@DangeSSReunioN
キャラクター名
“戦う大統領” ホセ・リベラ
プロフィール
性別:男
年齢:55歳
身長:178㎝
体重:110㎏
好き:レーション、トレーニング
嫌い:ムカデ(不味かったから)
中東の小国、マリハオの大統領。
高級スーツと顔が映るようなピカピカの革靴、真っ赤なネクタイ。
浅黒い肌に精悍な顔つき。白髪が少し混ざったツーブロック。真っ白な歯を光らせる笑みを絶やさない。
元は優秀な軍人であった彼は戦果を積み重ね、民衆の信頼を得た。
特に政治にも権力にも興味はなかったが、周囲の声に応える形で大統領の座に就いた。
高級な出で立ちや、印象的な明るい笑顔は周囲のブレインによるプロデュースである。
彼自身は政治的判断を行わず、“戦う大統領”として担がれている神輿であった。
彼はほどほどに善良であったので、
「戦うくらいしか能のない俺の名前を使って国が平和になるならいいかなぁ」
くらいの感覚で大統領を努めた。
国の情勢、周辺国家との関係が落ち着いたので“戦う大統領”のお役は御免となり、緩やかに退任。
しかし肩書は退任後もついて回りやや不自由な生活をしているとか。
「普通に居酒屋で飲み倒したいんだけどなぁ。なんかスキャンダルになっちゃうみたい。え?もう退任したんだから風俗くらいよくない?」
能力名
【100ポンドの福音】
能力内容
体感重量を100分の一に変えることが出来る能力。
重さ100㎏の鉄塊も彼にとっては1㎏程度にしか感じない。
地上で最も重い生物はアフリカゾウであり平均で6tを誇るというが、彼にとっては60㎏程度。片手で持ち上げぶん投げることが可能である。
プロローグ
“戦う大統領” ホセ・リベラ。
彼は35年前の内戦で反政府側に立って多大な戦績を残した。
それ以来新政府の中心戦力として内外の敵と戦い続け民衆の支持を拡大。
遂には大統領の席を得るに至った偉大な戦士である。
しかし、周囲の称賛と裏腹に、ホセ自身は自らを偉大でも何でもない平凡な男だと思っていた。
そもそも最初に反政府軍として戦ったのも、
・隣家のおばちゃんが政府軍の流れ弾で負傷したのに腹が立った
・反政府軍のほうが先に声をかけてきて、結構な報酬を用意してくれた
その程度の理由である。
「どっちが正しいとかよく分からないけど、政府の奴らはムカつくしこっちのほうがお金もらえて嬉しいよなあ。なんか必要としてもらえるし。」
くらいにしかホセは考えていなかった。
良くも悪くも平凡な思考。特段の野望も持たず、かと言って利益を求めないわけではなく。
ほどほどの善意に従って彼は戦っていた。同じような考えで動く若者は、適当に石を投げれば当たる程度にはこの国にありふれていた。
そんな彼が他と違っていたのは一点。
“強さ”であった。その圧倒的強さは、本人が望む望まないに関わらず周囲を動かしていった。
■■■
35年前。マリハオ内戦。首都付近の攻防。
硝煙と血の匂いが渦巻く市街を、一騎のバイクが駆ける。
───猛烈な銃弾をばら撒きながら。
バイクを駆るのはホセ・リベラ。
片手に携えるはアメリカの天才銃設計家ジョン・ブローニングによる傑作、ブローニングM2重機関銃。
一挺40kg以上、猛烈な反動を生むその武器は地上に固定しての運用を基本としている。
手持ち、ましてや片手持ちでの運用など問題外。
まともに照準をつけられないどころか、射手が反動により自傷するのがオチである。
その“問題外”を可能にするのがホセの【100ポンドの福音】であった。
一挺40kgの重機関銃であってもホセは400gにしか感じない。
せいぜいペットボトルを振り回している程度の感覚。
そして、反動も突き詰めれば重さ。暴れ馬のような挙動も、彼の片腕に吸収されていく。
「撃て!撃て!奴を近寄らせ…ウベァ!」
喚き散らす政府軍将校の頭が柘榴のよう弾け飛び、下顎と舌だけが奇妙に揺れた。
どんな軍隊であれ、バイクの小回りで重機関銃を操る存在との市街戦など想定していない。
「ホセ!D42地点に追加支援の銃弾!やっちまってくれ!」
周囲のバックアップを受けホセは縦横無尽に戦場を荒らし、勝利に大きく貢献をした。
彼の半生は、そんな戦果に満ちている。
人質100人が詰まったコンテナを単身忍び込んで運び出し全員救出した。
爆撃を受け倒壊したビルの瓦礫を持ち上げ、母子を救出した。
密林戦では巨大な丸太と岩石をふんだんに活用したトラップを単身で仕掛け一個大隊を翻弄した。
戦場を渡り歩くたびに彼の胸の勲章は増えていき、彼を褒めたたえる声は増していった。
彼にとっては単に出来ることを行っていたにすぎない。
特段の情熱だとか思想だとか理想なんてものはない。
しかし、“強さ”は人を惹きつける。
それが味方に立っていたのなら尚更だ。
ホセは戦いが好きであったが、まぁ好きかな、程度の感覚であり最優先事項ではない。
ただ単に向いているというだけの話だ。
どうせなら向いていることを仕事にしたほうがいいだろう。
どうせなら周囲に望まれる戦い方をしたほうが給料を多くもらえる。
酷く単純な考え方に従い、彼は戦い続けた。
戦う意味とか目的は頭の良い人物が考えるべきである。
戦いしか能がない自分は言われたままに戦い良い給料を貰う。
それで何の問題もないだろうと思っていた。
普通の軍人であれば何も問題のない、それどころか褒められてしかるべき在り方であった。
だが、繰り返すがホセは強すぎた。
一兵卒として言われたことをこなすだけの存在としては捨て置けない輝きを宿していた。
ホセ本人の平凡な思考と裏腹に、周囲は彼を熱狂で迎えた。
その熱狂に、
「俺の出来る範囲で応えてみるかなぁ」
と思う程度の善良さをホセが持っていたことは幸か不幸か。
気が付けばホセは優秀な側近に担ぎ上げられ大統領の座に就いていた。
何回か断ったが、
「“戦う大統領”としての強い存在感がこの国には必要なのです!」
と何度も頭を下げられて根負けをした。
そこからは神輿としての役割を全うし続けてきた。
爽やかな印象を与える立ち振る舞い。
民衆に憧れを抱かせるための高級な服飾品。
スピーチは事前練習を何回も積み重ね、アドリブなんて一切しない。
そしてたまに戦場に出る。
大統領となってからは本格的な戦闘をすることはほとんどなく、あくまで演出のために。
ホセは別にそれに何の不満も抱かなかった。
いい給料を貰えて贅沢な暮らしが出来て、皆が丁重に扱ってくれるのはなかなかに楽しかった。
そうした生活をホセは長年ミスなく続けた。
気が付けば国の情勢は落ち着き、軍人出身の大統領を担ぐメリットが薄まってきた。
自身で考え各国の首脳と対峙できる存在が求められるようになった。
ある日、側近たちがホセに頭を下げ、退任してほしいと告げてきた。
そのことにもホセは何も思わなかったので、すんなりと退任を受け入れた。
ただ、気が付いたらずいぶんと長く期待に応えていたなぁとは思った。
明日からは元大統領として、比較的自由に生きていくことが出来る。
そう思った瞬間、ホセの胸にチリリと熱いものが走った。
(…?)
ホセ自身も全く予想をしていなかった熱。
────それは、かつて戦場で対峙した冷徹なる蒼き閃光との記憶。
ホセが、気付いてこなかった未練。
蓋をしたはずの心の残り火。
その閃光は、汎用対全宇宙脅威アンドロイドχ────カイノ、と呼ばれていた。
■■■
それは、もう30年も昔の話。
『ホセ!国境沿いの敵性集団を殲滅してくれ!』
『ホセさん!南西の拠点を破壊してください!』
『誰か…誰か助けて!!』
ホセ・リベラ25歳。
肉体のピークと経験が噛み合い、最も戦力が充実していた時代。
毎日毎日、当たり前のように彼を頼る無線が戦場を飛び交う。
それを煩わしいとも大変だとも面倒とも思わない。
何故なら彼には“出来る”のだから。
出来ることはやる。ただそれだけの話だった。
しかし、その日の無線は違った。
彼を頼るものではなかった。
『ホセ…無理だ…こっちに来てはダメだ!!お前でも…こいつには…お前が欠けたら…ギャブ!!』
来るなと、彼を遠ざけるものであった。
味方がやられているのを無視するのもなぁ、という善性に従いホセはごく普通にそのメッセージの発信地点に向かった。今まではその“普通”で何とかなっていた。
だが、その日は違ったのだ。
“汎用対全宇宙脅威アンドロイドχ”、カイノがそこには在った。
何故彼女がそこにいたのかは誰も分からない。
彼女にしか分からない何か大いなる理由があったのかもしれない。
ブン、と機械音を一つ上げて彼女は空へ飛んだ。
荒れ果てた戦場の地を嘲笑うかのように、空を割く一条の蒼き閃光。
美しい、とホセは一瞬呆けた。
カイノは上空からホセを見下ろした。
人を人とも思わない、冷徹極まる表情だった。
ゾクリと、ホセの背に悪寒が走った。
このような感覚は初めてであった。
そこからの詳細はホセ自身よく覚えていない。
カイノの両腕から繰り出される銃弾の嵐を分厚い鉄板を持ち上げて防いだ…気がする。
対戦車砲を上空に放った…気がする。
高周波ブレードが喉元を掠め血が噴き出た時には恐怖で叫んだ…気がする。
なんにせよ、ホセは自分に出来る全てをカイノに注ぎ込んだ。
それでも大空を舞う閃光に追い詰められるばかりであった。
戦力の要のホセが翻弄されていることに味方は大きくざわついた。
『まずいまずい!ホセが落ちたら終わるぞ!?』
『全員!指定地点に向かえ!全霊で援護をしろ!』
―
――
―――
…そこからのホセの記憶は更に曖昧だ。
ただただ夢中に自身より遥かに強大な相手に挑んだ。
その過程で、何十何百の援軍が息絶えた。
しかしその地獄の中でホセは、戦友の亡骸に囲まれながら一筋の勝機を掴み取った。
光刃一閃。捨て身の一撃はカイノの左脚部を破壊したのだ。
思わぬ負傷に困惑したか、カイノは東の空に退却していった。
「待て…まだだ…まだ!勝負はついていない!」
ホセは、自分がこんなにも大きな声が出せるとは知らなかった。
内臓がいくつも損傷し、体中の骨にひびが入っている状態にもかかわらずホセはカイノを追おうとした。
その熱情の正体が、自分でも分からなかった。
満身創痍にもかかわらずカイノを追おうとするホセを、友軍は羽交い絞めにして止めた。
普段だったらあっさり引きずり倒せる友軍を引き離すことが出来ず、痛みでホセは気を失った。
病院のベッドで意識を戻した瞬間、皆からカイノを追うのはやめてくれと懇願された。
しばらくは反発しカイノを追おうとしたが、何度も懇願されるうちにホセのほどほどの善性が顔を出した。
ホセは、仲間たちのために、国のために、カイノを追うことを諦めた。
仲間たちのため、国のため────それを本心で思っていたのか
それとも言い訳に使ったのか
もはやホセ自身にも思い出せない。
確かなことは、ホセはカイノと戦うことを諦めて周りの声に応えることを優先した、という事実だ。
心に灯った火に蓋をする、その意味も理解せぬまま。
■■■
どうして今まで我慢できていたのだろう。
過去に封じた思いを自覚した途端、グラグラと血が沸き立った。
駆け続けた戦場で唯一勝敗が付かなかった相手を思う。
あの冷徹な、初めて恐怖を教えてくれた相手を思う。
カイノの、嵐そのものともいえる暴虐の果ての美しさを思う。
そして、嗚呼、そして。
それを、超えてみたいと、ホセは思った。
…思っていたのだ。あの日の自分は。
「…こんなにもあいつと決着付けたかったんだなぁ…やっぱり俺は凡人だ。熱に気が付くのが遅すぎる…」
周囲の期待にぼんやり応え続けることで摩耗していた自身の欲求。
胸に宿った熱意は、ドンドンと膨らみ、彼を包み込んだ。
彼は、遂に己の意思で戦う相手を求めた。
大統領として築いたコネを全力で用い、カイノの現在の居場所を突き止め、決着をつけようとした。
しかし、彼の周りの人々がそれを認めるはずもない。
「ホセさん!?そんな簡単に出国出来るわけないじゃないですか?貴方は国の英雄なのですよ?」
「戦いたい相手がいる??何を言っているんですか貴方は!立場を考えてください!」
「日本に行きたい?護衛を10名つけるのであれば…」
彼らはホセを憎んでいるわけではない。
むしろ尊敬している。長年この国の象徴であり続けたホセを敬愛し守ろうとしている。
尊敬する英雄がふらっと出国し、どこの馬の骨とも知れない奴と殺しあうなど認められるはずもない。
今更。
今更にすぎる話だ。
ホセは、確たる意思を持たずに周囲の期待に応える形で大統領を続けてきた。
自らが積み上げてきた信頼が、自身に返り雁字搦めになっているにすぎない。
ホセは重要人物として守られている。
彼がカイノと戦うとするならば、当然国のものは援護をするだろう。
ホセの求める戦いは、一対一での決着は叶わぬ夢となるだろう。
そのはずであった。
誰にも邪魔をされない決闘の話がホセの耳に届くまでは。
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京東新聞 〇月×日
両陛下、マリハオ元大統領と会見 宮中昼食会に初出席
天皇、皇后両陛下は×日、来日したマリハオのホセ元大統領と会見し、昼食を共にされた。
陛下はマリハオの公用語で今回の退任に至るまでの貢献に敬意を示した。
ホセ元大統領は謝意を示し、
「この国には楽しみにしているものが沢山あります。────本当に。」
と語った。