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芦屋凪海

全体公開 3634文字
2024-02-18 20:59:45

キャラクター名
芦屋凪海



プロフィール
読み:あしや なみ
性別:女性
 
古くから天候を司る一族と知られる芦屋一族の末裔。明治時代には東京気象台(後の気象庁)の設立に関わり、近代でもいくつかの民間気象会社に大きく関わっている。
凪海の親族の例外でなく、父は航空会社、伯父は航空自衛隊で気象業務を行っている。また、凪海自身も高校生にして気象予報士の資格を取得している。

見た目は深緑色のショートヘアで、活発そうな雰囲気であるが、運動はあまり得意ではない。
自身が魔人であることから、高校進学を機に親元を離れ、希望崎学園に入学し、現在高校1年生。魔人の多い環境に戸惑いながらも、平穏な生活を送っていた。

ところが2か月前、何者かにより父が殺害される事件が発生。犯人は逮捕され、一応事件は解決したものの、彼女は納得がいかず、自衛官の伯父に対し、何故父が殺されたかを問いただす。すると伯父は、自衛隊ではなく、芦屋一族として掴んでいる情報として、父が宇宙天気を操る魔人だということを明かした。そして、父の能力を脅威だと感じた真犯人が希望崎学園にいるという事も明かした。

それは、彼女もよく知るあの人物だった。



能力名
8:30(ウェザーニュース)



能力内容
気象状況の書かれた紙を使うことによって、局地的に書かれた気象状況を発生させる能力。
例えば「濃霧、半径2km」と書かれた紙を地面に投げつけた場合、その地点を中心として半径2kmに濃霧を発生させることができる。範囲について何も書かなければ、半径50m程度の円を範囲として発生する。気象状況が分かれば、文字である必要は無く、天気記号でも構わない。
また、継続時間も紙に書くことにより、決めることが可能。何も書かなければ、10分間程度の継続になる。
戦う際は、気象状況の範囲をごく小さくした上で、紙を丸め、パチンコで紙を飛ばして発生させる。
例え室内でも、天井まで3m程度の高さがあれば、その場に雨や雪を降らせる事は可能。また、それ以下の天井であっても、風などは吹かせることが可能。

使い方を間違えれば災害を発生させ兼ねない能力であるため、魔人覚醒時より国からEFB指定をされている。彼女自身はそれを知らないが、災害を起こすような不用意な能力の使い方はしないと心に誓っている。
ちなみに能力名の8:30は、土曜日に普段見ているテレビで、午前8:30に天気予報をやる事が多いため、名づけられた。



プロローグ
「何で……お父さんは死ななければならなかったの……
 東京某所の葬儀場、一人の少女が会場から離れ、泣いていた。
 彼女の名前は芦屋凪海。ここでは、彼女の父、芦屋勝政の葬儀が行われている。

 父は殺人事件に巻きこまれて死んだ。包丁で心臓を刺された事により、即死だった。容疑者もすぐ逮捕され、動機も勝手な恨みで殺されたという事が判明している。
 とは言え、そのような事が分かったことで、凪海が納得するはずがない。中学卒業から親元を離れた矢先に起こった事件。父については思春期特有の思いはあったものの、いざ殺されたとなればとても悲しく、これからどうすればいいのか全く想像が付かない状況だった。

 そこに、一人の中年男性が凪海に近づいた。
「おい凪海……悲しいのは分かるが、お母さんのところに戻ったらどうだ?」
……伯父さん……
 勝政の兄、凪海にとっては伯父に当たる芦屋信澄だ。
……もうちょっとここに居させて……
「そうか……、俺にとっても勝政は弟だ。俺も会場に戻りたくはねぇ。……ここに居てもいいか?」
……うん」
 凪海は泣きながらも答えた。

 その後、しばらく2人は黙りつつも、勝政の死を悲しんでいた。
 ふと、信澄が口を開く。
……俺は航空自衛隊、勝政は民間航空会社という違いはあったが、お互い、航空気象に携わる仕事をやっていたからな。時々実際に会っては航空気象の事について夜通し語っていた事もあったよ」
……そうなんだ」
「ま、俺も勝政も芦屋一族だからな。やっぱり天気の事になると熱くなるのよ」

 芦屋一族。平安時代の陰陽師、蘆屋道満に端を発するとされる一族で、凪海の家系は古来より天気を司り、船乗りの安全を支えていたという。明治時代には東京気象台(後の気象庁)の設立に関わり、現代においてもニュースキャスターからお天気マニアまで、さまざまな立場で日本の気象予報を支えている。
 凪海もそんな自分の出自から天気には小さい頃より興味を持ち、高校生にして気象予報士の資格を取得している。

……なぁ、凪海。今俺は九州の方で働いているんだが、今回の事を職場に話したら、近いうちに関東に転勤する事が決まった。だから、いざとなったら俺を頼れ」
……ありがとう。でも大丈夫。今は希望崎学園の近くで暮らしているし、友達もいるから」
「希望崎学園……、ああ、そうだったな。凪海にとってはそっちの方が気が楽かもしれないな……
 信澄は、凪海が魔人である事を知っていた。ならば、魔人の知り合いが多い希望崎学園にいる方が彼女にとってはいいのだろうと思った。もっとも、時折起こる魔人同士の戦いには心配しつつも。

 その後もしばらく黙っていたが、父の死にどうしても納得がいかない凪海は信澄にある疑問をぶつけた。
「ねぇ、伯父さんは航空自衛隊で働いているんだよね」
「ん? そうだが」
「まさかと思うけど……、お父さんの事件について、国として何か知っている事は無い?」
「おいおい。俺はしがない航空自衛隊の気象予報士だ。そもそもそれは自衛隊ではなく警察の仕事だろう」
 信澄の大げさに言う様子を見て、そうだよね……。と改めて凪海は残念そうな顔をした。

 だが、信澄はすぐに真剣な顔をし、言葉を続けた。
「まぁ、自衛隊として知っている事ではないが、芦屋一族としては勝政が死んだ理由を勝手な恨み以外である程度は掴んでいる」
「えっ……!?」
「だが、それは凪海にとって聞かない方がいい話かもしれない。俺もその意見だ。それでも、聞くか?」
 意外な返答に戸惑う凪海。それでも、凪海の回答は決まっていた。
……お願い……伯父さん」

「勝政は宇宙天気を操る能力の魔人だから死んだ。……能力の使い方によっては全世界の通信を止める程の影響があるからな」

 宇宙天気。太陽フレアにより、GPSや通信に影響を与える事は凪海も知っていた。しかし、勝政がそのような能力を持っていたという事は知らなかった。
「そんな……お父さんが魔人だなんて、全然聞いていないよ……
「当たり前だ。当然、国にはEFB指定されている。そして、それを知る勝政を含めた関係者が皆、関係者以外、特に娘の凪海には隠し通すと判断した位、危険な能力だからな」
「どうして……私に教えたの……?」
「凪海も父が殺されたのであれば、真実をどうしても知りたいと思うかもしれない。その時は教えると、俺が思ったからな」
 そんな大事な事を隠していた父に話して欲しかったと思う一方、それを隠し通した父の思いも伝わり、凪海は複雑な思いを感じていた。

 更に信澄は続ける。
「そして、勝政の能力を何処かから知り、それを脅威に思い、実行犯を唆した者が希望崎学園にいる事まで芦屋一族は特定している」

……え?」
 信じられない事実に、凪海は固まるしか無かった。
……正直、俺としてもこれ以上は教えたくない。凪海、お前の能力も使い方を間違えれば災害を起こす能力だ。その名前を知った時、お前は冷静に能力を使えると思うか?」
 凪海は黙るしか無かった。
「それでも凪海がどうしてもと言うのなら、俺はその教唆犯の名前を教える」
 凪海はしばらく考え、決心した。
……お願い、私にお父さんを殺した人を教えて」

 
……碗・PANマンだ。お前も知っている名前だと思うが……

 
…………嘘でしょ……
「残念ながら、本当だ」
 ショックで凪海は更に泣き崩れた。即座に信澄が凪海の身体を支える。

 凪海が少し落ち着いた後、信澄は凪海に警告した。
「いいか、絶対に敵討ちだけはするんじゃねぇ。警察も少しずつではあるが、勝政の殺人には教唆犯がいるという事を突き止めてはいるみたいだ。凪海はそいつの行動に気を付けるだけでいい」
「でも……でも……
「俺だって、碗・PANマンには私刑を与えたい位だ。だが、それは日本では許されていない。犯人を裁くのは司法に任せるんだ」
……分かった」
 凪海はもやもやとした感情を抱えながら、信澄と共に葬儀会場まで戻った。

 しばらく後、凪海は碗・PANマンに対して果たし状を送っていた。
 敵討ちではなく、自分の気持ちを整理するために、そして、碗・PANマンに自分の気持ちを思い知らせるために。


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