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「さよなら、わたしの王子様」あとがき

全体公開 あとがき 5 6283文字
2024-04-08 13:53:51

なかなか長めの自作語り。
ご許可いただいたのでキャラデザのラフもあります!

さて、今回はクラウス編でした。
結構アレな地獄をぶち込んでみたかとは思っているのですが、お楽しみいただけていれば幸いです。


〇背景
クラウスは基本的には完全無欠のスパダリ王太子・スーパーサンシャイン王子様なわけですが、それだけだと三話で話終わるんですよね(ぁ
なので、彼を乱したり崩したりする要素が必要になってきます。本当のクラウスは果たしてどんな奴なのか。
ひねくれの感想でももらったのですが、「クラウスが人間らしくなるところがみたい」というのが一つキーになるかなとは思いました。
神様の子を人間にする、魔法の加護を失った彼がどう生きるのか。
その為には多分、クラウスが挫折とか敗北を知る過程が必要かなと。
けれど、わたし自身作者として誰かに敗北して膝を突くクラウスは見たくなかったんですよね。
無様で哀れで不憫な男が好物のこのわたしが見たくないということはですよ、多分スパダリが好きな人はもっと見たくないです(ぇ
なら、どうするか。そこで考えたのがあの構成でした。
昔の自分に負けるクラウス。己を敢えて突き落とす。これはもう彼にしかできないなと。

クラウスが戦うのも、ベアトリーチェが戦うのも自分自身です。
自分自身とはなんなのか、一生離れられない己というものと向き合ってほしい。そう思って書きました。


〇要素
アーベントロートは割と童話モチーフで、元ネタ?になっているようなお話があります。
(ルイーゼは『美女と野獣』『かぐや姫』『人魚姫』、ジークリンデは『とりかえばや』『シンデレラ』)
今回はまあこんな感じかなと。
「時をかけるクラウス」
「眠れる森のベアトリーチェ」
「鏡の国のベアトリーチェ」
わたしが好きなお話をいつも入れ込みつつ、ヘキをいれて味付けするとまあこんな感じになります。


〇キャラ
(キャラデザ)

・クラウス Klaus
イメージソング:ray/BUMP OF CHICKEN『悲しい方がずっといいよ』
        太陽/BUMP OF CHICKEN『光の向こうの君の姿が僕には見えないと知った』

この世の全てを手に入れた男。イメージは毛艶のいいゴールデンレトリーバー。割と天然でよく尻尾を振る。
多分水を遣りすぎてサボテンを枯らすタイプの人。基本的に博愛。
クラウンとキングの感じで名付けました。余談ですが、ここの兄妹の名前は全員四文字縛りです。
元からブラコンでシスコンだったのに、とうとう10歳児に永遠の愛を誓ってロリコンの称号まで与えてしまいました。本当にすまないと思っている。
ルイーゼの話を考えた時に、一応兄妹全員の目と髪の色は決めたんですが、最初からいつか黒髪にしたいなって思っていました。
コンノ先生に黒髪のラフを頂いた時にびっくりするほどしっくりきたので、「お前はこの色で生まれてきたんだな」と妙に納得しました。
「この世のもう一つの太陽」というのを何回か入れたのですが、太陽ってあたたかくていいものですけど、その実ものすごく激しく燃える星だなと。
そういうところを時々出してみたつもりです。キレると多分一番怖い人。
王太子として完璧で、兄として尊敬される、素晴らしい夫。なので、意図してベアトリーチェ以外はあまり彼の名前を呼ばないようにしました。
坊ちゃん、兄上、殿下、ケヴィン、ルーカス。そういう言葉で向けられる期待や役割に全て応えることができる。まあでもそういう意味では、クラウスの方がベアトリーチェより嘘つきかもしれないです。そこに置き去りにされている彼自身があるんですよね。
ベアトリーチェが一番彼に惹かれるのは飾り気のない湖での彼で、かっこいいままでは欲しいものは得られない。
最終的に惚れた女に泣いて縋って心を手に入れる。
それを彼女の為に開示できるクラウスが、わたしは好きです。

・ベアトリーチェ Beatrice
イメージソング:深海少女/ゆうゆ『ほらね 君も素敵な色を隠してた』
        プラチナ/坂本真綾『信じる それだけで越えられないものはない』

クールそうに見えて割と強火。長女を持て余している子猫。
ベアトリーチェというのが元々「喜びの運び手、幸せの担い手」の意味だったので、最初からクラウスの祝福はベアトリーチェだということで名前を付けました。
アーベントロートは全員ドイツ語由来で名前を付けているのですが、ベアトリーチェは他国ということでイタリア語にしています。
フォルトゥナータも「幸運」の意味です。
ただ別方向でフォルトゥナータ症候群(既婚男性との恋愛が上手い)というのもありまして、今回一応似非三角関係の話なのでこんな感じの姓にしてみました。
書いていると、自分に遠いキャラ・近いキャラというのがあったりなかったりするのですが、ベアトリーチェは割と近い方のキャラです。
クラウスが黒髪になるからじゃあ金髪でいいかと短絡的に容姿を決めてしまいましたw
途中で気づいたんですが、ベアトリーチェは物凄く色々考えてしまう子なので「想像した」というところが非常に多い。
その想像を少しでも人に話せたりするようになればいいのになと思って書いていました。
正直、ベアトリーチェがクラウスを好きになる理由はいくらでもあるので(顔にしても性格にしても)、好きになれない、踏み切れない理由を考える方が難しかったです。
母親は「自分を好きになってくれる男(不倫相手)」と「自分が好きな男(王=夫)」の間で、「自分を好きになってくれる男」の方を選んだ人です。
その結果としてベアトリーチェはびっくりするような不幸を手に入れてしまう。
だから、ベアトリーチェにも同じように「自分を好きになってくれる男(クラウス)」と「自分が好きな男(ケヴィン)」の間で揺れ動いてもらいました。
ベアトリーチェはどちらも選べなくて、鏡の世界に逃げるという決断を最初します。
けれど、ベアトリーチェはやっぱり母とは違う人間なんですよね。その帰結として、「クラウス=ケヴィン」というのを持ってきました。
そうして、彼女は「わたしはわたし」を手に入れて強くなってほしかった。
多分これからも言えないことは沢山あると思うのですが、まあなんやかんやクラウスと仲良く暮らすと思います。すごい威厳のある王妃になりそう(ぇ

・マルタ Marta
魔法は使えないけれど、位置的にはフェアリーゴットマザー。
ク〇アおばさんみたいなビジュアルのイメージです。きっと美味しいクリームシチュー作れます(何
プロットにはいないキャラだったんですけど、ベアトリーチェはずっと母親に囚われているんですよね。
だから、そこを解き放って代わりに新しい魔法をくれる人が必要になる。
そう思って登場させたキャラでした。
多分、そのうちあの家系が王家だと気づく日はくると思うのですが、ベアトリーチェとクラウスの御子とかを見て孫のようにかわいがって欲しいなという願望だけはあります(何

・兄妹ズ(ルイーゼ、ハーディ、ヘルマン、ジークリンデ)
果たしてクラウスの話だけ読んだ人がこの四人をどれだけ理解してくれるのか。
若干不安要素はあるのですが、ヘルマン編で絶対王者としてクラウスを書いたこともあり、クラウスから見たヘルマンは絶対触れたいなと思っていました。
クラウスはクラウスで、ヘルマンに対して思うことはあるし、弟として尊敬している部分もあるんですよね。
細かいポイントとしては、ハーディはヘルマンのことは対等だと思ってるから「お前」って言うけど、クラウスのことは尊敬している?から「あなた」って言うんですよね。
300歳なりに思うところが何かあるのかなと思いますw
あとは、ジルヴェスターにたじたじするジークリンデが書いていて楽しかったです。

この話を最初に書き始めた時に
「別にヘルマンより先にクラウスの話を書いてもよかったんだよな。思いついた順に書いてるからこういうことになるんだよな。どうせなら長兄から書けばよかった」
と思ったりもしたんですが。25話の辺りを書けた時に、このためにこの順番だったんだなと思うなどしました。多分ジークがいないとヘルマンはクラウスの気持ちが分からなくて鏡の中に行くのを止めてしまう(もしくは一緒に行ってしまう)気がしたので。
自分にとっての大切な人と同じものが兄にもあるというのを彼が分かる必要があったかなとは思っています。

ちょっと6人でわちゃわちゃする番外編とか書きたいなという妄想はあります。


〇展開
・王子様の正体
まあ大体の方が「どうせ『王子様』はクラウスなんでしょ?」と思いながら読んでくださったと思うですが。
一応それなりに納得できるギミックを考えるのが結構大変でした。SF……ではないんですが、わたしがSFが好きなのでちょっとそれっぽくなっていたら嬉しいです。
呪われしの最初で三王子全員の名前をアルファベット表記で出してるので、覚えてらした方はハンカチのあれにそうそうにお気づきになったかもしれないです。
あとは、こちらも呪われしで「魔力は髪に宿る」としたので、魔力を失ったら色が変わる設定にしました。

・新婚旅行編
湖に行くのは元々、ヘルマンとジークリンデの番外編用に考えていたネタだったんですが、まあ、ヘルマンがボートを漕げるわけがないし、ジークはあんまり情緒が育っていないので(ぁ、あの子はゆっくりボートを漕いで景色を眺めるとかいう発想がないんですよね。
なので、最速で競技カヌーのようにボートを漕いで終わってしまったので(なおこの間ヘルマンは激船酔い中)、クラウスとベアトリーチェにやってもらいましたwww

・「アルミラ・ミリエラ」
こちらはあまり意味は考えずに、ただただ呪文っぽいものを。
魔法少女っぽくしたかったんですよね。
こちら都合3回出てくるのですが、1回目はマルタがかけてくれる「本当の自分に戻る魔法」。2回目は魔女の鏡が起こす「自分じゃない自分になる魔法」。
そして3回目はベアトリーチェが自分自身にかける「なりたい自分になる魔法」のつもりです。
わたしが思うピリ●ピリララです(何

・戦闘シーン(14話、38話)
こう、アーベントロートで近距離戦闘に強いのは、実はクラウスだけなんですよね。
ハーディ(ハッピー)は何せ人外なのでなんでも燃やせますが、物理攻撃にそこまで強いという訳では無い。別に鍛えてないし。
ジークリンデは確かに強いですが、彼女のウリは俊敏さと見切りにあるので、正直ただの力押しになったらそこまで強くは無いです。
本人もそれがわかっているので、中距離ぐらいで獲物を使って確実に叩きます。
その点、クラウスは中距離は大剣で、近距離で殴りあったとしても強いです。
というような感じのシーンにしたかった!

・夢魔
好きになった人と両想いになれたらそれはそれは幸せですが。
全ての恋がそうであるわけではありません。自分だって、好きになってくれた人を好きになれるかは分からないし。
だとしたら、その叶わなかった恋に対してどうするのが正解なのか。何か誠実な結果なのか。
ひねくれのメラニーに対してジークはどうするべきだったのか、とかも考えつつ書きました。
まずはきちんと向き合うことが大切なのかなとかそんな感じです。

・VS弟(リヴィオ)
ここは入れ込むかどうするか最後まで悩んだんですけれども。
夢から覚めても現実が続くのなら、その現実を書く必要があるかなとは思いました。どんなに素晴らしい人と出会っても、その人と恋をして両想いになっても、世界は変わらないです。
ベアトリーチェは結局母親に似たままです。けれどどう生きるかは自分で決めることができる。呪いだと思った母親似の容姿と向き合って、彼女はその真の美しさを手に入れる。
そんな感じに書けていたら嬉しいです。
クラウスが颯爽と出てくるのも悩んだんですけど、二人で乗り越えることに意味があるかなと。あといい男は後から出てくるものかなとも思いましたのであんな感じに(何


〇タイトル
もう全然決まりませんでした。面倒になったので途中「クラウス」って書いて出そうかと思いました(ウソヤロ
色んな方にご相談させて頂いたりして色々考えたんですが、結局あれになりまして。
「王子様とはさよならする=夢は終わり、現実を生きる」「非の打ち所のない夫からの最愛を望まない=完璧じゃないあなたでもそばにいたい」みたいな感じになればいいなと思って決めました。
最後に納得できるようなものになっていたら嬉しいです。


〇モチーフ
・鏡
難しい本を色々読んでみると、心理学的には「鏡は意識と潜在意識の境界線とされている。自己認識のきっかけとなり、自分のペルソナを紹介してくれるからである。鏡を見ることで、意識を超えて、潜在意識を垣間見ることができるのです」とか書いてあります(知らんがな
今回明確な敵はそこまでいないのかなと思うですが、ベアトリーチェもクラウスも最後に立ちはだかる敵は自分自身です。
そのモチーフとして鏡を入れました。
また、鏡自身が太陽と水の象徴であり、太陽であるクラウスに対してベアトリーチェが鏡を背負うことで対になるかなと。

・蝶
「死んだ妻を追いかけてあの世に行く」的なお話は神話に多いですよね。ベアトリーチェを迎えに行くクラウスが辿り着くあの白い空間はそういうイメージで書きました。
あの世界で神様の子としてのクラウスは一度死んで、人間として生まれ変わる。そんな感じです。
元々ハーディ(ハッピー)がぱたぱたしているのが好きで鳥なので、今回の導き手も同じ様に何かぱたぱたするものがいいなと(安直
そうして調べて見たら蝶は「生と死の復活のシンボル」だったのでいいなと思い採用しました。
ベアトリーチェも蛹から生まれ変わって真の美しさを手に入れる、みたいな感じになっていたらいいなと思っています。

(表紙バージョンと黒髪バージョン)

この二つを表紙に物凄く素敵に入れ込んで頂きました!
空から降る鏡の欠片は、ベアトリーチェが砕いた鏡の欠片です。けれど、同時に祝福のようにも見えたらいいなと思っていました。
タイトルに入れて頂いた蝶もすごく素敵で気に入っています!
二人がこうやって笑えるようになるまでが、この物語だなと思っています。


〇よく聞いてた曲
第一部:セブンティーン/YOSOBI『いつかハッピーエンドになるまで 世界を相手に戦うの』
第二部:さよならレトロニューワールド/ゆうゆ『愛したものは全て これでもかというほど無口で僕を責めてる』
第三部:アメジスト/『世界は声に溢れてやっと見つけたんだ 君の涙を』
どれも好きな曲です!


ヘルマンの話を書いた時に感想等で「兄上の話も読みたい」と沢山言って頂けて本当に嬉しくて。
クラウスの話を書くつもりは正直全然なかったのですが、おかげさまでこうして形にすることができました。
せっかくなので四兄妹揃えたい気だけはしているので、次はこの世界観で何か書くなら三男(ヨアヒム)の話にしようかなとは思っています。

その際はまたお読み頂けると嬉しいです。
ありがとうございました。


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