庭と傭の美しい思い出かと思えば、ただの下ネタかも知れ無い。←←←
@azisaitsumuri
幼い日の記憶。
その少女はいつも木を見上げて居た。幼馴染だ。その木によく鳥が留まりに来るのを知って居る。
少女曰く、その鳥はいつも同じ鳥だそうだ。鳴き声が同じだから。
その鳴き声は、少女からすれば、それはそれは素晴らしい囀りに聞こえるらしい。
生憎こちらは、鳥の鳴き声なんて、不快かそうじゃ無いかくらいしか聴き分けられ無い。
それだけなら、少女をそこ迄気にし無かった。別段危険なことをして居るわけでは無いので。
寧ろその逆で、少しの行動も起こさ無い幼馴染を、不可解に思って居た。
「なぜだ?」
少女が鳥からこちらに振り向く。
「そんなに気に入って居るなら、手を伸ばして鳥籠にでも大事に仕舞ってしまえば良い。」
その鳥が、明日も来るとは限らないのだぞ?
「おれも手を貸す。」
お前にその気さえ有れば。
少女は緩く微笑んで首を横に振る。
なぜ。
そしてまた囀る鳥に視線を戻してしまった。
「捕らえてしまいたい程の声だけれど、囚われた声が聞きたいわけじゃ無いの。」
少女の視線が鳥から揺るが無い儘言った。
「明日来無く成っても良い。今日迄しか聴け無くても良い。」
そのために。
「今、この声を聴いて居るのよ。」
やはり、さっぱり分から無かった。
しかし、あの鳥に固執して居るのは自分では無く少女なので、例え自分の疑問が解消され無くとも、そこで引き下がった。
それから数年も経った今。
目の前に、どうしても惹かれる囀りが有った。
あの頃の幼馴染のように視線は上に向ける形には成るが、鳥では無かった。図体もでかいし。
それでも鳥籠に、大事に、大事に大事に大事に仕舞ってしまいたいと思った。もし叶うなら、これだけ背が有れば馬小屋程必要かも知れ無いが。
対して、相手にはそんな気は一切無く、どうしても靡かせられそうも無い。
懐かない姿は、捕えるどころか、囚われるさまなんて想像も付かない夢のまた夢の噺のようだ。籠どころか、小屋でも大人しくして居るような奴では無いのだ。
それでも、野放しの儘にはとてもしておけないと、強く望むのだ。
「なあ。」
「なんです。おまえほんと鬱陶しいですね。」
「乗せてくれとは言わ無いから、やっぱり一緒に来てくれ。」
盛大に蹴られた。