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Elegance〜Magia Notes Part.32〜

全体公開 ツイステ二次創作 1 4 4078文字
2024-01-06 21:45:43

憧れの人は美しい妖精の歌姫。
私も彼女のような凛とした美しい女性になりたい。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第32話。
※創作女監督生の名前が出ます
※夢主以外の名前ありのオリキャラが出ます
※他CP(マレ × not監)要素あり
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

画面の向こう側にいる憧れの人に近付きたい。
そういった願望を抱く人は多くいるだろう。
ナイトレイブンカレッジに入学してから、私にも憧れの人ができた。
彼女の名はリヴ・ノックス・ディアーナ。
ホワイトドラゴンの妖精族であり、この捻れた世界で有名な歌姫だ。
リヴ様は品格のある佇まいと美しい歌声で、多くの人々を魅了している。
私も彼女に魅了された者のひとりだ。

ちょうど今夜の音楽番組にリヴ様が出演する。
時間になり、私とグリムはテレビの前に座った。
画面の向こう側にいる彼女の姿と歌声に、私とグリムはすっかり見惚れてしまっていた。
番組が終わってからも、私達はしばらく余韻に浸っていた。
するとその時、スマホにシルバー先輩からのメッセージが届いた。

「コンサートのお誘いだ。来週の土曜日は……特に予定は無かったかな」
「場所は麓の街のホールって書いてあるんだゾ」
「ツノ太郎さんからチケットを貰ったのか。一体、誰のコンサートなんだろう?」
「オレ様も行きたいんだゾ!」
「あっ、グリムにもチケットがあるみたいだよ」
「ふなっ、本当か!? 楽しみなんだゾ!」
「とりあえず返事を送っておこう」

私はすぐにシルバー先輩に連絡した。
少し経ってから、シルバー先輩から返信が届いた。
ツノ太郎さんには、内容や出演者は秘密であると言われたらしい。
しかも、このコンサートにはディアソムニア寮生たちも来るそうだ。
私とグリムはコンサートの内容がどんなものか予想しながら、コンサート当日までの日々を過ごした。



待ちに待った、コンサート当日。
私とグリムはシルバー先輩と正門前で待ち合わせをし、そのままバスに乗って麓の街へと向かった。
今回のコンサートが行われるホールは、軽音部のライブでも何度か利用した場所だ。
ホールの前にたどり着くと、他のディアソムニア寮生たちがぞろぞろと押し寄せていた。
私達はディアソムニア寮生たちの群勢の中にいたリリア先輩に声を掛けられた。

「シルバー、ニコル、こっちじゃ!」
「あっ、リリア先輩! セベクくんもいる!」
「お前たちが誘われたのは、若様のご厚意によるものだ! 失礼なことをするんじゃないぞ!!」
「わかったから声を抑えるんだゾ……

相変わらず大きな声で注意喚起をするセベクくんに対して、グリムは両耳を塞いでいた。
私達はリリア先輩たちと合流し、ホール内の座席についた。
コンサートの開演時間まであと三十分もある。
私達はリリア先輩たちと雑談しながら待つことにした。
開演時間が迫り、ホール全体の照明が暗くなった。
幕が上がった途端、バイオリンの旋律がホール内に響き渡った。

完全に幕が上がり、ステージの照明が明るくなっていく。
すると、耳馴染みのある歌声が聞こえてきた。
思わず耳を疑った私とグリムは、ステージの方へと目を向けた。
なんと、ステージ上にバイオリンを演奏しているツノ太郎さんと嬉々とした表情で歌うリヴ様がいたのだ。
銀色の長い髪に藍色の瞳、サヨナキドリのような美しい歌声。
間違いなく、本物のリヴ・ノックス・ディアーナだ。
瞳の色と同じ藍色のマーメイドラインのドレスを身に纏い、彼女は自身の代表曲の旋律を歌声で奏でている。

私は夢でも見ているのだろうか。
軽く頬をつねって確かめてみる。
少し痛みを感じるから、この光景は夢ではなくて現実だ。
情感溢れるバイオリンの伴奏に合わせながら、リヴ様は声を高らかに世界平和を願う詩を旋律に乗せている。
最初の楽曲の演奏が終わり、そのまま次の楽曲の前奏が奏でられた。

次の楽曲は明るい和音の響きと軽やかなメロディが印象的な曲だ。
リヴ様の歌声も楽曲に合った愛らしいものになっている。
陽射しが降り注ぐ森の中で、恋人たちが幸せな時間を過ごす様子が頭に浮かんでくる。
楽曲の合間に、ツノ太郎さんとリヴ様は仲睦まじそうな様子を見せていた。
私とグリム以外の観客は驚くことなく、ステージ上の二人の様子を見守っていた。
演奏が終わると、リヴ様が観客席に向かって挨拶を始めた。

「皆さん、今日は私達のコンサートに来てくれてありがとう。最後までお楽しみくださいね」

挨拶が終わった後、リヴ様はツノ太郎さんに合図を送った。
次の楽曲は、音楽番組でもよく演奏されている勇壮な歌詞が印象的な曲。
大地を轟かせるような低音を奏でるリヴ様の姿も勇ましい。
この楽曲はシルバー先輩のお気に入りの曲でもある。
私の隣にいるシルバー先輩が、真っ直ぐにステージを観ながら楽曲に耳を傾けていた。

三曲目の演奏が終わり、少しの静寂を挟んでツノ太郎さんがイントロを奏でた。
名残惜しいが、次が最後の楽曲。
空を羽ばたくホワイトドラゴンと共生する人間たちの物語をテーマにした、十分ほどの長さもある組曲だ。
旋律の響きが変わる毎に、リヴ様の歌声の雰囲気も変わっていく。
時に勇ましく、時に苛烈で、時に慈愛に満ちた様子を見せる。
歌声が奏でる旋律に耳を傾けながら、私は表現者としてのリヴ様に尊敬の念を抱いた。
いよいよ楽曲がクライマックスへと近付いていく。
リヴ様は惜しむことなく、高らかで美しい歌声をホール内に響かせた。



最後の楽曲が演奏された後、たくさんの拍手がホール内に鳴り響いた。
ツノ太郎さんとリヴ様が観客席に向かって手を振っている。
満足げな笑みを浮かべるツノ太郎さんの隣で、リヴ様は華やかな笑顔を観客たちに振りまいていた。
やがて、二人は舞台袖に引っ込んだ。
私とグリムは拍手をしたまま、ぼうっとステージの方を眺めていた。

「ニコル、グリム、大丈夫か?」
「すっかり見惚れておるのう」
「はっ! シルバー先輩、リリア先輩、すみません!」

シルバー先輩たちに声を掛けられ、ようやく我に返った。
ひとまず、私達はホールの外に出ることにした。
憧れの人を間近で見たからなのか、私の頬はすっかり火照っていた。
出入口の扉から微かに漏れ出ている風に当たりながら、私は顔の火照りを静めていた。
すると、先程までステージに立っていたツノ太郎さんから声を掛けられた。

「ニコル、グリム、今日は僕らのコンサートに来てくれてありがとう」
「あっ、ツノ太郎さん!」
「シルバー、リリア、セベクも揃っているな。皆、僕らの楽屋に来てくれ」
「えっ、いいんですか!?」
「構わない。リヴもお前たちと話したいと言っている」

ツノ太郎さんに誘われ、私達は楽屋の方へと足を運んだ。
あのリヴ・ノックス・ディアーナが私に会いたがっている。
そのことが信じられない私は、戸惑いを隠せないまま楽屋までの道のりを歩いていた。
気付けば楽屋の前までたどり着いていた。
ツノ太郎さんはおもむろに扉を開け、リヴ様を呼んだ。

「リヴ、待たせたな。お前が会いたがっていたヒトの子たちを連れてきた」
「あら、いらっしゃい。リリア様、シルバーにセベクもいるのね。嬉しいわ」
「はっ、はじめまして……。ニコル・シャーロンです……
「オレ様はグリム様なんだゾ」

眼前に私の憧れの歌姫がいる。
私は声が途切れそうになりながらも、リヴ様に自己紹介をした。
グリムまで私に釣られて声が小さくなっていた。
ツノ太郎さんにソファに掛けるように促された。
私はシルバー先輩の隣に座り、彼女とお話しすることになった。

「あなたがシルバーの恋人なのね」
「はっ、はい……
「ニコル、さっきからどうしたんだ? どこか具合でも悪いのか?」
「違うんです……。憧れの人が目の前にいるから……緊張しちゃって……
「あら、そうだったの! ニコルさん、楽になさって」
「ご厚情、痛み入ります……

リヴ様が柔和な微笑みを浮かべながら、私に声を掛けてくれた。
リリア先輩いわく、ホワイトドラゴンの妖精族は穏やかな気質らしい。
中でも、彼女は特に人間に対して好意的なのだそうだ。
私の緊張を和らげるかのように、リヴ様は話を続けた。

「マレウス様からヒトの子の友人ができたことを聞いていたの。だから、ひと目お会いしたかったのよ」
「なんだか恐れ多いです……。ところで、お二人はどのような関係なのですか?」
「彼女は僕の婚約者だ」
「ええっ、そうなんですか!?」
「知らなかったんだゾ!」
「驚くのも無理はない。リヴと婚約を結んだのは最近だからな」

ツノ太郎さんとリヴ様は歳が近い上に、音楽の趣味も合うらしい。
二人が出逢ったのは、ナイトレイブンカレッジに入学して二年目のウインターホリデーの頃だとツノ太郎さんが話してくれた。
彼女と婚約を結ぶために、元老院まで黙らせたとツノ太郎さんは誇らしげに笑っていた。
愛の力は時に恐ろしいものだ。

そろそろ撤収の時間になる。
私達はツノ太郎さんたちと別れ、ホールを後にした。
バスの停留所までの道中、私はシルバー先輩と肩を並べて歩いた。
憧れの歌姫であるリヴ様と会話を交わした時間は、まるで夢のようだった。
彼女は高尚の精神を讃えるディアソムニア寮の寮長に相応しい女性だと思える。
私も凛とした佇まいの美しい女性になりたい、そうシルバー先輩に話した。

「日々の積み重ねを続けていれば、きっと叶えられるだろう。お前が憧れの人に近付けるように、俺も側で応援しよう」
「ありがとうございます」
「それにしても、すごい偶然だったな。まさか、お前の憧れの人がリヴ様だったとはな」
「ツノ太郎さんの婚約者って知った時には、心臓が止まりそうでしたよ……
「俺もマレウス様から紹介された時は驚いたな」

いまだに興奮が冷めない状態の私の方を見ながら、シルバー先輩が眉尻を下げて微笑んだ。
いつかの未来に私がシルバー先輩と共に茨の谷に行けたら、また仲睦まじい様子のツノ太郎さんとリヴ様を間近で見られるかもしれない。
お伽話のような空想を思い描きながら、私達はバスの停留所へと向かった。


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