左銃Webオンリー「うまうさパーティ!3」発行
新刊「ウルトラハッピーシュガーライフ」の冒頭サンプルです。こんな感じで終始ずっとイチャイチャしています。よろしくお願い致します!
@ribero_hamiy
◆Morning
「……」
――腰が怠い。
関節のあちこちにも違和感がある。喉も微かに掠れて居る様な気がしないでもない。俺を「そう」させた張本人は、今、目の前ですやすやと健やかな寝息を立てていた。
「……お前のせいだぞ」
むい、っとその高く整った鼻をつまんでやると、眉根がムッと寄るのが分かる。俺は手探りで眼鏡を手繰り寄せ、すっかり見慣れた絶世の美形の顔面を凝視した。
(うわ……)
何度見たって顔が良い。相も変わらず整ったその顔面は、美術館に展示されていても違和感がないほどの美しさだ。俺の好みのど真ん中過ぎて悔しい。
ぷに、と頬を小突けば、弾力ある肌を指先で感じて余計ムカつく。くそ、好きだ。
元から色素が薄い左馬刻の肌は、雑な手入れで保たれているとは思えないほどきめ細やかなハリ艶をしている。一緒に風呂に入った後、俺が化粧水や乳液やボディクリームで保湿に勤しむ間、こいつはハトムギ化粧水一本で、わずか五秒でスキンケアを終えていた。アレでこの肌が保てるのは驚きだ。あと、やっぱりムカつく。
「左馬刻、起きろ」
ぺし、っとその頬を軽く叩くが、力はちっとも籠っていない。それに、奴の頭上の双葉は元気にブンブン揺れているので、間違いなく狸寝入りだ。
「今日はデートするんだろ?」
早く起きろ、とその身体を揺さぶっても、双葉がぴょこぴょこ揺れるだけで、左馬刻は目を覚まそうとはしなかった。こいつ、おはようのキスを待ってやがるな?
「……」
無言でモチモチな頬をつまむが、長い睫毛が動く気配は無い。その口元がゆるゆるにニヤけている事なんて、とっくにバレているというのに。
――今日は久々の休日で、朝から晩までずっと一緒に過ごす約束をしている。
最近は互いに忙しく、中々会えなかった分の寂しさが爆発してしまって、昨晩はそれはもう、ものすごく盛り上がってしまった。俺もたっぷりオネダリしたし、左馬刻も散々オカワリしたので……そこはお互い様だ。
明け方まで求め合い、二人してぐったり大満足で眠りについた。そして目覚めた今現在、時計の針は午前十時を指している。既に朝と言うには遅いが、まだまだ一日はこれからだ。今日は行きたかった美術館の展示に付き合わせる予定なので、左馬刻にはそろそろ起きて貰わねば困る。
「おーきーろ」
むにむにと頬をつまむけれど、ちっとも目を開く気配は無い。でも、くつくつと噛み殺す笑いは堪えきれて居ないし、むしろ隠す気も無いだろ、コイツ。
「……左馬刻」
「……」
ぴく、と露骨に反応する。やっぱり隠す気は無いようだ。
「起きろって。今日は一緒に美術館行く約束だろ?」
「……ふふ」
「おい」
――笑いが堪えきれてないぞ、バカ。
指先でその、すっかりニヤけきった唇に触れてやる。途端にピン、と双葉が立って、期待に満ちたオーラになった。本当にチョロくてバカだ。でも、そこが可愛い。
「左馬刻様はお寝坊さんですねぇ」
むにゅ、っと指先で唇をなぞる。端から端までゆっくりと撫で上げるように触れてやれば、我慢出来なくなったのか「ん」とキスの催促をされた。だから俺は、その耳元に顔を寄せ、左馬刻の「好きな」甘ったるい声色でわざとらしく囁いてやる。
「……起きたらキスしてやる」
「――起きた!」
「あははっ」
二秒と経たずに目を開けた左馬刻は、そのまま飛び起きて俺に抱き着く。何ともチョロくてバカだと思った。でも、そこが愛おしくて堪らない。俺にこんなメロメロで骨抜きな男が、この誘い文句に飛びつかない訳が無かった。
「おはよ、じゅーと」
「はいはい、おはよう」
左馬刻の長い睫毛が揺れて、ばちりと音が鳴るくらいに目が合う。寝起きに浴びるこの顔面美は、何度見たって慣れやしない。だってあまりにも顔が良過ぎる。到底同じ人間とは思えない。本当にこいつの遺伝子は一体どうなってるんだ?
「ん!」
堂々と、自信たっぷりな顔で自身の唇を指さした左馬刻。目覚めたばかりなのに、ここまでドヤ顔でキスをねだる男もそうそう居ないだろう。まぁ、俺は一生コイツしか知らないんだろうけどな。
やれやれ、と苦笑した後に、俺はその要望を叶えてやった。目が覚めて初めてするキスは、触れるだけの優しいものだというのに、胸の奥がぽわっと温かくなるような気持になって不思議だ。
ちう、と柔い唇に触れると、すぐにご機嫌な舌が押し入って来る。いつもなら快く受け入れてやるところだが、今はそういう訳にはいかない。何故なら、俺はやたらとキスが上手過ぎるコイツについつい流されてしまいがちなのだ。
うっかり侵入を許したが最後、歯列の裏まで器用に舌先なぞられて、舌を絡めて吸われて食まれて――あっという間に息が上がってしまう。そしてあれよあれよと流されて……その後は言わずもがな。一体何度この手にやられたか覚えて居ない。
「ストップ」
「あっ」
深いキスをする気満々だった左馬刻の額に、俺はデコピンを喰らわせた。その隙に唇を離せば、奴はものすごく残念そうな顔をする。ウッ、いや、流されないからな!
「……なんで」
小声でそう呟きながら、左馬刻はするすると俺の腰に腕を回して来る。情事のまま二人して寝落ちしたので、お互い今は真っ裸。つまり素肌を這う大きな手を、俺はムギュとつまんでやった。
「お前、キスだけじゃ終わらないだろ?」
「……」
思い当たる節があり過ぎるのだろう。左馬刻は否定はしない。
「こんな時間にもう一回する気か?」
もうすぐ昼だぞ、という意味を込めて時計を指させば、左馬刻は一瞬そちらを確認した後、何故か目を丸くした。いや、何でだよ。
「――ンだよ、まだ十時じゃねーか」
「はぁ? もう十時だろ。午後に出かけるならもう起きる時間だぞ」
一体何を言い出すのかと思いきや。全く、自由時間で生きているヤクザには困ったものだ。俺がやれやれと溜息を吐くと、左馬刻はすっかりゆるゆるになった表情で、俺の額にキスして来た。素直に嬉しいので拒みはしない。
「まだ十時だっつーの。折角の休日だろ? もっとダラダラしても良いんじゃねーの」
「これ以上どうダラダラするんだよ」
昨晩から明け方まで、散々互いに求め合ったのだ。そしてこの時間に目覚めたのだから、これ以上怠惰な休日は無いだろう。それなのに、左馬刻は相も変わらずニヤニヤと口元を緩めたまま。
「昼まであと二時間あんだろ? なァ♡」
「……おいコラ」
ぎゅ、っと抱き寄せられた臀部に、とても身に覚えのあるすごく硬くて熱いナニカが押し当てられる。まさか、と思うより先に、それが尻の割れ目に宛がわれて――。
「じゅ~と♡」
「……うわ、」
朝勃ちと呼ぶには些か凶暴が過ぎるソレは、つい数時間前まで俺のナカで散々暴れていた、最早凶器と呼べる代物だ。
(もうこんなに元気になるのか⁉ ……いや、そう言えばコイツ絶倫だったな……)
左馬刻は絶倫だ。それはもう、ものすごく。
そっちでも王様なのか? と言いたくなるほどに、ブツはデカいし硬いし強い。若さ故というのもあるだろうが、元々体力もそれなりにある男な上に、性欲も旺盛となれば言わずもがな。それに明け方まで付き合えてしまう俺も大概だが、少なくとも夜の営みが一回で終わったことは一度もない。
初めて繋がった夜でさえ、興奮して理性を失いかけた左馬刻に、意識が飛ぶまで抱き潰された。知論散々謝られたし、珍しくしょんぼり反省する左馬刻が拝めたので許してやったが、俺じゃなかったら死んでいたと思う。
……まぁ、俺以外だなんてあり得ないだろうし、相手が俺だからこそ、そこまで興奮したのだろうけど。
「なぁ、ダメ?」
「……」
――さてはこいつ、その顔をすれば俺が何でも許すと思ってるな?
「じゅ~と♡」
きゅるんとしたつぶらな瞳に、おねだりするような年下の顔。俺よりでかい癖に器用な上目遣いも添えて、期待に満ちた表情で答えを待って居る左馬刻。今まで何度この顔に流されて来たことか……。
「……お前、一回じゃ終わらないだろ」
これだけバキバキで凶悪なことになっているブツが、たった一度で満足出来るとは思えない。ただでさえ昨晩から明け方まで散々シたというのに、あまりにも元気が良過ぎやしないだろうか。
……まぁ、久々だったし、テンションも上がって盛り上がったのは事実だが……。
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こんな感じで一日中ずっと仲良ししている左銃のお話です!