サンズちゃんのお誕生日祝いのお話です。
ロナサンはあまり書き慣れてないのですが、にっぴきとネコチュン屋って構図…なかなかいいよね、って思うんですよ。
正直、「サンズとはお尻ハマり事件以来、割と仲良し」「サンズとお茶をした」は、すごく嬉しかったですね。
私の中ではドラヒナが先に成立していて、暴走気味のお互いの相方をサポートしている、そんなイメージで書きました。
ロナルドくんが、やっと気持ちに向き合ってRINE を打つシーンを追加しました。
2023/07/13に上げました。
@kw42431393
「に゛ゃー――っ!!電車に乗る前は晴れてたのにー!」
駅から降りたばかりで、ついてないですね。というか、いつもシンヨコに来るとトラブルに巻き込まれて大変です。でも、この世で一番楽しみな事もここにあるので、私にとってここに来るのは嫌ではないのです!
『俺、神在月先生の缶詰めにつき合わなアカンねん。サンちゃん、ドラちゃんとこ行ったってくれん?』
ドラルクの所…と言われると複雑ですけど、そこはロナルドしゃんの事務所なのです。嫌な訳ないです、クワバラさんがいないので、余計な茶々を入れるやつも(あのザコを除けば)いねーはず。何より…
「今日はサンズちゃんの誕生日。その日にロナルドさんと同じ空気が吸える…サンズちゃんは満足です。」
サンズちゃんが担当なら、もっといいのですが。待ってて下さいね、いつかフクマのヤローから解放してあげますよ。
「あれ?サンズニャンじゃないか。」
聞き慣れた声に振り返る。そこには、事務所の床下に勝手に住み着いている…
「公務員じゃねーですか。パトロールですか?」
「いや、パトロールは終わった所だ。今から、事務所に向かう所でな。サンズもか?」
「さん付けしやがれです。そうですよ、ドラルクのクソゲーコラムを受け取りに行くのです。」
「やれやれ。サンズこそ、そろそろ私の事も名前で呼んでくれ。」
ニギィ!羨ましい。
サンズちゃんの職場は東京だし、畑が違うからこういう理由でもないとお邪魔できないのに。
こいつはドラルクの監視員だから、仕事が終わったらロナルドさんと一緒にいれるし…っていうか住み着いてるし。
「じゃあ、一緒に行こう。この雨で困っていたんだろう?」
目の前には折り畳み傘…用意が良すぎやしませんかね。でも、この土砂降りでは、傘がないとどうにもならない。
「…そうですね。じゃあ、ヒナイチ…借りますよ。」
そうして、サンズちゃん達は駅からロナルドさんの事務所に向かう事になったです。ちなみに、この土砂降りはヒナイチとあの半田が確保した『吸血鬼 急な大雨に降りこまれてのロマンス大好き』とかいう奴の、どうでもいい能力だったらしい。シンヨコは、おめでたい奴が多いですね。
「なかなか止まないですね。」
「一晩中続くらしい。七夕だろう、年に一度のデートを邪魔されるなんて、織姫と彦星も気の毒だよな。」
ふうん。勝手に人の家に住処を作るこいつにも、女らしい所があるんですね。
「ドラルク。さっき、そこでサンズと会ってな。一緒に来たんだ。」
「お邪魔します~。」
まあ、そんなこんなで事務所に着きました。サンズちゃんもこんな風に軽く敷居を跨ぎたいですよ。
「ヒナイチくん、サンズ女史もいらっしゃい。クワバラさんから連絡来ていたよ。この雨の中、大変だったね。」
そう言って、タオルを差し出してくるドラルクの後ろから、よい匂いが漂ってきました。それに…
『あれ?また、捩じり切っちゃった。クッソ、またやり直しかよ~。』
『ヌー…』
キッチンの方から、ロナルドしゃんの声も聞こえくる。
それにしても、捩じり来ちゃったって何でしょうね?
「ウフフ、苦労しているな。タイムリミットはもうないぞ。」
「原稿と一緒だよ。懲りない若造だ。」
首を傾げている間もなく、ドラルクから目的のクソゲーコラムを渡される。
本当はロナルドさんにご挨拶したいけど、仕事は仕事。サンズちゃんは事務所のソファを借りて、簡単に確認をしておきます…問題はないですね。
いつも、締め切りも内容もそこそこしっかりしてくれるので、面倒がなくていいです。
面倒がないから…すぐ帰る事になってしまいます。
「はい、問題ないですよ。お疲れ様でした。それでは、お暇します。」
玄関に向かうと、ヒナイチが通せんぼしてきやがります。ちょっと、サンズちゃんはこの後も仕事ですよ。
「いや、ダメだぞ?だって、今日は…。」
「そうとも。クワバラさんから許可はとってあるよ。七夕…もといサンズ女史の…。」
パーン!!パーン!!
「「誕生日おめでとう!!」」
「にゃあ!!?あ、ありがとうございますです!!」
二人からいきなりのクラッカー!
ドッキリだったですか。折り畳み傘を持って駅にいた時点で、そういう。
「はい。これ…気に入るか分からないが、受け取ってくれ。あと、この青いのは半田からだ。」
ヒナイチさんが渡してきた包みを開けると、お洒落なブックレットが出てきました。
「ありがとうございます!カッコいいロナルドしゃんがいっぱいです!」
「写真自体は、ドラルクが撮ってるスマホのフォルダにあったものだが、チョイスしたのは私だ。気に入ったらしいな。」
捲ると、サンズちゃんが見た事がないロナルドさんの写真達…さすが一緒に暮らしてるだけありますよ。
本当にカッコいい所をちゃんと分かってますよね。
「ちなみに、こちらは半田だ…『一目置いている光のロナリストにくれてやろう』と言っていたが。ロナリストって?」
まー、知らなくていいですよ。
そして、中身は…あ゛ぁー――!こちらも嬉しい!そして、悔しいー!!
「ロナルドしゃんの高校時代からの醜態動画を、丁寧にブルーレイに焼いて、ケースまで自作して、解説書まで付けやがって!ありがとうございました!このヤロー!!」
「うん、随分と喜んでくれてよかったね。」
「あれでいいのか、複雑だな。」
他にも、ドラルクからは、ジョンくんと一緒に作った、七夕モチーフの琥珀糖。
お洒落に瓶詰されて、綺麗ですね。
「ご馳走とケーキは、ここで食べて行って貰う予定だからね。これは、仕事の間にお食べ。」
編集者も頭を使うから甘いものが欲しいでしょ、だそう。この辺りはソツのないヤローだと思います。
『で、できた~!!間に合ってよかった~!!』
『ヌヌヌヌヌン、ヌヌヌイヌヌ。』
向こうからロナルドさんとジョンくんの声が聞こえてきました。何か作っていたのでしょうか?
「ロナルドも間に合ったらしいな。」
「お子さまの泥んこ遊びも終わったか。じゃあ、サンズ女史。誕生会をしようか。」
「おーい、俺も出来…あっ!さ、サンズさん、お誕生日おめでとうございます!」
そこからは、もう言う事ないです。社会人になってから、こういうのずっとなかったですからね。
はぁ~、ロナルドさんに祝われるなんて、夢としか思えません。だから、思いっきり自分の頬をつねってみます。
やっぱり、頬は痛かったです。
「あー…お、遅くなっちゃって。すみません。」
「いぃい…いいえ。こちらこそ、お、お忙しいのに!!」
うん、俺本当にこういうのダメなんだよなぁ。何でだろうなぁ…だからって、ドラ公やヒナイチにサンズさん駅に送るからついてきて、なんて言えねえし。
『ごちそうさまでした。それでは、電車の時間もあるので、サンズちゃんはお暇します。』
『床下に泊まっていってもいいんだぞ?』
『テメーと一緒にするなです!ここ、ロナルドしゃんの家だろーが!』
『あー、うん。俺もそれ同感だわ。サンズさん、もっと言ってやって下さいよ。』
あいつらがいたらもっと…こう。うん、調子が出るんだけどさ。
二人っきりだと何を話したらいいのか…でも。
今度こそちゃんと向き合おうと思って…何かこの前オータムの企画で歌わされた歌みたいになってるけど。そういうやつなんだ。だから。
「え、えええと…チラシ寿司にケーキ…おいしかったですよね。」
「そ、そうなんスよ。あの砂、飯だけは美味いんで。」
なんとか会話を繋ごうとすると、お互いドラルクかヒナイチ、半田、フクマさんの話題になっちまう。
フクマさんは地雷だな。今、大雨降ってるから傘すっ飛ばして大暴れして大変な事になりそうだ。
チラリと出て来る時に持って来た、紙袋に目をやる。
ギリギリまでやって、なんとか5つぐらい見れる形に出来た、サンズさんへのプレゼント。ジョンが横で味見してくれたし、基本はドラルクがやってくれたから、俺は捏ねて形を整えて包んだだけだけど…
『中身が飛び出て、すごい事になってるな。やっぱり、私がやろうか?』
『うるせえ!せめて、ここぐらい俺がやるんだよ!』
とはいえ、皆の後でこれを見せるの恥ずかしくてさ…だから、駅に送る途中で渡そうと思って…そうこうしている内に駅が見えてきた。
今度こそちゃんと…
「ロナルドさん。」
「は、はい!」
呼び掛けられて、気を付けになってしまう。
「今日はごちそうさまでした。ほ、本当に嬉しかったです。」
「あ、あの…その。」
ああ、まずい。せっかく、今度こそちゃんと…
「それでは、おやす…」
「ま、待って下さい!これ!」
「ふ、ふにゃ!?」
慌てて抱えていた袋を差し出す。飛び上がったサンズさんの手に押し付ける。
『全く、子供の砂遊びみたいにしおって!泥団子でも捏ねてろ、この…そうか。団子ね。』
ドラルクからサンズさんの誕生日を聞いた時、何かあげたくて…でも、俺の家事スキル破滅的だからさ。
ケーキとか色々チャレンジして、最終的に決まったのがこの笹団子だ。
『餡を入れて丸める。それを笹でくるんで、こう…何でフン!ってしたんだ?』
俺、力強いだろ?笹が破れたり、中身が飛び出たり、紐がキツすぎてへんなが喜びそうな形になったり…でも。
「あ、味はドラ公がやってくれたし、ジョンのお墨付きなんで。お、美味しいと思い…ます。」
「に、にゃ…さっき作ってたのって。」
「か、かか。形は悪いっスけど。皆の後じゃ渡しにくくって。」
おずおずと、彼女を見る。うるうるした、目で見てる。ど、どうなんだろう。
「開けてみていいですか?」
「ど、どどどうぞ!」
正直、恥ずかしい。歪な俺が作った笹団子。
七夕でもあるし、悪くはないと思って…ドキドキしながら見ていると、笹を外してサンズさんが団子を口に入れた。
「美味しい、とっても美味しいです!」
「そ、そうっスよね。あいつ、本当に料理だけは…」
「ロナルドさんが、何度もチャレンジしてくれたから。」
サンズちゃんは三国一の幸せ者です…そう言って笑った彼女は…これ、どう言ったらいいんだ?
「えっ、ええ。」
「ロナルドさん、もう一つプレゼントねだっていいですか?」
動揺している俺にサンズさんが、近づく。身長差があるから、つい見下ろす感じになる。
「は、ははい!何スか?」
「屈んで貰えますか?」
…こ、これって、キスとか。いやいや、つき合ってどころか告白とかまだ、してな…
カシャリ!
「へっ!?」
「い、今のロナルドさんの笑顔。今まで見た中で、一番可愛い顔してたので…写メ撮らせて貰いました。」
『それ超いい写真だね。』
いつだったかカメ谷が言ってたっけな。本当にこんな俺の事、ファンでいてくれて…よく見ててくれて。
「これなら、あいつとのロナデュエルドでも負けませんよ!」
腰に手を当てて、えっへんとする彼女に苦笑する…でも、本当俺の知らない所でお前達何やってんだろな。
「今日はありがとうございました。」
「い、いえいえ。気をつけてか、帰って…」
電車に乗り込む彼女に手を振る。貰ったプレゼントを抱えて、泣きながら手を振る彼女に。
何だかすごく寂しい…な。すぐ会えるのによ。
『ニブルドくんは、サンズ女史の事どう思ってるのかね?』
『いい人だよな、こんな俺の事応援してくれてさ。』
『こんな、なんて使うんじゃない。じゃあ、質問を変えよう。友人と思ってるのかね?』
友人…それは違う。
『妹?それとも、ちょっと捻ってお姉さん?』
ヒナイチなら妹って断言出来るけど。マリアならお姉さんって言えるかもしれないけど。
『ただの知人って事は…スナッ!?』
それを言われた時、何か妙に頭にきてさ…思わずドラルクを殴り殺しちまったっけ。
サンズさんは、さっき俺の顔を『今までで一番可愛い笑顔をしていた』と言った。
その時のサンズさんの笑顔、俺も同じ事を思ったんだよ。もっかい、見れねえかな。
『今度、お休みいつですか?また、会いませんか?』
仕事以外で会うのは、今まで一度もない。RINE を立ち上げて、ここまで打てた。でも、送信を打つのが怖くなって…しまらない話だけどよ。
この文章に送信ボタンを押せる様になったのは、それから何ヵ月も経ってから…というのは、また別の話だぜ。
「お疲れ様です、ロナルドさん。今回は余裕の入稿でしたね。」
「あ、ありがとうございます!」
フクマさんの笑顔に、ホッとする。今日こそはって、計画立てたんだ。だから、直近で終わらせる必要のある仕事は終わらせたし、締め切りだってかなり余裕を持って終わらせた。俺だってよ、やれば出来るんだぜ。
「いつもこうすれば、フクマさんを困らせずに済むのに…ってブエッ!!」
分かってんだよ、そんなこたぁ…どうもガキの頃からさぁ。夏休みの宿題だって、ギリギリまで溜めとく性分で忙しい兄貴を手伝わせたりしてたっけ。分かってんだけどさ。
「それでは、私はこれで…。」
亜空間に消えていくフクマさんを見送ると、俺はスマホを立ち上げる。
「よ、よし…大丈夫、大丈夫。ドラ公とヒナイチから、サンズさんの休みも聞いているし。予定ないって確認も、貰って…」
スマホから文章を打つ時の、タタタッという音。
『こんばんは、サンズさん、あさってのお休みに、俺とどっかに出かけませんか?』
何度も何度も打っては、消してを繰り返した文字。今度こそ、送信ボタンを押すって決めたんだ。
ボタンを押そうとして…
「あれ?大丈夫かな。この文章、不自然過ぎね?」
『何で、私の休み知ってるですか?気持ちわりーですよ。』
あぁ~、考えてみりゃそうだ!!あるかもしれねぇ。そもそも、ドラルク達がサンズさんと親しいのを利用して、休みを知ろうとした俺は、使用期限の切れた…
「あぁ、まだるっこしいね。ホラ。」
迷っている俺の前で、後ろから覗き込んできたクソ砂が送信ボタン押しやがった!!てめ~!!
「何しやがる!このクソ…!!」
「ピッピロピ~、殴るのは躊躇いがない癖に、ボタン押すのは何カ月もかかる原始人、ゴリラ。冷蔵庫にある、バウムクーヘンでも食べてなさ~い!」
猛ダッシュで、逃げていくドラルクを追いかける。今度こそ許さねえ、サンズさんに変態扱いされたらてめえのせい…
「待ちやがれ!!逃がすか!!」
「みぎゃっ!?」
玄関を出た直後に、そのサンズさんと鉢合わせした…あれ?今日、来る予定あったっけ?
…ってか、彼女の手にはスマホが…もしかして
「ろ、ロロロ…ロナルドしゃん。」
「えっ、ええっと!そ、その!」
ああー!やっぱり、俺のRINE 確認した所だ。ど、どうしよう。
「サンズニャン。丁度、良かったじゃないか。ここで返事してしまえ。」
…って!横にヒナイチまでいるし!
「お茶しててな、一緒に来たんだ。ほら、サンズもちゃんと向き合え。ロナルドがあさって休み取ったの、教えただろ?」
教えたって?俺がサンズさんの休みに合わせて休みを取ったの…えっ?
「う、うるせーですよ!サンズちゃんは、こういう所は奥ゆかしいんです!」
「ほら。私達は席を外すから、サンズ女史はロナルドくんとお話をしておいで。同じ内容をRINE しようとして、何ヵ月も。どうも、そういう所は似た者同士だね。」
「ヌンヌン。」
しれっと、ドラルクまで戻ってきやがった…つ、つまり…サンズさんも嫌じゃない、ってか。俺と同じRINE 内容を伝えようとして、モタモタしてた…って事でOK?
「じゃあ、頑張ってくれ。二人とも。」
「おやつは、バームクーヘンにしておいたよ。二人ともじっくり時間をかけた方が良さそうだ。」
「ヌンヌッヌヌ!」
お、おい。二人っきりにしな…いや。
今度こそ、ちゃんと向き合うって決めたんだから。
「あんがとな…じゃあ、サンズさん。中にどうぞ。」
「は、はい!お邪魔します!」
ああ、やっぱりその笑顔。もっかい見たかったんだ。今回も写メに撮り損ねたけどいいか。
だって…
「その笑顔、これからも見せてくれますよね?そ、その…出来れば。いや、ずっと俺だけでお願いします!」
「は、はい!勿論です!」
うん、だって決めたんだ。俺さ、デートしている自分の相手を、ボンヤリ巨乳のお姉さんで想像する事は今まであったけど、サンズさんが初めてなんだよ。
自分がデートしている姿と、その横に現実の誰かで想像したのは、さ。