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【サガフロ】modest happiness

全体公開 サガフロ 1 1828文字
2023-08-31 13:35:59

メモ帳の書きかけだった話をサルベージして書き上げました。ルーアセというよりはルージュとアセルスと白薔薇の三人旅の一幕的なお話です。

「あ、白詰草だ」
 ドゥヴァンで秘術の資質を集めるために必要なカードを手に入れたあと、隣を歩いていたアセルスが、道端で急にしゃがみ込んだ。僕には草がこんもりしているようにしか見えない。
「うーん、四つ葉はないかな~」
 しゃがんだまま、草をかき分け熱心に何かを探している。それに気づいた白薔薇さんも、しゃがんでアセルスに話しかける。
「四つ葉のクローバー、ですか」
 白薔薇さんに話しかけられて、アセルスの顔がわかりやすくパッと明るくなった。
「あ、白薔薇知ってる?」
「ええ、もちろんですわ。私も昔は熱心に探したものです」
 笑顔で白薔薇さんが答え、そのこんもりした白詰草の群生地に手を伸ばし、アセルスと一緒にその四つ葉のクローバーとやらを探し始める。僕はそれが何かわからず、二人がそれを探すのを黙って見ているしかできなかった。
「あっ、ルージュは? 四つ葉のクローバー探ししなかった?」
「うーんと、ごめんね。そういうのは詳しくなくて……
「そっか、あのね。これ白詰草、もしくはクローバーっていう名前の植物なんだけど、葉っぱが三葉……三枚なの」
 そう言って、アセルスが適当に一つ葉っぱを摘んで見せてくれた。確かに丸い三つの葉っぱがくっついている。
「でもね、この葉っぱが四枚のものもあるの。だけどその確率っていうのはすごく低くて」
「ですので、葉っぱが四枚のものを見つけると幸運が訪れると言われているのですよ」
「へえ、そんな話があるんだね。……僕も、探してみてもいいかい?」
「もちろん! 見つけたら教えて!」
 幸運が訪れる、という文言に興味が湧いたのだ。それを見つけた時に、僕はどんな気持ちになるのだろう、とも。
 そして僕も二人に倣ってしゃがみ込むと、白詰草の生い茂る場所へと手を伸ばして四つ葉探しを始めたのだった。

***

「あー、やっぱ見つからないかあ」
「やはりそう簡単には見当たらないモノですわね」
 そんなこんなで三人で探し始めてどれくらい経ったかわからないけれど、この四つ葉のものは本当に見つからなかった。なるほどそれは説明を受けた言われが出来るはずだと、僕もようやく理解できた。
「ルージュもごめんね、せっかく付き合ってくれたのに」
「そんな、謝らなくてもいいよ。僕も自分が気になって探し始めたんだし」
 アセルスが本当に申し訳なさそうに言う。けれど、僕はただ純粋に見てみたいと思って始めたのだから。僕がそう伝えれば、アセルスはホッとしたようだった。
「私も久しぶりに童心に帰った気分でしたよ、アセルス様」
「うう、白薔薇もありがとう……
 すかさず白薔薇さんが笑顔でアセルスのフォローへと入る。そのやりとりを見て微笑ましく、少しだけ羨ましくもあった。そして僕はふと思いついて、再び白詰草の群生地に手を伸ばす。
「ルージュ?」
「四つ葉は見つからなかったけれど、この三つ葉が、僕たち三人みたいだなって思ってさ」
 そうして、目についた一つの三つ葉を摘み取った。僕の言葉を聞いたアセルスがあ、と小さな声を上げる。
「言われてみれば確かに……!」
「幸せはきっとこれから見つけて行けば良いんだよ。僕たちの旅はまだ始まったばかりだし……なんてね」
「それは素敵な考えですね」
 言った後でちょっと気取り過ぎたかな、と思ったけれど、白薔薇さんは両手をポンと合わせるとニコニコしながらそう言ってくれた。
「ふふ、そうだね! 私たちまだ始まったばっかりだもん」
 見ればアセルスも笑っていた。そして彼女も白詰草の群生地に手を伸ばし、三つ葉ものを二つ摘み、その一つを白薔薇さんへ渡す。
「また旅のどこかで探そっか! 今度こそ四つ葉を見つけよう!」
「はい」
「そうだね」
 そうして僕らは立ち上がると、シップ発着場の方へ向かって歩き始めた。僕は手にした三つ葉のクローバーを見ながら考える。もしかしたら、今人生で初めて術のことを忘れて没頭したのかもしれない、と。……でも、僕はそんなことはあってはならないのに。ならないのに、今さっきのあの時間は、僕にとって掛け替えのない貴重なひと時だったと、そんなことを思ったのだった。
「ねえ、ルージュ。まずはどこのリージョンから行こうか?」
「うーん、そうだなあ……

【終】

408: ささやかな幸せ
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お題サイト「空耳」より


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