@DangeSSReunioN
キャラクター名
碗・PANマン
プロフィール
性別:男
年齢:64
「おなかが減ってるのかい?じゃあ僕の顔をお食べよ!」
彼はその能力で世界中の飢えた子供たちを救ってきた英雄であった。
彼は世界中の飢えた子供たちを救うために働く高潔な人物であった。
魔人能力に目覚めた後も、その行いが変わることはなかった。
彼はある時、己の指を間違えて切ってしまった。
彼はその時から、食わせられる物が分からない。
彼は食わせるための料理が食えなくなってしまった。
彼はこれは食えるのかが分からなくなってしまった。
彼はこの能力で世界中の飢えた子供たちを救ってきた英雄であった。
彼は世界中の飢えた子供たちを救うために働く高潔な人物であった。
彼に救われた者たちはたくさんいるはずだった。
救おうとする者たちもまだまだいるはずだった。
今はもう、わからない。
能力名
救えぬものを救うために/Von・savage/ヴォン・サベ-ジュ
能力内容
彼が料理したものは食えないものでも食うことができる。
彼に料理されたものは食えないものを食うことができる。
彼が料理したものは食えたものだと食うことができない。
彼に料理されたものは食えたものを食うことができない。
飢えたものを際限なく救い。食えぬものを際限なく調理し。
禁忌の垣根を際限なく外し。躊躇せぬ怪物を際限なく生み出す。
プロローグ
いつからこうなったのか、私は知らない。
私の手はどんな食べられないものも食べることができる魔法の手だった。
生ごみや、汚水や、雑草や、土とか木片とか毒とか漆喰とか。
それらを『どうすれば』食べることができたが分かったから。
私たちは生きていくことができたのだ。
私たちは増えていった。
私たちはおかげで。
私たちは。
(なあ、■■■。夢の中で見るお前たちはいつも笑っているんだ)
ある日。
私の手はどんな食べられないものも食べることができる魔法の手になった。
私が切ったもの、私が焼いたもの、私が漬けたもの。
石とか鉄とか煙とか、食えないものを食わせることができるようになった。
私たちは飢えずに生きていくことができた。
私たちは集まっていった。
私たちはおかげで。
私たちは。
(なあ、■■■。夢の中で見るお前たちはいつも笑っているんだ)
ある日。
私は手を切ってしまった。いつものように料理をしていた時に。
魔法の手で魔法の手を切ってしまった。
その時から。
私の口は、私の手で食べることができなくなってしまった。
私の手で食べれるようになったものが、食べれなくなってしまった。
私は、私が今まで食べることができなかったものしか食べることができなくなった。
食べれなくなったことによる飢えはすぐに来た。
私は生きていくために手を使わずに、食べれないものを食べていった。
石とか鉄とか煙とか、食えないものを口だけでむしゃぶりつく。
私の手では。私は食うことができない。
私の手のために私の手の元に集まってきた私たちとは。
私は違う。
食べられないものしか食べることができない日々が続く。
私たちと違うものを食べるという事実が私に罅を入れる。
手を使わない、獣のような日々が、私の私に罅を入れる。
ぽたり、ぽたりと垂れてくるものがある。
食べたいものがある。
食べられないものではない、それは食べてはいけないものだ。
食べたいものがある。
食べてはいけないものを食べたくなる。
人として。
食べてはいけないものが。
獣のような日々が。
食べてはいけないという理性に。
罅を入れる。
私はおかげで。
私たちを。
私を私たちは止められなかった。
私の魔法の手で料理すれば私たちは瞬く間に私と同じものになるのだから。
私の魔法の手は私たちの理性とか倫理とかも食べれるようにしてしまう。
私たちを私は止めることができなかった。
私たちはおかげで。
私たちは。
◆ ◆ ◆
珍しいことでもない話題。ニュースになるようなものでもない話題。
とある貧しい国の貧しい地域で、飢えた貧民たちがあふれ出た。
あふれ出て、いろんなところで問題を起こしているという。
ただ少しありふれていないことは。
貧民たちは病に侵されているのか、正気ではない有様で色々なものに噛り付いているという。
その症状は感染しているかのように広がっている地域とそうでない地域とで分かれている。
原因は、不明である。
◆ ◆ ◆
誰かが笑っている気がする。
誰かを笑顔にしていた気がする。
誰かに暖かいものをふるまっていた気がする。
おなかがいっぱいになったら絵本を読んであげて寝かせてあげていたんだ。
「おなかが減ってるのかい?じゃあ僕の顔をお食べよ!」
もう、思い出せない。
薔薇のにおいがする。
食べれない薔薇の匂いが。
ぽたり、ぽたりと垂れてくるものがある。
よだれが。
あふれる。
続く