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️【DS1】ignis fatuus【ラレンティウス夢】【篝火3】

全体公開 ダクソ短編 6 14877文字
2023-10-28 02:17:53

ラレ不死視点混合の不死ラレ夢
二人旅をしていた不死ラレが誤って催淫効果のある毒きのこを食べてしまう話。

※盗賊♀うち不死注意
※連載中長編『盗賊の左手、呪術師の右手』のパラレル時空
※長編を読まなくても読めます

勢いよく振り上げられた短刀の一閃が、樹人を背中から串刺しで貫いた。身動きの取れなくなった樹人は腕をだらりと下げ抵抗をやめる。短刀を引き抜くと同時に、それは乾いた音を立てて崩れ落ちた。
これで、終わり
肩で息をする彼女の頬の側面から目元にかけて、樹人に切られて出来た切り傷が刻まれている。出来立ての傷はまだ痛々しく、つうと一筋の血をにじませた。流れた血がマスクの方へ流れ、黒い布地をじわりと赤く染まる。頬を指指して教えると、彼女はいつものように手の甲でそれを拭った。
「あんたもそろそろ疲れただろう? 今日はもう休むことにしよう」
彼女は「まだ疲れてはいないのに」と言いたげにこちらを見る。だが、いくら平気な顔をしようとその身体にダメージが蓄積していることは明らかだった。傷の手当てもした方が良い。もう一度ゆっくり首を横に振ると、彼女は素直に折れて短刀を懐に差した。
木々や植物が鬱蒼と生い茂るこの森なら、警戒さえ怠らなければ腰を掛けて落ち着いて休むことができるはずだ。辺りを見渡すと、大きな岩のある水辺が目に留まる。あそこなら休息にはうってつけだろう。
「そこで休もう」
陽の差さない薄暗い森。生い茂った木がそう見せているのか、それとも今が夜なのかぱっと判断がつかない程暗い。しかし、木々の合間に咲く青みがかった花の光や、青白い光を纏う甲虫が辛うじて照らしているお陰で、迷わずに済みそうだ。特に岩周辺に流れる小川は、とりわけ多くの虫が集まっていて、この森の中で一際青白く光っている。軽く見渡す限り、獣の巣も見当たらない恐らく、危険はないだろう。
安全を確かめる俺を横切って、まるで月明かりに導かれたかのように、彼女は青白い岩の元へ真っすぐ吸い寄せられていった。
「見て。その辺の貴族が見せびらかしている宝石より、ずっと綺麗
先程まで疲労が滲んでいた横顔は、つい今しがた見つけた光る花を前に、無邪気な表情に変わった。マスク越しでも顔を綻ばせているのがよく分かる。彼女は青い花の前で足を止めた。
大沼でも水が清浄な場所でよく見られる、発光する花が群生していた。花弁が大きく良く目立つ花だ。香りはあまりしないが、年中咲いている。だから俺にとってこの花はそれほど物珍しいものではない。花を見た彼女の反応の方が新鮮に感じられるくらいだ。
彼女は恐る恐る花に近づき、不思議そうに花弁に触れたり、顔を近づけて香りを確かめたりしている。微笑ましい光景に心が和む。戦闘続きで疲弊した心は、案外こういう反応一つで癒されてしまうものだ。一人では決して味わえない旅の妙。金や名誉よりこういう幸せがあれば俺は幸せだ。噛みしめる俺の横で、彼女は無駄のない動作で花の一つを摘み取った。全く鮮やかな手さばきだった。俺が呆れて口を開けるよりも早かった。
時折、彼女が盗人であったことを忘れてしまう。盗んでいない時は年相応の娘にしか見えないのだ。しかし、ひとたび気に入ったものは必ず手に入れる。欲しいと思ったものを手に入れることが間違っているか?とでもいうように。共に旅を始めてから、数々の盗みを目撃してきた。全く悪びれず、欺き、誘導し、奪い去る。それなのに、稀に見せる無邪気な反応はあまりに純粋で、手癖の悪さなんか忘れさせてしまうのだ。彼女がその気になりさえすれば、盗めるのは備や宝飾品だけではないだろう。
「おい、あんた
今更、花泥棒如きを咎めるつもりはない。しかしこの花に限っては話が変わる。
「その花は手折ると光らなくなるぞ」
彼女は驚いて摘み取った花を見る。その光はみるみるうちに失われ、やがてただの萎びた白い花になった。
彼女は目を丸くし、助けを求めるように両手に乗せた花をこちらに差し出した。しかし俺にできることなどない。頭を振る。
「その花は根から吸収した養分を糧に光るんだ。だから、摘むともう光らなくなる。まぁ、手を伸ばしたくなる気持ちは分かるがな」
俺の返事に、彼女は気まずそうに視線を落とした。
花を一輪手折るくらい、盗人じゃなくとも誰しも覚えがあるはずだ。バチが当たることもないだろう。ただ、彼女にとって余程気に入った《獲物》だったのか、意外なほど落ち込んだ様子を見せた。花一輪を気に病むような盗賊ではないと思っていた。すっかり気落ちした顔で、両手の中で輝きを失ったその花を眺めている。何も言わずしばらくそうしてから、彼女は弔うように手近な岩の上に優しく寝かせた。
花を蘇らせてやることはできない。せめて温めてやれるように、土に枝を並べて火を焚いた。手招きすると、彼女は焚き火を挟んだ向こう側に足を抱えて座り込んだ。

火に両手をかざしながら彼女は小さなため息を吐いた。《花が一輪萎れただけ》とは言い難い雰囲気だ。植物の知識はそれなりにあるが、この花にそこまで落ち込むほどの価値はない。見渡せばまだ、いくらも咲いている。何が彼女の表情をこうも曇らせたのか俺には見当がつかなかった。励ましの言葉を掛けてやりたくとも、掛けるべき言葉が分からない。人と深く関わることを避けてきた付けが回ってきたのだと思いながら、ただ流れる沈黙を聞いていた。
「師匠は
「ん?」
焚火が弾ける音の向こうで、舞い上がる火の粉を掴むように彼女は手を握った。
「心から欲しいと思ったものが、手を伸ばせば壊れてしまうなら。手を伸ばす? それとも諦める?」
蜉蝣の薄羽のように透き通った瞳がじっとこちらを見つめている。先ほどの花の話だろうか。もしそうではなかったとしても俺は花を手折るような大それたことは出来ないだろう。
「そうだな。俺なら……そのまま咲かせておくよ。自分の手で壊してしまうのは、怖いからな」
「壊してしまうとしても、手に入れたい。なんて思わないか。師匠らしい」
あんたは違うのか?」
「ふふっ。それは見ての通り。欲をかいて、自分の物にしてしまいたいと思って結局壊してしまう」
皮肉っぽく笑って、彼女は花の方を振り返った。もう光らない岩の上の萎びた花を、周囲の花の淡い光が無情に照らしている。
盗賊らしい答えだ。欲に目が眩み、危うい選択を選ぶ姿も実際に何度か見てきた。欲しいものに迷わず手を伸ばす、その貪欲さに救われたこともあった。彼女の持つスキルは、俺が大沼で学んできたものとは全く異なる処世術だ。それ故、惹かれるところもあった。欲しいものを我が物にする意思と力強さ。彼女のように器用で身軽に生きられたらと願ったことは幾度もある。
そして同時に、彼女の貪欲さは己の中で脈打つ野心を思い起こさせる。まだ見ぬ呪術の故郷と、未知の呪術の探求。胸の奥に秘めた、尽きることない炎への渇望。それを忘れるなと言われているようだった。もしあの花が俺の求める未知の呪術だったら同じように手を伸ばせるだろうか。迷わず手を伸ばすだろうな。それが手を伸ばせば壊れてしまう代物だったとしても。だから、彼女の問いへの返答は、俺自身への戒めでもあった。そうあるべきだという理想。師として格好良く見られたい気持ちもあったかもしれない。
彼女は焚き火に向かって小さな石を転がした。
「綺麗なものほど、欲しくなるのにね」
「ああ。呪術も、似たようなものだ。俺の師匠が言うには、火への憧憬の強い者が、その神秘の一端を手にできるらしい。だから、あんたの性分は呪術に向いてるぜ」
またすぐ呪術の話になる」
手痛い指摘に苦笑を溢すと、つられて彼女も笑い出す。ついさっきまで落ち込んでいたのが嘘みたいにひとしきり笑い、ようやく焚火の熱を感じた。
じんわりと指先を温める焚火は、よく見ると先ほどよりも火が弱まっている。彼女をどう励まそうか考えるのに夢中で、火加減の調整がうまく出来ていなかったようだ。薪を焚べたいところだが、手近に適当な枝はない。水辺が近いせいか辺りの葉は湿っており、燃やすのには適していない。もう暫くはこのまま持つだろう。しかし、薪がなければ朝まで凍えて過ごす羽目になる。腰の手斧を握り、おむもろに立ち上がった。
「薪を探してくる。あんたは火を見ていてくれ」
わかった。気を付けて」
幸い、少し離れたところに切り株が見える。あの辺りなら焚き火からそれほど離れることなく、薪探しができるだろう。蛍の群れに導かれるように、切り株の方へと足を進めた。

******

小さな焚き火の前に一人取り残され、少しだけ心細さに駆られる。
彼が使命の旅に同行する前は、一人きりの旅を孤独と思うことなどなかった。それなおに、一体いつから私はこんな人恋しさを感じるようになったのだろう。昼も夜も一人きりで生きていた頃が、遠い昔のように思える。彼が側にいない時、私は何を考え何をしていたのか今となっては全く思い出せない。
それくらい、あの自称人嫌いの呪術師が側にいることが当たり前になっていた。
この頃は、旅の終わりのことばかり気になって、戦闘に身が入らないこともある。彼が目的としている呪術の故郷イザリスをもし見つけたら。私はまた一人に戻る。なにも彼の呪術だけを頼りにしているわけではない。強敵を前に励まし合い、勝利を分かち合う仲間がいないこと。思いやってくれる温かい言葉がないこと。かつては当たり前だったその《孤独》が、今の私にはどんな強敵よりも立ち向かうのが難しいものに思えた。
いずれ訪れる未来。それを見て見ぬふりしながら、せめて隣にいるうちに彼のことを知りたかった。いつか一人になった時、それを灯火代わりに抱いて孤独を慰めるために。
彼が何を感じ、何を思うか全て知りたい。そう願うのは、呪術を知る師への憧憬なのかそれともまた別の感情なのか。霧の深い森を彷徨うが如く、正体の掴めない感情について思い煩う時間が増えていった。
「自分の手で壊してしまうのは怖いか」
彼の言葉を思い返してなぞる。私も、その感情は身に覚えがある。
あの深く被ったフードの下から覗き見える笑顔を、瞳を、自分だけのものにしたい。単純な所有欲とも異なる感情。でも、一度この感情に名前を与えて正体を暴いてしまったら、彼との師弟関係や友情が壊れてしまいそうで恐ろしかった。だから、今日までずっと名前を与えないまま、目を逸らし続けている。いつか終わりのくる旅。この手で壊してしまうくらいなら、怪物のように制御できない感情は胸に秘めたまま、少しでも長く側にいる方が良い。彼の言葉を借りるなら、花は手折らず咲いているのを見るべきだということ。岩の上に横たえられた萎れた花も、それが賢明だと云っている。

ただ火が絶えぬよう見守るのは存外退屈だった。暇が出来れば自然と彼のことばかり考えてしまう。手持無沙汰を浸蝕してくる誰かを頭から振り払わなければ、と腰を上げ、辺りを見渡す。火から離れない範囲には、これといって目ぼしいものは何もない。薪になりそうな乾いた枝もなく、あるものといえば湿った草土と落ち葉、萎れた花を取り囲むまだ光っている花、気の根を覆う苔と水辺の植物それに、妙に青光りしているきのこくらいだった。先ほどの光る花といい、この辺りの植物は不思議な力を帯びているかのように幻想的な青い光を放っている。蛍とも違うその光は、祭祀場の魔術師が教えてくれた魔術の矢の色に似ていた。
あの花ほど目立った光を放っているわけではないが、その水縹の光も十分私の関心を引いた。陽光が降り注ぐ祭祀場で見た、彼の瞳の色に似ている。目深に被ったフードの下に秘められた、清流のように澄んだ色。それとよく似た色の控えめで柔らかな光が、きのこの傘の上から優しく周囲に光をもたらしていた。
青い花に手を伸ばしたのと全く同じ理由で、私は自然ときのこの方へ引き寄せられていた。自分でも愚かだと思う。花を萎れさせたばかりなのに、もう次の獲物が欲しくなっている。人目を避け、森の奥深くでひそやかに命を燃やすきのこ。他人に誇示するため美しくあつらえられた宝石にはない輝き。金銀や宝石をくすねてきた身だからこそ分かる。金銀硬貨では買えない、値がつかないものの価値を知っている。本当に価値があるものは、鍵をかけた宝箱の中にはないのだ。それを私に教えたのは、皮肉にもこの奇妙な使命の旅の同行者だった。
全てを平等に柔らかく照らす優しい光は、見れば見るほど誰かの瞳の色そっくりだった。先ほどの花のこともある、すぐに手に取ることはせず、慎重に顔を近付ける。すると、ほのかに爽やかで甘い香りがした。彼が旅の傍ら、好んでよく食べている木の実の香りにも似ている。何という名だったか忘れたが、大沼の奥深く、清流地域にある木の実らしい。香りが似ているなら、似たような味がするだろうか。試しに一つ手に取ってみると、発光していたきのこはみるみるうちに輝きを失い、鮮やかな青さも失われ、根本から傘まで全てが白一色へと変化した。
やはり、手折るべきではないということか。月明かりのような蠱惑的な光は、もう二度と戻らない。手に入らないからこそ美しいのだと、盗人に知らしめるかのようだ。見張りのいる城から宝石を盗み出すより難しいこともあるのかと、苦々しく笑う。
もう思い入れのある色ではなくなったが、この香りなら食用に用いることができるかもしれない。私に植物の知識はなくとも、彼に見せて判断してもらえばいい。大沼で暮らしていた経験からか、彼は植物の種類や毒の有無に詳しい。香りも似ていることだし、もしかするとこれも好物かもしれない。もう自棄になって、両手がいっぱいになるまでそのきのこを摘み取った。焚火から見える範囲のきのこを取り尽くしたところで、再び火の前に腰を下ろして彼の帰りを待つ。好物であれば良いなと、身勝手な想像を膨らませながら。

******

見当をつけていた切り株の周辺には、薪の端材のような木片がいくつか落ちていた。自然に発生したものではなく、明らかに人の手が入った木材だ。こんな森の奥に人の営みの痕跡があるのは少し不自然だが俺たちのような旅人が、他にもいたのだろうか。山賊などの輩が潜んでいる可能性も全くないとは言い切れない。そうとなれば、早めに彼女の元に戻った方が良いだろう。いくらナイフや短刀、呪術の心得があれども、女の身では分が悪い。気持ち急ぎながら、横たわる端材に斧を叩き入れる。部分的に腐った木は力を入れずとも容易に割れていった。
彼女に火を分け呪術を教えたのは、偶然だった。助けて貰った礼に返せるものは呪術くらいしかなく、ほとんど成り行きだった。呪術を奇妙がらないことに安堵し、この火が彼女を助ける日が訪れるようにと願って。
だが、今になって思う。本当にそれだけだったろうかと。血肉と変わらない火を分けて、血縁となることを期待したのではないか。呪術師を見て何とも思わない彼女なら、俺を異端ではなく人としてあるいは友人として見てくれるのではないかという不純な動機もわずかながらに抱いていた気がするのだ。火を介して誰かと繋がりを持つ未来を期待して。
結果的にそれは功を奏したわけだが自分が思い描いていた以上に、彼女の存在は大きなものとなっていった。ただの同行者などではなく、呪術に次ぐ心の慰めになりつつある。呪術の故郷がもし見つからなくとも、彼女と共にいられるならそれでもいいと思える程、今では彼女の存在が心の支えだった。とどのつまり、俺は彼女のことを一人の人間として気に掛け、心惹かれていた。故に彼女を一人にすることへの不安は大きく、よそ者が彼女を害さないか、いつも番の烏くらい気を張っていた。
「こんなもんか」
これだけあれば朝まで持つだろう。薪になりそうな木材をあらかた拾い終え、帰路に就く。その道すがら、切り株の影に白いきのこが群生しているのを見つけた。よく見知った色に特徴的な傘の形。これは大沼でもよく見かけた湿地に群生する食用きのこだ。神々の国ロードランにも生息しているとは思わなかった。まさかこんなところで出会うとは。うちの師匠はじっくり焼いて食うのが好きだった。彼女の口に合うだろうか。
不死人になってから分かったことがある。どうやら不死になると食欲はなくなるらしい。腹が減らなければ食事をする必要もない。俺は不死になった今でも、口寂しさを紛らわせるために木の実を食べているが、それは言わば生者だった頃の名残のようなものだ。
彼女がエストや苔玉以外のものを口にしているのは見たことがない。まぁ物は試しだ。たまの食事は気晴らしにもなるだろう。群生している中でもとりわけ大きく形の整ったものを二つ三つ手に取り、土産のつもりで腰の巾着に入れる。彼女がどんな反応をするか楽しみで、ぬかるみを歩く足も不思議と弾むようだった。

足取り軽く彼女の元へ戻ると、焚き火は先ほどよりも勢いを失っており、彼女は火の前で膝を抱いて座っていた。
「少し待たせたな。寒いか?」
「火は弱まったけど大丈夫だよ。無事でよかった」
心許ない焚火の火より、よっぽど温まる言葉だ。腰を下ろしながら薪をくべる。順調に火は勢いを取り戻していった。ふと視線を外すと、彼女の小脇に白いきのこが沢山あるのが目に入った。先ほど俺が採ったものより少し小振りで歪だ。しかし恐らく同じものだろう。思わず苦笑し、腰の布袋に手を伸ばした。
「それあんたも見つけたのか。俺も同じものを見つけて採ってきたところだ。あんたさえ良ければ、一緒に食べようかと思ってな」
よく見えるよう掌に載せて差し出すと、彼女は目を丸くした。
同じものを?」
「そうみたいだな」
どちらともなく、顔を見合わせて笑う。
「毒きのこかと疑っていたけれど、本当に食べられるきのこだったんだ」
彼女は俺の手のひらに置かれたきのこを訝しげにまじまじと見つめている。
「大沼に生えていたのと同じものなら、じっくり焼くと美味いはずだ」
「ふうん
見れば彼女は結構な数を集めている。花の分を取り戻すように乱獲する姿が目に浮かぶ。一方、俺の採ったものは形良く、大きさもある。せっかくならこれは彼女に食べてもらおう。
薪をくべ勢いを増した火の周りに、きのこを刺した枝を立てていく。彼女も自分の採ったきのこをてきぱきと並べ、焼けたものから裏返している。溌剌と輝く瞳を見るにどうやら楽しいらしい。器用な手先と観察力を活かして、次々と焼いている。
この旅の中で、一番穏やかな時間が流れていた。こんな時間ばかりがずっと続いて欲しい。そう思いながらぼんやりしていた俺に、彼女は焼き上がったきのこの串を差し出した。
「くれるのか?」
「一番綺麗に焼けたからこれは師匠に」
形は不揃いだが、確かにどれも綺麗な焼き目をしていた。さりげない彼女の思いやりに、俺は毎毎胸を焦がしていた。
ありがとう。孝行な弟子を持って俺は幸せだな。ほら、これはあんたに」
照れ隠しで大袈裟に喜んで、自分が採った大きく形の良いきのこを刺した枝を手渡す。結果的にそれぞれが採ったものを交換したような形になり、盃を交わすかのように互いにそれを掲げた。
焼きたてのきのこから立ち上る湯気は、美味しそうな香りを鼻に運ぶ。呪いでとうに失せてしまった食欲すら刺激しそうな良い香りだ。ただ、それはどうでもよかった。
実のところ、きのこを集める間からほんの少しの下心を抱いていた。口に合うかどうか以前に、そもそも彼女は普段からマスクで顔半分を覆っている。それを外すのはエストや苔薬を口にするときだけだ。だから、食事となればいつもよりも長い時間その顔を眺められるはず。
おいしい」
案の定、彼女はマスクを外し、普段は隠している鼻と口を露わにして、無防備にきのこを頬張った。良いものが見られた。戦場でエストを飲むときとは違い、ゆったりと食事をする時はこんなに穏やかな表情をするのか。その姿があまりに愛らしく、自分が食べるのも忘れてただ彼女を眺めていた。
「師匠、食べないの?」
「ん? あ、ああ
怪訝そうなの声にはっとし、慌ててきのこを口に放り込む。彼女のくれた綺麗な焼き目のきのこは、ほんのりと甘い風味がして美味い。俺が急いできのこを貪るのが可笑しかったのか、彼女はあどけない表情で笑った。
「あはは、そんなにいっぺんに頬張らなくてもいいのに」
今まで見てきたどの表情よりも力の抜けた、年相応の屈託のない笑顔。そんな笑い方も、できたのか。驚きと喜びと幸福が同時に湧きあがる。こんな気持ちは初めてだ。火のついた薪みたいに焚きつけられた知らない感情を前に、俺は息をするのも忘れていた。
そう、だな。ははは
こんな単純なことで心を揺さぶられるなどとは思ってもみなかった。
彼女は俺の気も知らずに、手渡された大ぶりなきのこに夢中になっている。小さな口を目一杯開けて頬張る姿は小動物顔負けの可愛さだ。俺はすっかり彼女から目が離せなくなり、味も咀嚼も忘れて見入っていた。
普段見る機会が滅多にないせいか、小さな口から覗く赤い舌がやけに目に留まった。柔らかそうな唇がきのこにあてがわれる度、見てはいけないものを見ているような背徳的な気分にさせられる。細い喉が咀嚼に合わせて上下しているのすら、何故だか煽情的に見えて……俺は一体、何を考えてるんだ?
どうにも変な気分だった。さっきまでの純粋な感情とは異なる、別の感情が思考に混じりだす。気を紛らわせるべく、俺も彼女に負けじときのこを口に放り込む。彼女の口元が露わになっているだけで、こんなことを考えるなんてまったくどうかしてる。敬意を欠いた邪念を頭から追い払い、今この瞬間に集中しよう。
瞑想の時のように、集中し感覚を研ぎ澄ませる。こんなに静かな森の中だというのに、鼓動が耳に響くほどうるさい。どくどくと脈打つ度に肺が重くなって、呼吸しづらくなるような違和感。それに、心なしか頭と視界がぼんやりして靄がかかっているようだった。心なしか体も少し熱い。火に近づきすぎたのだろうか。焚き火から少し距離を取り座り直し、彼女に異変を感じ取られないよう食事を続けた。
しかし、やはり彼女から目が離せない。
その小さな口がきのこにかぶりつくたびによからぬ思いが全身を駆け巡る。艶やかな赤い舌がぺろりと指を舐める仕草が俺を狂わせる。どうなってるんだ
「師匠?」
流石に何か感じ取ったのだろう。彼女は火の横を通り、俺のそばまで来て顔を覗き込んだ。上目遣いでこちらを案じる表情もとても良い。火に照らされた白い頬がとても柔らかそうで、触れたい衝動に駆られる。
もし触れたら、どんな顔をするのだろう。そんなことをすればきっと嫌われてしまうに違いない。慌てて正気を取り戻す。
「ああ、悪い喉が渇いたみたいだ。水でも飲んでくるよ」
少し離れた水場で顔でも洗おう。そう思って立ち上がる。が、立ち上がろうにも腰に上手く力が入らない。足元がおぼつかなくてまるで酒にでも酔っているみたいだ。木に寄りかかってようやく立ち上がるも、なんだか軽い眩暈までする。大沼の質の悪い酒でもこんな酔い方はしない。明らかに何かがおかしい。
「本当に大丈夫?」
「ああ大丈夫だ。すぐ側だからな」
彼女の瞳を見るだけで血が騒ぐような感覚に襲われる。その唇に、肌に、触れたくてもどかしい。あの柔らかい唇に噛み付いたらさぞかし美味いんだろうなんて、気を抜けば獣みたいなことを考え始める自分に嫌悪感を覚えた。
青い花の光に照らされた小さな水辺は、透き通った清浄な水で満ちている。その冷たさが今の俺には心地よかった。両手で掬い慎重に口元に運ぶ。しかし、手が震えていて指の隙間から水が溢れてしまう。何度か掬い直しやっとのことで口に入れた水も、飲み込むと喉を焼くように熱い。喉から胃に流れ込む灼熱の水にむせ込んで慌てて胸を叩く。
よく見れば、水の底の方にふやけた綿のような青い塊が落ちている。とても柔らかく、摘むと容易く解けてしまうこれは菌糸か?嫌な予感がして辺りをよく見ると、彼女が摘んだあの青い花とよく似た光を放つきのこがある。
「まさか、な
青いきのこのうちのいくつかは、ところどころ白い傷が見える。試しに笠の一つに爪で傷をつけると、その傷を中心にきのこは白く変色していった。そして根本から摘み取れば青い光はみるみるうちに失われ、瞬く間に白一色に染まる。まるで初めから白かったかのようだ。
全て合点がいった。
彼女が採ったきのこと、俺が採ったきのこは別物だ。彼女が採ってきたものつまり、俺が食べたきのこの本来の姿は、この光る青きのこというわけだ。
そして、これがそうかは定かではないが大沼で使われる薬の中には、白きのこを乾燥させて砕き粉末状にしたものがあったはずだ。滋養強壮や媚薬効果、果てには幻覚の効果もある薬で、まともではいたければ口にするべきでない薬だ。大沼に辿り着いた異端の中でも尋常ではない者が縋る代物。俺の予感が正しければ、このきのこは恐らくその薬の原料だろう。
それならこの体の反応にも納得がいく。動悸も、めまいも、じくじくと熱を帯びていくような気だるい感覚もその効果だろう。彼女への好意はともかく、よからぬ想像に繋がるのも恐らく幻覚が誇張して見せているものだ。時間が経てば収まるだろうが、それまでどうしたものかと髭を撫でる。
いや待てよ。そういえば、彼女の採ったきのこは俺の物より数が多く、まだ残っていたはずだ。早く戻らないと彼女までこれを口にしてしまうかもしれない。不自由な身体に鞭を打って、彼女の元へ急ぐ。相変わらず足は縺れそうになるが、この旅始まって以来の火急の事態ともなれば、甘えたことは言っていられない。

******
熱っぽくどこかぼんやりとした目。優れない顔色。立ち上がるのにも一苦労といった様子で、足取りもふらついていた。明らかに様子のおかしい彼を見送った後、何が原因なのか考えていた。
食事をする前は問題なさそうだったことを踏まえると恐らく今食べたきのこの所為だろう。確かきのこの生食は禁忌だったはず。もしかすると私の焼いたきのこが生焼けだったのだろうか?焼け具合が足りないまま彼に渡してしまった可能性は充分にある。
試しに、一番最後に焼いたきのこをひとつ口に入れてみる。火はしっかり通っていて、食感も生ではない。気になるのは、先ほど食べたきのことは食感や風味が若干異なるところだ。焼け具合だけでこんなに味が変わるものだろうか。それともたまたま今口に入れたものが、味が悪いものだったのだろうか。もう一つ食べて確かめてみようと手を伸ばしたところで、後ろから腕を掴まれる。
「?!」
驚いて咄嗟に短刀を抜こうとするが、利き腕を掴まれていて反応できない。慌てて左手で呪術の火を構え振り向くと、血相変えたラレンティウスが少しばかり乱暴に肩を掴み声を荒げた。
「食べたのか!?」
「一口だけ火が通っているか確認したくて
私の回答に彼は安堵の声を漏らした後、困ったように頭を搔いた。
「一口なら、まぁ恐らく。その、いきなり腕を掴んで悪かった」
穏やかな彼が声を荒げるのはとても珍しい。これまで聞いた中では戦闘中くらいだ。それもたった数回。余程のことがなければこんなに声を荒げることはないだろう。
「このきのこに何か?」
私が顔を覗き込むと、彼は答えにくそうに目を泳がせた。
「いや別に大したことはない。心配するほどのことはないんだ。ああ! それはそうと、あっちの水は飲まない方がいい。気味の悪い虫がいたからな、はは
明らかに挙動も言動もおかしい。先程までの体調が優れない様子とは違って、今度は何かを誤魔化しているようだ。訝しみ彼の目を覗き込もうとすると、今度は両手で肩を掴まれる。
っと。それ以上は近付かないでくれ」
?」
「頼む、理由は聞かないでくれ。出来れば今は俺の方も見ないでくれ。どうにかなっちまいそうなんだ
さっぱり訳がわからない。よく見れば、頬は上気していて額に汗を浮かべている。熱でもあるのかと手を伸ばすと、今度はその手を掴まれる。
「頼むよ、触らないでくれ俺は大丈夫なんだ。本当に」
全く大丈夫ではない。こんなに様子がおかしいのに出来ることがないのは、どうにも歯痒い。やはりきのこのせいだろうか?
先程口に運びかけたきのこをもう一度口へと運ぶ。するとまたしても慌てた様子で彼が私の手を口から遠ざけようとする。
「ダメだ。これは食べない方がいい」
「どうして?」
「そのいや。どうしてと言われれば。どうしても、だ」
しどろもどろで要領を得ない彼の返事に痺れを切らし、掴まれていない方の手できのこを口に放り込んだ。それを見た彼はあっと短い声を漏らした後、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「このきのこ毒でもあるの?」
「毒がないといえば嘘になる。ただ、少量なら少しふらつく程度だろう。あんたが食べたくらいなら平気なはずだ。厄介なのはなんというか、他の影響でな
躊躇いがちに視線を泳がせて、言葉を詰まらせる。かと思えば今度は大袈裟なほど深く息を吸い込み、吸い込んだ息をゆっくりと吐き出す。全部吐き切った後、彼は目を伏せる。
滋養強壮といえば伝わるか? それに、少しばかり幻覚が見えるようになる。つまりそのあれだ。よからぬ薬や媚薬、夫婦和合の秘薬に使われていて。まぁ、そういうことだ」
そう言い終えると、彼はこちらが恥ずかしくなるくらい顔を真っ赤にして俯いていた。
「滋養、強壮
なんと声をかけて良いか分からず、今度はこちらが狼狽える番だった。彼は私を掴んでいない方の手で口元を覆っている。その指の間から見える肌や耳は火のように真っ赤だ。
どうしたら治せるの?」
「時間が経てば、恐らく良くなるはずだ。とりあえず、俺のことは放っておいてくれ。食べた量が悪かったのか、あんたのことを見ているだけで、気がおかしくなっちまう
そう言って私の手を離すと、彼は瞑想の姿勢を取って自分を抑え込むように腕を組んだ。
しばらく沈黙が続いた。焚き火が時折爆ぜる音だけが森の中に虚しく響く。お互い、石化してしまったかのように身じろぎ一つできないまま、ただただ時間だけが過ぎていくのを感じた。

******

顔から火が出そうなほど熱い。いや、顔だけじゃない。体の内が煮え立つように熱かった。熱にうなされている時のように頭も上手く働かない。大沼の師に初めて呪術の火を分け与えられた時だって、こんなに熱くはなかったはずだ。
彼女が俺の体に触れようとした時、自分の奥深く隠された本能が目覚めたのを感じた。
そのまま力尽くに押し倒して、彼女の柔らかい肌や唇を我が物にしたいという衝動。
咄嗟に肩を掴んで距離を取ったが、いつまでこの衝動を抑え続けられるか自分でも分からなかった。
彼女は俺の弟子で命の恩人で、大切な友人なのに。身体はそんなことお構いなしに、彼女を女と認め反応してしまっている。華奢な腕も、肩も、仰ぎ見る目も、今はその全てが爛れた欲望を呼び覚ますだけの口火に他ならない。今だって、邪な空想が沸き起こるのをなんとか振り払おうとしている。気が緩むと、彼女の艶めかしい舌や唇を思い出して気が狂いそうだった。こんなことを考えていると知られようものなら、間違いなく嫌われる。下手をすれば今後俺から呪術を教わることもなくなってしまう。それだけは嫌だった。
「あんたは大丈夫そうか?」
背を向けたまま声をかける。俺の食べた量でこれなら、彼女も少なからず影響を受けているだろう。
若干、体が熱い。動悸もするし……変な感じ」
少し上擦った声から戸惑いが滲んでいる。
こんな状態でさえなければなんとかしてやりたいところだがこのきのこの解毒方法が分からない以上お手上げだ。今の俺にできることは、昂りが収まるまで彼女から離れて瞑想をすることくらいだろう。
ごめんなさい」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呼び掛けられる。その申し訳なさそうな声色に、居ても立っても居られず振り返る。彼女は自分の両膝を抱いて座り込んでいる。
「こんな効能のきのこだと知らなくて沢山食べさせてしまったから」
それは仕方のないことだ。彼女が知るはずもない。俺が彼女の採った白いきのこを見て、自分が採ったものと同じだと早合点しただけだ。これでは花を萎れさせたのと同じように落ち込ませてしまうと、不明瞭な頭でなんとか励ましの言葉を探す。しかし、俺が言葉を見つけるより先に、彼女はおずおずと口を開いた。
「もし辛かったらその、私が責任、取るから
「責任? ………どういう、意味だ?」
彼女が責任を取る?言葉の意味を理解するまでに暫くかかった。そして彼女が言わんとしたことを理解し、また顔が熱くなる。火を跨いだ先にいる彼女は、火よりもっと赤い。こんなことを言わせてしまったことが情けない。
「いや! あんたは悪くないさ。これは俺の不注意が招いたことだ」
「でも
夜の森の空気はひんやりと冷たいはずなのに、その感覚すら忘れさせるほど、体は熱を帯びていた。病の最中のような灼熱感に、本当にこのまま時が経つのを待てば治るのかという疑念がよぎる。まだ辛うじて本能に抗っているが、理性を失い亡者のように彼女に襲いかかってしまわないか、それだけが気がかりだった。
「あんたは俺にとって大事な存在なんだ。こんな成り行きで責任を取らせるなんてそんなことはしたくない」
私は、師匠ならいいよ」
その消え入るような小さな呟きは、熱ではっきりとしない頭に冷水を浴びせるかのような衝撃を与えた。頭の中で言葉をなぞる度、鼓動がはやる。見て見ぬ振りをしていた疑問が鎌首をもたげる。
俺が彼女を想うように、彼女も俺を特別な存在だと思っていたら?
そうあればいいと願ったことは何度もある。だが、そんなことは決してあり得ないと思っていた。こんなきのこを食べなくたって考えたことはある。この旅が終わった時、彼女の中で俺はどんな存在になるのかと。師や友人で満足できるのか?決して手を触れぬまま、遠くから花の輝きを愛でるだけで本当にいいのかと、岩の上の萎れた花が俺に問う。心に芽吹いた懊悩が、糸操りのように俺を動かそうとしていた。
俺も、あんたなら
そう言いかけて、口を噤む。このまま彼女に触れたとして、その先は。今のこの状態では、一度触れてしまえばもう二度と自分が抑えられなくなりそうだった。花など容易く踏み躙ってしまいそうなほど、内側を焼く火は燃え滾っている。彼女が相手となれば尚更、抱いてきた想いの分だけ止められなくなりそうだ。
俺にとって彼女の存在は、この鬱蒼とした暗い森を照らすあの青い花の光と同じだ。たった一度の過ちで彼女との関係が光を失い萎びていくのは嫌だった。例え彼女がそれを許したとしても、俺はその淡い光に照らされる、静かで穏やかな今の関係をそんな風に終わらせるつもりはない。失われて二度と戻らないくらいなら、淡い幻想のまま咲いていた方がずっといい。少なくとも今は、心の底からそう思う。
彼女の言葉で沸き上がった心を鎮めようと深く息を吸う。ひやりとした森の空気が肺に満ち、少しの間熱を冷ました。
あんたを大切に思うからこそ、こんな成り行きでは触れたくない。もっと時間をかけて、あんたのことを知りたいんだ」
静寂を埋めるように篝火が弾ける。彼女はそれ以上何も言わず、俺の目を見て頷いた後、再び膝を抱いて篝火に向き直った。今夜は、俺も彼女も一夜の燐火に惑わされただけだ。まだ長い旅路の途中。こんな夜だってあるだろう。
岩の上に置かれた萎びた花を手に取り、最後の薪と共に焚き火の中に放り込む。まだ僅かに水分を含む茎は激しい火の粉を巻きあげながら炎に沈んでいく。弾けるような音も茎も葉も全て炎に飲まれていった。俺の体を燻る青い熱が抜け切る頃には、この花も燃え尽き、きっと白い灰になっている。
微睡に誘われたのか、彼女は眠たそうに目を擦っていた。俺と彼女の間に咲く花は、きっとまだ美しく光っている。今は燃えるような情欲に身を任せるより、触れずに眺めた恋が自然に花開くのを待ちたい。燐火になど頼らずとも、いつか思いが重なる日が来る。そう信じられるのは、俺たちの間で静かに燃える火の温度が、燐火にも勝ることを確信しているからだ。


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