@kalupan_19
終わった…
欅、櫻の一期生として櫻坂になってからは特に先頭に立って走ってきた渡邉理佐の卒業コンサートが…
〇:綺麗だったな…理佐さん。
どうも今にも泣きそうな顔をしているであろう、小林〇〇です。
小林?
えぇそうです。僕には一個上に小林由依という姉がいます。
家族なら関係者席で観れたんじゃないかって?
コロナ前までのライブは関係者席で観させてもらってましたよ…
でも関係者席で見ると…
…
…
…
〇:あぁ今日も良いライブだったな〜
関係者席という優越感に浸りながら参加するライブは最高でした。
〇:よし、帰るか。
…
…
おっと…出入り口で警備員の方が待ち構えてるではありませんか…
それになんかこっち見られてる気が…
まぁ気のせいでしょう。人が混む前に家に帰…
警:君ちょっと来れる?
ん?
〇:ぼ、僕ですか?
警:君しかいないでしょ。
確かに周りには僕しかいません!
〇:どうされました…?
警:君のお姉さんに連れてこいって言われてるからさ…
〇:はぁ…またですか。
またと言うのも姉さんに無理矢理ライブに連れ出される様になってから毎回ライブの後に警備員さんに姉の元へ連れてかれる。
警:ふふっ…姉に愛されてるね?
〇:そうなんですかね…
実を言うとこの警備員さんとももう顔見知りレベル。
…
…
…
警:小林さーん弟君連れてきましたよー
『ありがとうございます、入らせて良いですよー!』
扉の奥から姉さんのであろう声がする。
警:じゃ、今日もみんなの事癒やしてあげてね?
〇:俺なんかが癒せてるんですかね…まぁ行ってきます。
俺は毎回ライブでのメンバーの笑顔に癒してもらっている。
Winwin なのかな…?
…
…
由:来たな弟よ。
〇:お疲れ様由依姉。
部屋に入るとぐったりしてるメンバーもいれば楽しそうに話しているメンバーもいる。
男の人が入って不審がられないのかって?
もう由依姉の弟認知と毎回連れて来られるのでメンバーもいちいち気に留めてないみたい。
由:どうだった?今日のライブ。
〇:最高だったよ。みんなカッコよくて可愛かった。
由:ふふっ…ありがとう。
由依姉は僕の感想で毎回笑顔になる。その笑顔がとっても可愛いんですよ!
?:由依ー!写真撮ろうー
こっちに笑顔で走ったきたのはキャプテンの菅井友香さん。
友:あ、今日も来たんだね〇〇君。
もうみんな名前で呼んでくれてる。
〇:えぇ由依姉にほぼ強制で。
由:そう言いながらも毎回全力で楽しんでるでしょ?
はい。もちろんです。
友:じゃあちょっとお姉さん借りるね?
〇:はい!幾らでも使ってください!
由:な…覚えとけよ…
殺意を感じた気がしましたが…まぁなんとかなるでしょう。
あれ…今、由依姉はすぐ帰って来ない、俺は自由。
よし帰ろう!
由依姉が帰ってきたらしばかれるかもしんないけど…
あ、由依姉とは二人暮らししてます。
それよりも見つかるとめんどくさいメンバーがチラホラといるのでここらへんで…
そろりそろりとドアまで近付きドアノブに手をかけたところで…
〇:んぐっ!?
後ろから誰かに思いっ切り抱きつかれ、そのままドアに顔をぶつけてしまいました。
〇:痛ってて…
鼻がジーンとしています。
?:もしかして今逃げようとしてた?
こ、この声は…
〇:理佐さん…
理:お、せいかーい。
理佐さんが僕から離れ、僕も理佐さんの方を向く。
…やっぱり綺麗だ。
由依姉はもちろん推しメンなのだが…半強制的に…
1番の推しメンは最初からずっと理佐さんだった。
由依姉の1番近くにいたからかもしれないけどね。
でも本人には言わない、なんか恥ずかしいし色々めんどくさいことになりそうだから…
〇:い、いやぁ逃げるなんて人聞き悪いこと言わないでくださいよ…
理:ふーん?じゃあ何で部屋から出ようとしたのかな?
〇:トイレに行こうかなと…
理:そんな忍び足でトイレに行くの?
〇:…
どうやら逃げ場は絶たれたようです。
理:由依に言っちゃおっか?〇〇が逃げようとしてたよーって。
〇:そ、それはやめてください…俺生きて帰れるか分かり
ません…
理:じゃあ…はい。
理佐さんが両手を広げた。
〇:…
理:由依ー!〇〇が…
〇:あぁ!分かりましたよ!
理佐さんの背中に優しく手を回して密着する。
理:ふふっ…やっぱ落ち着くね…
〇:っ…
推しとハグ+上目遣いで…ただハグするだけでもファンに殺されかねないのに。
僕のライフは保つんでしょうか。
理:また背伸びた?
〇:流石にもう伸びないてないんじゃないですか?
身長差で目を合わせて話すとほぼゼロ距離、強制上目遣い。耐えられるのかな…
理:ふふっ…なんか私達カップルみたいだね?
〇:…
何でそういう事言うのかな!?こっちの身にもなってくださいよ…!
理:あれ?照れた?
〇:…そりゃ照れますよ、こんな至近距離でこんな美人に言われたら。
理:っ…
あらら?
理:ばか…
理佐さんも照れてくれたようで僕の胸に顔を埋めてしまいました。
なんかちょっと攻めてみたくなった〇〇…
〇:理佐さんの可愛い顔が見たいなー?
おっとと…腕の力が強くなりました……ちょっと苦しい。
理:そ、そういうこと言うな…
〇:ふふっ…
可愛らしくてつい理佐さんの頭を優しく撫でてしまいました。
理:はぅ…
なんだ…家の由依姉と同じでチワワみたいだな。
それにしてもいつまでこのまま?なんて思っていると…
?:いつまで理佐さんとイチャイチャしてんだー!!
〇:ぐっ…
僕の横腹に誰かのドロップキックが決まりました。
理:〇〇大丈夫?
〇:はい……何だ夏鈴ちゃんか。
夏:何だとは何だ。
夏鈴ちゃんは加入からずっと理佐さんに支えられてきたようで。多分そこからの嫉妬…
〇:いや…?それよりライブお疲れ様。輝いてたね。
夏:…ありがとう。
ニヤニヤしてますよ?ポーカーしてるつもりですか?
理:何誑かしてるの?
〇:はい??
夏:何!?理佐さんという素敵な女性がいながら〇〇は…んぐっ…
理:余計なこと言わない。
〇:???誑かすとか何言ってるか分かりませんけどライブの感想を伝えてるだけで…
夏:確かにそうだね…
理:早とちりはやめよっか。
早とちり…?
理:それより夏鈴何か用あったの?
夏:あ…それは…
ん?何で視線をこっちに向ける?
理:あ、もしかして〇〇に?
〇:えぇ?
夏鈴ちゃんに限ってそんなことは…
夏:わ……も……や……しい。
ん?
〇:何て?
夏:私も癒やしてほしい…!
なんと…
〇:来る?
今まで甘えてくることがなかった夏鈴からのお願いに〇〇は自分から手を広げた。
夏:行くっ…//
〇:っ…
可愛すぎる!
理:むぅ…何かいい感じ…
何か痛い視線を感じます。
〇:理佐さんどうしました?
理:私とはハグすら少し拒んだのに…ハグ普通にする上に自分からハグ待つんだ?
嫉妬している…!?僕は今推しに嫉妬されている…!?
夏:ふふ…〇〇は私の事の方が好きなんだね〜
Oh…煽るな煽るな先輩を…
理:生意気…!
ほっぺをぱんぱんに膨らませてる理佐さんもいいですね…!
…
…
由:あれ?夏鈴が〇〇に甘えてる!?
由依姉がメンバーとの写真撮影から帰ってきたみたいです。
由依姉も僕と同じ反応でしたね。
〇:僕もびっくりしたよ。
〇〇は妹をあやすように無意識に夏鈴の頭を撫でていた。
夏:…//
由:あらら夏鈴も凄く嬉しそうだし…あれ?
少し寂しそうにしている理佐が目に入った由依。
由:今日は癒してもらわないの?
理:そんなの必要ない!
あれ…?拗ねてる?嘘まで吐いちゃって…
〇:あれ?さっきハグしませんでしたっけ?
少し意地悪したくなった〇〇は敢えて惚けて理佐にちょっかいをかけます。
理:なっ…
由:ふーん?やっぱり〇〇の前では甘えん坊ちゃんなのかな?
〇:それは由依姉も…
由:あ?
威圧をかけてきました。でも〇〇にはそれに勝れるワードがあるようで…?
〇:そんな態度取るの?じゃあもう家じゃハグしてあげないもんねー
由:なっ…
あら、理佐さんと全く同じ。仲良しですね!
理:ふーん由依も人の事言えないんじゃなーい?
由:あぁ!もういい!
おや?
由:〇〇には甘えてるの認める…けど!
素直になった…?
由:なんか〇〇に弱み握られてるみたいで嫌だ!
おっと…
理:それは私も!
おっとっと…?これはまずい展開なのでは…?
そっと夏鈴ちゃんを離して……go!
由:逃げた!
理:待て!
…
…
よし…!このまま部屋の外に…!
ドアまでもう少しのところで…
?:行かせないよ!
〇:なっ…るんちゃん…
森田ひかるちゃんにドアの前に立たれてしまいました。
〇:るんちゃん…どいてよ…
ひ:なんか面白そうだから嫌だよ〜!
クッソ。強行突破するわけにもいかない。もう一つの出口に…!
?:こっちにはいかせへんで〜
新たな試客が現れてしまいました…
〇:くっ…保乃ちゃんまで…
完全に逃げ場を失いました。
理:ふふ楽しもうね?
〇:ひっ…
由:ひかる保乃でかした!
ひ保:らじゃ!
恨むぞ2人共…
由:〇〇はこっちおいで〜
〇:いやだぁぁぁぁ…!
…
…
…
…
ていうことがあったので…今日は自分で当てたチケットで来ました。
我ながら運が良いようです!
コロナが流行ってしまってから姉が気を遣って二人暮らしはやめたので強制的に連れてかれることもなかったのです!
よし!帰りましょう!
…
…
〇:♪〜
普通なら楽屋に連れてかれる方がいいに決まってるんでしょうが…今までが今までだったので…普通に帰れて気分が高揚しています!
もう出口ですよ…!
〇:ん…?
後ろから肩を突かれました。
〇:どちら様ですか……って貴方は…
?:久しぶりだね?
僕の肩を叩いたのはなんとあの時の警備員さんでした…
…
…
待てよ…?何でここで肩を叩かれた…?
〇:まさか…
警:そのまさかだよ。
とんでもないことになってしまいました。
警:どうやらライブ中にメンバーに見つかっちゃったみたいよ?
確かにステージになかなか近い席だった…!
〇:い、いや今日はもう帰って用事があるので…
もう一度会場の外に向かって歩き出した時…
警:ごめんね〜俺が怒られちゃうから…
〇:うおっ…!?
軽々と担がれてしまいました。
〇:や、やめてぇ〜…
警:はーい暴れないでー行くよー
周りの行く人々全員に視線を向けられながら抵抗も虚しく楽屋に連れていかれるのでした…
…
…
警:連れてきましたよ〜
由:あ、お疲れ様ですって…何で担がれてるの…?
〇:うぅ〜…
警:逃げようとしてたからねー
由:ふーん?逃げようとしてたんだ?
〇:…
警:よいしょっと…じゃ、あとは楽しんでねー
本当に貴方は警備員ですか!?
由:…
お、今日は由依姉が抱きついてきました。
〇:お疲れ様。
由:久しぶり…だね。
確かにそうだ。このご時世家族ですら別の場所で暮らしていたら簡単には会えない。
〇:…寂しいね。
由:うん…
由依姉は多分泣いてる。結成当初から1番長く一緒に過ごしてきた相方的存在のアイドル人生が幕を閉じたから…
夏:あ、〇〇…来てたんだ。
〇:うん。由依姉に見つかってたみたい。
由依姉と椅子に座りながら話していると夏鈴ちゃんが来た。
夏鈴ちゃんも涙で目が…
黄色い向日葵を渡す場面は流石にジーンと来た。
やばいやばい…メンバーを見るだけで俺も目頭が熱くなって来る。
欅、櫻含めこんな綺麗な卒コンは今まで無かった。
〇:夏鈴ちゃん…今は我慢しなくていいんだからね…?
夏:うっ…うぅ…
〇:よしよし…お疲れ様…寂しいね…
由:ほんとお兄ちゃんみたいだね。
〇〇は人前でほとんど泣くことはない。姉の前でも。
冷徹な人間とかそういうことじゃない。
自分が泣く前にどんな理由で泣こうと泣いている子がいれば〇〇は寄り添う。
言うなれば泣いてる時間があれば誰かのために…という男。
…
…
〇:よし、これ以上ここに居ると泣いちゃいそうだから帰ろうかな。
由:〇〇泣かないでしょ?
〇:ふふっ…それはどうかな。
由:それに…想い伝えなくていいの?
〇:え?
由:バレないとでも思ってたの?
〇:嘘…
由:もちろん私をちゃんと推してくれてるのは分かってる。でももう1人いるよね?
まさか…由依姉にバレていた。
由:なんか見つけたとかじゃない。私達姉弟でしょ?
〇:そういうことか…
由依姉も戦友として。親友として理佐さんが大好きなんだ。
由:それに姉が言うのもあれだけど私の親友を任せられるのは貴方だけ。
〇:由依姉…
夏:私も理佐さんは〇〇にしか任せない。でも泣かせたらぶっ飛ばす。
おぉ怖い。でも夏鈴ちゃんにも認めてもらえてたんだね。
〇:でも理佐さんが俺と同じ事を思ってるから分からないしね…
理佐さんはアイドルを卒業してもこれからがある。俺に構ってる暇なんて…
由:それは大丈夫じゃない?
夏:うん。
何でそんな冷静なの?僕の心臓は落ち着かないんだけど!?
?:あ…
〇:…
来た…純白のドレスで身を纏った今日1番輝いていた人が。
由:〇〇が…
〇〇は泣いていた。たくさんの雫を溢しながら。
でも理佐からは目を離さない。涙なんて気にも留めずずっと…
理:何で〇〇が先に泣くのよ…
〇:うっ…うわぁぁぁぁ…!
理佐に抱きしめられ〇〇は声をあげて泣き始めた。
…
…
…
理:落ち着いた?
〇:ごめんなさい…取り乱しました…
理:もう…折角涙引いてきてたのに私もまた泣いちゃったじゃん…
目尻に溜まった涙を指で払いながら理佐さんは笑っていた。
理:どうだった?私のライブは。
〇:言わずもがな…最高でした。
理:ふふっ…良かった。
いかん…理佐さんを視界に入れるだけでいくらでも涙が出そう。
理:7年間…楽しかったな…
理佐さんは独り言のように呟く。
理:辛い事ももちろん沢山あったけど…みんなと出会えたから。
〇:これからはやりたい事沢山やってくださいね…?
理:うん!これからは自由だよ!
仕事も…恋愛もね…?
〇:…
これから大事なのに僕の気持ちだけで理佐さんを縛っていいのか…?
そんな事を思っていると僕は理佐さんにじっと見つめられていた。
理:私ね?狙った獲物は逃したくないタイプなの。
ん?
理:さっきも言った通りもうアイドルの私は終わり。だから自由。獲物を狙うのも。
獲物…?
理:〇〇はさ…私の事どう思ってるの…?
そういうことか…なら尚更だ。
ここで自分の気持ちを素直に伝えなきゃ死んでも後悔する。
〇:僕は…理佐さんの事が…大好きです。
理:え…
〇:表面上は推しは姉だけでした…でも僕が1番応援していたのは、理佐さん…貴女です。
理:…
〇:でもある時から推しの枠じゃ収まらなくなって…理佐さんをひとりの女性として好きになってしまいました。
今の今まで恥ずかしがって想いを伝えられないんじゃないかと不安になっていた〇〇とは思えない、素直な言葉。
理:ふふ…悪い子だね……でも…
〇:…?
理:私も好きになっちゃったから…私も悪い子だね。
イタズラっぽく微笑み恥ずかしそうに俯いた。
〇:理佐さん…
そんな理佐さんが愛しくて気付いたら理佐さんの背中に手を回していた。
理:大切にしてね…?
〇:もちろん。
理:アイドルと両想いだったなんてロマンチックじゃない?
〇:そうですね…
理:じゃあ…
理佐さんは僕から離れた。
〇:わっ…!
と思ったら押し倒されました。
理:もう自由だもんね…
理佐さんは顔を真っ赤にしながら近付けてきた。
〇:ちょっ…いくら何でも…
理:女の子の勇気を無碍にするの?
〇:…
それは男として情けない…でも余りにも積極的過ぎない!?
…
…
理:ふふ…ファーストキス…あげちゃった。
そんな事言われると更に心臓がバクバクですよ…
〇:僕もです…
由:〇〇〜想い伝えられたって…どういう状況…?
〇:あ…
気を利かして2人にしてくれた由依姉と夏鈴ちゃんが戻ってきた。
由:理佐…まさかあんた…
理:うん。しちゃった。
ちょっとさっきから動悸が治りません…!まず俺の上から降りてもらわないと…
理:よいしょっと…
あ、良かった。
自分から降りてくれました。
夏:私の理佐さんとキスしたのか…?
〇:え?
由:夏鈴?どうしたの?
夏:こんの破廉恥がぁぁ!!
〇:うわっ…!あっぶな…
寝ている状態で飛び膝蹴りを喰らいそうになった。
夏:…
〇:ちょっと…?さっき認めてくれてたよね…?
夏:それとこれとは話が別だぁ!
確かに…俺でも順序がおかしい気がした。
でも俺の生命本能がこの場から逃げろと言っている。
のだが…
?:面白そうだから…
?:来たで〜
〇:何で今日は既にいる!?
数年前俺の行手を阻んだ2人が既に夏鈴ちゃんと一緒に俺を囲んでいた。
ひ:ふふふ…
保:よーし夏鈴!いっちょやるで!
夏:go…
〇:いぃやぁぁぁぁ!!
由:良かったね…理佐。
理:もしかして〇〇の気持ちも知ってたでしょ?
由:ふふ…どうでしょう?
理:もう…
1人の悲鳴とみんなの笑い声が混じり合うのでした。
Fin.