X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

「だって、完全無欠と名高い氷の王太子のやさしい素顔はわたししか知らない」あとがき

全体公開 あとがき 6 4378文字
2024-01-25 00:03:08

例によって例のごとく長いあとがき

〇きっかけ
ロジータとジェラルドのお話を書いた時、Twitterでフォロワーさんに「シルヴィオはああ見えてヘタレなので、王太子妃の膝で時々泣いていますよ」と返信したのがきっかけで書き始めました。
多分、無意識だとは思うんですけど、シルヴィオは妹と仲良くできない人は自分の妃に選ばないと思うんですよね。
そんな感じからリリアーナのイメージを広げました。
あんまりわたしらしくない話かなと思ったんですが、「母に死なれ、妹をもう誰かに託すと決め、婚約者に逃げられた男がやっと運命の恋を見つけたと思ったら拒否られる」というのがわたしのいつも通りの話だなと思いました。悉くヒーローを試すwwシル兄ごめん。

〇タイトル
もうそのまんまですがw
「わたししか知らない」にするか「わたしだけが知っている」にするかを結構迷いました。
個人的には「だって」がリリアーナらしさが出ている気がしてお気に入りです。

〇キャラ
・シルヴィオ
イメージソング:ホワイトノイズ『自分の意気地なさに気づいている暇などないのに』
完全無欠の氷の王太子を9-17時でやっている人。プロの王子。
本当は心優しい静かな人。顔が華やかなだけの本当は地味な園芸理系男子(ぁ
割となんでもこなせる器用貧乏。その分、自分の感情を表に出すのが苦手なので人を傍に置くのが苦手です。
銀のイメージで安直に名付けました。
最初、「こんなにシスコンで結婚とかできるのか?」と思っていたんですが、自分の内側に入れると決めた人をすごく大事にする人だから愛妻家じゃないかなと思ったら結構キャラが固まりました。
細かいこだわりとしては、彼がリリアーナを愛称で呼ぶのは二人っきりの時かつ彼が甘えたい?時だけです。
それ以外は普通に名前で呼んでいます。本人はこのことに気づいていませんが、リリアーナは気づいています。

・リリアーナ
イメージソング:世界は君とはじまる『僅かな勇気と願いが交差する場所でまた出会いたい』
        雷櫻『だけど私はただ永遠を願う』
大人しい系のご令嬢。
本人が思っているほど地味ではないんですけど、如何せん過去のこともあって自己肯定感は皆無に等しいです。
ロジータに憧れているところもあるんですが、そのロジータ自身も自分を持て余しているというのがこのシリーズのわたしが好きなところです(何 結局自分のよさなんて自分ではわからないんですよね。
百合のイメージで安直にリリアーナとしました。もっと広い意味でフロレンツィア(花)とかも悩みましたが、やっぱり薔薇と渡り合うには百合かなと(何
お菓子作り・裁縫・編み物などインドアの趣味は大体たしなんでいます。

〇展開
・夜会
シルヴィオに夜会のところで怒らせるかを結構迷いました。
もっと穏やかにする方法もあったのかなと思わないこともなかったんですけど、この二人全然思っていることを言わないんですよね。
それは多分、長兄と長姉で二人ともすごい気を遣うし、他人に踏み込まれることを嫌うタイプだからです。
でも、これから先二人が手を取り合っていくには一回はぶつからないといけないなと思い、ああいう感じにしました。
衆人環視の中でヒロインに怒るっていうのにお叱りを頂くかなとも思ったんですけど、シル兄にもリリアーナにもあたたかい感想をいただいてほっとしました。

・「気が済むまで泣くといい」
最初は「君に泣かれるとどうしたらいいのかわからなくなる」で狼狽えさせる予定でした。でもちょっと違うなってなりまして。
ここで狼狽えるなよ!!受け止めてみせろよ!!!と思ったのでああしました。
一長女として、わたしが一番欲しかった言葉でもあります。

〇手
シルヴィオは基本的にスンとしたお顔立ちの静かな人なので、思っていることが顔に出ないです。
またあんまり喋るわけでもないので、言葉に出ることもないです。この辺りが非常に苦労しました。
その代わりといってはなんですが、どういう風に手で触れるかを結構考えました。
肩に触れて、次に手を取って、頬に触れて……と段階を踏んでいくもの、自分のパーソナルスペースに入られるのをきらう彼らしさかなと思っています。

〇ドレス
ロジータと対になるヒロインにしたかったので、赤を着るような感じじゃない子がいいなとは思っていました。
リリアーナはなんとなく、ブルベ夏ぐらいのやわらかい儚げな女の子です。
なので、強い色は似合わないけれど……とシルヴィオが選んだのが銀のドレスです(めちゃくちゃ執着も入ってはいますが
多分水色とか菫色とかも似合うのでそのうちシルヴィオが仕立てると思います。その代わり思いっきりシルバーのアクセサリーとか選びそう。
「なんてことはない」とか9話で言ってますが、めちゃくちゃ気合入れて仕立ててます。
珍しくお金もつぎ込んでいます。何なら王太子権限で「次の夜会までに絶対に仕上げてくれ」と圧をかけています。
そんな風にしたドレスを着てもらえなかったのでそれなりにシル兄も凹んだんでしょうね……

〇月下百合
月下美人をそのまま使おうかなとも思ったんですけど、サボテン科っていうのがちょっとしっくりこなくて(何
テッポウユリとかの白い百合も夜に咲く花の生態に近いと出てきたのでそのイメージで。
月明かりに白い花が繊細に揺れているようなのを想像して頂けていれば嬉しいです。

〇守る
これを最後に言わせるかどうかも結構悩みました。
軽率に「俺がお前を守る」って言うようなヒーローを書くぐらいなら切腹するって、わたしずっと思ってたんですよね(今日も過激
誰かに守られないと生きていけないような自分ではありたくないって、思っていて。

「隕石来ても世界の危機でも守ってくれるんか?実現不可能なことを言うな」

とも思ってたから言わせられなかったんですけど、もしかしたらそれを分かって彼らも言ってるのかなと。
シルヴィオはそれなりに賢いので、自分にできることとそうでないことをちゃんとわかっている人だとは思います。
だからこそ、大きく手を出さないところがある。できないことを口にしたくない。
じゃあ、あの「守る」を誰の為にシル兄は言ってるんだろうと考えたんですけど、あれはリリアーナの為に言ってるんですよね。
その時それでも「あなたを何よりも守りたい」と思っていること、それを相手に伝えることが必要なのではないかと。
彼は口にしなくても己の決めたことを実行する人ですけど、だからこそ他人からは見えにくい。それを、彼があの場でリリィに対して言うことに意味がある。まあ格好付けてるだけとも言えますが。

この時、この今、わたしを守りたいと思っている人がいること。
そして、その人がわたしにそれを伝えてくれたこと。それを言葉にする努力を怠らなかったこと。

そのことが多分ね、彼女を守ってくれる日が来るんですよ。
たとえもうその人がそばにいなくても。
それってお花を大切にし続けたシル兄の姿勢と重なるんですよね。そうやって、今度はリリアーナを大切にする。
そうすれば多分、リリアーナもずっと咲いていられる。
そんなことを思いつつ、ああいう展開にしました。しっくりきていたら幸いです。

〇オマケ
元々一番最初にあったイメージが4人で話しているところだったのでそれを書きたいなと。
短編の後日談をシルヴィオ視点にしたので、対にしようと思いジェラルド視点にしてみました。
恋を知らなかったシルヴィオとリリアーナが、今度はロジータを見守るというのが、兄姉らしいかなと勝手に気に入っています。

〇没ネタ
悪くないなと思ったけど、ロマンチックを重視して削除されたシーンたち(何
・3話
「骸骨を集めるのが、趣味なんだ。入ってくれ」
 促されるままに部屋に入る。見回せば、広がるのは辺り一面の人の頭の骨だった。
「なんてことはない」
 丸い頭部にシルヴィオの手が触れた。長い指は慈しむようにそっとそれをなぞった。
「これは余計なことを聞いてこないし何より話しかけてこない。私がただ自分の我儘と自己満足のために、集めているだけなんだ」
 伏せられた長い睫毛が頬に影を落とす。
「いずれ、君もここに飾ろう」

シル兄の趣味がもし骸骨収集だったら。
いや、これでは恋にならんと思う!!あかん!!

・6話
「月下百合。夕暮れから夜にかけてしか咲かない花だ」
 花弁の広がりが、ひどく似ていた。
 あの白銀のドレスに。
「学名は、リリウム・エピフィウム。別名ナイト・クイーン。ユリ目ユリ科の多年生草本球根植物で、そもそも夜に咲くのは生態学的に送粉シンドロームのコウモリ媒花の特徴に一致する。花が白いのもそのためだ。小型哺乳類は虫よりも花粉の運搬量が多くて……

シル兄が割とガチ目の植物オタクだったら。
泣いている女の子を前に自分の趣味を全開にしては、乙女のハートは掴めません!!あかん!!

・7話
「帰りたく、ないです」
 腕の中からシルヴィオを見上げる。
「ああ……それは、一向に構わないが」
 いつも通りのシルヴィオの淡々とした口調だった。
「分かった。君が泊まる部屋を手配させよう。何か要望はあるか? 特になければ南向きの部屋を用意するが」

シル兄が本当に武士のような精神だったら。
こんな不動産屋さんのようなことを言っていたら、乙女のハートは射止められません!!あかん!!



〇テーマ
「持って生まれたものではなく、己の言動とそれに基づく行動のみが幸せを掴むに値する」
というのを毎回書く時のテーマにしているのですけども(重い
なので、今回もそこは頑張ったつもりです。
いいところで他人と結びつくのは、多分誰とでもできる。けれど、どうせなら自分が一番捨てたいと思っているような弱いところで誰かと深く結びついていたい。それが、誰かを照らす光であってほしいと常々思っています。
だから、リリアーナが惹かれるのはシルヴィオの持って生まれたお顔立ちではなくて、彼が他人と誠実に向かい合おうとする姿勢と隠していたやさしさであり。シルヴィオが惹かれるのもまた、リリアーナ自身は好きになれなかった「弱い自分」だと思います。

そんな感じのお話になっていたらいいなと思います。これからも精進したいです。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.