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にのまるブロマイド事件簿

全体公開 二修 1 3061文字
2023-06-30 11:42:03

□にのまるブロマイドから発生した騒動に巻き込まれた修とそれが不愉快な二宮匡貴。おまけで菊➡修会話文

Posted by @wtkotaji


【にのまるブロマイド】とは。
 
 二宮隊との対戦前、三雲修に頼まれた烏丸京介は、仮想二宮匡貴として空閑遊真達と対戦した。
 その際の貴重なスーツ姿を撮影した生写真は闇ルートで本部に持ち込まれ、最もうまいお菓子をくれた者にこれをやるという玉狛のとあるお子様の宣言により、一部の女子の間でスイーツ争奪戦が勃発した。結果はお子様のおなかが一杯になった為引き分けになり、参加者には高精細スキャン画像が分け与えられた。
 しかし、現物が今どこにあるのかは誰も知らない・・・・。
 という、曰く付きのブロマイドの事である。
 その、現物は今どこにあるのか?
 スキャン画像ではなく、是非とも現物が欲しい、見たい。そんな烏丸ファンは後を絶たないという。
 そしてこの事件は、その一枚のブロマイドをきっかけに起こった。
 
「ごくろうだったな」
「・・・・・・・」
 その発端は、お菓子を沢山貰った陽太郎から手渡された例の生写真だった。
 渡された烏丸は暫し無言になった。
 なにしろ自分単品の写真である。しかも若干コスプレ感のあるスーツ姿。正直物凄くいらなかった。
「──修」
「はい?」
「ほら」
 捨てるのも自分で持っているのも微妙な結果しか予想出来ない。烏丸は何となく横にてカレーを食べていた修に写真を渡した。
「これをお前に託す」
「・・・はぁ、」
 これでよし、と満足そうにカレーに戻った烏丸とは逆に、困惑したのは写真を渡された修だ。
 自室に戻った修は地味に扱いに困った写真を眺めた。いつ撮影したのやら、写真には本部でも大人気らしい修の師匠が写っている。
 実家で飾れば母に必ず突っ込まれるだろう。
 欲しがる人などいくらでもいるだろうが、誰かに譲るのもくれた烏丸になんとなく申し訳ない。
 小南辺りなら「申し訳なくなんかないわよ!さっさとあげるなり捨てるなりしちゃいなさい!」と言いそうだが、お世話になっている先輩の写真だ。流石に捨てることは出来ない。
「・・・・・・・」
 暫しの沈黙の後、修は考えることをやめ、取り敢えず手帳に挟んでそっとしておくことにした。
(栞がわりにさせてもらおう)
 
 しかし、それが悪手だった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 にのまるぶろまいど事件簿
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 三雲修が師である烏丸京介の写真を持ち歩いているらしい。
 
 
(何でだ・・・・・、)
 ボーダー本部に着くなり「最近噂になっているけど本当か?」と訊かれた修は内心突っ込んだ。いや、少し口に出していたかもしれない。
 修としては烏丸から写真を預かってる感覚なので、所持していようが大して気にしていなかっただけなのだ。
「三雲お前、烏丸の写真を持ち歩いてるのか」
「はぁ、一応お預かりしていますが」
「・・・・・・・」
 なんで二宮さんまで知ってるんだろうか。
 唐突に話題を振られた修は、居心地悪気に頷いた。
 今現在、修と二宮匡貴はエレベーター内に二人きりでいた。空気はこの上なく重苦しい。酸素が異常に薄く感じるのはなぜだ。
 二宮は城戸司令からの呼び出しで、修はメディア対策室長である根付に謝罪に行く所だった。行き先を尋ねた二宮は「また何をしたのかこの眼鏡は」と嫌そうな顔をしていた。
 それが数秒前のことである。
 ゴソゴソと手帳を取り出したのが不味かった。はみ出していた写真に、目敏く気付いた二宮の眉間に皺が寄る。
「・・・・・・・なんだそれは」
「あ、二宮さん対策の時の烏丸先輩の写真です」
 言ってから、ただのスーツ着た烏丸じゃねぇか馬鹿にしてんのかと言わんばかりの無言の圧に、修は言い方を間違ったかと焦った。
 確かに、写真だけ見れば烏丸京介がスーツ姿で写っているだけだ。これが自分対策の為に練られた作戦ですと言われても、負けた二宮からすれば巫山戯ているのかと苛立つだけだろう。
 しかし、実際は別のところに不満を抱いたらしい。先輩単体の写真を持っていることは、確かに妙かもしれない。だがそれが二宮にどう関係するのだろうか。
(二宮さんの格好をしているのが単純に不愉快なのか?)
 似合っているが駄目なのだろうか。
 どちらにせよ、二宮の機嫌が下降したのは間違いない。
 どうすべきか逡巡している間に、エレベーターが到着を告げた。
「あ、では、ぼくはこれで」
「・・・・・・・あぁ」
 中途半端で妙な空気のままではあったが、二人は会釈と無言の後に、それぞれの場所へと別れた。

 翌日。
「聞いたわよ、三雲くん。集めてるんでしょ?」
「? 何がでしょうか」
「だからあげるわ」
 主語なく加古望から二宮の写真を手渡され、修は初めて宇宙を眺めた猫のように困惑し、固まった。
 しかも渡されたのは何故か証明写真である。一枚だけ切り取られた残りだ。これをどうしろと。
 返答に窮している修に構わず、加古は楽しそうに写真をつつきながら「藁人形なんかに使うと便利だと思うの」などと恐ろしいことを言っている。
 そういったことに使う予定はないのでと断れば「あらそう?」と少し残念そうな顔をする。
 本気なのか冗談なのか、使う予定だったのかなんてとてもじゃないが訊けなかった。
 修はやんわりと写真を返却しようとしたが、逆に新たに差し出される。また証明写真だ。
「こっちは高校時代だからプレミア付きそうよ」
「・・・少し幼い雰囲気ですね」
「面白くないわよね」
「はぁ、」
「これもあげるわ」
「・・・・・・・ありがとう、ございます?」
 
 結局増えた。
 
 
 
 こうして人づてに渡されたり、善意(?)からくれる人だったりと、何故かブロマイドを渡してくる輩がやたらと増えたので、修は暫く様々なボーダー隊員のブロマイドを持ち歩く謎な眼鏡と呼ばれることになる。
 これは「律儀に人の写真持ち歩くのやめれば?」と菊地原が呆れて突っ込むまで続いた。
 
 
 
 
 
 
 ...end?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「そもそもアルバムにしないと持ち歩けないぐらいの枚数の写真もらってどうするのさ」
「はぁ。一応、いただいた?ものなので適当な扱いをするのも失礼かと」
「しかも全部単品で写ってるやつだし。このひと達どういう神経してるの」
「皆さん善意からくださるようなので。嵐山さんには完全にぼくがボーダー隊員の写真を集めていると思われたみたいで、態々嵐山隊全員のブロマイドをくださいました」
「キミがそうやってほいほい貰うからでしょ。・・・うわ、どうするのさこれとか。証明写真じゃん」
「それはそうなんですが、どうやら二宮さんのは誤解だったようで。色々あって返しそびれてますが」
「よくわかんないけどどうせなら複数人で写ってるやつにしなよ。自分が写ってるやつとか」
「確かにそうですね」
「これに懲りたら安易な行動はやめたら。じゃあ、」
「あ、菊地原先輩、折角なんで一緒に撮りませんか?」
「・・・・・・・はぁ?なんでぼくがキミと一緒に写真に写らないといけないの?何かの記念のつもり?」
「アドバイスもいただいたので。でも無理にとは、」
「誰も嫌だとは言ってないでしょ早くしなよ」
 
 
 
 
 今度は修とツーショットの写真を撮るのが流行した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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