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ダンゲロスSSReunioN キャンペーンプロローグ

全体公開 1684文字
2024-01-28 20:35:17

「知ってる知ってる?『開かずの武道場』」

「知ってる知ってる、『薔薇の決闘』でしょ」

希望崎学園でまことしやかに囁かれる噂がある。

「今はもう使われていない武道場に、何者かが出入りしている形跡があるらしいとか?」

「行われているのは、どうやら『決闘』らしいとか?」


当然、信憑性はない。
七不思議にも数えられないような、つまらない噂の一つだ。

「ちょっといいかい?君たち。その話、詳しく教えてくれよ」

――だが、何事にも物好きというのはいるものだ。

煉瓦れんがつめる

彼は希望崎学園の事件や事故を専門とする記者である。
人は、誰もが魔人になるわけではない。
そして、希望崎に起こる事件や事故の記事は、特に非魔人に高く売れるのである。

安全圏で味わう危険な非日常は、きっと、非常に甘美なのだろう。


――――――



……ここか」

先ほどの女生徒に聞いたところ、『武道場』の管轄は『柳』という生物学教師に一任されているらしい。
私は、彼がいつも入り浸っているという理科準備室の扉を叩いた。

「ふぁい」

気の抜けた返事が響く。私は些か不安を感じながらも、努めて明るく挨拶をした。

「どうもーっ!わたくし、校長先生から希望崎の宣伝を任されております、大橋と申します!
今日柳先生のインタビューを予定していたと思うんですけれども!」

人の良さそうな笑顔を創り、嘘八百を並べ立てる。本名はもう知れ渡っており、馬鹿正直に名乗るとだいたい追い出されてしまうのだ。

「あー、はいはい。ちょっとお待ちくださいね……

しばらくすると、無精髭を生やした痩せぎすの男が顔を出す。くたびれた中年、という風情だ。

「えーと、今日だったかな………。というか、そんな話聞いてたかな……

「簡単な質問ばかりですので!お時間は取らせませんとも」

やや渋る様子の柳は、なにやらモゴモゴと口の中で呟いた。しかし、最終的には「どうぞ」と言って私を理科準備室に通してくれた。

希望崎でネタを探っていると同業者に言うと、大抵の場合、引かれるか馬鹿にされる。だが実際の現場は、案外こんなものだ。

危険な目になど、遭った試しがない。



――――――



「へぇへぇ、煉瓦さん……それは大変ですねぇ」

「そうなんです……。記事は安く買い叩かれるようになって……。生活も厳しいし、とにかく、ゴシップでも捏造でも、ネタを掴まないと、って」

私は目の前の男に、涙ながらに身の上を語る。
――あれ、俺は、何をしていたんだっけ。

「分かりますよぉ。もっと聞かせてください。もっと」

この男の声を聞くうちに、頭が、ボーッとして……

「あれもこれも全て、あいつが悪いんです。あいつが……。あいつと関わってから、俺の人生は変わってしまった……

「深く、もっと深く……

「殺したい、あいつを殺したいんです。もう我慢できない。……殺す。殺してやる――!」

俺の心を憎しみが支配していく。

「良いでしょう――ならば、殺しなさい。あなたの欲望の通りに。聞きたいとおっしゃってましたね?……『薔薇の決闘』について」

柳がおぞましい笑みを浮かべる。だが、俺にとっては、天使の微笑みに見えた。



――――――



「単純なものですねぇ」

柳が、スキップしながら校舎を去っていく煉瓦を見下ろす。

柳の能力、『暗い夜からの脱出』は、ストレスを増大させる能力だ。誰かへの憎しみを増幅させれば、当然に対象は、ストレス源の排除に動く。

「プルス……君のための見せ物を、ひとつ献上するよ……!さあ、美しいかどうかはわからないが……君は、質より量!そうだろう?」

夕日に染まる理科準備室には、いつの間にか儚げな美少年が微笑んでいた。

「君には僕以外がいることも知っている……でも、僕が君を、一番に楽しませるよ」

彼らは、ただの仕掛け人。
『薔薇の決闘』の、舞台装置。

“役者”の君たちには、関係のないことだ。


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