りと豪語しているからこその、この記憶力なのか、それとも名称など瑣末なことなのか。彼の本当はどこにあるのだろうか。
いやそれよりも、彼がなぜこんのすけと接触を持ったのかが気になる。おおよそ接点などないし、彼があれに興味を持つ理由など愛でることくらいしか思いつかない。
「ずっとな、考えていたのだ。」
「何を?」
「主が何故突然、審神者を辞すると言い出したのか。」
目の前で、唇が弧を描く。美しい、三日月の形を。
「考えて、考えて、ふと思いついた。
それの答え合わせをしようと思ってな。」
目の前で、瞳が輝く。美しい、三日月が妖しく光る。
「なあ、主。俺の話を聞いてはくれまいか。」
* * *
身体を捉えられた小さな狐は、哀れにも天下五剣の膝の上に乗せられていた。緊張からか身体はガチガチに氷付き、毛は些か逆立っているようにも見える。その身体をゆっくりと撫ぜながら、三日月は不満気に呟いた。
「…思ったよりも、気持よくないのう。」
「ならば触らないでいただきたいです!お離しください!」
「はっはっは、まあ待て。」
狐ではあるが脱兎の如く駆け出そうとしたが、ぎゅっとしっぽを捕まえられて足は空中を藻掻くだけに終わる。これが本当に狐だったらばとんでもない仕打ちである。
諦めて逃げるのをやめると、ずれた位置を正すように今一度膝の上に乗せられた。もうどうにでもなれ、とこんのすけは腹を括った。
「それで、お話とやらはなんでしょうか。」
すー、と、隣からは静かな寝息が聞こえる。随分と気持ちよさそうに寝入っている。その呑気さが恨めしい。
「主が、どうして審神者を辞めるといいだしたのか、俺なりに考えたのだ。」
「それが何か?」
「答え合わせを、したくてなぁ。」
そこから、天下五剣の刀は朗々と語る。
彼女が、審神者を辞めると言い出した前日。
出撃した隊は、和泉守兼定、堀川国広、大和守安定、一期一振、岩融、そして自分である三日月宗近の六振りだった。その日は珍しく物見の調子が悪く、普段通りの力を発揮できたかといえば頷くことは難しい、そういう日だった。そういう時に限って重傷者が出るもので、その重傷者が和泉守兼定だった。
敵本陣を襲撃した直後の怪我に、全員に緊張が走った。しかしすぐに反応した堀川が和泉守の援護に入り、大和守が敵主将を一撃で屠る。安定した古株勢の連携に舌を巻いた。
岩融が和泉守を支えながらの帰還だった。堀川はすぐに審神者を呼びに駆けていく。大和守はさっさと屋敷の中へ入っていってしまった。一期一振は、和泉守を心配そうに見たが、彼が大丈夫だと声をかけると一礼だけして中へと入った。
幾らもしないうちに、堀川は審神者の手を引いて戻ってきた。審神者は、いつもどおり和泉守だけをまっすぐ見ていた。ただいつものような笑顔でもなく、何かの感情に飲まれた歪んだ表情でもなく、なにも感情を貼り付けないままにその場に現れた。
今日は珍しいことが重なる日だ、と、そう感じたのでよく覚えている。
「…手入れ部屋へ、どうぞ。」
「だ、そうだ。和泉守よ、もう少しきばれ。」
「うるっせぇよ…くそ、かっこわりぃ。」
ずるり、と、足を引きずりながら、二人は手入れ部屋へと歩いて行く。堀川が心配そうに後を追う背を見送りながら、ふと審神者に視線を戻し、目を瞠った。
その顔の、なんと険しいことか。
今までも彼女は、そんな顔で彼を見送っていただろうか、そんな顔で他刀剣を見送っていただろうか。自分の記憶を辿ってもそんなことはなかったはずだ。
彼女の中には、いまどんな感情が犇めいているのだろうか。
自分が見ていることにも気付かずに、彼女はその場を去っていった。傷ついた、和泉守を治すために彼女は去っていった。
何かが、引っかかった。
「そりゃあ、自分の仲間が傷ついて帰ってきたらそういう顔もするでしょう。」
「そうだな、今までもそういう顔をするならば、俺もそう思っただろう。
だがな、違ったのだ。あの日は、明らかに。」
そして翌朝、彼女は皆が揃う大広間で、淡々と告げたのだ。
「それからな、俺は考えたのだ。
彼女にとって、「手入れ」とは、どういうことなのかを。」
「……というと?」
「彼女は俺達が傷ついても、心配している様をあまり見たことがない。折れない限りは治せる自信があってのことだからなのかと思っていた。」
折れない限り治せることは本当なのだろう。現に彼女は、どんなに重傷な刀であろうと治してみせた。ギリギリ持ちこたえて帰還した仲間を、時間を掛けて治してくれた。
ただそこに疑問も覚える。確かに資材と専用道具があればなんとかなるのかもしれない。しかし、「治す」ことに関する技術は一朝一夕では身につかないはずだ。まだそんなに齢を重ねてもいなそうな彼女が、ボロボロになった刀剣をあそこまで綺麗に完治させる技術があるとは、到底思えなかった。
するすると、絡んでいた疑問の塊から糸がほつれてくる気がした。その糸を、しっかり掴んで離さないようにして更に思考を進める。
もしそこに、「何らかの力」が働いているのだとしたら、どうだろうか。例えば体力とか、精神力のようなものが。しかし彼女は、手入れが終わったあとそこまで疲れている様子を見せたことはない。長時間手入れに向かった時の疲労は確かに見てはとれたが、上手に隠しているのか、それ以外の原因による疲労は感じ取れなかった。
ならば、他に何か使えるものはあるだろうか。
もし、仮にだ。
「彼女が、己の「命」と引き換えに、俺達の怪我を治しているのならば、」
それはおぞましい仮定だ。彼女は自分の死期が近づくのを知っていながら、自分を嫌う者達のためにその命を急速に消費していったのだとするならば。
慈愛や献身、自己犠牲などとは程遠い。彼女は何を思い何を考えて、自分たちを治していたのだろうか。懐きもしない、慕いもしない、指示も無視する刀剣たちを治すとき、彼女は一体どんな気持ちで手入れを行っていたのだろうか。自分が、その立場になったとき、果たしてどのように思うのだろうか。
「戦闘に命をかけ傷つきかえった俺達に、主は己の命を掛けて俺達の傷を治す。
なあ、そうすれば俺の疑問は消えるのだ。
彼女のあの表情も、ここを去ると宣言した理由も、なんとなく察しがつくのだ。」
こんのすけは何も答えない。というのも、何を言おうとも全てが肯定になる気がしたからだ。まさかここまで考える刀剣がいるとは想像もつかなかった。この本丸は本当にイレギュラーばかりだ。早速、政府にこのことを報告しなければなるまい。
「何も、答えぬか?」
「もう、あなたの中で答えは出ているのでしょう?
「想像」への正否はお答えしかねます。
ただ…、その「想像」は、くれぐれも他刀剣へお伝えしないよう、胸うちにのみ留めておいてください。」
「…あいわかった。」
こんのすけは、ひょいと膝から飛び降りた。
今度は、引き止められることもなかった。
* * *
なにを、言えばいいかわからない。
彼は気づいている。完全に、気づいている。
そしてあの狐もどきは、否定も肯定もしない。この場合、否定したところで肯定になるだろうけれど、あれはその場から去ることで完全なる肯定を示してしまった。
なにを言おう、どうしよう。
三日月は、ただ、笑っている。語り終わっても、笑っている。
「……答え合わせは、できたの?」
ようやく絞り出したのは、墓穴を掘るような質問だった。
「そうだな、主は俺の解答は合っていると思うか?」
「貴方の答えは根拠が薄い。裏付けのない解答は解答とはいわないんじゃないかな。」
「はっはっは、手厳しいな。」
だがな、と、三日月は言葉を続ける。
「寿命が原因でここを去るというならば、その原因がなくなればまだここに居てくれるのではないかと考えてしまう。」
……、音が耳をすり抜けていった。
噛みしめるまもなく、すり抜けていってしまった。
彼はいま、なんと言った。
「…え?」
「さて、そろそろ寝るか。」
「ちょ、三日月!」
言いたいことは全部言ったといわんばかりに、三日月は立ち上がる。私も慌てて立ち上がる。
不意に、私の顎に彼の指が触れて、上を向くように強制される。突然の行為に目を白黒させていると、彼は、誰もが見惚れるであろう笑顔を浮かべた。
「もしも、生き永らえたいならば、 」
彼の言葉に、思考がついていかない。
おやすみ、と、一言呟いて、彼はその場を後にした。
審神者としての任期は、残り十六日。
私の心に、迷いなど、ない。