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【感想メモ】横浜狂言堂(野村万蔵家)

全体公開 2376文字
2023-08-14 17:01:38

勝手に決めました、毎月第2日曜日は狂言の日
普及公演「横浜狂言堂」

8月13日(日)14:00~15:35
横浜能楽堂

2,200円で、解説と狂言2曲が楽しめる、横浜能楽堂の主催公演です。月に一回開催されてますので、皆様も是非。

今月の担当は、野村万蔵家でした。
万蔵家の狂言を観るのは、これで4度目かな。


●お話:野村万蔵

まずは万蔵さんのお話(解説)から。
狂言方として、「横浜狂言堂」というネーミングに感謝しているという想いを話してくださいました。だって普段は「能楽堂」ですからね。狂言の「狂」の字も入ってないと(笑)

能楽と呼ばれるようになったのは明治時代に入ってからで、それまでは「猿楽」と呼ばれており、これを英語に訳すと「モンキーダンス」になっちゃうから、真面目な「能」から取って「能楽」→「能楽堂」になったそうです。

一応、能と狂言、2つ合わせて「能楽」ということになってますがね、この言葉が出来た頃から、能と狂言は対等な立場だったのに、狂言が少し下に見られるようになってしまったそうです。

能楽堂って英語に訳すと「ノウ・シアター」になるんですね。でも万蔵さん的には、「ノウ&キョウゲン・シアター」って言ってもらいたいんだそうです。確かに、能楽の言葉の意味を考えれば、後者が正しい訳し方ですよね。


今回の演目は「雁大名」と「八幡前」。

似たような狂言が他にもあり、オチがそちらのほうが面白いとか、あとは時代にそぐわない、意味が通じなくなってる等の理由により、あまりかからない曲を遠い曲といいますが、今回の2曲もそんな遠い曲のひとつ。
今回は丁度、虫干しの季節で、装束だけでなく、演目も虫干ししようということで、選曲されたようです。

あまりかからない曲が観れてラッキーだと思うか、つまらない曲に当たってしまったと思うかは、お客さん次第です(笑)とのことでしたが、「八幡前」に関しては、分かりやすいように台詞を万蔵さんの方で少し足したので、楽しめると思います、とのことでした。



●狂言「雁大名」(和泉流)
シテ(大名)  :野村万之丞
アド(太郎冠者):小笠原弘晃
小アド(雁屋) :石井康太
後見:野村眞之介

【あらすじ】訴訟事で都に来ていた大名が、目出度く帰郷することになったので、お世話になった人達に振る舞うご馳走を買ってくるよう、太郎冠者を使いに出す。雁屋で初雁を見つけた太郎冠者だったが、お金を持っておらず、雁屋にツケでは売らないと言われてしまったので、一度帰宅するものの、大名も長期の都住まいで、お金を持っていなかった。そこで、太郎冠者が考えた作戦は……

***

後半の展開は簡単に言えば、太郎冠者と大名が赤の他人のフリをして、雁屋の眼の前で、初雁を取り合って喧嘩の芝居をするというもの。大名が刀に手をかけた時、雁屋が慌てて止めに入った隙をついて、太郎冠者が初雁を奪って逃げる作戦なのですが、これがなんと、見事に成功してしまい、そのまま幕となります。

太郎冠者が調子に乗って痛い目を見るという、ドラえもんのオチのような展開が多い狂言としては珍しいパターンのように思います。

万蔵さん曰く、確かにこれは「良い子は真似しないでね」のテロップが要ります(笑)クソ真面目な人が見たら「イケないことしてる!」と思うかもしれませんが、でもまぁ狂言を好んで見る人で、そんな心の狭い人は居ないと思いますが(笑)とも。

やってることはアレですが、何が何でも初雁を手に入れるために、大名と太郎冠者の息のあったコミカルなやり取りが楽しい曲でした。例え困難な道でも協力し合えば何とかなるということでしょうか。やってることはアレなんですが(苦笑)



●狂言「八幡前」(和泉流)
シテ(聟志願の男):野村拳之介
アド(有徳人)  :小笠原由祠
小アド(太郎冠者):河野佑紀
小アド(教え手) :野村万蔵
後見:野村眞之介

【あらすじ】美人の一人娘を持った有徳人が、一芸に秀でた者を聟として迎えようと、募集の高札を揚げる。それを見た男は立候補しようと思うが無芸なので、日ごろ世話になっている知人のもとを訪ねて何か芸はないかと教えを乞う。ならば弓の名手だと名乗って鳥を射る真似ごとをし、射損じた時の言い訳には一首の秀歌を詠んで、和歌に達者な者だと思わせるという作戦を伝授されるのだが……

***

聟志願の男が知人に芸を教えてくれと頼んだのに対して、知人は、芸は教えたからと言って、すぐに身につくものではないぞ(意訳)と答えるのですが、それを万蔵さんが言うと、とても説得力がありました。

結局、知人も見物人のふりをして現場に行き、裏から和歌を口頭で伝える、つまりカンニングの手伝いをするのですが、聟志願の男は和歌を毎回間違えて言ってしまい、有徳人と太郎冠者に笑われてしまう始末。苛立った知人の男は呆れて、いっそのことこんな奴は恥をかけば良いんだと、男を見捨てて帰ってしまいます(萩大名と同じオチ)。

拳之介さんと万蔵さんの親子のコンビで、息のあったやり取りが楽しかったですね。また、拳之介さんがとてもチャーミングでした。値は悪い奴じゃないんだろうけどみたいな、どうしようもないけど憎めない感が出てました(笑)


久しぶりに万蔵家の狂言を観て、以前も思いましたが、やはり若手の皆さんがとてもエネルギッシュで、威勢の良さを感じました。こちらのお家も着々と若手が育って来てるのだなと実感しましたね。

あと万蔵さんの堅実な芸風と、河野さんの明るくて爽やかで表情豊かな太郎冠者が素敵だな、と思いました。


万蔵家と万作家、ルーツは一緒だけど、芸風(特に若手の)は太陽と月くらい違うなーと感じました。


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