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2024/03/12 けいじさん・背骨のイフ『宿木と感光』への感想

全体公開 1 2432文字
2024-03-12 14:51:42

けいじさんがこちら(https://poipiku.com/7845179/9678251.html )にアップされている、『宿木と感光』という作品を読んでの感想です。
けいじさんに個人的なメッセージとしてお送りしたところ、公開して欲しいということだったので、こちらにアップします。本文ママです。

けいじさんこんにちは!よつもりです。
昨日アップされていた、背骨のイフ『宿木と感光』拝読しました。

以前の集いでこの物語について色々とお話をさせていただいて、
その後どのように着地するのかととても楽しみに待っていました。
ですから、終わりまでを読むことができて嬉しく思います。
なるほど、けいじさんはご自身が設定されたこのテーマに、このように結末を持ってきたのだなと、とても納得のいく形の物語でした。

先日仰られていて、昨晩も投稿をされていたように、確かにこの物語はティアキンの姫様とリンクの関係をそのまま反転させたものだったのだなと、納得しています。
リンクの行いによってゼルダさんは取り返しのつかない形で傷ついた。
と同時にリンクも取り返しのつかない形で変わってしまった。

ティアキンでは
①リンクが姫様の手を掴めななかった
②姫様は龍になった
③リンクは姫様のその決断によって傷ついた

という流れが、
この『宿木と感光』という物語では、

①ゼルダさんは何かの選択が違っていれば遭わなかったであろう暴力に遭った
②リンクは殺人をした
③ゼルダさんはリンクのその決断によって傷ついた

という形で綺麗に対比の形になっていて、このような構造の美しさは素晴らしいなと思います。
ティアキンではリンクが頑張って姫様の選択と自己犠牲に報いて魔王を倒し姫様も救われるという結末でしたけれども、姫様が自分をなげうつことでリンクを傷つけたという事実は確かにあった。それは結末がハッピーエンドであろうと変わらない事実だと思います。

『宿木と感光』ではリンクがゼルダさんのために殺人に手を染める。ゼルダさんのために後戻りができない形で手を汚して変わってしまった。その事によってゼルダさんは傷つく。そして彼と彼女はその事実をどう受け止め、処理をするか? という設問ですよね。

ゼルダさんはリンクに
>「………後悔しませんか?」と尋ねます。
ゼルダさんのために手を汚したことを「後悔」しているかどうか。

このセリフをティアキンの方に当てはめると、どうなるだろうとちょっと考えました。
リンクが姫様に「後悔しませんか?」と尋ねる。
ここで言われる「後悔」というものは、「そうやって龍となるという自己犠牲をすることによって自分が失われてしまうことを後悔しませんか」という意味合いと「そうやって自己犠牲をすることによって俺を傷つけたことに後悔はありませんか」という意味合い、二つの意味合いが重ねて含まれてくるように思います。
更には「俺があなたの手を掴めなかったことを姫様は残念に思いますか」というような、リンク自身の責任を問うような意味合いも含まれてくるかもしれません。
ティアキンの姫様はどう答えるだろうと考えると、きっと全てにおいて「後悔しません」と答えるだろうなと思います。彼女はきっとそういう女性だろうと私は思います。酷ですよね。

そしてこの『宿木と感光』のリンクくんも、このティアキンの酷な姫様と、そっくりそのまま同じように「後悔しない」ことを選んだ人物なのだろうと思いました。

『宿木と感光』のその後の会話で、
>「ゼルダは?……後悔してる?」
と問いをそのまま返されて、ゼルダさんには答えることができなかった。
これはティアキンのリンクも答えようのないことだろうと思います。
「手を掴めなかったことを後悔している? そうして自分の手の届かないところで取り返しのつかないことが起こって物事が進んでしまったことを後悔している?」
と言われても、なんとも答えようがありませんものね。
それは起こってしまった以上そうなるようにしかならなかった。

そして『宿木と感光』のリンクは
>「俺は後悔しない。今もしてない。選ばなかったことは起こらなかったことだから、そのことは考えない」
と言いますが、確かにそれはそのとおりだなと、私も思います。
タラレバというものには全く意味はなく、現実はただそこにある形でしか存在しないのだと。

>「もしもなんてないから。……ゼルダには分かるでしょう」
というセリフは、背骨とエメラルドのリンクくんの来歴を考えて、この物語がそのイフだと考えると、かなり重い意味合いの言葉だなと思います。
彼にはティアキンの頃の記憶がある、と思うと、これは「龍になるという選択をしたゼルダなら当然理解できるよね?」という理解を促す意味合いと「俺もあの時同じように傷ついた」という意趣返しのような意味合いにもなるのだろうと思いました。けれどもゼルダさんにティアキンの頃の記憶はない。となると、この彼の言葉の本当の意味は届かないままなのだろうとも思いました。
と思いつつも……個人的な感想ですが、リンクくんのこの言葉の問いかけの意味を完全に理解はしていなくても、ゼルダさんは彼の言葉のニュアンスをもしかすると感じ取ることはできるのではないかなと。そのように漠然と思いました。これは私の妄想です。

『宿木と感光』の中で、
>ただ、もし今あの夜に戻ることができれば、一人で行かせたりしなかった、と強く思う。
の部分がとても好きです。
この部分に、ゼルダさんからリンクへの愛情を感じます。
一人で取り返しのつかない形で変えることをさせなかった。
もし変わるなら一緒に変わってしまいたかった。
というような、運命をともにするというような気持ちが伝わってきます。
そして、それができなかったということもまた切ない。

『宿木と感光』本当に面白く読ませていただきました。
文章がとても素晴らしいと思います。けいじさんの文章は本当に情感に溢れている。
リンクが西日を受けて逆光のシルエットになったシーンの、その描写による不穏さと切なさのような演出も素晴らしかったです。
内容・文章ともに、読めて良かったと心から実感するようなお話でした。
長々と感想を失礼しました!



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