秋のヌ-フェス参加作品です。
反転みっぴきが、明日開かれるハロウィンパーティーの衣装合わせをするお話。
反転みっぴきのは、前回のヌ-フェス参加作品のこの話(みっぴきは永遠だから 反転ジョン https://privatter.net/p/10149462)の設定を踏襲してます。
捏造設定だらけですが、ご注意下さい。
@kw42431393
「どうかね?ロナルドくん。」
「…はっきり言って、恥ずかしい。」
「お自信をお持ちなさいな、ヒナイチさん。とってもお可愛いですわよ。」
そう言って、ロナルドくんがヒナイチくんの頭を撫でる。お嬢のロナルドくんは、ドラルク様と違って女性のこういうのに理解が深いんだヌ。
「こんなに可愛いお魔女さんになら、皆お菓子を貰いたいですわ。」
「う、うん。可愛い…か。」
「照れる事はない、君の赤毛によく映えて似合っているとも。当時は色々言われたものだが、やはり魔女といえば、赤毛に翡翠の瞳と決まっているからね。」
目の前のヒナイチくんは、魔女の恰好をしているヌ。恥ずかしそうに眼を伏せるヒナイチくんを、勇気づける為にヌンも頭を撫でてあげるヌ。
それにしても、ドラルク様は上機嫌ヌね。ドラルク様は、元々、料理や裁縫の趣味があったヌけど、昔の戦いで右目を失ってから結構な期間、このお城に引き籠っていたんだヌ。だから、ヒナイチくんが監視に来る様になって、ロナルドくんもここに来る様になってから、嬉しそうにする事が増えたヌよ。
「君達が来るまでは、縫ってもジョンぐらいしか着せる相手がいなかったからね。先日、ハロウィンの衣装がいると言うだろう?つい、気合を込めて縫ってしまったのだよ。」
あっという間に、ヌン達の分を縫ってしまったヌ。ドラルク様の楽しそうに何かしているのを見るのは、ヌンもすごく嬉しいヌ。
そして早いもので、もう明日がハロウィンで、今衣装合わせをしているヌ。
「ストレス発散に、お前は急にドレスを縫ったりするからな。それまでは、どうしていたんだ?」
「あぁ、捨てるのもなんだからね。親に頼んで、劇団や学校に寄贈して使って貰っていた。自分が作ったものが使われているというのも、なかなか面白いものだよ。」
今回は、大事に想っている二人が着るというから、生地も選びに選んでいたヌね。
「で、ロナルドはそれでいいのか?」
「なかなか君もよく似合っているよ。しかし、意外だね。」
「お意外かしら?」
確かにそうヌね。ロナルドくんは、お嬢だからこう…
「お嬢だからって、女装趣味があるとはお限りませんもの。」
「確かに。」
「違いない。」
ゲーテのファウストの衣装を着ていたヌ。
「聖職者の仮装という手もあったのだがね。」
「今回のハロウィンは、お吸血鬼さん達もいらっしゃいますの。あまり、いい気はしませんでしょ?」
でも、とてもかっこいいヌよ。
ロナルドくんは、吸血鬼と人間の共生する世界を作る目標の為に、とても勉強熱心ヌからね。そうなると、協力しているドラルク様がメフィストフェレスになっちゃうヌ。
メフィストフェレスを導くファウスト…っていうのも面白いかもしれないヌね。
「ところで、ドラルクさんはお着換えしませんの?」
ヌン、それはヌンも少し気になってたヌ。
あ、ヌンはジャック・ランタンにしたヌよ。鏡で見ると、太っちゃったみたいで複雑ヌね。
「ん?何の話かね?」
あぁ、そんな気がしたんだヌ。
「貴方も出るんですよ。ここでやると言ったでしょう?」
「え?聞いてなかった…そもそも、ハロウィンを吸血鬼の居城でやるのかね?」
「お吸血鬼さん達と人間達の懇親会を兼ねた、イベントですもの。元反人間派のお吸血鬼さんである貴方が参加する事で、そのお意図を強調する事が出来るのですわ。」
そう。ドラルク様は、昔から大事な所は聞いてない所があって…それで今まで皆ともトラブルを起こしたヌね。
最終的には暴力で解決するから、ヌンはいつも心配していたんだヌ。
「あぁ、やけにあっさり了承したと思ったんだ。吸血鬼の畏怖欲はどうした、と思っていたのだが。」
そうヌね。昔は傲慢でプライドの塊だったヌけど、ヒナイチくんとロナルドくんとつき合う様になってからフランクになってきた…のはいいヌけど。
浮世離れが露呈してきたというか、実は抜けている所がバレてきたというかヌ。
「…わ、分かった。人間と吸血鬼の共生の時代を築く、という君達に協力する契約をしたのだ。私がそれを反故にする訳にはいかんよ。」
でも、それでよかったと思うんだヌ。買い物に行っても皆、怖がったりしない様になったヌから。そのおかげで、今まで気にもしなかった世界を見る事ができる様になったヌから。
「料理の用意は、簡単だ。衣装は…まぁ、倉庫を探せばなんとかなる。」
「縫う時間は、もうないだろうしな。」
「元々、ハロウィンは、盆とは似て非なるものだ。戻ってきた先祖の霊に紛れて、我々人ならざる者達が害を成す日でもある。後者である我々が、仮装する必要など本来ないのだが。」
背中に生やしたコウモリの羽が、バサリと音を立てたヌ。ヌンに貴方は視線を向ける。意味が分かっているから、躊躇いなくヌンは貴方の肩に飛び乗るヌ。
「…君達といれるなら、それも悪くない。明日は、私もこの酔狂な真似を楽しむとしよう。」
そう言って、貴方は窓を開ける。明日、ここで開かれるハロウィンパーティのご馳走を作る、食材の買い出しの為に。