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ひねくれ王子は夜更けの姫君に愛を乞う あとがき

全体公開 あとがき 1 7 7031文字
2023-07-16 22:13:24

非常に長い自作語り

〇総括
今作『ひねくれ王子は夜更けの姫君に愛を乞う』は、基本的にはシンデレラだと思って書いたお話でした。
まあ異世界恋愛ファンタジーにバチボコにジェンダーを持ち込んだ時点でどうかしていると思う。自覚はあります!

シンデレラは構造的には、
起:色々と大変な状況にあるヒロインが
承:魔法使いの力を得て王子と出会うが
転:魔法が解けて王子と一旦別れる
結:けれど王子がヒロインを探し出して求婚してめでたしめでたし
という話だと思っているので、この形だとジークとヘルマンも多分そうなんですよね。

『呪われし~』は美女と野獣と人魚姫とかぐや姫のトリプルミックスだったので、今回はわたしの中ではシンデレラです。

「強くてかっこいい」女の子が幸せになるお話も、世の中には沢山あって。
でも、「強くてかっこいい」まま幸せにになれるかと言われると、少しばかり違ったり。そして、「強くてかっこいい」の中に確かに一抹の可愛げとかが埋もれていたりはするのです。

なりたい自分とか本当の自分を捨てて愛されることは、多分そこまで難しくはない。
でもそれってしあわせですか?
誰かの承認欲求のためにトロフィーワイフになって、「守られ」る。
そんなの別にいらんやろ、とか思い(過激
 
愛玩動物のように愛されることではなく、人として肯定されること。
それが一番大切だし、難しいんじゃないかなと。
けれど、なりたい自分をずっと諦め続けたヘルマンなら、それもできることかなと。多分他の人にはできない。
どこまでできたかはわかりませんが、「強くてかっこいい」私も「可愛くなりたい」私も全部肯定できるようなお話になればいいなあとは思っています。

あとは、かっこいいということが、真に心根に宿るものなら。それは、チビでも童貞でも運動神経が皆無でも、スパダリでなくても、損なわれるものではないはずです。
そういうことも、ヘルマンには頑張ってもらいました。成功しているとよいのですが。


〇最後の展開
一応何パターンか考えてはいました。

①ヘルマンが最後ハーディの魔法で女の子になってジークと結ばれてめでたしめでたし(ヘルミーナ再来)
②ヘルマンが男のままのジークと結ばれてめでたしめでたし(BL)
③ヘルマンがクラウスと戦うことを対価とする→あとは一緒

どれも別に悪くはないと思うんですけど、これも先述ですが、なんとなく『ありのままの自分を受け止めてくれる人と出会って、幸せになってほしい』みたいな願望が自分の中にはありまして。
それだと①と②は成立しないんですよね。どちらかが元の姿を捨てることになる。
③も③で、まあヘルマンが帰ってきたド〇えもんののび太みたいにぼこぼこにされる感じなんですけども、結局コンプレックスの果てに掴んだ自分の能力を捨てた結果になるんじゃないかなと思ったので、本編のお話の形にしました。③だと多分、本当の意味で二人とも救われないので。そんなことしてもらっても多分、ジークリンデ嬉しくないし(ぁ

正しくなくても、足りてなくても、それを受け入れてくれる人と出会えたなら。
その先に、自分一人では届かなかったものがあればいいな、と。

誰かに見出してもらえないと気づけない輝きのようなものを、お互いに見つけられるような二人を書けたらいいなと思って書き始めたお話でした。
(その割には色々とめちゃくちゃしたけどな(ぁ)


〇キャラ
・ジークリンデ/ジルヴェスター Sieglinde/Silvester
イメージソング:花冷列車『気の利かない神様だな』
        青い春のエチュード『たった一度それだけで戻れなくなるの』
本作の主人公。脳筋ブラコン拗らせヒロイン。天然クールなお姫様かつ忠犬。
ジーク(Sieg)はドイツ語で勝利の意味。勝利の女神のつもりで書きました。
多分、かっこよくは書けてると思うんですが、可愛げを出せているかがやや不安。
ずっと男の子の着ぐるみに女の子が入っているイメージで書いていました。
昼間は男として自己実現して、夜は女として好きな人に愛される、という時点でちょっといいとこ取りだなと思ったので、えげつない目に遭ってもらいました。ごめん。反省はしている。
最後、ちゃんと王子様に着ぐるみから出してもらう的な。
この世のモテの大方を手に入れたひと。ショートカットで目鼻立ちがきれい。
スタイルはめっちゃいい。意外と負けず嫌い。

・ヘルマン Hermann
イメージソング:Sheep『真夜中にしたためたラブレターのように』
        紋白蝶『分かってたってきみに勝てない』
本作のもう一人の主人公。ヒロインじゃなかったヒーロー。ブラコンでシスコンのガキ王子。
地獄(hell)のイメージでつけた名前です。
結局本文では入れなかったんですけど、
「さあ、天に太陽と月は満ちた。それなら、俺は一体、何になればいい」
というのが彼のテーマです。太陽がクラウスで、月はハーディ。
太陽も北極星も同じ恒星で、自分で輝いていることに変わりなく、違うのはその距離だけ。気づいていないのは本人だけ、といった意味を込めてあります。
自分を星だと言ってくれた人に夜空を模したドレスを贈る系のDTロマンチスト。
頭はいいけど目つきは悪い、誤解されがちだけどやさしい。面倒見は割といい苦労人。
だいたいかっこいいとDTを1:3ぐらいで配合して作りました(ぉ
細かいこだわりで言えば、ヘルマンは「ジーク」とは呼ぶけど「ジル」とは呼ばないんですよね。
あと、最後の最後まで「好き」とか「愛してる」とか言わない。
別に顔が悪いわけではないと思うんだ……兄上がゴツイ系のイケメンで弟が優男でその間で普通にいるだけで。
デートの時のカンパニュラの花はこっそり押し花にしてあり。執務室の机に置いていて、仕事の合間ににやにや眺めています。目つきがやわらかくなるので、みんなジークにもらったんだろうなぁと気づいている。
それなりに人には慕われているので、城の文官たちの信頼は厚い。
感想でもらった『身長と自己評価だけが低いスパダリ』というのが気に入っています。

・クラウス
いつもキラキライケメンマッチョお兄様。日なたの匂いのする背の高い男。
いきなり勝負を挑まれても全然怯まない。自己肯定感の塊。相手が女の子でも素直に「強い」と言えて、相手が弟でも率直に「羨ましい」と言える。それが彼のまっとうさであり、自己肯定感だなあと。
いやでも事情もわからず勝負させられているこの人が多分本当は一番不憫(ぁ
でも、ヘルマンとジークリンデが結ばれて一番喜んでいるのもこの人。もしかしたら、ヘルマンの戦術でジークリンデが戦っていたのも気付いているかもしれない。
ヘルマンのことをとても信頼しているし、優秀な弟だと思っています。だからこそ、ヘルマンの自己評価が低いことを一番気にしていたのはクラウスなんじゃないかなと。
今回ちょっとかませ犬感がすごかったので、そのうちクラウスをヒーローにしたお話(『太陽の王太子は氷の乙女を篭絡する』(仮))も書きたいんですが、如何せんメインで動かすには光が強すぎる……

・ハーディ/ハッピーちゃん
13歳女子に「おれが女にしてあげる」なとど言っちゃった孤高のロリコン魔術師兼甘党の小鳥。
久しぶりに書いたので探り探りでしたが、この人を食ったような雰囲気とさりげない繊細さが好きなキャラです。
前作では一人好き放題やっており、立ち位置は本シリーズにおけるほぼドラ〇もんです。
なので、舞台装置としてのハーディが機能してくれるかがある意味勝負ではありました。
正直嘘が吐けない設定がもう大変だった! 考えたのはどいつだ!!(お前だよ
特技は顔がいいこと。魔法はオマケ。前作に引き続き頑張って頂きました。あなたって本当に処女がすきね……
本編でほぼ鳥なのは、この人を出すと顔の描写が面倒で作者が疲れるからです。省エネ。

・ルイーゼ
本作の狂言回し。成長した妹。
今の彼女になら、言えることも沢山あるだろうと思って頑張ってもらいました。いい子です。
ふと思ったのですが、仮に呪いがなくてルイーゼが普通の王女だったとしたら。
誰かに嫁ぐとなった時、そのお相手の方は
①まずクラウスと手合わせする「君の本気に、私は全身全霊で応えよう」
②次にヘルマンとチェスをする「やる気がないなら帰って頂きたい」
となって、二人に多分ボッコボコにされるんですよね(ぁ ルイーゼ、どう考えても結婚できないなと思いました。
そう思うと、相手がロリコン人外魔性でよかったのかもしれないです。


〇身長
本作の重要なファクターの一つ(何
クラウス 183㎝
ハーディ 178㎝
ジルヴェスター 177㎝
(ヨアヒム 174㎝)
ジークリンデ 170㎝
ヘルマン 163㎝
ルイーゼ 152㎝
弟よりも10㎝以上小さいことがヘルマンのコンプレックスです。


〇サブタイ
めちゃくちゃ苦手なんですけども、今回は書きながらちょっとずつ決めたところもあります。
お気に入りは11・17・36・41あたり。
ひねりはないけど、37は絶対これにしようと決めていました。


〇ジェンガ
何をさせるかを思いつくまでが大変だった!
例えば戦略がものをいうゲーム(例:カードゲームとかチェスとか)は絶対にヘルマンが勝つ。
逆に運動神経がものをいうゲーム(例:ダーツとかビリヤードとか)は絶対にジークが勝つ。
となると何をすればいいのか(ぁ
両方の要素が入っているゲームということでジェンガにしてみました。
一応、動揺した方が崩しちゃう感じにしています。
ちなみにジェンガはスワヒリ語らしいです。


〇ヘルミーナ
先述の①にも通じる話ですが、このシーンを書くまでは、ジークが男になってヘルマンが女の子になる結末もありだと思ってたんですよね。なので、「じゃあやってみるか」と書いてみました。
意外と収まりがいい部分と、そうはいかない部分があって。そういうのをあぶりだすにもいいエピソードになったかなと思います。多分、ヘルマン割と可愛いと思う(ぁ


〇二部でやりたかったこと
・お忍びデート(ロー〇の休日)
・リンゴわけっこ
・雨
・壁ドン
・彼シャツ
一部がDTポエムの少年漫画だったので、二部は少女漫画にしたく。
いわゆるお約束的なものを結構盛り込んでみたのですが、なにせあの二人なのであんなことやこんなことになりました。どれも楽しかったです。


〇対価
ジークリンデの最初の対価は、「髪」なんですけども。安直ですが、「髪は女の命」というので、女性らしさそのものを対価にした、みたいなつもりでした。
ヘルマンの対価をめちゃくちゃ悩みました。
彼は自己評価が低いので、正直自分の何を差し出すのも厭わないからです。
手をもがれても目を抉られても、「どうせ俺は戦うわけじゃないしな」と平然としているのが見て取れたので、そういうもの以外にしようと思いました。それをハーディには見抜かれているんですよね。「お前が価値がないと思うものを、おれが奪う意味はない」ということで。
作中でのあの対価は、ヘルマンの男子としての敗北というかプライドを捨てる結果に近いんじゃないかなとは思うんですよね。
あと、ヘルマンは「お前が命を懸けるだけの価値があるか」と口に出してしまったので。他人に自分の価値を証明させようとした分の業を背負ってほしいなとか思い。


〇VSクラウス
ここは、意図的にジークリンデがジルヴェスター(本物)と戦っていた昔の夢のシーンと同じ構成かつジェンガのシーンを生かせるようにしました。あの時勝てなかった象徴としての”兄”に勝つ、みたいなシーンになっていたらいいなと思っています。
結局ここでクラウスに勝てないと、ジークはきっといつまでも「男の自分でいた方が強かったんじゃないか」っていうのを思い続けると思ったので。自分のまま強くなるジークになってほしかったです。いや、でもやっぱり顔はあかんやろ、顔!!


〇プロポーズ(やり直しの方)
意識的に、第一部の最後を全部逆にした感じにしました。
(まあ着替えさせたのは完璧にただの趣味ですがw)
最後の台詞を「俺もだよ」にするか「知ってたよ」にするか延々と悩み。
「いや、知ってならもっとやり方あるだろう!!」ってツッコミたくなるのが彼らしいかなと思って、あれにしました。


〇強さ
『心優しくあたたかい男性こそが、真に男らしい頼りになる男性なのだと気づくとき、たいていの女はもうすでに年老いてしまっている』
とは、あまりにも有名なベルばらのオスカルの名言ですが。
なんか、前に出て格好付けて大声を出すだけの男らしさみたいなものはもういいなと思いまして(唐突
一番かっこつけたい相手に、一番嫌いな服を着て、「俺を守ってくれ」と膝をついて愛を乞う。
それが出来るのが一番の強さじゃないかなとか思ってあんな感じにしてもらいました。
だからこそきっと、それが何よりもジークリンデの心を守ってくれるんじゃないかなと。
今のところランキング(物理)はこんな感じ。
ジークリンデ>クラウス>ジルヴェスター>>>>>(越えられない壁)>>>>>ヘルマン
ハーディは魔法が使えたら最強なんですけど、物理だけならどうなのか気になるところ。
ハーディとクラウスを戦わせてみたい気はあります。


〇没ネタ
気が向いたらいつか書くかもしれない。
・近衛騎士団わくわく男子校生活
 あまりにもなんかうるさい感じだったので没になりました。
 多分、みんなジルヴェスターが頑張ってることは知っているので、見守ってもらってるんだとは思います。

・さっぱりわからん
古今東西の恋愛小説を読みながら一生懸命おべんきょうをするヘルマンの話。
「『君の瞳は夜空のようだね』って何考えて言ってるんだ? 誰も彼も女にこんなことを言ってるのか? わけがわからん」とか延々とツッコミを入れる感じ。
DTがあまりにもDTだったので没になりました。
(実はどなたかのムーン掲載分を読ませるとかも面白いなとか思っていましたw)

・すきなタイプ
ある日突然ジークがヘルマンに「そういえば殿下の好きな女性のタイプ聞いたことありません」って言うだけの話。
ごちゃごちゃするけど、最終的には「俺は背が高くて、足がきれいで、剣術の強い女が好きだ」と答える。ジークが分かっているかは微妙なところ。
他のカップリングでやっちゃったのもあって没。

・お姫様が抱っこ
絶対にお姫様抱っこしたいジークリンデ VS それだけは勘弁してくださいのヘルマン
普通に面白そうだったけど、そこから先何をすればいいのかよく分からなかったので没。

・王弟殿下は腹立たしい
無事?クラウスが国王になった後の話。名代でヘルマンはジークリンデと近隣諸国に招かれるけど……的な。
その国の皇太子に、ヘルマンのことを「大して武力もない王弟」と言われてキレそうになるジークリンデ。その場はヘルマンに止められる。
しかし、次に「大して身分もない騎士ごときの妹を嫁にもらうなんて」と言われて、今度はヘルマンがキレる。最終的にその皇太子はジークリンデにメタメタにされる。
「美しいだけの女と、強くて美しい女がいたら、誰だって後者を選ぶ。それだけのことだろう」とヘルマンが言い捨てて終わり。
ネタとしては気に入っているのでそのうち書くかもしれないです。

〇よく聞いてた曲
第一部:君に叱られた『やっと分かった 君の存在』
第二部:『胸の中にあるもの いつか見えなくなるもの』
第三部:フィギュア『どこかへ行こう そのための花束を』
全部好きな曲です。


ということで、ヒロインがヒーローより先に童貞を卒業する・ヒーローが女装するなどという珍妙なお話(我ながら書いていて何を言ってるのかよく分からなくなってきた)でしたが、楽しんで頂けていれば幸いです。


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