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曲火 うずみ(まがつひ うずみ)

全体公開 2618文字
2024-02-18 21:06:03

キャラクター名
曲火 うずみ(まがつひ うずみ)



プロフィール
姫代学園二年生の女子、三つ編みにした髪をカチューシャにした、おとなしめの女の子。
人付き合いを拒み、いつも物憂げな表情を浮かべている。しかし――



能力名
誰もお前を愛さない(ノーワン・ラヴズ・ユー)誰もお前を愛さない(ノーワン・ラヴズ・ユー)



能力内容
好意を抱いた相手を不幸にする能力。主に物理的な害となって襲ってくる。
基本的に相手のことを想うだけで能力が発揮されるが、相手との距離、言葉、行動によって効能が乗算される。



プロローグ
私が魔人になったのはいつだったか。
昔々、私が幼い頃。あの事故で大好きだったお父さんとお母さんを亡くしたとき。きっとあの時。

あれ以来、私は変わった。いや、私の周囲が変わったように見えた。
私の引き取り手になった叔父さんが不運に見舞われ、学校でも私に良くしてくれた子ほどろくでもないことに見舞われた。
具体的には蹴躓いて負傷したり、家具の角に足の小指をぶつけたり、風であおられた枝にぶつかったり。
そんなこんなでみんなみんな、私を忌避するようになっていった。

そんなある日、叔父さんから話があると言われ、地図を渡された。

「今から、ここに向かいなさい。向こうに話は通してある。不可解なこの現象、解決するカギはここにある、はずだ」

皆が不幸になるのを見るのは私も嫌だったので、何も訊かずにそこへ向かった。
地図が指し示す建物には大きな看板があった。

『魔人相談所』

中は診療所みたいな待合室があり、他には受付含め誰もいない。
他になにかないかと奥から「予約のあった曲火さんだね、入り給え」という声がした。
部屋に入ると椅子と机、そして机の向かいにこれと言った特徴のない風貌の男が座っていた。

「ようこそ、君が新たな迷える魔人か。私のことは先生と呼んでくれ給え」
「そもそも魔人って……?」
「何、そこからかね。かくかくしかじか」

魔人とは何らかのきっかけを元に発現する能力者。にわかには信じがたい話だが、世の中探せば割といるものらしい。

「まぁそういうわけで、知らぬ間にそうなる人もいるってわけだ」
「つまり、私は、魔人になった、ってこと……?」
「それを確かめるために私のところに来た、いや、送られたのだろう」

私も魔人だと言うなら、今までのおかしなことにも説明がつく、のだろうか。

「かく言う私も魔人でね。我が能力、『見聞きし、感じ、掌握せよD.D.B.C』で魔人になったかどうか、魔人ならその能力を知ることが出来る」

彼はそう言うと右手を自分の顎に当て、私をまじまじと見始めた。

「なっ、そんなに見ないでください……
「そう言われても、しばらく見てなきゃいかんからな。大体五分くらい。そこから動かんでくれよ。スマホいじるぐらいはしてていいから」

こうして彼の視線を五分間浴び続けた後……

「うん、間違いない。魔人だ。しかし、厄介な能力を持ったな」
「ど、どういう意味ですか」

私の言葉に彼は答えず、机の上に鉄棒を立ててその横に自分の手を置いた。

「説明する前に……とりあえず私に『好き』と言ってみてください。気持ちは込めなくても……まぁ起こるでしょう」
……セクハラですか?」
「本気でその気があるならもっとねっとりやりますよ」

悪意や下心はないらしい。私はため息をつき、

「好きです」
「っ!!」

瞬間、手を引く先生。同時に手のあったところに勢いよく鉄棒が倒れ込む。

「ふぅ、実に危なかった」
「あの、これはどういう……
「君も薄々わかっているだろう。それが君の能力だ」

私は反論しようとしたが、言葉が出てこなかった。
思い当たる節はいろいろある。

「フリでもなんでも、君が好意を抱いた者に不運、不幸、破滅……そういったものを招く」

薄々わかっていた事実が言葉の刃となって胸に突き刺さる。

「君はもう恋愛が出来ない……いや、したが最後、ろくでもない結末を辿ることが保証されている」

嫌だ、嫌だ、聞きたくない。

「これを以て、魔人能力を名付けるなら……


誰もお前を愛さないノーワン・ラヴズ・ユー


「ううっ……ぐすっ……ひっぐ……
「厳しいようだが、その言葉を胸の裡に置いていれば能力が発現することもあまりないだろう」

「なんで」
「他者に好かれる者は、他者を好きになれる者。他者を好きにならないようにするには、他人に好かれないことだ」

だから、誰もお前を愛さないノーワン・ラヴズ・ユー……


それから間もなく、私は希望崎学園に入学した。
極力他人と関わりを避け、放課後は専ら図書館に入り浸った。一年目は特に問題はなかった。
二年目になって、私を慕ってくれる後輩ができた。彼女の名は桑丸平梨。
アプローチは彼女からだった。好きな本の話で盛り上がった。
人付き合いを避けていた私にとって、この交流は得難いものだった。

そして得てはいけないものだった。

私達が親しくなるにつれて、彼女が危ない目に合う事が増えていった。
ちょっとした出っ張りにぶつかったり、通りすがりの人にぶつかりそうになったり(私が素早く引っ張って回避した)。
本棚から厚さ5cmはあろうかというカードカバー辞書が彼女の頭に降ってきた(間一髪私が体当りして難を逃れたが)とき、私は決断した。
彼女から離れよう。これ以上一緒にいてはきっと彼女の身が、命が危うい。
魔人の身体は基本的に常人より丈夫と聞いてるとは言え、私のせいで危害が及ぶのは望むところではない。

寮暮らしなら親族にも迷惑はかけないと叔父さんを説得し、諸々の手続きを済ませ、私は姫代学園に転校した。
これだけ離れれば彼女にかかる不幸も最小限になるはず。

でも、だけど。心残りがひとつ。別れの言葉を告げぬまま。
会えないばかりに想いは募るばかり。
もし、もう一度会えるのなら――


こうして私は桑丸平梨と再び相まみえた。
彼女がどう思っているか、私にはわからない。
私のせいで酷い目にあったことを怒っているかもしれないし、私がいなくなったことで辛く思っているかもしれない。
それでも私は、私の思いを伝えたい。私の能力が何を起こしたとしても。その先に何が待っているとしても――


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