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今となっては…

全体公開 反転ドラヒナ 5 7013文字
2024-03-22 20:16:16

春の〆祭り参加作品の3作目です。今回は、反転ドラヒナのお話です。
吸血鬼・退治人・吸対が連携し、人間と吸血鬼が共生する時代を目指すみっぴき。
連携してそこそこ時間が経ち、新横浜で高等吸血鬼による事件が減り、県外にも遠征するようになった頃。県外の反人間派の同胞に、連絡を取って欲しいと反転ノースディンに頼みにいく、ドラルクさん。
プライドを捨て、ロナルドくん達を通じて、人間達や他の同胞達と交流をする様になってきた、今だからこそ思う所があるそんなお話です。
いつも通り、捏造設定をご覧になってから、次にお進みください。
他に書いた反転ドラヒナのお話は、こちらから読めます→https://privatter.net/category/50931

Posted by @kw42431393

反転ドラヒナの捏造設定はこんな感じです。
 
 反転ドラルク:
 強大な力を持つ我が儘で中二病の人外。再生能力を持たず、両親に甘やかされてきた為、刹那的な性格。
 自分の監視員であるヒナイチに執着し、理性が衰える満月の夜に無理矢理想いを遂げる。彼女を自分に溺れさせようとしている内に、彼女の血以外受け付けなくなる程、自分の方がのめり込んでしまった。
 ジョンやロナルドの助けもあって、彼女とは両想いとなり、「両種族の抗争が終結したら血族になる」という契約を交わし、抗争終結に協力する。
 下等吸血鬼など話し合いが通じない相手へのお野蛮担当。

 反転ヒナイチ:
 吸血鬼対策課ヒヨシ隊副隊長を勤める若きエリート。ドラルクの監視員で、意地っ張りなくっころさん。
 幼少時に、父親が忙しく構って貰えなかった為、本当は甘えん坊で寂しがりや。自分を甘えさせてくれる監視対象に父親像を求めていたが、心身を傷つけられ、さらに快楽堕ち一歩手前までなる。
 ジョンやロナルドの助けもあって、依存から愛情に移行するまで成長する。市民の警護や避難の担当。

 反転ジョン:
 ドラルクの使い魔。落ち着いたムキムキの大人マジロ。
 ヒナイチが来てから、太ってしまい、筋トレをハードにしたら、筋肉で丸まれなくなってしまった。元競マの帝王。
 主夫婦がヤンデレ同士なので、苦労人気質。ドラルクの盾として、自身も戦闘に参加する。
 みっぴきのバランサー。

 反転ロナルド:
 全ての吸血鬼と友人になれる世界を作るのが夢の退治人。
 戦闘に参加しないが、お話合いという必殺技を使う。最終的にお嬢が反転してゴリラになるのは、内緒。
 両種族の共生の為には吸血鬼、吸対、退治人の連携が不可欠な為、仲介者として奔走している。
 最強のお嬢で、みっぴきの切り札。

 反転ノースディン:
 ドラウスの親友でドラルクの師匠。反人間派寄りの中立派なので、向こう側の同胞達に対して顔が利く。
 弟子に対しては、やる気を引き出す為に悪役を気取るのではなく、単に嫌味なだけ。
 女道楽で、口説くのにチャームを使わない。多くの才能ある女性達のパトロンとなり、花に見立てて育て上げるのが趣味。
 親友夫妻の息子の言動が粗野になってきたので、躾も兼ねて自分の城に連れてきた。格闘技と料理の腕はトップクラスで、そこのみ弟子に受け継がれた。



 「全く3年いてマシになったのは、言葉遣いと立ち振る舞いだけか。お前は、誇り高いあの方の血を引いた直系の孫なのだぞ。ドラウスの事を考える、頭もないのかな?」
 「うるさいですよ、やっと明日からあんたの元から離れられるのです。お小言は、終わりにして頂けませんかね?」
 「『あんた』では、ない。『貴方』だやはり、あと10年程追加するべきだと、ドラウスに報告しておこう。不出来な弟子くん。」

  この3年間、無駄に長かった。15歳から18歳まで、私は、父の親友であるノースディンの元に預けられていたのだ。
 幼い頃に再生能力がない事が発覚してから、両親からは甘やかされ、『どうせ、いつか死んでしまうのだ。やりたい事をやってから、死んでやる』とヤケクソになった、当時の私はまぁ、思い出すのも恥ずかしいぐらい、グレていたのだ。
 未だに中二臭いと、ヒナイチくん達に揶揄される私であるが言わせないでくれ。
 黒歴史、というやつだ。
 問題行動を繰り返す、強大な力を持った少年の私を、周りの者は持て余し、両親は腫物を扱う様に大事にし、見るに見かねた氷笑卿が引き取ったそういう経緯だ。

 『人間達との関係は、悪化するばかりだ。どう足掻いても、我々も人間達は食料として必要だ。奴らがもたらす文明の恩恵がなければ、存続は難しい。両親がその関係調整の為に、日々奮闘しているのは、知っているだろう?目立って、反抗的な行動を取るのはやめろ、と言っている。』
 『アハハハ、よく言うよ。師匠は、お父様に気を使っているだけじゃないか。本当は、人間共なんて労働用の家畜で十分だ、なんて思ってるのは、俺でも察してますけど~?』
 『久しぶりに『俺』が出てるぞ。畏怖度-10億点をやろう。』

 口も態度もイタかったのだ。
 誇り高い竜の血族の嫡孫らしい行動をと、二言目には言われて、窮屈で窮屈で仕方がなかった。
 教育的指導でアイスバーにされそうになったのは、二度や三度ではなかった。現代でやると、訴訟ものだと思う。



  『元々、貴様の頭は、悪くはないのだ。座学だって、ちゃんと机におい、聞いているのか?その程度も出来ないとは15歳だと記憶していたが、本当は5歳だったらしいね?』
 興味がある事なら、ちゃんと学んでいる。興味がなければしない、それだけだ。

 『そういうのを、世間では脳筋というのだ。チェスでは私を負かすのに、何故、実技で戦略を立てて向かってこない?再生能力がない事さえ、忘れてしまったらしいな?』
 料理とこの授業だけは、楽しかった。だから、実際忘れているのだ。再生能力がない事どころか、痛みさえも忘れている。
 師匠こそ、もう少し殺気を持って斬りつけて来て欲しいものだが。せいぜい、私の手を凍傷にする程度しか、攻撃してこなかったと記憶している。

 『どこで覚えてきたのだ、そんな言葉遣い。いくら強大な力を持っていても、その辺の雑魚共の様な立ち振舞いで、畏怖して貰えると思っているそこまで、幸せな奴だったとはな。』
 それは、一理ある。
 力で圧倒した時に、獲物には怯えた顔をして欲しい。吸血鬼のサガとして、下等吸血鬼でも出来るただの恐怖ではなく、その中に畏怖の念も入っていると、尚良い。
 そこに関してはそう思って、譲歩した。

 『人に好かれる所作も覚えておくべきだ。特に、女性を優雅にエスコートし、心も身体を掴んでおく必要がある。合意的に穏便に、極上の女性の生き血をおい。霧になって逃げても無駄だ。何度言えば、分かるのだ?』
 生き血が欲しければ、人間同士の戦争に紛れて、殺した獲物や捕らえた捕虜の血を吸えばいい。お人好しのお父様は、『幼い身で祖国の為に、義勇兵に参加している』と勘違いして、うれし泣きしていた。一石二鳥という奴だ。

  実はヒナイチくんには未だに信じて貰えないが、当時の私が一番無意味と思っていたのが、『この授業』だった。
 元々、武闘派の私はこういう事に関心が薄く、同胞に誘われても、ほとんど女遊びをしなかった。師匠の、同時進行で何人もの女性と関係を持つという事を嫌悪していたのだ。
 もっというと、人づき合いも面倒な部分は、避けていたのである。

 「嘘つけ!未だにほとんど毎晩いや、いい。満月の夜以外、今のお前は痛い事はしないからは、恥ずかしいから、その話はよせ。しつこいぞ!」

 『自分から触れたいと思った女性は、200年以上生きてきて君だけだ。』と、何度言っても信じて貰えないのだ。
 なまじ年齢を重ねてから、当時彼から教わった知識を引っ張り出してきて、彼女に行使した為、元々の教えからもズレていった今となっては、そんな気がしている。

 



 「やれやれ。かつて、『もうあんたの世話にはならない。ここを出れて、せいせいする。』と言った、乱暴なおぼっちゃまはどこに行ったのだろう?不肖の弟子よ。」
 「どこにも行ってないでしょう。ここにいますよ?師匠貴方の可愛い弟子が、ね?」
 吸血鬼生も、どう転ぶか分からないものだ。
 現在の私は、監視員であったヒナイチくんに入れ揚げ、彼女が心置きなく、夜の世界に来られる様に『吸血鬼、退治人、吸対が連携』し、何百年にも渡って続いてきた『両種族の抗争を終わらせよう』と、奮闘しているのだから。
 「退治人のあの男とも契約し、監視員のお嬢さんとも契約し、そこそこ経ったはずだ。最近、交渉する相手も、新横浜限定でなくなってきた。今回は、千葉の反人間派の同胞達と連絡を取れだと?忙しそうで、何よりだな。」
 「目が回る様に忙しいですよ。足代わりというか、彼らの飛行機代わりだって、しています。だから、師匠にもご協力頂かないと。」

  語学研修で東欧に行っていたロナルドくんが帰国して、対立気味だった吸血鬼退治人と吸血鬼対策課の連携が、良好になってきた。
 その際、ロナルドくんと私は、『ご友人となって、退治人ロナルドの悲願である、『全ての人間とお吸血鬼さんが、お友達になれる世界を作る事』にご協力する』という契約を結んでいる。
 ここで、吸血鬼と退治人のパイプラインが、作られていった。
 紆余屈折あって、ヒナイチくんと私が心身ともに結ばれて、『抗争が終結したら、私の血を受け入れて、永遠に一緒にいる』という契約を交わした事で、実家の協力も得やすくなった。
 吸血鬼対策課と親人間派の同胞達のパイプラインが、構築されたのだ。
 実を言うと、近頃、新横浜では高等吸血鬼による大きな事件は、減って来た。
 ヒナイチくんが、定時で帰ってきてくれる事も増えたかつての私にとって、ここで目標は終わりのはずだったろう。
 「管轄を超えて、将来的には海外に遠征なんて、愉快じゃないですか。実家の伝手を借りれば、向こうの同胞とも連絡が取れるし、通訳から案内、護衛、敵性吸血鬼の掃討まで、私がしてやれます。」
 勿論、荒事にもことかかないし、私にとって趣味と実益を兼ねている。結構な事だ。
 しかも、いつかはヒナイチくんを夜の世界に呼べるのだ。厭う理由は、全くない。
 「そういう惚気というか、バカを晒しているというか。全く、人間共に絆されおって。貴様の師匠をしていた事が、恥ずかしいわ。」
 「そう仰らずに土下座程度なら、いくらでもして差し上げます。」
 「うむ、最近プライドも捨て過ぎだ。本気で、当時お前の師匠を引き受けた事を、後悔している。言えば、靴さえ舐めそうなのでね。」
 ロナルドくんが、無理矢理彼女を転化しようとしていた私に対して、『どうしても彼女が欲しいのなら、何かを諦める、何かを捨てる事をお勧めします』と言った。
 私にとって、この世で最も大切なのは、ジョンだ。だから、その次に大切なプライドを捨てた。 
 捨てたら気楽になり過ぎて、自分でも驚いている。
 「うむしてやっても構わんが、その口で、ヒナイチくんにキスをする訳にはいかん。どうしたものか。」
 「本気で言っているな?はぁこれ以上、バカ弟子の相手をするのも時間の無駄だ。さっきの件は、私の方で向こうに連絡をしておく。そのロナルドとかいう退治人と一緒に、彼らを説得する事だ。それより。」
 ノースディンが、私の前に置かれたゴブレットを見る。中に満たされているのは、ノースディンが世話をしている女性の一人から採った、極上の生き血である。
 一口も飲んでいない、と言いたいのだろう。相変わらず、嫌味な人だ。

 いつからだったか。
 私は自身の執着を拗らせて、ヒナイチくんの生き血以外は、体が受け付けなくなってしまったのだ。1か月に一度、彼女から200cc貰えるのが、まともな食事と言っていい。
 だから、生存に必要な最低限の生き血を、紅茶やワインで割って賄っている。
 あんただって、知っているだろうに。

 「その血でもダメか?未だに、そのお嬢さん以外の血では、吐いてしまうらしいな?」
 「貴方がキープして、健康な生活を保障して、隔日採血させている女性達が、どの様な方々かは知りませんがね。匂いだけでも、噎せそうですよ。特1級だろうが、自販機の最安値のパックだろうが、火を通したゲロと同じでした。別に、よろしいじゃないですか。私の体が彼女以外を拒否した、というだけの事。」
 「それを治そうと、VRCに通っていてよく言うものだ。私が知らないとでも、思ってたのか?」
 何で知っているんだ、この髭。私のストーカーか、お前は。
 「ワンチャン、私の口が奢っただけなら。静脈から血を入れて、何とかならないかと思ったんですよ。」

 結果は酷いものだった。溶岩を直接ぶち込まれた様になって、釣り上げたアリゲーターガーの様に、のたうち回る羽目になったのだ。
 お人好しの所長に凄んで、口止めはしたはずだが
 「竜の血族の嫡孫が、恥ずかしい真似をするな。全く、律儀に待合室に座りおってVRCには逮捕された者達もおれば、そこから出所した者もおるわ。彼らから、聞き出したのだ。」
 順番を破る訳には、いかんだろう。しかし、それはマズいな。
 その後も、何か代替になるものがないか、調べて貰ってる。現在進行形で見つかっていない。
 「飢餓感からヒナイチ嬢を衰弱死させてしまう恐れもあるし、唯一飲める血液を持っている彼女が、敵対している連中に狙われる恐れがある。そこまでは、理解しよう。」
 私が諦めつつも、VRCに通っているのはそういう事だ。何か、つっこまれる事でもあるだろうか?
 「ならば、愛しの君が為と騙し透かして、無理にでも彼女をドラウスの元に連れ帰って、保護するのが一番だと思うがな。彼女と契約を結んでしまったから、その手は使えん。自分で首を絞めおって。」
 そうか。ヒナイチくんを手に入れるだけなら、そういう手もあったか。私が先に敵性吸血鬼共を殲滅し、彼女を守ってやれば済むだけの話なので、考えもしなかったな。
 「大方、お前の事だ。VRC通いを、ヒナイチ嬢にも隠しているな?」
 「。」
 図星だ、義眼が不機嫌な音を立てるのが分かった。
 仕方がないだろう。今でもそんな必要もないのに、彼女は罪悪感を感じているのだ。
 「ちゃんと、話しておけ。『お前が一番、無駄で馬鹿げだ授業』と揶揄した、人に好かれる所作だがな。初めに教えた女性の扱いの部分を嫌悪する余り、全体を毛嫌いしていたな?あれには、人間共とトラブルを起こした時の対応も含まれていたのだ。全てサボっていたから、使い魔だけでなく、あの退治人の手まで、借りなければならなかった。違うか?」
 それは、今となっては認めるしかない。
 「帰れ。都合のいい時だけ頼って来るバカ弟子のせいで、私は忙しい。」
 言うだけ言うと、そのままノースディンは、席を立つ。

 背を向けた彼に、私は黙って頭を下げた。
 



 「ヒナイチさん、もうおやすみになってはいかがです?」

 ヌン、ドラルク様ならちゃんとヌンが出迎えてあげるヌから。

  うん、そうなんだけどな。あいつは、私が監視員だった頃から、ここにいて私を出迎えてくれる。
 今回も、嫌っている師匠の元に行ってくれたのだ。だから、労ってやりたいんだ。
 「大丈夫だ時間がかかっていたらしいな。さっき、戻ると電話があったから、そろそろ帰ってきていいものだけど。」
 クスリ、と上品にロナルドが笑う。彼もそろそろ帰らないとロナルドも、千葉県の反人間派の者達と会う準備をしなければならないのに。
 「分かりましたわ。それじゃあ、ジョンさんとお二人にお任せします。でも。」
 そう言って、ロナルドの大きな手が私の頬を包む。つくづく、綺麗な目だと見入ってしまうな。
 彼がお嬢でなかったなら、ドラルクがうるさかっただろうそんな事を考える。
 「貴女も、ちゃんとおやすみなさいませ。睡眠不足は、お美容の大敵ですもの。」
 「ヌンヌン。」

 事務所へと向かう、ロナルドを送り出す。まだ、夜風は冷たかった。
  だから、ドラルクに縫って貰ったショールを纏うと、私とジョンは窓の外を眺め続ける。
 季節柄、日の出は早くなってきている。少しずつ東の空が白み始めた。
 肉体が頑強だから、日光で死ぬ事はないが色素の薄いあいつは、肌が爛れやすい。心配だな

  あ、ヒナイチくん。帰ってきたヌよ。

  ジョンの声に、窓を開いて目をこらす。オオコウモリが猛スピードで、こちらに向かってくるのが見えた。

 「おかえり、ドラルク!」

  お疲れ様ヌ、ドラルク様。

  私達は白いオオコウモリを招き入れると、遮光カーテンを閉じる。
 振り返ると、蝙蝠が見慣れたあいつの姿に戻る所だった。

 「ただいま、遅くなってしまった。ヒナイチくん、ジョン。」
 駆け寄ると、ドラルクは私達を抱き締めた。ホッとしたからだろうか
 「ふわあすまない。つ、つい
 締まらない事に、大きな欠伸が出てしまった。

 ヌフフ、仕方ないヌよ。

 「クスクス、いいよ。ところで、ヒナイチくん。今日は、遅番だったね。少し眠り給え。起きたら、少し話したい事があるのだ時間は、あるかね?」
 「話したい事?」
 「まあ何と言うか。格好のいい話では、ないのだ。それでよければ、聞いておくれ。」
 何だろう首を傾げて見上げると、妙に吹っ切れたドラルクの顔があった。

 「どんな話でも、大丈夫だ。今、話してくれ。何があっても、最後にはお前を選ぶと、言っただろう?」

 

 

 

 


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