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赤夜蒼月(しゃくやそうげつ)

@tkaruno
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2015-10-04 02:01:08


#GR版深夜の真剣60分一本勝負/20151003お題『マスク・ザ・レッド』

単独で話を考える機会がほとんど無かったので、SSSというかイメージというか(ゴニョゴニョ)
普段はレッドさんの一人称を『俺』にいてしまってるので、いざ『私』で書くとなんとなくむず痒いですねw

 ゴウ、と突風が吹く。
 元より風の強い地形である。建物と建物の隣接部分では更にその勢いは増す。夜風が冷える時期でもあり、歩哨の当番の兵士達も思わず肩を竦めた。
 そんな彼等と基地の真上には、満月。
 雲一つ無い夜空に張り付くようなその姿はいっそ神々しい。その光に周囲の星はあまり見えず、ふと月を見上げた兵士も無意識に目を細めた位だ。

 その刹那、青白き月光を切り裂く、一閃の赤。

 歩哨とはいえ訓練された兵士だ。ましてやここは秘密裏の軍事施設でもあり、通常ならまず敷地内に侵入する事すら不可能。たとえ入れた所で最新の設備と前述の兵士達に問答無用で始末されてもおかしくない。
 だが、そんな屈強な兵士達は一瞬で地に伏した。同時に、その手に構えられる事も無かった基地自慢の兵器はまるで大根を切ったようにスッパリと綺麗な断面を見せて転がる。
「油断し過ぎだ、うつけが」
 一言そう呟いた男――――マスク・ザ・レッドは、刀の血糊を無造作に振り落とした。
 赤い首布が夜風に掬われ、舞い上がるように螺旋を描く。まるで双頭の蛇が絡み合うようだ。そして名前を表す仮面は月光の下であってもその色を失わない。否、夜に在って尚、その赤は殊更鮮やかに浮かぶ。
 “忍”というある種の肩書きを背負いながらも堂々と姿を現す様は、自身への絶対の自信と敵への例外無き無慈悲の象徴とも言える。
 突然とサイレンが鳴り響き、建物が急に騒がしくなった。どうやら相手も異変に気づいたらしい。
「フン、やっとお出ましか」
 わざわざこの私が出向いたのだ、そうでなくては困る。
 レッドは独り言ち、ニィ、と嬉しそうに口角を上げた。



   ゴウ、と突風が吹く。
   次の瞬間中天に昇った満月は赤い影に遮られ、地上の惨劇が月光に照らされる事は無かった。




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