森田ひかる 中編
@rumi_0980
?:あれ、雨止んでない?
〇:ほんとだ。止んでるね
開いていた傘を閉じて、まだ雨の雰囲気が漂っている朝の通学路を二人で歩く
?:もっと雨降って欲しかったんだけどね
〇:ひかるは、ほんとに雨が好きだよな
ひ:好きだよ。逆に雨嫌いな人いなくない?
〇:いるでしょ。好きな人よりは多いぐらいに
ひ:そんなわけないよ。〇〇が嫌いなだけでしょ?
僕とひかるは似てる部分や、好きな物が同じのことが多い
だからなのか、出会った小1の時にすぐ友達になり
高2の今では、彼女に恋をしている。
でも、雨の好き嫌い。だけは唯一合わなかった
〇:嫌いだよ。特に梅雨の時期とか最悪
ひ:えぇ?!なんで!?梅雨は一年の5大イベントじゃん!
5大イベントってなんだ?
お正月、お盆、クリスマス、ハロウィン、、梅雨?
〇:いや、梅雨は5大イベント入らないだろ!
ひ:入るよ!じゃあ梅雨の代わりのイベントなにがある?
〇:それは、、バレンタインとか、?
ひ:、そんなにチョコ欲しいの?笑
〇:は!?
ひ:〇〇はバレンタインが好き!ってメモに書いとこ笑
〇:書かなくていいから!
____
一緒に教室に入ると、各々の友達からの挨拶で一度別れる
席は離れすぎず、近すぎない距離感にある
先生が入って来て、いつもと変わり映えのない学校が始まる
____
午前の長い授業が終わり、やっと休み時間になった
ひ:〇〇、お昼食べよ
〇:いいよ
一つの机にお弁当を二つ置いて、向かい合わせで食べる
最初の頃は常に心がバクバクしていたが
今ではかなり慣れたと思う。
ひ:〇〇ってほんとに料理上手だよね
〇:一年間お弁当作ってたら慣れるよ
高校に入ってからお弁当を手作りするようになった
ひ:私もたまには作ってみようかな、、
〇:ひかるって料理できるっけ?
ひ:んー、少しだけならできるかも、、
〇:じゃあいつか作ってよ。ひかるの手料理。
少し恥ずかしいが、言ってみた
ひかるなら冗談だと笑ってくれるはずだから。
ひ:、、いつか作ったら食べてくれる、?
〇:もちろん。食べさせていただきます。
ひ:そっか、ありがと、笑
少し寂しそうに見えたのは気のせいなのかもしれない。
いや、気のせいだと自分に言い聞かせたかった。
ひ:じゃあ食べよっか!いただきます!
〇:いただきます
それ以降はいつも通りの雰囲気でお弁当を食べた
鐘が鳴って、ひかるは席に帰っていき午後の授業が始まった
____
一日の学校の予定の全部が終わり、あとは帰るだけになった
ひ:〇〇一緒に帰ろ
〇:うん、今行く
ひ:あのさ公園寄ってかない?
公園か。久々に行くのもいいかもな。
〇:いいよ。寄ってこ
学校を出て、公園に向かう
外は傘を差すのを迷うぐらいの小雨が降っている
〇:公園まで結構距離ある?
ひ:ううん、結構近いよ
〇:そっか
傘を差さずに手に持って行くことにした
ひ:やっぱ雨降ってるんだね
〇:もう梅雨の時期だからじゃない?
ひ:そうかもね。私は嬉しいけど笑
〇:あのさ、ずっと気になってたんだけど
ひ:ん?
〇:なんでそんなに雨が好きなの?
雨が嫌いな僕からしたら、雨が好き。というのは理解ができなかった。
でも、ひかるが好きなら僕も好きになりたい。
ずっとそう思っていた。
ひ:んー、雨ってなんか自分の心に寄り添ってくれてる。というか、、
ひ:私のいい事がある日って、毎回雨が降ってたの。入学式も、受験の合格発表の日も、、〇〇と出会った日も。
ひ:その度に、どんどん雨が好きになっていって
雨が降ってるから、今日はいいことあるかも!って笑
〇:そうだったんだ笑
ひ:でも、私の勘違いだったのかも、、笑
〇:え、?
ひ:はい、公園着いたよ!
ひかるの前には、どこか見覚えがある公園があった
〇:ここってさ、僕とひかるが出会った場所だよね、?
ひ:、、覚えててくれてたんだ、笑
何故かここの公園は出会った時以来、来たことがなかった
ひ:ほら、早く入ろ?
公園の中に入って、近くのベンチに座った
〇:公園でなにしよっか。遊具で遊ぶ?
ひ:ううん。なにもせずに、ただベンチに座ってたい
僕たちはベンチに座って、ただ公園を眺めていた
少しの風と雨音しかなかった
〇:あのさ、ひかる。
ひ:ん?
〇:なんかあった?
ひ:え、いきなりどうしたの笑
〇:、気の所為かもだけどさ、いつもより悲しそうだから。
ひ:、、やっぱバレるんだね、笑
ひかるはベンチから立ち上がり
ひ:久々にさ、ブランコ乗ろうよ
〇:いいけどさ、
隣同士でブランコに乗った
ひ:やっぱ雨止まないね。
〇:うん、今日はずっと降ってるんじゃない?
ひ:そっか、やっぱ偶然だったんだね、笑
〇:あのさ、、
僕の言葉を遮ってひかるが話し始めた
ひ:私ね、海外行くんだ。
すぐには言葉の意味を理解できなかった。
言葉の意味を理解し始めても、現実を受け入れられない
〇:そうなんだ、、
ひ:うん、いきなりでごめんね
〇:、いつ海外に行くの、?
ひ:明日にはもうこの町からいなくなってるよ
いなくなってるって、、そんな切ない事言うなよ、、
〇:なんで海外に行くの、?
ひ:親の仕事の都合。多分もう日本には帰ってこないって。
〇:海外ってどこの国、?
ひ:、、言いたくない。
〇:なんで、?
ひ:、言ったら、少しだけ〇〇が心の中に残っちゃいそうだから、、
その一言は、僕の心を突き放すには充分すぎた。
色々と伝えたいことはある。でも、
伝えたくても、どう伝えるべきなのかわからない。
〇:あのさ、ひかる
ひ:ん?
〇:俺ずっとひかるのことが、!
ひ:待って!
言葉を言い終わる前にひかるの言葉に遮られた
ひ:待って、それ以上は言わないで
〇:え、なんで、、
ひ:それ以上言われると、まだ一緒にいたくなっちゃう、、
自分の思いも言えずに会えなくなってしまう
そう思っていたら、自然と涙がでてきた
会話が起こらず、雨が強くなる中
僕は涙を堪えるのに精一杯だった
ひ:やっぱ偶然だったんだね。
〇:え、?
ひ:いい事がある日に雨が降る。ってやつ
さっきから雨は強くなっていく一方だ
ひ:今日は晴れてくれると思ってたんだけどね笑
少し声が悲しそうで寂しそうに聞こえた
ひかるの方を見ても、
頬を伝っているのが雨なのか涙なのかわからない。
ひ:じゃあ私そろそろ家に帰るね。
〇:え、待って。もう少し、!
ひ:ううん、もう終わりにしないと。 〇〇。ずっと___
雨の中ひかるは走って消えてしまった。
ひかるが最後になんて言ったかは聞こえなかったが、
こっちを向きながら 優しい笑顔で、「バイバイ」と言っていた気がした
こうして、僕の初恋は大量の雨と共に強く儚く消えた。
もっと早くに自分に素直になるべきだった。
雨が好きな君のことを僕はずっと好きだった。
君と一緒にいる時は雨も少しだけ好きになれていた。
でも、君がいなくなった今はやっぱり
雨なんか大嫌いだ。
fin.