両想い期のΔドラヒナのお話で、七五三ネタです。
こちらの世界でも、ミラさんは忙しいだろうな…というのと、こっちの世界だと、ドラウスさんも仕事をしている(笑)ので、幼い隊長は寂しい思いをしたのではないかなぁ…と思いまして。
ワーカーホリック気味なイメージがあるΔの二人ですが、全ての世界線で一番、落ち着いた幸せな生活をしてくれると信じています。というより、長命種の本編と違って、ダンピールは人間に近いので、ヒナイチくんが頑張って、子供達と孫達に囲まれた老後を送っててもいいな…と思ったり。
調べれば調べるほど、彼女のモチーフである、ハムスター、リス、血珊瑚、ひな祭り、イチゴ等々『女性・家庭・結婚・子孫繁栄』を司るものが多いんですよね。
捏造設定の息子くんの七五三にいく、みっぴきのシーンを追加しました。
Δドラヒナの息子くんの設定は、この様な感じです。
竜斗 Δ隊長とΔヒナイチくんの長男。7歳。お母さん譲りの赤毛とアンテナに、隊長譲りの金色の眠そうな目元。両親のいい所どりした、文武両道で、素直な性格。Δロナルドくんの事は、「おにいさま」と呼んで慕っている。父親の事を尊敬しており、『昔は巨大化したり、ビームが打てた』と信じている。
2023/11/15に上げました。
@kw42431393
『緊急の呼び出しなんて…愛息子の七五三に今回も出られない私は親失格。スケジュール調整もできない…。』
『ドラウス、そう言うな。私も調整が出来なかったのだ。すまないな、ドラルク。』
『いいんですよ。おとうさまもおかあさまも、おいそがしいのは…りかいしております。」
父は吸血鬼対策課創設者の息子で重役、日系吸血鬼の母は両種族の関係調整に駆け回っていた敏腕弁護士。
当時の人間と吸血鬼の関係がさほどよくなかったのもあって、多忙だった二人の事情は、私もよく知っていた。既に大人びていた私は聞き分けよく出来たし、親に面倒をかけたりしなかった。
三才、五才と両親共に忙しくて、七五三には出られなかった。
だから、お父様達は今度こそ一緒に祈願に行きたいと思っていたらしい。
とはいえ、基本的に学生時代までルーマニアで過ごした私にとって、あまり馴染みのない文化であったから、そこまで残念ではなかった。
袴姿はカッコいいなぁ、と思っていたぐらいの認識だったと思う。
「まえみたいに、スタジオでしゃしんさつえいすればいいじゃないですか。ねえ?ジョン。」
「…ニューン。」
心配そうにのぞき込む、肩のマジロに手をやった。
頭を軽く撫でると、赤ん坊の頃から寄り添ってくれたジョンの甘えた鳴き声が、耳に心地よい。
「ジョンといっしょにまっています。いってらっしゃいませ。」
「あ、退治人のお姉さ~ん!」
「こ、これ!明ちゃん!」
やっと取れた休日に、ヒナイチくんと買い出しに来ていた時だった。元気な子供の声に振り向くと、彼女の方に、袴姿の少年が駆け寄って来る。後ろから、困った顔をした両親も駆けてきた。
少年の手に持った鶴亀の縁起物の紙袋。そういえば、そろそろ七五三だったな…と思い出す。
「こんにちは!このまえはありがとう!」
「この前の僕か。七五三の帰りか?」
「うん!」
「その節は、お世話になりまして。」
以前、下等吸血鬼に襲われた所を助けた親子らしい。本当によかったと思う。我々が日々忙しくしている理由は、市民のこの姿を見る為だけだと言って過言でないのだから。
「これから、皆で食事か?」
「うん!レストランでおこさまランチをたべるんだよ!」
「よかったな、楽しんできてくれ!」
ヒナイチくんが、ぴょんぴょんと跳ねる少年の頭を撫でる。彼女も退治人本望に尽きると言っていいのだろう、その目はとても優しかった。
「さようなら!」
「それでは、どうも。」
私達は、遠ざかっていく親子を見送る。不意に、その時分の私が思い浮かんだ。はしゃぎながら駆けていく少年の姿が、妙にが眩しく見えて…。
「ヌヌヌヌヌヌ?」
「ん…ジョン何でもないよ。」
肩のジョンに手をやる。ずっと、私と一緒にいてくれたマジロ。ジョンがいたから寂しくはなかったけど、さっきの子供の姿が羨ましくないと言えば嘘になる。
結局、スタジオで7歳の時も写真を撮っただけだった。
私達に将来…
「いいな…ああいうの。隊長は七五三やったのか?でも、当時はルーマニアにいたかな?」
「母が日系だったから、七五三をしに来ていたけど、結局忙しくてね。写真撮影だけだったっけ。」
「そ、そうか。すまん。じゃあ、帰ったらアルバム見せて貰っていいか?可愛かっただろうな、見てみたい。」
「ん、私?当時は、儚げな美少年だったよ。私こそ見たかったよ、ヒナイチくんの着物姿。」
君こそ可愛かっただろうな。
出会ってもいなかったからどうしようもないけど、彼女に私の知らない時代があるって、何だか悔しいものだ。
「アハハ。父は緊急で出動があったり、母がギルドの留守を預かったりしただろ?どれも兄に連れて行って貰ったんだ。撮った写真も千歳飴を食べられて、泣いてたり、むくれた顔だったりしてな。あまり見せられたものではないぞ?」
あぁ、カズサくんは当時からそんな事をしていたのか。
さっき、ヒナイチくんが優しい目で子供を見ていたのは、私同様、さっきの少年が羨ましかったのかもしれない…そんな風にも思えてきた。
「だから、隊長。私達の頃には、ちゃんと揃って行ける様にしたいなって思う。」
そうだね、私達に将来子供が出来たら、ロナルドくんもつれて家族一緒に…私達の頃?
「…って、ヒナイチくん。私達の頃って?」
「あっ!?」
赤面して俯いてしまった君を覗き込む。頬に手を当ててこっちを向かせると、観念した様に言葉が漏れた。
「う…うん。ロナルドも連れて、皆で祈願に行って、食事をして、写真を撮って…最高に楽しい時間を過ごしたいな、って。」
嬉しいね。私が浮かべたのと、全く同じ光景だもの。
勿論、それを現実にしてみせるよ。だからそれまでには、私達が退屈するぐらい、治安のよい街にしなくてはいけないね。
あれから、10年が経った。相変わらず、この街は騒がしくて、ポンチ共も多いけれども、チームΔも軌道に乗って久しい。だから、結婚した私とヒナイチくん、そして、今も一緒に暮らしているロナルドくんも、休みを合わせる事が出来るぐらいには、落ち着いたのだ。
まぁ、多忙なのは変わりはない…あの本部長が、もう少し仕事を減らしてくれればいいのだが…。
『シンヨコでこの仕事量をこなす方と、本部に栄転する方…どちらかを選べ。』
そりゃあ、単身赴任なんてとんでもない。可愛い妻子を置いていける訳がない。
特に最近は、溜まっていた仕事を本気で片付けたのだ。だって、今日は…
「おっ、竜斗。すごい似合ってるぞ、肩車してやろっか?」
「エヘヘ、ロナルドおにいさまったら。」
可愛い息子の七五三なのだから。
「おとうさま、どうですか?」
「カッコいいよ。だって、私達の息子だからね。世界で一番、カッコいいに決まっているとも。」
着付けを終えて、羽織袴姿で出て来た可愛い息子の額にキスをする。
ジョンを頭に乗せて、ニコニコ笑うその姿を見て、幼い頃の心残りをまた一つ叶える事が出来たと、実感する。目の前に敷かれていた出世コースを蹴って、今もここで、ブラック企業ばりの過労を続けている甲斐があるというものだ。
「すごい親バカだなぁ。親父さんの事、言えねえじゃん。」
「うるさい、この5歳。」
親バカだと?当たり前だとも…ヒナイチくん譲りの赤毛に、私譲りの金色の瞳。
私達のいい所どりした竜斗は、勉強もスポーツも万能で、クラスでもモテモテらしいのだ。
親バカにならないなんて…無理な話だとも。
「なんなら、ロナルドくんも袴をレンタルしてもいいのだよ?万年5歳だし。」
「いいですね。おにいさまもいっしょにきがんしましょ?」
「えーん。何で、お前までそんな事言うんだよ~。」
「ヌフフフ。」
この時間が何より、幸せなのだ。そして…
「待たせてすまないな。じゃあ、行こうか。」
「あ、おかえりなさい。おかあさま。」
丁度、お手洗いに行っていたヒナイチくんも戻ってきた。10年経って、ますます綺麗になった私の自慢の奥さんだ。そして…最高のおかあさま、だ。
「そういや、ヒナイチ。次の子って、女の子だっけ?」
ロナルドくんに話しかけられた彼女が、頬を染めてお腹を撫でる。
生まれてくるのは来年の予定だけれども、今から楽しみで仕方がない。
もっと言うと、その子をお嫁にやれるかも、今から心配で仕方がない。
「そうだぞ。その時も、お前も一緒にこうして来よう。振袖も可愛いだろうな。」
「出来れば、ドラルクに似てない方がいいんじゃ…いって!!つねるなよ~。」
「ヌー…。」
あの頃の私達が思い浮かべた風景が、こうして現実化している事が誇らしい。
そして、生まれてくる娘が3つになった時も、この場所で、全員で、こうしているだろうと確信している。