@DangeSSReunioN
キャラクター名
因習村 萌やし子(いんしゅうむら もやしこ)
プロフィール
誰しもが懐かしさを感じるような田舎の農村で育った白ワンピースの少女。
かつて知ったる故郷を命からがら逃げだして、今は都会で暮らしている。
助けてくれた王子様の姿を彼女はうっすらとしか覚えていない。
けれどいつか出会える日を夢見て、今日もその長い髪のお手入れはかかさない。
テキトーな暮らしをしているのでいつも目にクマがあるのがコンプレックス。
能力名
因習分解/真実(ファクト)・再動(リ)・固定陣(ゼーション)
能力内容
右手で触れた「因習(ルール)」を、体を通して分解し、左手から放出する。
すべてを放出する事はできず、分解した物のいくらかは残留する。
残留するのは、萌やし子の内面や肉体と何らかの共通項があったり、相性が良かったりする項目が多い。
残留したルールは形を変えた呪いとなって、萌やし子の肉体を蝕む。
プロローグ
炎炎炎炎炎炎!!
辺り一面を炎が包む!
そうここはド田舎地方因習村!
因習とは名ばかりのどこにでもある農村の闇を、炎が包んでいた。
****
「――ひっ!?」
少女は目を覚まし、目を見開く。
彼女が見た夢は過去の記憶。
「また村の夢……。どうして」
「どうやら忘れていないようだな」
「この声……!?」
少女――因習村萌やし子はベッドから飛び上がり、その長い髪も追って同じく飛び跳ねた。
「もしかして……私の罪悪感が幻聴になって……!?」
「いや違う違う、こっちこっち」
萌やし子が視線を上げると、窓には月の光を背負ったシルエットがあった。
「……見つけたぞ、萌やし子」
「あなたは! そしてその声……!」
萌やし子はその手で顔を覆い、泣き崩れる。
「不審者だぁ……うら若き乙女の寝室に侵入する不審者だぁ……」
「そこは思い出せよ。ほら、小さい頃遊んでやったろ。ヒントは裏山の秘密基地」
「もしかして……テツちゃん……!? 秘密基地でおしっこ漏らした……!」
「お前そういう物覚えは……まあなんでもいいか」
テツと呼ばれた人影は、その黒装束に包んだ体で部屋の中へと侵入した。
「萌やし子。お前がしたことは許されない」
「そんな……どうして……」
「言うまでもない。簡単な事だ」
テツはフードの隙間からまっすぐに萌やし子を睨みつけた。
「自治会の金庫から町会費を盗んだ窃盗、祠を壊した器物損壊、村の集会場の放火、あとは……」
「やめて! そんなの聞きたくない!」
「罪状ぐらいは聞いてくれよ」
テツはため息をつきながら、懐から大人の身長ほどはあろうかという細長い棒を取り出した。
「お前はいつもそうだ……嫌なことから逃げ、村のしきたりを否定し、全てを破壊する……」
ぐにょりと、その棒が歪んだ。
「お前には責任を取らせる必要がある……この怪異・ねっちょりくねくね棒でなぁーー!!!」
「やだっ! 絶対に責任なんて取りたくない!!」
襲いかかる白色の棒から身を守るように、萌やし子は目を閉じてその右手を前へと突き出した。
「【因習分解】……ファクト・リ・ゼーション!」
「なにっ……!?」
白い棒が萌やし子の右手へと沈み込んだ。
当たれば頭蓋すら砕く一撃必殺のはずのそれは、半分以上を飲み込まれ……。
そして、萌やし子の左手から黒い棒が生まれた。
「くっ!?」
得体のしれぬ黒い棒を、襲撃者は上体をよじって避ける。
しかしその黒い棒の先が砕いたのは、天井からぶら下がる照明であった。
ガラスの破片が頭上から降り注ぐ。
「目眩ましか……!?」
そして、見た。
「あ……」
見てしまった。
「そんな……」
目の前で踊る、ヌルヌルくねくねとした萌やし子の姿を……!
「あああああああああああ!!」
****
「ひいぃー……ひぃー……」
翌朝。
侵入者を撃退した萌やし子は、朝の道路を這いつくばっていた。
腰をくねくねと動かし、時には地面へと下腹部を打ち付けながら、まるで尺取り虫のようにジリジリと前に進む。
「はあ……はあ……鉄子ちゃんと戦わなきゃいけないなんて……やっぱりあんな野蛮な因習の残る村、もう二度と戻りたくない……」
萌やし子を襲撃したテツちゃんこと金梶鉄子の魔人能力、『怪異・ねっちょりくねくね棒』。
見た目と裏腹に強力な鈍器であり、且つそれを視認すると一時的な発狂状態に陥る、ネトネトした柔らかい棒を生み出す能力だ。
萌やし子は自身の能力で、その力を分解し跳ね返し……そして一部を吸収した。
おそらくこれから丸一日程度、能力が抜けきるまでは常に腰がくねくねと踊ってしまう状態が続いてしまうだろう。
当然、それを見た者は発狂する。
萌やし子は地面を這いずるはた迷惑な災害となっていた。
「ああ……もうやだ……こんな不幸を呼ぶ体質……。でも、あの王子様なら……きっと……」
萌やし子はなんとなく村が嫌になって放火して家出した。
その際、事情を知らない村の外から来た子が脱出に協力してくれたのだった。
萌やし子は今も、その子の事を思い出してはさまざまな思いに耽っていた。
「いつか……会えるよね……私の王子様……」
果たしてそれが本当に実在する存在だったのかは、誰にもわからない。