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死神meal

全体公開 1512文字
2023-08-06 23:20:43

ここでは、プロローグを試し読みすることが出来ます。

 死神は多忙だ。地上では死を司る、神というイメージがどうやら先行していて、あまりよくないもの、例えば天使たちとは敵対するような存在と思われているしいが、実際は違う。
 人の行き死にが過剰とならないように調整をしたり、神の計らい、というものが実際にあると思わせるため、定期的に瀕死の人間を救ったり、あるいは死して魂となった存在の、最後の身届けを行ったり、その業務は多岐にわたる。なぜその仕事をするのか、と聞かれればそういう存在だからとしか言いようがない。ただ、上位の神の名のもとに私たちは動いている。
 そんななか、私が配属される日本地域にて新たな課題が出てきている。それは異常なまでの自殺者の増加だ。この問題は近年、別の地域でも出ていることを聞いていたが、ついに日本にまで……と思わざる得なかった。
「今までの業績を鑑みて、ブラック、君にも対策部署で働いて貰いたい」
 突然の呼び出しは、私の予想通りのものであった。いや、正しくは呼び出されるということには驚きはしたが、この急な呼び出しをされると言うことは、という推察による物の方が近いかもしれない。
「承知しました。しかし、手法は?」
「それはまだなんとも。いかんせん、私たちは全体の調整、人類という全体での種としてのバランスでしか考えてこなかった。しかし、この問題は個に当てる必要がある。だから君が思い、考えで自殺者を引き留めてくれ。その為ならある程度の超常現象は許可する。ただし、その人の精神をまるっきり置き換える、みたいなことや記憶を据え変えてしまう、というのはNGだ」
 その言葉に口に手を当てて絶句してしまう。一見何でもしていいからと言われているようだが、実のところそうではない。問題を解決するのであれば精神操作が手っ取り早いけど……確かに、あまりにそういった事に踏み込みすぎると人間界のバランスが崩れてしまうだろう。どうしてダメなのか、その理由は分かる。しかし、ではどうするべきか。
……また、難しいお題ですね」
「重々承知だ。無理難題を押しつけているのは分かっている。だからたとえ自殺を止められなくても責めることはないし、時間がかかる手法でもかまわない。とにかく、いろんな死神が、いろんな方法で物事に当たって解決策を探し出してほしいんだ」
「どうして、私にそのような仕事を?」
 別にそこに行くこと自体には嫌悪感があるわけではない。しかし、何を考えて私を抜擢してしたのかぐらいは知っておいて損はない。何を求めているのかを知ることで、多少なりとも、今回の解決案にはなるだろう。
「君は今まで魂となった人類にこれからの説明や、取り乱すこともある人類のヒアリングなども行ってくれている。ただ数値を管理している部署よりは人類に近いことは間違いないからな」
「だとしても、同じ役回りの人は他にも」
「あぁ。しかし、君が担当した魂からの意見が好評な物が多いのだ。リラックスが出来た、感情が暖かくなった、在りし日を思い出させられた、そんな感じのな」
「そう、ですか。かしこまりました。私に出来ることをできる限りやってみます」
 かなりふんわりとした理由で、結局何を求められているのかは分からなかった。しかしまあ、そういったことが好まれていると言うことが分かったのだから、そういった感情になるようにアイディアを出せばいい。私の考えに間違えはあるまい。
 背筋を伸ばしてそばに置いてあるやや小さめの釜を手に取る。
「知的な感じを醸し出してるのに、ドジなのがいいという意見が最大派閥だったがな」
「はい? 何か言いました?」
「いや、なんでもない。ブラック、頼むぞ」
「はい」


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