@azisaitsumuri
傭兵は絶賛不自由な自分の左手を、口をへの字にじっとりと見詰めた。
別に嫌なわけではない。
「おい。」
「なんです。」
ただ不気味なので、後が怖いだけだ。
「なんでずっとおれの手を掴んでるんだ。」
もう片手は鋭くて粗相のおそれが有るのに。
「手を引くくらいの刺激が有れば、意識もこちらに向くかと思いまして。」
「は?」
呆気。
「まあ、手を取っていてもきょろきょろとして駆け出そうとすることも有るようですけど。」
「おい、ロビーと比べてやがんな?」
そう言いながらも離されない右手、ほどこうとし無い左手。
傭兵は思う。手なんか引かれていなくとも、意識は糸で引っ張られるようにこの男に繋がっている気が常にしているのに。今更。