@azisaitsumuri
その鮫とは海で出会った。
当然だ。鮫とは海の生き物だ。
「ねえおまえ、わたしのところに来ませんか?」
小さなおまえなら金魚鉢でも充分かも知れませんが、可哀想なので仕方が無く大きな水槽を用意してあげます。
「だから、ね?わたしの絵のモデルにでも成って、何不自由無く悠々と過ごすと良い。」
「リッパー。」
だから、海で過ごす内に、その広さを知ってしまったのだ。
「だって、次はいつおまえを描けるか分から無いじゃないですか、」
「そんなこと無いさ。」
尾鰭がぱしゃんと波をおもちゃにする。
「海流と言うものがある。」
鮫が水平線を、もっとその先を見詰める。
「だからまた会えるさ。」
尾鰭はわたしに向けられて、奴は行ってしまった。
白い波を見ても、白いキャンバスを見るようには見れ無かった。
海の白のことは、ただただ怨むようにしか見ることが出来無かった。
あの小憎たらしい頬白鮫め。