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熱中症にはご注意を

全体公開 Δドラヒナ 4 2675文字
2023-09-16 14:04:28

今年の夏は、異常でしたね。ヒナイチくんとロナルドくんは体力がチートだけど、隊長はキツいに違いないと思って書いた土用の丑の日ネタのお話です。
皆で食事するみっぴきのシーンを追加しました。
冷やしうどんに梅干しを入れたかったのと、みっぴきが漬けるシーンを入れたかったので、梅干しが出ています(私が好きなのもある)。
うなぎと梅干しの食い合わせは迷信らしいので、そこはスルーでお願いします。
2023/07/23に上げました。

Posted by @kw42431393

 「隊長。今日の報告書をわっ、どうしたんだ!?その顔は。」
 「なんっつーか、ゲームに出て来るゾンビだな。何とかウィルスにでも感染したような。」

 まぁ、まぁ。ロナルドくん。言わないであげて欲しいヌよ。

 いつもなら、「喧しい!」の一言ぐらい出てきそうなものだが、机に突っ伏したままだ。その元気もないらしい。よく見ると、額と首に冷えピタが貼られ、髪も濡れている様だった。
 「いやまぁ、夏バテかねぇ。」
 机からフラフラと立ち上がって、クッキーを出してくれようとする隊長を止める。置いてる場所は、分かっている訳だし。
 「はい、隊長。今回はコーヒーをやめておいた方がよさそうだ。」
 そう言って、冷えた麦茶を出す。熱いコーヒーに大量の角砂糖を入れる主義なのは知っているが、利尿作用の強いコーヒーを脱水症状を起こしている人に、飲ませてはいけないんだ。
 「う、うん。ありがとう。ヒナイチくん。」
 「コーヒーの方がよかったって顔してんな、ドラ公。」
 小突くどころか、恨めし気に睨むだけだ。私達がクッキーの奪い合いをしている最中でも、彼だけ何も食べる気配がない。
 「もうすぐ大暑か、早いもんだな。」

  そう、急に暑くなってきたヌからね。夜でもこんなだし体に堪えるヌよ。

 「俺、昼間でもなんともないけど?」
 「少しぐらいへばり給え。吸血鬼らしく。」
 「なんだよ~、言うなよな。気にしてんだからさ。しかし、ドラルクが、夕方のパトロール中に座り込んだのは驚いたぞ。」
 「ヌンヌン。」

 なんでも、急に眩暈を起こしたのだそうだ。本人は夏バテと言うが、いわゆる熱中症だったのだろう。
 「ジョンが水をかける様に指示したら、私をいきなり川に放り込んだりするものだからね。殺されるところだったわ。」
 「悪ぃ。なんか、テンパっちゃって。」
 あぁ、やりかねないな。道理で、髪が濡れてると思ってたんだ。
 「隊長、もう早退したらどうだ。送っていくぞ。」
 「んミカエラくんが、外回りから帰ってきたら変わって貰う予定だ。ところで
 職業病だな。まだ病み中なのに、ちゃんと報告書に目を通してくれている。カレンダーを見ながら、彼は続ける。
 「ヒナイチくん。来週、うちに来れるかね?」
 「ん?あぁ。来れると思う。飛び入りの仕事がなければ。」

 来週?何かあっただろうか。

 「土用の丑だからね。実家のつき合いのあるウナギ屋さんから、出前を予約してあるのだよ。うちで、一緒に食べよう。」
 「やった!ヒナイチも来るのか。」
 「ヌフフ。」

 思わず苦笑いする。ロナルドは、私達みっぴきが一緒にいる時が楽しいと言って、私が隊長室や隊長の家に来るのを楽しみにしている。
 それは、私達も同じだ。それは、いいのだが。

 「いいのか?今日日高いだろう?」
 「いいの、いいの!高給取りだもんな?隊長さん?」
 君のお金じゃないでしょ、と続ける隊長に少し安心する。いつものやり取りをする元気ぐらいは出てきたらしい。 

 その時、コンコンっとノックする音が鳴った。ミカエラ副隊長が戻って来たのだ。
 「隊長、具合はどうですか?」
 「あぁ、少しはよくなってきた。心配させてすまないね。」
 大儀そうに立ち上がる隊長から引継ぎの書類を受け取りながら、「ゆっくり休んで下さい。」と言うと、彼は部屋を出て行った。
 素直ではないが、兄のケンさんに言わせれば、本当は仲間思いで心配性なのだ。今回も顔に出ていたな。
 「じゃあ、帰ろうか。少し待っててくれるかね?」
 「いいぞ。途中で倒れたら心配だから、私も送っていく。」
 「え~、俺もいるし。ヒナイチも心配症だなぁ。」
 うん、お前に任せると病人を雑に扱うからな。それは無理。

 「来週までには治しておいて欲しいな。美味しいものは、やっぱり皆と一緒に食べたい。」

 この状態だと、隊長だけうどんか、梅干し茶漬けで済ませてそうだ。
 まぁ、現代人だとウナギしかピンと来ないが、『う』がつく食べ物なら何でもいいらしい。あながち間違いではない。

 「アハハそうだね。善処しよう。」



 「いや、まあ。予想通りっちゃ、予想通りか。」
 「返す言葉がないね私の分は、三等分おし。」
 そして、一週間経った。暑さは本格的に夏の呈を示してきており、特に今年は異常だったからな。
 「隊長も何か食べないと。」
 「んそうだね。冷やしうどんでも作ってくるよ。」
 フラフラと立ち上がろうとする隊長を止める。
 「いや、私がやる。キッチン借りるぞ。」
 そう行って、居間を出る。私だって、バーの娘だから手伝いぐらいは元々してるし、最近は隊長からも習ってる。少しぐらいは、な。
 冷蔵庫を開けて、うどんを取り出す。茹でている間に何かあっさりして、食べやすいトッピングを
 「『う』がつけばいいんだっけ。」
 正直、素うどんでもクリアなのだが、多少は精をつけて貰いたい。
 「あ、梅干しだ。皆で作ったよな。」
 ヘタを取る時にロナルドが握りつぶして、掃除の手間が増えたり、干してる横からつまみ食いしようとしたりで、大変だったな。
 一粒摘まんで、口に入れる。酸味が口に広がる、まだ干し終わってから日数が浅いから、もっと置いててもいいのだが。
 「うん、美味しい!冷しゃぶもつけよう。キュウリの糠漬けも添えればいいかな。」
 これで、『う』がつく食べ物が三つは揃ったのだ。
 冷しゃぶと大葉に梅干しをトッピングした冷やしうどんと、皆で浸けた糠漬けを持って、居間に戻る。
 「待ってたぜ、ヒナイチ。」
 「ヌヌヌイヌ!」
 追加の冷やしうどんに糠漬けを、皆の前に並べて、やっとみっぴきで夕食となる。
 「ありがとう、おかげで元気が出たよ。」
 「それはよかった。上手く出来たよな、この梅干し。」
 「面白かったよな、来年も作ろうぜ。」
 うん、そうしよう。そして、来年の土用の丑の日もこうして集まろう。

 「ところで、皆まだお腹に余裕はあるかね?」
 食べ終わって、お茶を啜りながら隊長が切り出した。食後のデザートは、作ってなかったと思うが。
 「実は、餡と練乳と宇治金時の蜜を買ってあったのだよ。これから、かき氷も作ろう。」
 「「さんせーい!!」」
 「ヌヌヌーイ!」

 これで、『う』のつく食べ物がさらに増えた。今年の夏は、問題なく乗り切れると思うんだ。
 


 


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