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【感想メモ】第15回 狂言全集(山本家)

全体公開 4118文字
2023-10-15 11:49:27

2023.10.14(土)
川崎能楽堂
第15回 狂言全集

*・*・*

●狂言「二人袴」

   智:山本凜太郎
   舅:山本則孝
太郎冠者:若松隆
   親:山本泰太郎→東次郎(代演)

泰太郎さんと凛太郎さんによるリアル父子の予定が、泰太郎さんの体調不良により、今回は東次郎先生が代演。

大蔵流で観るのは初めてでしたが、和泉流とは違う部分が多く、新鮮な気持ちで観ることが出来ました。

ちなみに、泰太郎さんの休演に遭遇するの、これで三度目なんだが😥💦

東次郎先生の解説の時(山本家は上演後に解説するスタイル)、昔は袴の紐を結ぶ速度も早かったんだけど、歳と共に段々遅くなってきたので、泰太郎さんに丸投げしようとしたら、体調崩しちゃってと💦

親と子は歳が離れてる方が良いということで、東次郎先生が親役をやったけど、凛太郎さんとは5〜60も離れてるんですよ、と仰ってました😂

二人袴の親は、息子にも、舅にも、太郎冠者にも振り回される役なので、終始、困り顔の東次郎先生のお顔がリアルで面白かったですけどね😂

流石、人間国宝です。笑った笑った!🤣🤣🤣

*・*・*

以下、狂言「二人袴」
和泉流と大蔵流の違いについて

和泉流だと、先に聟が出てきて父親を呼び出し、恥ずかしいから一緒に来てくれ、という流れだったと思うが、大蔵流だと、先に親が出てきて、嫁の家からも催促されてるのに、なかなか聟入りに行きたがらない息子を説得する所から始まった。

親が息子である「聟」を呼び出すのだが、「凛太郎ー!」と役者の名前を何度も連呼する。もうこの時点で面白い😂

聟がなかなか出てこなかったので、何をしていたんだ?と訊くと「子どもたちと遊んでいた」という。親が「その歳にもなって」と言っていたので、近所の子供と友達感覚で遊んでいたということだろうか。

親が直ぐに聟入りに行くように言うと「恥ずかしいから行きたくありません!(キリッ✨」という😂
和泉流の聟に比べると、大蔵流の聟はなかなか手強そうだ😂

ここで聟は、聟入りに行ったら欲しいものを買ってくれるか?と条件を出してきた😂
親も、とにかく聟入りに行かせたいので、何でも買ってやろうと快諾するのだが、そんな風に甘やかすから、こんなワガママになってしまったのではないか?と、ちと思う🤔

ちなみに、何が欲しいんだ?と訊くと、、、

聟は「弁慶の人形が欲しい」と言い出した😂😂😂
更に「犬も欲しい」とのこと。

東次郎先生の解説によると、現在はペットが市民権を得てるので大人でも普通にペットを飼いますけど、昔は犬を欲しがるのは子供だったそうです。
つまり、この聟の精神年齢は凄く幼いということ😅

また同じく解説の時に「よく分かりませんケド」と、前置きした上で、「弁慶の人形というのも、現代でいうとガンダムの人形か何かが欲しいってことで、皆さん笑ってらっしゃったかと思いますけど

東次郎先生の口から「ガンダム」って言葉が出てきた😂

んで、聟入りに行く決心をするけど、恥ずかしいから親にも付いてきて欲しいと、ようやく和泉流と同じ流れになって行きます。

和泉流では畳まれた長袴を聟が最初から腰に付けてますが、大蔵流では、ここで親が後見から受け取って聟に「これを持っていけ」と腰に結んであげます。

相手の家に着くと、相手の家が立派で驚く描写が入ります。ここで聟が親に向かって「あなたの家より立派ですね」と失礼をブチかまします😂

親の話によると、嫁の実家は超有徳人なんだとか。そんな家のお嬢様よく結婚出来たな、と思う😅

大蔵流では、太郎冠者に取次ぐのも親がやってあげます。なので、後に太郎冠者にバレたくだりもナチュラルに感じました。

親が太郎冠者に取り次いだ後、後ろを振り返ると聟が長袴をまだ履いてないので、まだ履いてないのかと問うと、こんな長い袴は履いたことが無いと言うので着せてあげることに。

ここで聟が袴をジャンプして飛び込むように履こうとして笑いを誘います😂

んで、履いたあとは、初めてと言った割にはスムーズに普通に歩きます😂
和泉流では、ぎこちない歩き方で笑いを誘うのですが、大蔵流では、その辺はスルーのようです😂

屋敷内に入ってからの舅とのやり取りは、和泉流とほぼ同じ。

そして、とうとう二人一緒に来てくださいと言われた親子は、、、

和泉流では、良いこと思いついた!とワザと袴を二つに引き裂きますが、大蔵流では、親と聟、どちらが長袴を履くかで奪い合いになり、その流れで引き裂いてしまいます。でもこれで袴は2つになりましたハーフサイズですが😅

後ろが見えないように、カニ歩きで屋敷内へ入る親子🤣
これは技術がないと凄い歩き辛そう!🤣

和泉流では舅と聟の会話で、嫁と仲良しで云々みたいな余計な話をして親に止められるシーンがありますが、大蔵流では、その話は出てきませんでした。
まぁ、あんだけ精神年齢幼ければねぇ😅

その代わり、大蔵流では舞を所望された時、親が「息子は不調法なので勘弁してください💦」「いやいや舞ってください」の押し問答が始まります。

そして、どっちも引かずにいると、、、

聟「舞いましょう!(キリッ✨」

この状況で、どっからその自信が湧いてくるんだよ⁉🤣

親は扇で後ろを見せないようにと合図を出し、聟は大きくウンウンと頷いて、座ったまま舞いを見せるのだが、この時、私は脇正面で凛太郎さんの真後ろに居たので、片足だけで前後に動く技が凄かった!😳✨

んで次は立って左右に舞えと言われて(以下略)
ここでもやはり、聟が「立って舞いましょう!(キリッ✨」って言うのね🤣

オチは和泉流と同じで、太郎冠者に見つかって逃げていく。

この時、舅は笑って、怒るどころか全然許してる雰囲気だったので、金持ちで器もデカくて良いお家だな、と思いました(まる)

*・*・*

●狂言「舟船」

太郎冠者:山本東次郎
   主:山本則秀

初見の演目。太郎冠者と主が、「ふね」か「ふな」か、どちらが正しい呼び名か、古歌を使って言い争うお話。

これは太郎冠者の方が上手であることが、ひしひしと感じられました。前に別演目でも観たけど、主の早口技が面白かったです😂

以前、和泉流だけど、これに似た狂言を観たことあるなァと履歴を辿ったら「御冷」でした。これも配役の時点で察しって感じ🤭
https://chaosnokanoke.xxxx.jp/archives/25869

*・*・*

●狂言「鬼の継子」

鬼:山本則重
女:山本則秀

赤ん坊をつれて実家に帰る途中の女性に惚れた鬼が、食われたくなければ嫁に来いと強引に求婚して、三人で蓬莱の島に行こうとする。女は助かりたい為に承諾し、旅の準備のために我が子を鬼に預けると、鬼は赤ん坊を可愛がるが、途中で本性をあらわして食おうとするので、女が子を奪い取って逃げ、鬼はそれを追いかけていくお話。

これも初見。お狂言に出てくる鬼は微笑ましかったりするので、ピンと来ないかもしれないけど、東次郎先生の解説で「鬼を現代のストーカーだと思うと怖いよね」と仰ってて、確かにそれは恐ろしいと思いました😱

でもこの母親、恐れてる筈の鬼に簡単に子供を預けちゃうんですよね。そこに違和感があったんですけど、それも「今、連れ子に虐待したりする事件があるでしょ。この親も命を助けるためとか最もらしいことは言ってるケド」と言われて、あと思いました。

鬼も赤ん坊が可愛いと思いながらも、本性が出て何度も食べようとしてしまう。その度に母親が取り上げる。んで最終的には隙をついて逃げるんだけれども(東次郎先生曰く、あの女性は逃げ切れたと思うとのこと笑)、鬼からしてみれば、どんなに可愛くても食料なのよね。人妻には惚れても、赤ん坊は家族にはなれないのだ。

*・*・*

●狂言のお話 山本東次郎

横浜能楽堂の「横浜狂言堂」と全く同じスタイルで、狂言に纏わる話、演目解説、小舞の組合せでした。

以前も話してたけど、狂言では事件は描かない。事件はその人の成れの果てなので、他人事になってしまい、観客は野次馬視点になってしまう。

だから狂言では、事件になる一歩手前の部分、誰もが持ってる人間の滑稽さを描くことで、観る側にも自分事と思って貰い、自分の愚かな部分に気付いて貰うことで、戦争や事件を阻止出来るのだと。

ちなみに現代では、狂言自●とか、狂言強盗とか、「狂言」という言葉が悪い意味で使われたりするので「我々からしてみれば迷惑な話ですよねぇ」と(苦笑)。
歌舞伎でも通し狂言と言ったりしますけど、ここから狂言=作り話という意味で、広まっていったようです。

「鬼の継子」の解説では、言葉の意味通り、世間でよく聞く継父と連れ子のあるある話に例えており、狂言は表現が簡略化されてるのでパッと見、気付かないと思うけど、深く考察していくと、現在の事件モノ(愚かな人間の結末、成れの果て)に繋がっているのだと。

例え話として狂言「井杭」の話が出ましたけど、
(あらすじ→https://kyogen.co.jp/outline/post_73/
この演目では、子供が檀那に頭を叩かれる場面にて、檀那は可愛がりのつもりでやってるんだけど、子供は神に祈願するくらい嫌がってるんですよね。

先生はこのくだりが、まさに今世間を賑わせてる某事務所のことだ!(センシティブな内容なのでハッキリとは書きませんけど💦)と思ったそうで、確かに話を聞くとそうだわ、と思う💦

*・*・*

なんだが、本当は怖いグリム童話みたいな話になってきたけど😅、でも狂言もそれだけ深い内容が、あの様式美の中に詰まってるってことなんですよね。

ライトに楽しむのも良いけど、深く深く考察していくのも面白いよ、というお話でした。

狂言とは、人間そのものを描いてるなだけあって、ホントに奥が深いです。先生のお話を聞いて改めて思いました。


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