ピクリエ様の冬のヌーフェスに参加させていただきました。3作目は、反転ジョン視点になります。
設定が一番捏造だらけですので、ご注意下さい。あと、ジョンのお酒コラボネタがちらっと入っています。
明日のバレンタインに、お菓子作りを教えて欲しいと頼まれた主従。
ヒナイチくんとロナルドくんは料理が苦手なので、あたふたしつつ、楽しんでいます。
かつて戦闘に明け暮れたバーサーカーだった人外の、角が取れていくのを、一番喜んでいるのはジョン…というお話ですね。
@kw42431393
*捏造設定になります。
・反転ジョンは、冷静でムキムキの大人マジロです。主人が我儘なので苦労人気質。アルマジロの甲羅は現実でも銃弾を弾き返したりするので盾として、戦闘に参加しています。
・反転ドラルクさんが、元反人間派に属していた危険度Aの吸血鬼で、強大な力を持つ人外です。戦闘力がある分、脳筋寄りで浮世離れしている。スリルを求めて、ジョン以外を大切に思わないバーサーカーでしたが、ヒナイチくんとロナルドくんの事は「どんな世界でも会う様に出来ていた気がする」と感じて、彼らの目標に協力する契約をしています。
・反転ヒナイチくんは反転ドラルクさんの監視員です。吸血鬼の居城の冷暖房完備された屋根裏にいます。意地っ張りで食いしん坊な性格ですが、本当は寂しがりや。
・お嬢ルドくんは、全ての人間と吸血鬼が友達になれる時代を築くのが夢の退治人です。戦闘には参加しませんが、お話合いという必殺技を使います(内容は企業秘密)。反転ドラルクさん曰く「戦う気をなくすタイプだが、最終的にコロコロ笑いながら腕をへし折ってくる」。
・嘘ほど険悪ではないけれど、反転世界では人間と吸血鬼の抗争は続いており、治安はよくないです。紆余屈折あって、吸血鬼と人間が共生する世界を築くという目標の下、反転みっぴきの溜まり場は吸血鬼の居城です。
「さて、ジョン。味見を頼むよ。」
「ヌン。任せてヌ。」
甘いチョコレートの匂いが、キッチンに漂うヌ。
ウエイトコントロールしているヌンはそんなに食べないヌけど、伊達に、貴方の肩で味見役をしてきた訳じゃないヌもの。
お料理上手な貴方とずっと一緒だったから、体は筋肉で丸まれなくなったヌけど、舌はとっても肥えているんだヌ。
「ヌン、これもバッチリだヌ」
「フフ、そうかね。君が言うなら大丈夫だ。」
そう言って、頭を撫でてくれる貴方。
かつて反人間派に属して、戦いに明け暮れていたドラルク様。料理は趣味だけど、他人に振る舞う事はあまりなかったヌよね。
それが…
「ドラルク、すまない。遅くなったな。自分から教えてくれ、と頼んでおいて。」
ヒナイチくんが監視に来る様になって、引きこもっていたヌン達の世界が変わり始めて…そして、ロナルドくんもここに来る様になって。
「おこんばんは。私も参りましたわよ。」
「いらっしゃい、二人共。退治人達や吸対の皆に配る分は、出来ているよ。勿論、君達への味見の分も。」
「う、うるさい。」
「お味見…にしては、量が多すぎますわよ?ありがたく、ご賞味させて頂きますけれども。」
ロナルドくんが振り返った先には、大量のトリュフに、ケーキ、凝った飴細工、勿論クッキーも並べてあったヌ。
「多すぎ…ではないだろう。二人なら一瞬でなくなってしまう。」
「ヌフフフ。」
こうして、みっぴき揃うのが貴方の楽しみになったヌね。特に、二人の願いである吸血鬼と人間達が共生する時代を築く事に協力する契約を結んでからは、堂々と戦闘にも参加出来るヌ。
大事な二人も守ってあげられるから、一石二鳥以上だって、言ってたヌね。
200年以上生きてきて、今が一番充実している…ドラルク様はそう言っていたヌ。
ヌンもそう思うヌよ。
今日?今日は、明日のバレンタインに向けて、お菓子作りをしているんだヌ。
二人は、お菓子作りをドラルク様に教えて欲しいヌって。
ヌン?ヌンはもう作ってあるヌよ。トマトで作ったお酒だヌ。
ヒナイチくんも去年で20になったから、明日、皆一緒に飲むつもりだヌ!
ヌンがお酒飲んでいいヌって?
ヌンの見た目がこんなだから、皆忘れてるヌね。ず~っと大昔に成人済ヌよ!
「さて、何を教えて欲しいのかね。料理は苦手なのは知っているから、簡単なものを。」
「うむ…それを言われると。」
「そうですわ。作りたくても、自分のお腕に見合わなければお意味がありませんもの。」
「まあ、要は気持ちだとも。だから、チョコレートに外れがないのだね。」
チョコレートで「貴方と同じ気持ち」、誰にもあげられるのは便利ヌね。
「私とヒナイチさんは、皆さんと食べるバウムクーヘンをお作りしたいと考えていたのですわ。難しいかしら?」
「そうでもない、フライパンでも作れるものだ。それにしても。」
そこで、ドラルク様は言葉を切ったヌ。分かるヌよ。貴方は、笑いを堪えるのに苦労してるヌね。
「ヌフッ!」
「あら、どうかなさいまして?」
だから、ヌンが先に笑ってみせるヌ。ドラルク様も恰好をつける必要なんてないヌよ?
「何だ?私達は、おかしな事を言ったか?」
「クック…考える事は同じだと思ってね。私が既に作ってある。明日、二人と一匹に食べて貰おうと思って。」
「じゃあ、お前が私達に吸血鬼用を教えてくれ。お前も一緒じゃなきゃ…。」
そう言って、ヒナイチくんが俯いてしまったヌ。彼女、少し前まで意地っ張りだったヌもの。
「おやおや、一緒じゃなきゃ…何かね?」
「か、からかうな!だから…一緒じゃなきゃ意味がないんだ。」
「意地悪なお人ですわね。ヒナイチさんの言うお通りです。私達に教えていただけるかしら?」
バームクーヘンには、「幸せが続きますように」という意味があるんだヌ。
三人と一匹、皆同じ気持ちヌから。
だから、一緒に食べたいヌよ。
スリルを求めて何のためらいもなく、命を危険に晒していた貴方から、そんな言葉が出る事が…そして、そう言って貰える人達が出来たことが、ヌンには一番嬉しいヌ。
「じゃあ、バウムクーヘンにしよう。教師は、私だ。安心し給え。」
「う~ん、出来るかな。」
「大丈夫だとも。じゃあ、まずはロナルドくん。材料を量ってくれ給え。」
「はいはい、このぐらいかしら?」
いきなり、小麦粉をバサッとボウルにあけちゃったヌ。
「ちゃんと、量りを使い給え。いきなり、躓いているじゃないか。」
ドラルク様が呆れているヌ。得意云々より、雑なんだヌ…。
「あわわ…うまく転がらない。焦げてる!焦げてる!」
「大丈夫ですわ、ヒナイチさん。私が転がしますので、ご安心なさって。」
「…素手で。ロナルドくん、それ食べるの…私だって事を忘れてないかね?」
「ヌ~ン。」
えっ?味はどうだったかヌって?
ヌン達が食べたのは、ドラルク様が作ったバウムクーヘンヌから、最高だったヌよ。
チョコレートやキャラメルもトッピングしてくれて、他にも色々作ってくれてたんだヌ。
何より皆で食べたから、美味しくない訳がなかったんだヌ。
「ドラルク、美味しいか?」
「ご安心なさいませ、ヒナイチさん。美味しいに決まっておりますわ、ね?」
時々、ドラルク様の口からジャリジャリ音が鳴っていたヌ。焦がしちゃったヌし、卵の殻が入ったりしてるヌからね。
「美味しいよ。隠し味が、特別なのだろう?」
「そう…かな。」
ヌンが気づいたぐらいヌもの。ドラルク様も気づいているヌよね。
ヒナイチくんが、時々痒そうに腕を擦っているのが。そこから、微かに血の匂いがしているのが。
「二人が作ってくれただけで、十分だったのだ。気を使わなくていいのに…嬉しいよ。ありがとう。」
「つ、使ってなんかいない!いつも…お前には感謝してる。」
「こちらこそ、いつも美味しいお料理に、私達のお仕事を手伝って頂いて、ありがとうございます。」
赤面して、俯いてしまう彼女。元気づける為に、ヌンも頭を撫でてあげるヌ。
照れ臭そうに笑ったヒナイチくんは、また大人になった気がするヌね。
じゃあ、締めはヌンが作ったトマトのお酒だヌ。皆で飲もうヌ。
皆にグラスが回されて、ヌンがお酒をついでいくヌよ。
「私は下戸の血筋でな。ちょっと、割ってくれるか?」
「じゃあ、この炭酸水で割りましょう。おハチミツも入れると、飲みやすいですわ。さあ、どうぞ。」
「ありがとう、ロナルド。」
ヒナイチくんが、グラスを無造作に傾けたヌ。待ってヌ、割ってても一気飲みはよくないヌよ。
「これ、ヒナイチくん。もう少し、ゆっくり飲み給え。」
「ヌヌイヌヌン、ヌッヌ!」
目の前でゴクゴクと音を立てて…喉が乾いていたみたいヌね。
「ぷはっ…おいひい。あへ…どうひ?…グスッ?ヒック、ヒック!?」
そこからが、ちょっと大変だったんだヌ。
彼女、泣き上戸だったみたいで…皆で宥めて眠ってくれるまで、大変だったのは、また別のお話だヌ。