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ふぁんたじぃっぽいけど宇宙とか出て来るよーり+えまで、傭は全然出て来ない(え?)。おうとひょうげん?有り。

全体公開 傭リ 1 3 1773文字
2024-01-20 14:15:20

星を吐く傭兵。これはピーターパンの物語です(え?)。

 麦藁帽子を手に乗せ、期待に両の目を閉じれば、エマは何処にだって行けた。彼女の帽子は一つの宇宙だ。その中に招かれるようにして、何処かの星の上、何処にでも移動する。
 その宇宙の中で、エマは自由だった。
「ちょっと。こらこら。」
 エマが目を開けると、驚いたように、というか、慌てたように長身の男が大きな手を忙しなく動かしながら呼び掛けて来た。どうやら引き返すように手振りしているらしい。
「この星に降り立つことは、どんな宇宙旅行者だろうと歓迎しません。特にお嬢さんは!」
 いわゆる禁足地、というものだろうか。エマは細首を傾げる。
 それでもどんな星でも行けるエマに、その足を阻む警備など通用しない。だって行けて仕舞うものは行けて仕舞うのだから。彼女の万能性に勝ることが出来ない、ならば、それ迄の話。危険も何も、彼女の相手にならない。
「女人禁制とか、それどころの話ではないのです。だから早く、今だともう、時間がありません。」
 そう言って男は空を見上げた。エマも倣って空を見た。身長の高い男より尚、その上だ。
 澄んだ空は瞬く星を抱く宇宙の様相を地上に注いでいた。
 男は焦りを重ねた。
「ああ、もう、言ったそばから!已むを得ません。」
 男は左の刃を宙で振るとそこから霧を撒き、さっと二人は白く包まれた。気付けばそこは先程迄いた星ではなかった。エマが、何処の星で見たのだったか、宙に浮かべるようになる妖精の粉と歳を取らない男の子の本を思い出している間に、男は別の星を見ていた。なのでエマもそちらを向く。男に連れて来られた星は、先程の星より小さく更に澄んだ空気のせいで、天空の星は瞬かない。
「ああ、ほら、危ないところでした。」
 男が指さす爪が、寧ろ星の瞬きのようにきらりと光った、その先、先程いた星だ、その星に、別の星々が降り注いでいた。流星だ。
「別に、あの隕石が直接危害を与えるというわけではありません。それだけでしたら、あの場に留まった儘でもどうにでも出来ますし。」
 そういうことじゃなくて自分と男は続ける。
「あの落ち星は、ある男が吐いた星なのです。」
 これにはエマも思わず男の顔を見上げた。
「そんなに大きな人、何処にいるの?」
 エマは辺りを見回した。降る星々の元と思われる宙には、そんな人物どころか、誰も見受けられない。
「ああ、いや。男自体はすばしっこいだけの小男なのですが。」
 星を見る男の顔を、エマは再度見遣る。この星のこの場所からは、あの星を見下ろすようにして見える。宙でぱっと光って現れるような星々は次々と落ちてゆき、その流星群の光は、男の顔に反射して瞬かせる。
「どういうわけか吐いた星があの男自身に流星となって降り注ぐのです。そんなもの、お嬢さんに浴びせるわけにもいかないでしょう。」
 肩を竦める男は、その相手の体調を心配している様子は全くなかった。
「その人は?」
「別に。そういうもの、そういう男、そういう星なのです、ここは。」
 だから留まって観光するようなところはない、何一つとして。男はそう言いたげだった。
「じゃあ貴方は?」
「べ、別に。」
 言ったでしょう、直接危害は与えない、と。早口で捲し立てる男に、エマは、ふうん、と返しておいた、なるべく気のない素振りで。
「分かった。じゃあもう行くの。」
「ええ。道中お気をつけて。」
 男はどこかほっとした様子で、エマを見送った。
 麦藁帽子を手に乗せ両の目を閉じてその中に招かれて行くエマを、男はその姿と麦藁帽子もすっかり消えて仕舞うそのさいご迄、ずっと見ていたのをエマは次の星に降り立ちながらひしひしとしっかり感じていた。まるで作り手が、自分の作品の完成を隅々まで見極めるように。
 さて、エマが降り立った星は、賑やかに人々が往来している場所で、さっきの星とは打って変わっていた。きっとこの街なら図書館や本屋が有り、妖精と男の子が出て来るような物語も有るだろう。エマは他にも、ドラマチックな恋愛物語も好む。
 そこでふと思ったのが先程の星でのこと。招かれざる客を移動させるため、直ぐにエマと転移した男、あの男だけが、あの星に居ながら流星を見ることが出来るのだ。
 エマは改めて新しい地を見回す。あの星のような恋愛小説は、この星に有るだろうか。


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