これここで終わってもええかね?
@azisaitsumuri
ただ何をするでも無く、雲の動きを見て居た。
そうして何度も形を変える空を眺めて居る間に、そばに持って来て居たグラスの氷は、全て溶け切ってしまって居たようだった。からん、との音も聞いて居無かった。
一口飲むと水っぽい。が、入れた氷が溶けたことに気付いて居るせいで、そう感じるだけかも知れ無い。
と言うかそれよりも、ぬるさの不快感の方が強かった。
辟易して、グラスを戻してしまった。ぬるくても水分を摂った効果は有る筈なのだが、どうにも気分になれず、また空に視線も戻した。
からん、と隣から音が鳴った。
リッパーが同じように氷を入れた麦茶のグラスをそこに置いた。
いれたてのそれは、こちらと違って、当然まだ冷たいのだろう。
「足しますか?」
こちらのグラスを認めたリッパーがそう言うのをぼうっと聞こえたため、自分のグラスを奴の方へ滑らせた。
リッパーは零すこと無く器用に冷たい中身をこちらのグラスに分け、寄せられたグラスを元に戻した。
こちらのグラスにも、涼が戻った。
自分のグラスに口を付けるリッパーを見ながら、分けられら涼に、なんだかどうしようも無い想いを感じ、つい、男を見詰めてしまった。
涼し気なのに、この男は夏空の下の、太陽の花のように華やかだ。
見て居たことを、リッパーが気付く。
健気な花とは程遠い、艶っぽい笑みを浮かべながら、男は言った。
「麦茶せっくすのことでも考えてるんですか?」
「いや違うが。」
まだ今日は暫く暑そうだ。