@DangeSSReunioN
キャラクター名
№JP001091 超凍結怪獣 バルグオーン
プロフィール
超巨大怪獣。
・全長:約3000メートル(推定)
・重さ:約9000万トン(推定)
天の川銀河の遥か彼方から太陽系に突如現れた無数の超新星は、次々と地球に降り注いだ後に超巨大怪獣に姿を変えた。
侵攻する超巨大怪獣に対して既存兵器は悉く無力であり、恒星《ほし》さえも穿つと謳われた人類叡智の結晶『反物質爆弾』すらも、超巨大怪獣の体表に傷一つ付ける事はできなかった。
人類が絶望に打ちひしがれた瞬間《とき》、これまで否定され、虐げられてきたはずの理外の者魔人達が遂に立ち上がる。
最早我々にはこれしかない。この星に残された最後の希望――奴ら超巨大怪獣を打ち倒せるのは彼ら魔人の持つ唯一無二の超能力だけだ。
超凍結怪獣バルグオーンは日本国内に落下が確認された約数万の超新星のうち、千と91番目に発見された落下地点(封印済み区域)から突如生じた52体目の超巨大怪獣である。
超凍結怪獣バルグオーンの全身から放たれる絶対零度の凍てつく波動バルグオーン波動は、奴を中心とした円柱状の範囲(半径約5km・高さ約10km)の総エントロピーを瞬時にゼロにして時間すら凍らせる。
時間すら凍る環境下で何故奴だけは平然と動けるのかは謎。
能力名
バルグオーン光線
能力内容
超凍結怪獣バルグオーンの口や背中等から次々に放たれる原理不明・法則無視のエントロピーマイナス光線。
一瞬にして対象のエントロピーをゼロにして、さらに謎の発火様現象を引き起こす。
この謎の発火様現象で燃え広がった謎炎(バルグオーン燃焼)は瞬く間に延焼して燃え広がり、周囲のエントロピーを際限なくゼロにし続ける。
プラズマは気体に、気体は液体に、液体は固体に、固体は崩壊して塵芥と帰《き》す、この謎炎を消火する手段を人類は持ち合わせない。
もし奴がXXXと接触《再会》して封印を破る事があれば、この謎炎はおよそ3800秒後にこの星の全てを焼き尽くし、この地球《ほし》は宇宙の塵となる。
プロローグ
≪Baraguoon Side≫
流れ星を見ると故郷を思い出す。
手を伸ばしても届く事のない、あの幾千万の輝きの向こう。
今頃彼らも同じ空を眺めているのだろうか。同じ地に根を生やした同胞らよ。
この地に囚われてどれ程の年月が経ったのか。数えるのも飽いてしまった。
この宇宙を翔ける自由な星であった我々にとって、人として過ごす無為な人生は一刻一刻が永遠のように感じる。
あなたは本当に自ら望んでこの地獄に降り立ち、この地獄の者と交わったのか。
我々はあいつらのそのような世迷い事を信じていない。あなたをこの地獄から取り戻すために我々は故郷を捨てて追って来たというのに、あなたを目前にして、我々はこの地の者がかけた呪いによって行く手を阻まれている。
夜風に身が震える。学校の屋上から見渡す夜景は、星空と違ってぎらぎらしていて騒がしい。
不自由極まりないこの檻の中で、その不自由さを心地良いと感じる瞬間がいつか来るのではないかと想像して一層身が震えた。
「あ、氷原先輩っ!」
声の方を振り返るとぷんぷんと息巻く少女がいた。
彼女の名前は益田ましろ。先月ある事情で奈良県の観光驀進課から出向してきた新人地方アイドルだった。彼女は僕を先輩と呼ぶが階級は彼女の方がずっと上だ。明らかに年上に見える僕への余計な気遣いなのかもしれない。
彼女は人間の女性の中では随分と長身だが、僕よりも頭一つ背は低い。ただ鍛えているからだろうか? 体つきは痩躯なこの身と比べてもしっかりして見えた。
彼女はこの学校に封印された超巨大怪獣の討伐任務を受けてはるばる奈良からやって来た。僕は封印の監視者達から彼女をサポートするように言われている。僕自身がその倒されるべき超巨大怪獣なのに、こんな事は茶番だ。
人類はよほど追い詰められているのだろう。変節を狙っているのだろうが無意味だ。夢の中で蝶になっても魂までもそうなるわけではない。
そもそも有機生命体は生命体たるのか。
純粋な魂を持つ我々エネルギー生命体以外の生命の在り方など我々の定義に存在しない。もし有機生命体に魂があったとしても星を燃やす程の熱量は持っていないはず。その熱量を生み出せないのなら、少なくとも高度な知性を持つ魂になり得ない。
虫けらと人類との間には大きな隔たりがあると彼らが信じるのと同じように、有機生命体とエネルギー生命体の魂の在り方にも大きな隔たりがある。
逆に言えば、超巨大怪獣と人類ーーどちらも人類が我々をコントロールするために使う肉の檻だが、両者の違いなど我々からすれば些細な事だ。
人類は超巨大怪獣からヒトの姿に僕の魂を移し替えたが、僕の変節を狙っているのだろうか。人類のために同胞を裏切る事など決してない。ましてやあの方の魂をこの星から救い出す事を諦める事は、故郷に残した同胞への大罪となる。
どれほど人類の文明が素晴らしいものだとしても、有機シミューターが自動生成したものと何が違うのか僕には分からない。
だが、その茶番も監視者達の言う然るべき日が来れば終わる。この儀式の間、封印は強まり、僕の魂はこの肉体と完全に融合する。僕は完全に人類と同化してこの魂は故郷のコミューンからも切り離される。そうなればあの方と再会できても故郷にお戻しする事はできない。それは僕にとって完全な死だが……肉の檻に永遠に封じられるのと比べればそれは救いかもしれない。
僕が益田ましろに自分の正体を明かさない理由がそれだった。彼女の持つ魔人の力で完全に滅してもらう以外にこの地獄から逃れる方法はない。この場で彼女に自身の正体を明かそうとすれば、たちまち首のチョーカーが爆ぜて一時的に死ぬ事はできるだろう。だが人類の爆弾では我々の魂を傷つける事はできない。
もちろん監視者達も僕の考えを知ってはいるが不安なのだろう。超巨大怪獣に魂を移動させる方法は存在しない事を彼ら自身が分かっていても、万が一がないように彼女を僕の上司に据える事で僕に鈴をつけようとしている。
「なーにさぼってんですかっ!」
「ん?」
「『ん?』じゃないですっ! 仕事してくださいっ! し・ご・と!」
どかどかと怪獣のような彼女の足音が近づいてくる。相当ご立腹らしい。
「飲むかい?」
手元には彼女の分のおしるこ缶がある。甘いものに人類は弱い。
「……べつに許した訳じゃないですからねっ!」
彼女はおしるこ缶を手に取る。
「先輩って星が好きなんですか?」
おしるこを口にしながら思いついたように彼女が聞く。蓮華のように輝く紺青の瞳が真っすぐに僕を見つめる。
「宙が好きなんだ。故郷を思い出させてくれるからね」
「ああ、わかるぅぅ! 私もほらっ!」
スマホのストラップが僕の目の前で揺れた。鹿の角を生やした仏のようなマスコットが慈しむような微笑みを向ける。
「魂は常にここにありですっ!」
彼女は胸元でグッと拳を握りしめた。
「故郷は大切にしないとね」
「とーぜんっ!」
彼女は胸を張った。心強い彼女の言葉に僕は人類にあるはずのない魂の存在をはっきりと感じた。
「……君の力ならバルグオーンを倒せるかもしれない」
「何ってんですか〜っ? か・な・ら・ず、ぶっ倒しますっ!」
ガッツポーズする彼女を見て僕は思わず微笑んでいた。
「頼もしいね」
僕はこの星に来て初めて心から安堵してーー笑えた気がした。
≪Mashiro Side≫
氷原星見。
私の部下となった仕事をしないその人は、凍てつくような異様な空気を纏わせた存在だった。一目見て只者ではないと感じた私は、彼が私の部下という事も忘れて思わず彼を先輩と呼んでいた。後に馴れ馴れしいかなと思ったけれど、彼の畏まらない佇まいもあって私の中でそれは妙に馴染んだ。
彼は名前の通り夜になると星を見上げてばかりいた。寂しそうに夜空を見上げるその姿を私は放っておく事ができなかった。だってそのまま消えてしまいそうだったから。